32 / 61
第一章 カラス色の聖女
神殿の森5
しおりを挟む
冷たい眠りの中、ふわりと温かなぬくもりに包まれた。
そんなぬくもりの中、持ち上げられたような感覚に小鳥の意識は僅かに浮上したが疲れていたためか、また眠りの淵へとゆっくりと落ちてゆく。
小鳥が眠りへと落ちる直前、頬に何か温かなものが触れた。身体が冷えていたのかそのぬくもりはとても心地良いものであった。
(あったかいな……)
ぬくもりを求めて小鳥は無意識に頬を寄せる。
「君のおかげで助かった」
優しく甘いその声に再び小鳥の意識は浮上したが、目蓋は重く眠気のせいか視界もぼんやりとしている。ゆっくりと瞬きを繰り返すが、気を抜くとまた意識を手放してしまいそうだ。
(誰だろ?)
小鳥の目の前にはどこかで会った事のあるような男性がいた。黒い髪は光を受けて僅かに緑掛かった色を見せ、小鳥を見つめる真っ直ぐな瞳はどこまでも透き通るようなエメラルドグリーンだ。
(この人知ってる…。誰だっけ?あぁ、それよりも眠くて堪らない)
いつの間にか朝になっていたようで、降り注ぐ朝日は眠くて堪らない小鳥にはとても眩しく感じた。開いた目蓋は朝日を防ぐようにゆっくりと落ちてゆく。
「――――を君にあげる」
目の前の彼が何かを言っているが、夢うつつな小鳥の耳には途切れ途切れにしか届かない。何と言ったのか、と小鳥がぼんやりと思っていると、小鳥の口元へと彼の長い指が伸びる。僅かに開いた小鳥の唇の端からするりとなぞられると、自然と口が開いていった。
「飲み込んで」
そんな言葉と共に何かが口の中へと入れられた。ほんのりとあたたかさを感じる飴玉のような固い何かは、微かに森の澄んだ空気のような香りがする。
するりと唇から頬へと撫でられると、自然とその塊を嚥下してしまった。これは何だろう、と小鳥が思うより先にここまでなんとか耐えていた眠気に負け、意識を手放した。
「んん~~…」
カサリと頬に何かが降ってきた。その感覚に小鳥は深い眠りの底から呼び起こされる。目を開ければ天高く燦々と輝く太陽が辺りを明るく照らしていた。
「いつの間に寝たんだろう?……あれ?狼がいなくなってる」
辺りを見渡せば、昨夜とは全く違った光景が広がっていた。どんよりと暗く重い霧が広がっていた穢れは跡形もなくなり、枯れた草木は息を吹き返して青々と茂っている。
しかし、昨夜助けようと小鳥が奮闘した狼はどこにもいない。
「いないって事はきっと助かって森に帰ったって事だよね。怪我はちゃんと治ったのかな。………ん?これは……?」
小鳥が身を起こすとぬくもりに包まれていた肩が露わになる。肩からずり落ちた布は小鳥をすっぽりと包んでいたようだ。
その布の中から手を出すと昨夜願いを込めた星の欠片がそこにはあった。
「大きい欠片と小さい欠片、両方使ってしまったと思ったけど小さい方はそのまま残ったみたいね。いざという時のために残った欠片は大事に取っておこう」
小さな星の欠片を胸元にしまうと立ち上がり、小鳥の身体を包み込むように巻かれた布を広げてみる。それ見覚えのある立派なブローチが付いたマントであった。
(このマントは騎士団のものだわ。そしてこの綺麗なブローチ……。見覚えがある…)
エメラルドが嵌め込まれ、金で出来た繊細な模様の台座はつい先日間近で見た物だ。ブローチの宝石と同じ色をした瞳は記憶の中でも鮮やかに輝く。風に吹かれひらりと翻ったマントから見えるこの内布の色は、騎士団長だけが身に纏っていたはずだ。
「カレンリード様のマントとブローチだわ……」
なぜ彼のマントが、と疑問が浮かぶより先に微睡みの中の記憶が蘇った。
(うとうとしてる時にカレンリード様がいたような気がしたけど、あれは夢じゃなかったってこと?でもどうして彼がこんな森の中に…?)
数日前に神殿から騎士団が帰って行ったはずだ。なのにどうして、騎士団長であるカレンリードがこんな森の中にいたのか。
こちらの世界の様々な事情に疎い小鳥がいくら考えても答えは出ないだろう。それよりも、この森から出ることの方が先決だ。
「とりあえず、この森を抜けてどこか助けてもらえそうなところに行かないと。安全ではないし、食べ物も何もないんだからずっとここにはいられないわ。それにしてもこの服、早くどうにかしないと駄目かも…」
小鳥は自身の身体を見下ろす。身に纏っているのは膝が丸見えの長さまでボロボロに切られた儀式用の服だ。昨夜、狼の怪我のために服を切り裂いて包帯として使ったのだ。マントを羽織れば見えないであろうが、出来るだけ早めに新しい服を調達しなければこれから困るだろう。
今は有り難くカレンリードのマントを借りることにし、肩から羽織ればその長さはちょうど地面ギリギリの長さであった。マントの前を合わせるためにブローチを位置を付け変える。
(このブローチは高価な物だろうから人目に付くところでは外した方が良さそうね)
太ももにナイフをしっかり括り付け直し、軽く土埃を払うと森の中へと歩き出した。
サクサクと草を踏みしめながら、どの方向へ向かえばいいのか考える。下手な方向に進んでしまった場合、また神殿へと戻ってしまう可能性もある。それだけは絶対に避けたい。
「どこに向かえばいいのかな。神殿ではない、人がいるところに行きたい…。昨日は狼のところまで光が誘導したんだし、お願いすればあの光が助けてくれたりするかも……?」
あの光はなんであったのかは分からない。しかし、昨日は小鳥が光の導きに応じて狼を助けたのだ。ならば、今日は困っている小鳥を助けてくれてもいいだろう。
(なんて呼び掛ければいいのかしら?)
とりあえずあまり深く考えずに呼びかけてみることにする。駄目で元々である。
「えーっと…。昨日の光さん、今日は私を助けてくれませんか?神殿ではない、人がいるどこかに行きたいの!…………なんてね。やっぱり自力でどうにかしなきゃ駄目みたい…」
小鳥が諦めのため息を吐きかけた時、まるで小動物がいるかのように辺りの茂みがサカサカと揺れ出した。四方から聞こえてくるその音に小鳥は身構える。
(何!?猪とか出てきたらどうしよう!)
「見て!この子昨日森を助けた子だよ!」
「助けが欲しいの?」
「森から出たいのなら私が案内してあげる!」
小鳥は目の前の光景に呆然と立ち尽くす。賑やかにお喋りをするのは、絵本に出てくるような妖精であった。
手のひらに乗せられそうな小さな妖精たちは、背中に生えている羽を羽ばたかせて小鳥の周りを飛び回る。背中に生えたそれは、蝶のような羽やトンボのような羽など様々な形をしている。
(妖精だわ……。でもなんで私に妖精が見えるの?つい先日までは見えなかったのに……)
数日前の東屋では確かに妖精たちの姿は見えなかった。それなのになぜ、今はその姿を見る事が出来ているのだろうか。
「あの、私前まで妖精の姿が見えなかったのだけど、なぜ急にあなたたちが見えるようになったのか分かったりする?」
「んー?なんでだろうね?」
「人間は僕たちのこと見えるはずだよね?」
「見えないことの方がおかしいよ!」
(そうだよね。この子たちに聞いても分かる訳ないよね)
「分からないならいいの。急に変なこと聞いてごめんね。私、この森から出たいのだけど、どの方向に進めばいいか分からないの。誰か道案内をしてくれないかしら?」
「いいよ!私が案内してあげる!」
「僕がするんだ!」
「みんなで案内してあげようよ!」
どうやらこの森の妖精たちはとても親切なようだ。小鳥は森を抜けるための道案内を、妖精たちにお願いする事に決めた。
そんなぬくもりの中、持ち上げられたような感覚に小鳥の意識は僅かに浮上したが疲れていたためか、また眠りの淵へとゆっくりと落ちてゆく。
小鳥が眠りへと落ちる直前、頬に何か温かなものが触れた。身体が冷えていたのかそのぬくもりはとても心地良いものであった。
(あったかいな……)
ぬくもりを求めて小鳥は無意識に頬を寄せる。
「君のおかげで助かった」
優しく甘いその声に再び小鳥の意識は浮上したが、目蓋は重く眠気のせいか視界もぼんやりとしている。ゆっくりと瞬きを繰り返すが、気を抜くとまた意識を手放してしまいそうだ。
(誰だろ?)
小鳥の目の前にはどこかで会った事のあるような男性がいた。黒い髪は光を受けて僅かに緑掛かった色を見せ、小鳥を見つめる真っ直ぐな瞳はどこまでも透き通るようなエメラルドグリーンだ。
(この人知ってる…。誰だっけ?あぁ、それよりも眠くて堪らない)
いつの間にか朝になっていたようで、降り注ぐ朝日は眠くて堪らない小鳥にはとても眩しく感じた。開いた目蓋は朝日を防ぐようにゆっくりと落ちてゆく。
「――――を君にあげる」
目の前の彼が何かを言っているが、夢うつつな小鳥の耳には途切れ途切れにしか届かない。何と言ったのか、と小鳥がぼんやりと思っていると、小鳥の口元へと彼の長い指が伸びる。僅かに開いた小鳥の唇の端からするりとなぞられると、自然と口が開いていった。
「飲み込んで」
そんな言葉と共に何かが口の中へと入れられた。ほんのりとあたたかさを感じる飴玉のような固い何かは、微かに森の澄んだ空気のような香りがする。
するりと唇から頬へと撫でられると、自然とその塊を嚥下してしまった。これは何だろう、と小鳥が思うより先にここまでなんとか耐えていた眠気に負け、意識を手放した。
「んん~~…」
カサリと頬に何かが降ってきた。その感覚に小鳥は深い眠りの底から呼び起こされる。目を開ければ天高く燦々と輝く太陽が辺りを明るく照らしていた。
「いつの間に寝たんだろう?……あれ?狼がいなくなってる」
辺りを見渡せば、昨夜とは全く違った光景が広がっていた。どんよりと暗く重い霧が広がっていた穢れは跡形もなくなり、枯れた草木は息を吹き返して青々と茂っている。
しかし、昨夜助けようと小鳥が奮闘した狼はどこにもいない。
「いないって事はきっと助かって森に帰ったって事だよね。怪我はちゃんと治ったのかな。………ん?これは……?」
小鳥が身を起こすとぬくもりに包まれていた肩が露わになる。肩からずり落ちた布は小鳥をすっぽりと包んでいたようだ。
その布の中から手を出すと昨夜願いを込めた星の欠片がそこにはあった。
「大きい欠片と小さい欠片、両方使ってしまったと思ったけど小さい方はそのまま残ったみたいね。いざという時のために残った欠片は大事に取っておこう」
小さな星の欠片を胸元にしまうと立ち上がり、小鳥の身体を包み込むように巻かれた布を広げてみる。それ見覚えのある立派なブローチが付いたマントであった。
(このマントは騎士団のものだわ。そしてこの綺麗なブローチ……。見覚えがある…)
エメラルドが嵌め込まれ、金で出来た繊細な模様の台座はつい先日間近で見た物だ。ブローチの宝石と同じ色をした瞳は記憶の中でも鮮やかに輝く。風に吹かれひらりと翻ったマントから見えるこの内布の色は、騎士団長だけが身に纏っていたはずだ。
「カレンリード様のマントとブローチだわ……」
なぜ彼のマントが、と疑問が浮かぶより先に微睡みの中の記憶が蘇った。
(うとうとしてる時にカレンリード様がいたような気がしたけど、あれは夢じゃなかったってこと?でもどうして彼がこんな森の中に…?)
数日前に神殿から騎士団が帰って行ったはずだ。なのにどうして、騎士団長であるカレンリードがこんな森の中にいたのか。
こちらの世界の様々な事情に疎い小鳥がいくら考えても答えは出ないだろう。それよりも、この森から出ることの方が先決だ。
「とりあえず、この森を抜けてどこか助けてもらえそうなところに行かないと。安全ではないし、食べ物も何もないんだからずっとここにはいられないわ。それにしてもこの服、早くどうにかしないと駄目かも…」
小鳥は自身の身体を見下ろす。身に纏っているのは膝が丸見えの長さまでボロボロに切られた儀式用の服だ。昨夜、狼の怪我のために服を切り裂いて包帯として使ったのだ。マントを羽織れば見えないであろうが、出来るだけ早めに新しい服を調達しなければこれから困るだろう。
今は有り難くカレンリードのマントを借りることにし、肩から羽織ればその長さはちょうど地面ギリギリの長さであった。マントの前を合わせるためにブローチを位置を付け変える。
(このブローチは高価な物だろうから人目に付くところでは外した方が良さそうね)
太ももにナイフをしっかり括り付け直し、軽く土埃を払うと森の中へと歩き出した。
サクサクと草を踏みしめながら、どの方向へ向かえばいいのか考える。下手な方向に進んでしまった場合、また神殿へと戻ってしまう可能性もある。それだけは絶対に避けたい。
「どこに向かえばいいのかな。神殿ではない、人がいるところに行きたい…。昨日は狼のところまで光が誘導したんだし、お願いすればあの光が助けてくれたりするかも……?」
あの光はなんであったのかは分からない。しかし、昨日は小鳥が光の導きに応じて狼を助けたのだ。ならば、今日は困っている小鳥を助けてくれてもいいだろう。
(なんて呼び掛ければいいのかしら?)
とりあえずあまり深く考えずに呼びかけてみることにする。駄目で元々である。
「えーっと…。昨日の光さん、今日は私を助けてくれませんか?神殿ではない、人がいるどこかに行きたいの!…………なんてね。やっぱり自力でどうにかしなきゃ駄目みたい…」
小鳥が諦めのため息を吐きかけた時、まるで小動物がいるかのように辺りの茂みがサカサカと揺れ出した。四方から聞こえてくるその音に小鳥は身構える。
(何!?猪とか出てきたらどうしよう!)
「見て!この子昨日森を助けた子だよ!」
「助けが欲しいの?」
「森から出たいのなら私が案内してあげる!」
小鳥は目の前の光景に呆然と立ち尽くす。賑やかにお喋りをするのは、絵本に出てくるような妖精であった。
手のひらに乗せられそうな小さな妖精たちは、背中に生えている羽を羽ばたかせて小鳥の周りを飛び回る。背中に生えたそれは、蝶のような羽やトンボのような羽など様々な形をしている。
(妖精だわ……。でもなんで私に妖精が見えるの?つい先日までは見えなかったのに……)
数日前の東屋では確かに妖精たちの姿は見えなかった。それなのになぜ、今はその姿を見る事が出来ているのだろうか。
「あの、私前まで妖精の姿が見えなかったのだけど、なぜ急にあなたたちが見えるようになったのか分かったりする?」
「んー?なんでだろうね?」
「人間は僕たちのこと見えるはずだよね?」
「見えないことの方がおかしいよ!」
(そうだよね。この子たちに聞いても分かる訳ないよね)
「分からないならいいの。急に変なこと聞いてごめんね。私、この森から出たいのだけど、どの方向に進めばいいか分からないの。誰か道案内をしてくれないかしら?」
「いいよ!私が案内してあげる!」
「僕がするんだ!」
「みんなで案内してあげようよ!」
どうやらこの森の妖精たちはとても親切なようだ。小鳥は森を抜けるための道案内を、妖精たちにお願いする事に決めた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる