【完結】九龍街区の売人は偽りの少年と極彩色の夢を見ない【R18】

古都まとい

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4章(6)

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 あまりの痛みに視界がチカチカと明滅する。躰が言うことを聞かない。寒くもないのに歯の根が合わず、がちがちと耳障りな音を立てながら全身が震える。
 レイ藍豪ランハオに覆い被さり、首筋に唇を寄せる。体重をかけられたことによって類のものがより深くへと突き刺さり、異物感と身を裂かれる痛みでどっと汗が吹き出す。
 腹の中が熱い。真っ赤になるまで熱した鉄の棒を捩じ込まれているようだ。類のものは熱く、凶暴的なまでに硬い。粘膜を通じて、自身のなかに埋め込まれたものの質量を如実に感じる。後孔は閉じようと必死に収縮するが、吐き出すどころか、さらに類を奥深くへといざなうだけだった。
 類が動きを止めて、大きく息を吐き出す。

「ほら、全部入りましたよ」

 類は藍豪のなかに埋めたまま、器用に藍豪の脚からズボンと下着を抜き去った。
 脚は自由になったが、藍豪にはもはや抵抗する気力は残されていなかった。焼けつくような痛みから気を逸らすので精いっぱいで、類の声もろくに聞こえていない。
 類は藍豪の腰を抱え直すと、根本まで埋めていたものをそろそろと引き抜いた。後孔が引きつれるような痛みを発し、ずるずるとなかを引きずり出されるような感覚に皮膚が粟立つ。
「抜いてくれ」と訴える藍豪の声は、寝具に吸い取られて消えた。類は後孔を拡げるように浅いところで抽挿を繰り返してから、藍豪の呻きを無視して一気に突き入れた。

「あ゙あっ……!」

 こらえきれなかった悲鳴が喉から迸る。尻が熱い。腹が熱い。類に掴まれた腰が、ガクガクと痙攣する。後ろから無遠慮に突き入れられ、足の指が開ききった爪先がシーツを蹴る。

「夢みたいです、藍豪。っ、あなたと、ひとつになれるなんて」

 類の声が遠く、ぼんやりと聞こえる。なにかを言われていることはわかるが、なにを言われているのかがわからない。痛みが聞くことを、考えることを放棄させる。
 苦痛が涙となって、藍豪の頬を濡らした。指を切り落とされた時のほうが、まだマシだった。指は切り離されてしまえば終わりだ。縫合された後は、痛み止めを飲みながらやり過ごせばいい。終わりが見えないことが、こんなにも苦痛を長引かせることを、藍豪は知らなかった。
 痛みは今や、全身に回っている。類が力任せに腹の底めがけて熱い塊を打ちつけてくるたびに、激痛で視界が白くけぶる。尻を裂かれる痛み。腹を食い破られるような痛み。体重の乗った肩は軋み、悲鳴を上げている。縛られた手の痛みなど、もう感じ取ることもできない。

 類に好き放題揺さぶられて、藍豪は何度も意識を飛ばしかけた。いっそ失神してしまったほうが気が楽なのに、類はそれすら許さなかった。藍豪の呻きが弱々しくなってくると、類はぴしゃりと尻を打つ。鋭い痛みに、沈みかけていた意識が覚醒する。その繰り返しで、藍豪は自我を失う一歩手前まで追いつめられた。

「そろそろ、出そうです」

 すこし上ずった類の声が告げる。はっと短い呼吸の後、類はずるりと藍豪のなかから塊を抜いた。類のものが抜けた後でも、後孔はぱっくりと口を開けて収縮を繰り返している。
 類は藍豪の躰を仰向けに転がすと、抜いたばかりのそれを藍豪の口に突っ込んだ。

「ん、ぐっ……!」

 熱い塊に舌を押さえつけられ、押し返すこともできない。火傷しそうなほどの熱さと、体液の混じり合った臭みが口いっぱいに広がる。
 うっと類が呻いたかと思うと、熱くどろりとした液体が藍豪の口内にどくどくと溢れた。藍豪が苦しさに身を捩る。類はぶるりと身を震わせると、最後の一滴まで残さず藍豪の口内へ放った。
 暴れる藍豪の頭を押さえつけ、萎えかけているそれをさらに押し込む。吐き出そうと溜めていた白濁が、一気に喉元まで滑り落ちた。

「全部飲んでください。じゃないと離しません」

 藍豪は苦しさに耐えかねて、喉を鳴らした。むせ返るような青臭さと、どろりとした感触が喉に張りつく。
 類のものが口から引き抜かれ、藍豪は激しく咳き込んだ。咳をするたびに下半身が痛み、否応なしに全身が痙攣する。飲みきれなかった精が、唇の端からこぼれ落ちた。
 汗と涙でぐしゃぐしゃになった藍豪の顔を、類はなんの感慨もなく見下ろした。素早く自身の衣服を整えて、藍豪の手首を縛っていた縄を解く。
 藍豪は寝台に手をつき、意地になって躰を起こした。シーツと一緒にくしゃくしゃに丸まっていたズボンと下着を掴み、転げ落ちるように寝台を下りる。類に見られていることも構わず、藍豪は四つん這いの姿勢でよたよたと扉を目指した。

「どこに行くんです?」

 類が寝台に腰掛けたまま、呆れたような調子で尋ねる。
 藍豪は扉の取っ手を掴むと、全体重をかけて躰を引き起こした。立っているだけで膝がガクガクと萎え、崩れ落ちそうになる。

「俺は、九龍に帰る……」

 萎えそうになる脚に力を込めて、扉を開ける。室内と同じく赤い絨毯が敷き詰められた廊下は藍豪の予想よりも長く、階段があるはずの端まで歩くことを考えただけで気力が失われていくようだった。
 深いため息のような音が聞こえ、藍豪が振り向くより早く、取っ手にかけていた手を包まれる。類は後ろから藍豪を抱きすくめると、軽々とその躰を持ち上げた。大股で扉から離れると、そっと藍豪の躰を寝台の上に戻す。
 尻をつけて座ることができず、藍豪は腹を抱えるような姿勢で横たわった。

リー藍豪ランハオ。あなたはどうしたって、この村から出ることはできません」

 聞き分けのない子どもに言い聞かせるような、優しさとわずかな苛立ちが混ざった口調で、類は続ける。

「車が拾えるような場所へ出るまで、徒歩で四日はかかります。勇ましく出て行ったところで、最初の山も越えられずに遭難するでしょう」

 ここはいつでも車の行き交う香港ではない。物売りもめったに通らないような雲南の山奥なのだ。
 しかし、ここは瑞蜜会ルイミーフイの所有する阿片の栽培地でもある。阿片を栽培するために瑞蜜会に雇われた農夫たちが畑の麓に住んでいると、ウー星宇シンユーは言っていた。屋敷を出て、農夫たちの元までたどり着けたら――。

「今、この村には僕と藍豪以外、誰もいません」

 類が藍豪の思考を読み取ったように言った。

「収穫や製造が終わって、今は次の種まき時期までの休暇中なんです。歩けるようになったら麓まで下りてみるといいですよ。宿舎の中は空っぽですから」

 藍豪は腹を抱えたまま、唇を噛んだ。自分のことが、惨めで仕方なかった。当然の報いといえば、そうなのかもしれない。藍豪が類に対してやってきたことは、類にとって苦痛だけが残るものだったのかもしれない。
 簡単に殺しはしない、と言った類の言葉がずっしりと身に染みてくる。類に躰を暴かれ、好き勝手に凌辱されるのは死ぬよりも遥かにつらい。
 類はそんな藍豪を慰めるかのように、優しい手つきで三本指の左手を撫でた。

「藍豪はここでずっと、僕のためだけに生きていくんですよ」

 求婚にも似た甘い響きは、藍豪に底のない絶望をもたらした。
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