21 / 21
21話
しおりを挟む
「ようこそ、杉谷君」
「あ、どうも。よろしくお願いします」
飯島さんが右手を差し出す。
美人との握手にちょっと緊張しながらその手を握った。
柔らかい。
「どうや?」
リーダーの新堂君が飯島さんに何か尋ねた。
「……間違いないわ。でもなんていうか、ちょっと今までに感じた事の無い感じ」
「へえ、面白いな」
そう言って新堂君は俺の顔をみると、ニヤッと笑いながら言った。
「――で、杉谷君はどんな力を持ってるんや?」
「……えっ?!」
「アハハ、そんな驚かんでええがな」
俺がキョトンとしていると、新堂君が笑い出す。
「飯島さんはな、『感知』の異能を持ってるんや。そのお陰で近くにいるヤツらの居場所も分かる。いわばこの『紅蓮』の目やな。でもそれだけやない――」
そう言って急に真顔になった。
「触れた相手が人間に化けたヤツらかどうかもな。最近はたまにそんな面倒なヤツらも居るらしいからな。だからここに来た人は全員飯島さんと握手してもらってるんや」
なるほど、モンスターを侵入させない為のチェックってことか、それは重要だな。
でも人に化けることが出来るってことは、相当知能の高いモンスターだってことだ。
モンスターというより魔族か?
「それともう一つ――その人が異能持ちかどうかも分かる」
新堂君が俺の目を真っ直ぐ見ながら言った。
……ひょっとして、今ので俺がスキルを持ってる事がばれたってことか?
しまった、当分隠しておくつもりだったのに。
「……なるほどな。二匹続けて小鬼をやった事で異能が開花したってことか」
質問されるがままに、田辺のおじさんと出会ってからゴブリンを倒したところまでの経緯を説明した。
一匹目を倒した後いきなり異能が使えるようになったことも正直に話す。
だけどもちろん異世界から帰ってきたことや、以前からスキルが使えていたことは黙ってる。
話したのはあくまであの場で起きた事だけだ。
「最初の戦闘中に異能が発現することはレアだけど、他に例がない訳じゃないわ」
飯島さんの言葉にレイモンドが頷く。
「そういう人はおしなべて能力が高い傾向にあるんだよね~」
このハーフ顔で「おしなべて」とかバリバリ違和感あるな。
「まあ俺もその口やしね。しかし『スラッシュ』か、なんかカッコええなあ。実際に見てみたいわ」
新堂君の説明では、異能者の多くが2回目もしくは3回目の怪物との戦闘で能力に目覚めるらしい。
目覚めた瞬間にその能力の「名前」と「使い方」が脳裏に浮かぶのが一般的だそうだ。
そこは向こうの世界で俺がスキルを覚えた時と同じだな。
その後色々な話をした結果、結局なし崩しで俺は『紅蓮』に見習いとして加入することになった。
目立ちたくなかったんだけどなあ。
「あ、どうも。よろしくお願いします」
飯島さんが右手を差し出す。
美人との握手にちょっと緊張しながらその手を握った。
柔らかい。
「どうや?」
リーダーの新堂君が飯島さんに何か尋ねた。
「……間違いないわ。でもなんていうか、ちょっと今までに感じた事の無い感じ」
「へえ、面白いな」
そう言って新堂君は俺の顔をみると、ニヤッと笑いながら言った。
「――で、杉谷君はどんな力を持ってるんや?」
「……えっ?!」
「アハハ、そんな驚かんでええがな」
俺がキョトンとしていると、新堂君が笑い出す。
「飯島さんはな、『感知』の異能を持ってるんや。そのお陰で近くにいるヤツらの居場所も分かる。いわばこの『紅蓮』の目やな。でもそれだけやない――」
そう言って急に真顔になった。
「触れた相手が人間に化けたヤツらかどうかもな。最近はたまにそんな面倒なヤツらも居るらしいからな。だからここに来た人は全員飯島さんと握手してもらってるんや」
なるほど、モンスターを侵入させない為のチェックってことか、それは重要だな。
でも人に化けることが出来るってことは、相当知能の高いモンスターだってことだ。
モンスターというより魔族か?
「それともう一つ――その人が異能持ちかどうかも分かる」
新堂君が俺の目を真っ直ぐ見ながら言った。
……ひょっとして、今ので俺がスキルを持ってる事がばれたってことか?
しまった、当分隠しておくつもりだったのに。
「……なるほどな。二匹続けて小鬼をやった事で異能が開花したってことか」
質問されるがままに、田辺のおじさんと出会ってからゴブリンを倒したところまでの経緯を説明した。
一匹目を倒した後いきなり異能が使えるようになったことも正直に話す。
だけどもちろん異世界から帰ってきたことや、以前からスキルが使えていたことは黙ってる。
話したのはあくまであの場で起きた事だけだ。
「最初の戦闘中に異能が発現することはレアだけど、他に例がない訳じゃないわ」
飯島さんの言葉にレイモンドが頷く。
「そういう人はおしなべて能力が高い傾向にあるんだよね~」
このハーフ顔で「おしなべて」とかバリバリ違和感あるな。
「まあ俺もその口やしね。しかし『スラッシュ』か、なんかカッコええなあ。実際に見てみたいわ」
新堂君の説明では、異能者の多くが2回目もしくは3回目の怪物との戦闘で能力に目覚めるらしい。
目覚めた瞬間にその能力の「名前」と「使い方」が脳裏に浮かぶのが一般的だそうだ。
そこは向こうの世界で俺がスキルを覚えた時と同じだな。
その後色々な話をした結果、結局なし崩しで俺は『紅蓮』に見習いとして加入することになった。
目立ちたくなかったんだけどなあ。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜
れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが…
勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
勢い任せにヒャッハーな世界観、好きです。
次も楽しみにしています。
主人公のコウヘイが良い味出してるな、と思いました。
ありがとうございます!ぼちぼち書いてますので、よろしくお願いします。
面白いです!私こういう設定とか、進み具合が好きなんです!次も楽しみにしてます!
ありがとうございます!そろそろ書きだめが無くなるので更新はゆっくりになると思いますが、楽しんで貰えると嬉しいです。よろしくお願いします!