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第一章 カラス色の聖女
領主夫人のお招き1
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少し肌寒い朝のしっとりとした空気の中、宿屋に隣接されている食事処へと向った。まだ早朝というのこともあり、街中の人影はまばらだ。
食事処へ入ればどうやら小鳥たちが一番乗りだったようで、暇そうにお喋りをしていた愛想の良さそうな給事の女性がやってきた。
「おはようございます。良くお休みになれましたか?お席はどこでもお好きな場所へどうぞ」
「おはようございます。そしたら、窓際の席に座ろうか?」
「うん!あそこが一番明るいね!」
朝日が差し込む明るい窓際の席に座ると、メニューとして置かれている大きな木の板を手に取る。こちらの世界では市民に紙が普及はしているものの、気軽に使えるほど安くはないため、まだこうして木を使っているの所も多くあるのだ。
朝食用のメニュー数は昼や夜と比べると少ない。しかし、どれも美味しそうな物ばかりであった。
「どれにしようかな……。オムレツのプレートも美味しそうだけど、ホットサンドもいいな。採れたて野菜の温サラダも美味しそう……」
「ボクはこれにしようかな」
リュカが指差したのは、クリームシチューとパンのセットだ。野菜たっぷりで温かなシチューは肌寒い朝にぴったりである。
(うーん。どれにしよう?全部美味しそうで迷ってしまうわ……。リュカが選んだシチューも美味しそう……)
小鳥が険しい表情でメニューと睨めっこをしていると、先ほどの給事の女性がやってきた。その手には大きなポットを抱えている。朝食とセットで出されるお茶を先に持ってきてくれたようで、ずんぐりと丸い形をしたカップにほこほこと湯気を立てたお茶を注いでいく。
「まだ朝は冷えますでしょう?先にお茶をどうぞ。あら?何にするか随分と悩まれているみたいですね」
「はい。どれも美味しそうで……。店員さんのオススメはありますか?」
「どれも美味しいですけれど、私はオムレツのプレートが特に好きですね。オムレツの中にチーズと野菜が入っていてとても美味しいんですよ」
とろりと伸びるチーズの筋が小鳥の脳内に映し出される。その給事の女性の言葉で小鳥の心は決まった。
「オムレツプレートをお願いします!」
「ボクはクリームシチューのやつね!」
「オムレツプレートとクリームシチューのセットですね。お持ちしますので少々お待ち下さい」
仲が良いのですね、とくすりと笑みを浮かべながら、給事の女性は厨房へと下がって行った。するとすぐに厨房から料理をする音が聞こえ始め、温め直しているパンの香ばしい香りがホールに漂う。
「あ~良い香り。余計にお腹空いてくるね」
「うん、温かくて良い香り。ボクはあまり食事に重きを置かないんだけど、こうやって小鳥と食べる事は好き!」
「リュカは食べる事が好きじゃないの?」
「好きか嫌いかで言えば、好きかな?でも一人で食べてもあんまり楽しくないんだよね。最近は探し物のせいで人と食事をする機会もなかったしね」
「そうなんだね。私は一人での食事に慣れちゃったからなぁ。でも、リュカの言う通り人と一緒に食べた方が楽しいし美味しい!こうしてリュカがいてくれてよかったわ」
家族がいなくなり一人暮らしに慣れた小鳥は、食事は一人でする事が当たり前であった。大学の友人たちと食事を共にする事もあるが、一人で食べる時の方が多かったのだ。
小鳥が五歳の頃に母が亡くなり、それからずっと二人暮らしであった祖父が入院し、家での生活や食事が一人ぼっちになった時は寂しさを感じたが、すぐにその寂しさにも慣れてしまった。
しかし、やはりこうして人と食事を共にする方が小鳥には好ましく感じられた。
「ふふ、ボクも小鳥と一緒て良かった!可愛い子と食べるご飯は楽しいね!」
「リュカのその言い方、なんだかどこかのおじさんみたいだよ……」
「えー?こんなに可愛いボクがおじさんっぽい?」
不満そうにぷくっと頬を膨らませた顔は愛らしいが、その物言いは可愛らしい少女の見た目とそぐわないのだ。
そうこうしているうちに、テーブルに食事が運ばれてきた。ほかほかと湯気を立てる出来立ての料理に、じんわりとよだれが滲む。
「お待たせ致しました。シチューはこちらで、オムレツプレートはあなたですね。ごゆっくりどうぞ」
「美味しそう!いただきます!」
「ふふ、小鳥の嬉しそうな顔だけでお腹いっぱいになれそう。もっとたくさん美味しい物食べさせたくなるね」
「それ!その言い方おじさんっぽい!」
「えー?」
「ほらほら、早く食べないと冷めちゃうよ?」
小鳥が頼んだオムレツプレートは、オムレツと焼いたベーコンと煮た豆、そして薄切りの固いパンがワンプレートに乗った物であった。オムレツにナイフを入れると、中からとろりとしたチーズと賽の目状にカットされた野菜が溢れてきた。そのまま食べても良し、パンに乗せて食べても良しのオムレツだ。
リュカが頼んだ食事は、一口大の野菜と角切りのベーコンがたっぷり入った熱々のクリームシチューだ。付け合わせのパンは小鳥の物とは違い、楕円形のパンを半分にカットされた物であった。小鳥のパンは目がぎゅっと詰まった固いパンであったが、リュカの方は外はカリッと中はふんわりとしたパンのようだ。
「美味しかったね。こんなに美味しいオムレツ初めて食べたわ…」
美味しい食事でお腹を満たした小鳥は、満足そうな表情で食後のお茶を飲む。二人が食事を終えた頃には街中に人通りが増え、店内にもお客がちらほら見え始めていた。
「小鳥がそのお茶を飲んだら部屋に戻ろっか?」
「そうだね。人が増えてくる前に席を空けたいものね」
カップに残ったぬるいお茶を飲み干すと、二人は席を立ち出口へと向かった。
外へ出るとさらに日は高くなっており、しっとりと湿っていた空気もカラリと乾き始めていた。まだ肌寒さは残るが、この晴天であれば昼頃にはもっと暖かくなるだろう。
「リュカはナターリエさんからお家招待されるって言ってたけど、本当に私たちのいる宿屋が分かるのかな?」
「大丈夫だよ。だってほら、そこに停まっている馬車にカーダリングの家紋が付いてるし」
「え!?」
リュカが指差した先には、宿屋の近くに停められた黒い馬車がある。その馬車の扉には何やら紋様が付いているが、どうやらそれがナターリエのカーダリング家の家紋であるらしい。
宿屋の入り口に立っている従業員の男性は、小鳥たちの姿を見るや否やこちらまで走るような勢いで向かってきた。
「お帰りなさいませ!カーダリング家の使いの方が中でお待ちです!!」
「もしかして、随分と待たせてしまいましたか……?」
「いえ!使いの方がいらっしゃったのはつい先ほどです。後少ししたらお二人にお声掛けしに行こうと思っていたところです」
まだ来たばかりだと聞き、小鳥はほっと胸を撫で下ろす。使いの者とはいえ、領主の家に使える者を待たせるのはきっとあまり良くないだろう。
早く宿屋へ入った方が良いのだが、使いの者に会ったところでどう対応すれば良いのか、小鳥には分からない。こちらの世界の常識が不足している事もあるし、元いた世界でもこのような場面を体験した事などないのだ。
「リュ、リュカ。どうしたらいいかな。こんな事初めてだから、なんて言ったらいいのか分からないの……。まずは挨拶だよね?それから何……?」
リュカはガチガチに緊張をした小鳥を見てくすりと笑う。今にも扉を開けてしまいそうな宿屋の者を片手で制すると、小鳥と繋いだ手に少しだけ力を込めた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫。小鳥はボクの横に立ってるだけでいいよ。彼らへの対応はボクがしてあげる。彼らも変な事をするつもりはないだろうし、小鳥はちょっとお茶をしに行くような軽い気持ちでいて?」
(領主夫人に招かれてお家でお茶するのを軽い気持ちで……?)
小鳥が言葉を返す前に、リュカは扉を開けるように指示を出す。
開いた扉の向こうには、品の良い黒いスーツを着た男性の後ろ姿があった。
食事処へ入ればどうやら小鳥たちが一番乗りだったようで、暇そうにお喋りをしていた愛想の良さそうな給事の女性がやってきた。
「おはようございます。良くお休みになれましたか?お席はどこでもお好きな場所へどうぞ」
「おはようございます。そしたら、窓際の席に座ろうか?」
「うん!あそこが一番明るいね!」
朝日が差し込む明るい窓際の席に座ると、メニューとして置かれている大きな木の板を手に取る。こちらの世界では市民に紙が普及はしているものの、気軽に使えるほど安くはないため、まだこうして木を使っているの所も多くあるのだ。
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「どれにしようかな……。オムレツのプレートも美味しそうだけど、ホットサンドもいいな。採れたて野菜の温サラダも美味しそう……」
「ボクはこれにしようかな」
リュカが指差したのは、クリームシチューとパンのセットだ。野菜たっぷりで温かなシチューは肌寒い朝にぴったりである。
(うーん。どれにしよう?全部美味しそうで迷ってしまうわ……。リュカが選んだシチューも美味しそう……)
小鳥が険しい表情でメニューと睨めっこをしていると、先ほどの給事の女性がやってきた。その手には大きなポットを抱えている。朝食とセットで出されるお茶を先に持ってきてくれたようで、ずんぐりと丸い形をしたカップにほこほこと湯気を立てたお茶を注いでいく。
「まだ朝は冷えますでしょう?先にお茶をどうぞ。あら?何にするか随分と悩まれているみたいですね」
「はい。どれも美味しそうで……。店員さんのオススメはありますか?」
「どれも美味しいですけれど、私はオムレツのプレートが特に好きですね。オムレツの中にチーズと野菜が入っていてとても美味しいんですよ」
とろりと伸びるチーズの筋が小鳥の脳内に映し出される。その給事の女性の言葉で小鳥の心は決まった。
「オムレツプレートをお願いします!」
「ボクはクリームシチューのやつね!」
「オムレツプレートとクリームシチューのセットですね。お持ちしますので少々お待ち下さい」
仲が良いのですね、とくすりと笑みを浮かべながら、給事の女性は厨房へと下がって行った。するとすぐに厨房から料理をする音が聞こえ始め、温め直しているパンの香ばしい香りがホールに漂う。
「あ~良い香り。余計にお腹空いてくるね」
「うん、温かくて良い香り。ボクはあまり食事に重きを置かないんだけど、こうやって小鳥と食べる事は好き!」
「リュカは食べる事が好きじゃないの?」
「好きか嫌いかで言えば、好きかな?でも一人で食べてもあんまり楽しくないんだよね。最近は探し物のせいで人と食事をする機会もなかったしね」
「そうなんだね。私は一人での食事に慣れちゃったからなぁ。でも、リュカの言う通り人と一緒に食べた方が楽しいし美味しい!こうしてリュカがいてくれてよかったわ」
家族がいなくなり一人暮らしに慣れた小鳥は、食事は一人でする事が当たり前であった。大学の友人たちと食事を共にする事もあるが、一人で食べる時の方が多かったのだ。
小鳥が五歳の頃に母が亡くなり、それからずっと二人暮らしであった祖父が入院し、家での生活や食事が一人ぼっちになった時は寂しさを感じたが、すぐにその寂しさにも慣れてしまった。
しかし、やはりこうして人と食事を共にする方が小鳥には好ましく感じられた。
「ふふ、ボクも小鳥と一緒て良かった!可愛い子と食べるご飯は楽しいね!」
「リュカのその言い方、なんだかどこかのおじさんみたいだよ……」
「えー?こんなに可愛いボクがおじさんっぽい?」
不満そうにぷくっと頬を膨らませた顔は愛らしいが、その物言いは可愛らしい少女の見た目とそぐわないのだ。
そうこうしているうちに、テーブルに食事が運ばれてきた。ほかほかと湯気を立てる出来立ての料理に、じんわりとよだれが滲む。
「お待たせ致しました。シチューはこちらで、オムレツプレートはあなたですね。ごゆっくりどうぞ」
「美味しそう!いただきます!」
「ふふ、小鳥の嬉しそうな顔だけでお腹いっぱいになれそう。もっとたくさん美味しい物食べさせたくなるね」
「それ!その言い方おじさんっぽい!」
「えー?」
「ほらほら、早く食べないと冷めちゃうよ?」
小鳥が頼んだオムレツプレートは、オムレツと焼いたベーコンと煮た豆、そして薄切りの固いパンがワンプレートに乗った物であった。オムレツにナイフを入れると、中からとろりとしたチーズと賽の目状にカットされた野菜が溢れてきた。そのまま食べても良し、パンに乗せて食べても良しのオムレツだ。
リュカが頼んだ食事は、一口大の野菜と角切りのベーコンがたっぷり入った熱々のクリームシチューだ。付け合わせのパンは小鳥の物とは違い、楕円形のパンを半分にカットされた物であった。小鳥のパンは目がぎゅっと詰まった固いパンであったが、リュカの方は外はカリッと中はふんわりとしたパンのようだ。
「美味しかったね。こんなに美味しいオムレツ初めて食べたわ…」
美味しい食事でお腹を満たした小鳥は、満足そうな表情で食後のお茶を飲む。二人が食事を終えた頃には街中に人通りが増え、店内にもお客がちらほら見え始めていた。
「小鳥がそのお茶を飲んだら部屋に戻ろっか?」
「そうだね。人が増えてくる前に席を空けたいものね」
カップに残ったぬるいお茶を飲み干すと、二人は席を立ち出口へと向かった。
外へ出るとさらに日は高くなっており、しっとりと湿っていた空気もカラリと乾き始めていた。まだ肌寒さは残るが、この晴天であれば昼頃にはもっと暖かくなるだろう。
「リュカはナターリエさんからお家招待されるって言ってたけど、本当に私たちのいる宿屋が分かるのかな?」
「大丈夫だよ。だってほら、そこに停まっている馬車にカーダリングの家紋が付いてるし」
「え!?」
リュカが指差した先には、宿屋の近くに停められた黒い馬車がある。その馬車の扉には何やら紋様が付いているが、どうやらそれがナターリエのカーダリング家の家紋であるらしい。
宿屋の入り口に立っている従業員の男性は、小鳥たちの姿を見るや否やこちらまで走るような勢いで向かってきた。
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「もしかして、随分と待たせてしまいましたか……?」
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まだ来たばかりだと聞き、小鳥はほっと胸を撫で下ろす。使いの者とはいえ、領主の家に使える者を待たせるのはきっとあまり良くないだろう。
早く宿屋へ入った方が良いのだが、使いの者に会ったところでどう対応すれば良いのか、小鳥には分からない。こちらの世界の常識が不足している事もあるし、元いた世界でもこのような場面を体験した事などないのだ。
「リュ、リュカ。どうしたらいいかな。こんな事初めてだから、なんて言ったらいいのか分からないの……。まずは挨拶だよね?それから何……?」
リュカはガチガチに緊張をした小鳥を見てくすりと笑う。今にも扉を開けてしまいそうな宿屋の者を片手で制すると、小鳥と繋いだ手に少しだけ力を込めた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫。小鳥はボクの横に立ってるだけでいいよ。彼らへの対応はボクがしてあげる。彼らも変な事をするつもりはないだろうし、小鳥はちょっとお茶をしに行くような軽い気持ちでいて?」
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