45 / 53
二章 最強の叛逆
兄と妹と家族と・・・
しおりを挟む
遂に決行日が訪れた。
俺はいつもと同じように変声器と仮面をつけ目的地に向かって走っていた。
いつもなら妹が寝た後に家を出るのだが今回ばかりは少し違った。
それは俺が家を出る前に遡る。
———時間になったため俺は妹が寝たのを確認して家を出ようとした。
「行ってくるよ。杏花」
俺は杏花が居る部屋のドアを開け中には入らずその場で挨拶をした。
返事などあるわけもなく俺は一通り準備をして家を出るため玄関に向かった。
そしてドアを押し開け外に出ようとしている時に後ろから声が聞こえた。
「いってらっしゃい。お兄ちゃん。」
俺が驚きながら後ろを振り返ると何とそこには寝ていたはずの杏花が立っていた。
「お前なんで?寝ていたんじゃないのか?」
「ううん。ほんとは起きてたの。」
「その仮面。やっぱり。」
杏花のその言葉に俺の心臓が大きく跳ね上がった。
そして杏花は言った。
「お兄ちゃんが『レベリオー』なんだね。」
知られていた。いつからだ?一体いつから知っていたんだ?
動揺している俺をよそに杏花は話を続ける。
「お兄ちゃんはこれまで一度も私に両親の事とか聞かせてくれなかったよね?」
「そして思い出話も・・・。」
「何度聞いてもはぐらかされてきた。」
「だから私、調べたの。自分の親は誰なのか。」
「お兄ちゃんが出掛けている時に実際にスラムに行ったり情報屋みたいな人に調べもらったりしてね。」
「失くしていた記憶も少しずつ思い出してきた。」
「朧げだけど自分の親についても思い出した。」
「けど調べてみたら死んでたの。でも原因は病気とか寿命じゃなかった。」
次に杏花の口から出てきた言葉は俺が今まで杏花に隠していたことそのものだった。
「お兄ちゃんが殺したんだね?私の本当の家族を。」
「・・・調べていくうちに色んなことが分かったよ。」
「過去のスラムでの事件のこと。そしてそれのせいで親は死んだこと。」
「そしてそれらの出来事がたった1人の能力者によってたった一夜の間に起こったということまでね。」
「お兄ちゃんは今まで私たち2人の親は病気で亡くなったとしか言わなかったよね?」
「でもまさかお兄ちゃんは本当の家族じゃなくて更には私の家族を殺した張本人だったとはね。」
そして一通り話し終えたのか杏花は俺に対して質問してきた。
「ねぇ?なんでお兄ちゃんは見ず知らずの私なんかを妹として育てようとしたの?」
俺は少しの間、思案した。
そして思案し終えた俺は思い浮かんだ言葉をそっくりそのまま杏花に言った。
「・・・贖罪をしたいという気持ちもあった。」
こんなこと言ったらきっと軽蔑されるだろう。
罪滅ぼしの道具だったのかと罵倒されるだろう。
確かに自分が不利にならないようにすること簡単だ。
嘘をついたりはぐらかしたりと何だって出来る。
けど俺はそんな事したくなかった。
たとえ罵倒されたり軽蔑されたりましてやこの場で復讐されようとも。
杏花には知る権利があるのだ。
それからも俺の話は続く。
「俺は知っての通り過去に史上最悪のとんでもない事件を起こした。」
「瓦礫などはもちろん家などの大きい建物。」
「最終的には数多くの命でさえ消した。」
「そんな中で唯一、生き残っていたのが当時まだ小さかったお前だ。」
「俺はお前を見つけた時、泣きながら抱きしめた。」
「姉を失った悲しみや俺のせいで多くの命が失われてしまった罪悪感。」
「そんな複雑な感情が湧き出てきて泣いちまった。」
「思えばそこからだった・・・。俺がお前を育てようと心から決意したのは。」
「幸か不幸かあの時のショックによるものなのかお前は記憶を失っていた。」
「だから俺がお前の実兄だと嘘をつけば疑われる事なく育てることができると思った。」
「俺は最初、心の中ではお前を立派に育てることによって罪滅ぼしができると勘違いしていた。」
「結局、自分のことで頭が手一杯だったんだ。」
「・・・だけど今は違う。」
「一緒に暮らしてきた今日までの時間。それは俺の心を大きく変えた。」
「お前のその純粋無垢な優しさが俺の心を優しく包み癒してくれた。」
「お前が作ってくれた料理。可愛らしく輝く笑顔。」
「その全てがお前から貰ったかけがえの無いものであり俺の宝物なんだ。」
そして俺は最後の言葉をしっかりと杏花の心に届くようにはっきりと言った。
「贖罪の為なんかじゃあない。俺はお前を妹として心から愛しているんだ!」
思ったことをありのままに言った。
あとは俺の出る幕はない。今後の選択は杏花が決めるものであり俺は結末が何であれ受け入れるとしよう。
すると黙って聞いていた杏花が口を開けた。
「やっぱりお兄ちゃんは優しいね・・・。」
「え・・・?」
予想外の返答に困惑している俺をよそに杏花はそのまま話を続ける。
「実親不在の真実を初めて知った当初、私は何も考えられなかった。」
「だって実は死んでいてその原因がお兄ちゃんだったなんて思ってもみなかったんだもん。」
「でもそんな事よりも私はお兄ちゃんを憎みきれなかったんだ。」
「だってお兄ちゃんと過ごしてきたこれまでの日々が頭にたくさん浮かんできたから。」
「私が何か失敗した時も心配してくれたり一緒にやってくれたりしてくれた。」
「その時、私は心で理解した。」
「きっとお兄ちゃんは罪悪感なんかじゃなく本当に私を愛してくれているって。」
「さらに嘘をつけた場面だったのにちゃんと心の内をしゃべってくれた。」
「少し抜けてておバカなところはあるけど心の奥底では他人を思い同時に自分が信じるの正義を貫く。」
「そんなお兄ちゃんが私は大好き・・・。」
「だからね・・・。」
そして杏花は抱きついてきて俺の胸に顔を埋めながら言った。
「死なないで・・・。私のお兄ちゃん。」
杏花の顔を覗くと泣いていた。
まるで悟られないように必死に隠そうと耐えながら泣いていたのだ。
それを見た俺は杏花の頭を優しく抱き言った。
「あぁ。約束する。どんな時も必ず帰ってくる。」
そしてこの瞬間、俺たちは本当の意味で家族になれたのであった。
俺はいつもと同じように変声器と仮面をつけ目的地に向かって走っていた。
いつもなら妹が寝た後に家を出るのだが今回ばかりは少し違った。
それは俺が家を出る前に遡る。
———時間になったため俺は妹が寝たのを確認して家を出ようとした。
「行ってくるよ。杏花」
俺は杏花が居る部屋のドアを開け中には入らずその場で挨拶をした。
返事などあるわけもなく俺は一通り準備をして家を出るため玄関に向かった。
そしてドアを押し開け外に出ようとしている時に後ろから声が聞こえた。
「いってらっしゃい。お兄ちゃん。」
俺が驚きながら後ろを振り返ると何とそこには寝ていたはずの杏花が立っていた。
「お前なんで?寝ていたんじゃないのか?」
「ううん。ほんとは起きてたの。」
「その仮面。やっぱり。」
杏花のその言葉に俺の心臓が大きく跳ね上がった。
そして杏花は言った。
「お兄ちゃんが『レベリオー』なんだね。」
知られていた。いつからだ?一体いつから知っていたんだ?
動揺している俺をよそに杏花は話を続ける。
「お兄ちゃんはこれまで一度も私に両親の事とか聞かせてくれなかったよね?」
「そして思い出話も・・・。」
「何度聞いてもはぐらかされてきた。」
「だから私、調べたの。自分の親は誰なのか。」
「お兄ちゃんが出掛けている時に実際にスラムに行ったり情報屋みたいな人に調べもらったりしてね。」
「失くしていた記憶も少しずつ思い出してきた。」
「朧げだけど自分の親についても思い出した。」
「けど調べてみたら死んでたの。でも原因は病気とか寿命じゃなかった。」
次に杏花の口から出てきた言葉は俺が今まで杏花に隠していたことそのものだった。
「お兄ちゃんが殺したんだね?私の本当の家族を。」
「・・・調べていくうちに色んなことが分かったよ。」
「過去のスラムでの事件のこと。そしてそれのせいで親は死んだこと。」
「そしてそれらの出来事がたった1人の能力者によってたった一夜の間に起こったということまでね。」
「お兄ちゃんは今まで私たち2人の親は病気で亡くなったとしか言わなかったよね?」
「でもまさかお兄ちゃんは本当の家族じゃなくて更には私の家族を殺した張本人だったとはね。」
そして一通り話し終えたのか杏花は俺に対して質問してきた。
「ねぇ?なんでお兄ちゃんは見ず知らずの私なんかを妹として育てようとしたの?」
俺は少しの間、思案した。
そして思案し終えた俺は思い浮かんだ言葉をそっくりそのまま杏花に言った。
「・・・贖罪をしたいという気持ちもあった。」
こんなこと言ったらきっと軽蔑されるだろう。
罪滅ぼしの道具だったのかと罵倒されるだろう。
確かに自分が不利にならないようにすること簡単だ。
嘘をついたりはぐらかしたりと何だって出来る。
けど俺はそんな事したくなかった。
たとえ罵倒されたり軽蔑されたりましてやこの場で復讐されようとも。
杏花には知る権利があるのだ。
それからも俺の話は続く。
「俺は知っての通り過去に史上最悪のとんでもない事件を起こした。」
「瓦礫などはもちろん家などの大きい建物。」
「最終的には数多くの命でさえ消した。」
「そんな中で唯一、生き残っていたのが当時まだ小さかったお前だ。」
「俺はお前を見つけた時、泣きながら抱きしめた。」
「姉を失った悲しみや俺のせいで多くの命が失われてしまった罪悪感。」
「そんな複雑な感情が湧き出てきて泣いちまった。」
「思えばそこからだった・・・。俺がお前を育てようと心から決意したのは。」
「幸か不幸かあの時のショックによるものなのかお前は記憶を失っていた。」
「だから俺がお前の実兄だと嘘をつけば疑われる事なく育てることができると思った。」
「俺は最初、心の中ではお前を立派に育てることによって罪滅ぼしができると勘違いしていた。」
「結局、自分のことで頭が手一杯だったんだ。」
「・・・だけど今は違う。」
「一緒に暮らしてきた今日までの時間。それは俺の心を大きく変えた。」
「お前のその純粋無垢な優しさが俺の心を優しく包み癒してくれた。」
「お前が作ってくれた料理。可愛らしく輝く笑顔。」
「その全てがお前から貰ったかけがえの無いものであり俺の宝物なんだ。」
そして俺は最後の言葉をしっかりと杏花の心に届くようにはっきりと言った。
「贖罪の為なんかじゃあない。俺はお前を妹として心から愛しているんだ!」
思ったことをありのままに言った。
あとは俺の出る幕はない。今後の選択は杏花が決めるものであり俺は結末が何であれ受け入れるとしよう。
すると黙って聞いていた杏花が口を開けた。
「やっぱりお兄ちゃんは優しいね・・・。」
「え・・・?」
予想外の返答に困惑している俺をよそに杏花はそのまま話を続ける。
「実親不在の真実を初めて知った当初、私は何も考えられなかった。」
「だって実は死んでいてその原因がお兄ちゃんだったなんて思ってもみなかったんだもん。」
「でもそんな事よりも私はお兄ちゃんを憎みきれなかったんだ。」
「だってお兄ちゃんと過ごしてきたこれまでの日々が頭にたくさん浮かんできたから。」
「私が何か失敗した時も心配してくれたり一緒にやってくれたりしてくれた。」
「その時、私は心で理解した。」
「きっとお兄ちゃんは罪悪感なんかじゃなく本当に私を愛してくれているって。」
「さらに嘘をつけた場面だったのにちゃんと心の内をしゃべってくれた。」
「少し抜けてておバカなところはあるけど心の奥底では他人を思い同時に自分が信じるの正義を貫く。」
「そんなお兄ちゃんが私は大好き・・・。」
「だからね・・・。」
そして杏花は抱きついてきて俺の胸に顔を埋めながら言った。
「死なないで・・・。私のお兄ちゃん。」
杏花の顔を覗くと泣いていた。
まるで悟られないように必死に隠そうと耐えながら泣いていたのだ。
それを見た俺は杏花の頭を優しく抱き言った。
「あぁ。約束する。どんな時も必ず帰ってくる。」
そしてこの瞬間、俺たちは本当の意味で家族になれたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる