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6章(4)
藍豪は上着を羽織って、麓へと続く道を下りはじめた。
吐く息が白く濁り、頭上には今にも雪が降り出しそうな分厚い灰色の雲が垂れ込めている。雪が降り出す前に、山を下りたほうがいいだろう。
急ぎ足でずんずん下っていくと、木々の緑の中に黒色の車が停まっているのが見えた。吴星宇が日頃、運転手つきで使っている車に間違いない。運転席に男が座っているのが見える。しかし、なにか様子がおかしい。運転席の男は目を見開いたまま、前を凝視している。
藍豪はそろそろと車に近づき、助手席のドアを開けて絶句した。
男の胸から流れ出た血が、座席を赤く染めている。男の躰にさっと目を走らせる。胸に一発、撃たれて即死だったのだろう。男の顔には死に際の驚愕が貼りつけられたままで、藍豪はそのまぶたをそっと下ろしてやった。
運転手がだめでも、車が生きていれば香港まで戻れる。藍豪が最後にハンドルを握ったのはもう何年も前のことになるが、なんとかなるだろう。山道で脱輪して崖から落ちなければいいが。
一旦、外へ出て運転席のほうへ回る。違和感を覚え、藍豪は足元に視線を落とした。タイヤから空気が抜け、すっかりぺちゃんこになっていた。車の周りをぐるぐると回って、すべてのタイヤを確認する。例外はない。すべてパンクしている。誰かが意図的に、車を使えなくするために空気を抜いたとしか思えなかった。
藍豪の背筋に冷や汗が伝う。三千龍団の人間がここまで追ってきたのか? だとすれば、藍豪が麓へ来るまでに道のどこかですれ違っていないとおかしい。運転席に鎮座する死体はまだ温かく、殺されてからさほど時間は経っていないように思える。
道を避けて山の中を通った可能性もあるが、はじめてここに来た人間が山の中を通って屋敷までたどり着けるかと言われたら、微妙だった。村で働いていた農夫ですら、山の中は迷うような場所なのだ。木ばかりが生え、方向もわからなくなるような鬱蒼とした山を抜けて、無事に屋敷のほうへ出られるとは思えない。
パチパチと木が爆ぜるような音が、かすかに響いた。うっすらと焚き木をしているような臭いまで漂ってくる。どこかで野焼きでもしているのだろうか。音の正体をたしかめたい気はするが、今はそんなことをしている場合ではない。
藍豪は考えるのをやめて、来た道を猛然と引き返した。どこかですれ違っているのなら、相手はすでに屋敷に着いているはずだ。
手負いの星宇では、どうしようもない。
◇ ◇ ◇
屋敷へ近づくごとに、嫌な予感は増していった。進みたくない。そう思うのに、足は勝手に走り出して談話室を目指す。
「星宇!」
藍豪は叫びながら、談話室へ飛び込んだ。
ソファの前に、すらりとした長身が立っている。白いうなじにかかる細く、柔らかい黒髪。よく見慣れた背中。男が、振り返る。黒と紫の混じる、綺麗な目に藍豪を映して――。
「久しぶりですね、藍豪」
類はうっすらと笑みを浮かべて、そう言った。屋敷を出て行った時の顔色の悪さは緩和され、柳のように痩せ細っていた躰つきも肉が戻っているように見える。まるで病を克服した人間のように、類は二本の足でしっかりとそこに立っていた。綺麗な目だけが、どこか違う世界を見ているようにきらめいていた。
藍豪は類から目を逸らし、類の奥に広がる光景を見やる。額を撃ち抜かれ、絶命した吴星宇がソファに横たわっていた。星宇の額から溢れ出した血が、類の足元に溜まっている。
足元からたどり、類の右手に握られた拳銃を見る。なにかを聞く気は起きなかった。聞かなくてもわかった。類が運転手を殺し、タイヤをすべてパンクさせ、藍豪より先に屋敷へ戻って吴星宇を殺した。頭の中で勝手に筋書きが構成されていく。
「お前……今までどこにいたんだ?」
藍豪の口からこぼれ出たのは、まったく違う疑問だった。類は村を出て、香港に行ったのではなかったのか? 麓には星宇の車以外にはなにもなかった。車もなしに、どうやって村まで戻ってきたのか。
類は拳銃を分解して残った弾とともに血溜まりに放ると、目を細めた。
「僕はずっと雲南にいましたよ」
「そんなわけないだろ! 全員駆り出して捜したんだ――」
「僕はここで育ったんです。余所から来た人間には、山の中のことなんてわかりもしないでしょう」
「まさか……ずっと山の中にいたって言うのか?」
藍豪の問いに、類は意味ありげに微笑んだ。
「山小屋に阿片を持ち込むわけにはいきませんでしたから……すこしは健康になったと思いません?」
藍豪は信じられない思いで類を見た。中毒で死にかけだった人間が、自力で離脱症状を克服したというのか? 阿片は依存性も強く、他人の助けなしに止めるのは難しい。類はそれをやってのけたのだ。
すっと、類が足を踏み出した。絨毯の上に赤い足跡をつけて、藍豪に歩み寄ってくる。
いつの間に、類はこんなに身長が伸びたのだろう。藍豪の身長を追い越し、紫がかった双眸が藍豪を見下ろす。
「藍豪」
類の手が、藍豪の肩にかかる。その手はやけに熱く、熱を持っていた。
「もう、終わりにしましょう」
「……なにを?」
肩に置かれた手がするりと腕を滑り、腰に回される。藍豪を抱き寄せ、類は穏やかな息を吐いた。
「僕たちはどうやっても、楽しかったあの頃には戻れないんですよ。阿片を止めたところで、九龍街区に戻ったところで、元通りになるものなどないんです」
「そんなことない! ここであったことは全部忘れて、俺たちは瑞蜜会から抜けて」
「僕から未来を奪ったあなたが、将来のことを語るのですか?」
藍豪はなにも言えずに息を呑んだ。藍豪の躰を抱く腕に、ぎゅっと力がこもる。
「ここで終わりにしましょう、李藍豪。僕とあなたは、この村と一緒に消えるのです」
顔を上げ、視線がかち合う。類の顔は、ぞっとするほど美しかった。それは死期を悟った人間の、最期の輝きだった。
藍豪は死もの狂いで類の腕から抜け出すと、足をもつれさせながら屋敷の外へ出た。冷気の中に、熱気が混じる。
見渡す限りの畑が、燃えていた。
土に這うようにして育っていた葉が、赤い炎に舐められて燃え盛っている。葉が燃え尽きる前に、隣の葉に火が移る。またその隣の畑に移る。細胞が増殖するような勢いで、火はどんどんと範囲を広げていく。
むわっとした熱気を感じ、藍豪は振り返った。
屋敷を取り囲む山も、燃えていた。ごうごうと音を立てて木々を焼き尽くそうとしている炎は、もうすこしで屋敷に届いてしまいそうである。先ほど藍豪が聞いた音は、山が燃える音だったのだ。
汗が吹き出す。風に乗って煙が流れてきて、藍豪は咳き込む。目に煙が染みて、じんわりと視界が歪む。
屋敷は今や、四方を炎に囲まれた状態だった。山の間を縫って舗装された道は、両脇の木々が激しく燃えているため通れるような状態ではない。麓に停めてあった星宇の車も、死体とともに黒焦げになっているかもしれない。
藍豪が立ち尽くしている間にも、炎はどんどん勢いを増しているように見える。畑を焼いていた火が、雑草に燃え移って屋敷までの登り坂を上がってきている。
どうやっても、助からない。
熱気と煙に巻かれながら、藍豪はがっくりと膝を落とした。
「そんなところにいては、すぐに焼け死んでしまいますよ」
類の涼やかな声がして、強い力で腕を引かれる。見上げた類の瞳にはめらめらと燃える赤い炎が映り込み、この世のものとは思えないほど綺麗で、その美しさにめまいがした。
類に腕を引かれてよろよろと立ち上がると、震える肩に手を回される。
「寝室に行きましょう」
類がひどく優しい声で囁く。
「僕たちの、最期の夢を見るんです」
吐く息が白く濁り、頭上には今にも雪が降り出しそうな分厚い灰色の雲が垂れ込めている。雪が降り出す前に、山を下りたほうがいいだろう。
急ぎ足でずんずん下っていくと、木々の緑の中に黒色の車が停まっているのが見えた。吴星宇が日頃、運転手つきで使っている車に間違いない。運転席に男が座っているのが見える。しかし、なにか様子がおかしい。運転席の男は目を見開いたまま、前を凝視している。
藍豪はそろそろと車に近づき、助手席のドアを開けて絶句した。
男の胸から流れ出た血が、座席を赤く染めている。男の躰にさっと目を走らせる。胸に一発、撃たれて即死だったのだろう。男の顔には死に際の驚愕が貼りつけられたままで、藍豪はそのまぶたをそっと下ろしてやった。
運転手がだめでも、車が生きていれば香港まで戻れる。藍豪が最後にハンドルを握ったのはもう何年も前のことになるが、なんとかなるだろう。山道で脱輪して崖から落ちなければいいが。
一旦、外へ出て運転席のほうへ回る。違和感を覚え、藍豪は足元に視線を落とした。タイヤから空気が抜け、すっかりぺちゃんこになっていた。車の周りをぐるぐると回って、すべてのタイヤを確認する。例外はない。すべてパンクしている。誰かが意図的に、車を使えなくするために空気を抜いたとしか思えなかった。
藍豪の背筋に冷や汗が伝う。三千龍団の人間がここまで追ってきたのか? だとすれば、藍豪が麓へ来るまでに道のどこかですれ違っていないとおかしい。運転席に鎮座する死体はまだ温かく、殺されてからさほど時間は経っていないように思える。
道を避けて山の中を通った可能性もあるが、はじめてここに来た人間が山の中を通って屋敷までたどり着けるかと言われたら、微妙だった。村で働いていた農夫ですら、山の中は迷うような場所なのだ。木ばかりが生え、方向もわからなくなるような鬱蒼とした山を抜けて、無事に屋敷のほうへ出られるとは思えない。
パチパチと木が爆ぜるような音が、かすかに響いた。うっすらと焚き木をしているような臭いまで漂ってくる。どこかで野焼きでもしているのだろうか。音の正体をたしかめたい気はするが、今はそんなことをしている場合ではない。
藍豪は考えるのをやめて、来た道を猛然と引き返した。どこかですれ違っているのなら、相手はすでに屋敷に着いているはずだ。
手負いの星宇では、どうしようもない。
◇ ◇ ◇
屋敷へ近づくごとに、嫌な予感は増していった。進みたくない。そう思うのに、足は勝手に走り出して談話室を目指す。
「星宇!」
藍豪は叫びながら、談話室へ飛び込んだ。
ソファの前に、すらりとした長身が立っている。白いうなじにかかる細く、柔らかい黒髪。よく見慣れた背中。男が、振り返る。黒と紫の混じる、綺麗な目に藍豪を映して――。
「久しぶりですね、藍豪」
類はうっすらと笑みを浮かべて、そう言った。屋敷を出て行った時の顔色の悪さは緩和され、柳のように痩せ細っていた躰つきも肉が戻っているように見える。まるで病を克服した人間のように、類は二本の足でしっかりとそこに立っていた。綺麗な目だけが、どこか違う世界を見ているようにきらめいていた。
藍豪は類から目を逸らし、類の奥に広がる光景を見やる。額を撃ち抜かれ、絶命した吴星宇がソファに横たわっていた。星宇の額から溢れ出した血が、類の足元に溜まっている。
足元からたどり、類の右手に握られた拳銃を見る。なにかを聞く気は起きなかった。聞かなくてもわかった。類が運転手を殺し、タイヤをすべてパンクさせ、藍豪より先に屋敷へ戻って吴星宇を殺した。頭の中で勝手に筋書きが構成されていく。
「お前……今までどこにいたんだ?」
藍豪の口からこぼれ出たのは、まったく違う疑問だった。類は村を出て、香港に行ったのではなかったのか? 麓には星宇の車以外にはなにもなかった。車もなしに、どうやって村まで戻ってきたのか。
類は拳銃を分解して残った弾とともに血溜まりに放ると、目を細めた。
「僕はずっと雲南にいましたよ」
「そんなわけないだろ! 全員駆り出して捜したんだ――」
「僕はここで育ったんです。余所から来た人間には、山の中のことなんてわかりもしないでしょう」
「まさか……ずっと山の中にいたって言うのか?」
藍豪の問いに、類は意味ありげに微笑んだ。
「山小屋に阿片を持ち込むわけにはいきませんでしたから……すこしは健康になったと思いません?」
藍豪は信じられない思いで類を見た。中毒で死にかけだった人間が、自力で離脱症状を克服したというのか? 阿片は依存性も強く、他人の助けなしに止めるのは難しい。類はそれをやってのけたのだ。
すっと、類が足を踏み出した。絨毯の上に赤い足跡をつけて、藍豪に歩み寄ってくる。
いつの間に、類はこんなに身長が伸びたのだろう。藍豪の身長を追い越し、紫がかった双眸が藍豪を見下ろす。
「藍豪」
類の手が、藍豪の肩にかかる。その手はやけに熱く、熱を持っていた。
「もう、終わりにしましょう」
「……なにを?」
肩に置かれた手がするりと腕を滑り、腰に回される。藍豪を抱き寄せ、類は穏やかな息を吐いた。
「僕たちはどうやっても、楽しかったあの頃には戻れないんですよ。阿片を止めたところで、九龍街区に戻ったところで、元通りになるものなどないんです」
「そんなことない! ここであったことは全部忘れて、俺たちは瑞蜜会から抜けて」
「僕から未来を奪ったあなたが、将来のことを語るのですか?」
藍豪はなにも言えずに息を呑んだ。藍豪の躰を抱く腕に、ぎゅっと力がこもる。
「ここで終わりにしましょう、李藍豪。僕とあなたは、この村と一緒に消えるのです」
顔を上げ、視線がかち合う。類の顔は、ぞっとするほど美しかった。それは死期を悟った人間の、最期の輝きだった。
藍豪は死もの狂いで類の腕から抜け出すと、足をもつれさせながら屋敷の外へ出た。冷気の中に、熱気が混じる。
見渡す限りの畑が、燃えていた。
土に這うようにして育っていた葉が、赤い炎に舐められて燃え盛っている。葉が燃え尽きる前に、隣の葉に火が移る。またその隣の畑に移る。細胞が増殖するような勢いで、火はどんどんと範囲を広げていく。
むわっとした熱気を感じ、藍豪は振り返った。
屋敷を取り囲む山も、燃えていた。ごうごうと音を立てて木々を焼き尽くそうとしている炎は、もうすこしで屋敷に届いてしまいそうである。先ほど藍豪が聞いた音は、山が燃える音だったのだ。
汗が吹き出す。風に乗って煙が流れてきて、藍豪は咳き込む。目に煙が染みて、じんわりと視界が歪む。
屋敷は今や、四方を炎に囲まれた状態だった。山の間を縫って舗装された道は、両脇の木々が激しく燃えているため通れるような状態ではない。麓に停めてあった星宇の車も、死体とともに黒焦げになっているかもしれない。
藍豪が立ち尽くしている間にも、炎はどんどん勢いを増しているように見える。畑を焼いていた火が、雑草に燃え移って屋敷までの登り坂を上がってきている。
どうやっても、助からない。
熱気と煙に巻かれながら、藍豪はがっくりと膝を落とした。
「そんなところにいては、すぐに焼け死んでしまいますよ」
類の涼やかな声がして、強い力で腕を引かれる。見上げた類の瞳にはめらめらと燃える赤い炎が映り込み、この世のものとは思えないほど綺麗で、その美しさにめまいがした。
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