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6章(6)
藍豪の頭上で、類が切なげに息を吐き出す。口の中のものがより一層大きくなった気がして、藍豪はじゅるじゅると音を立てながら一心に類のものを舐めた。喉の奥に届きそうなほど深く咥え込み、呼吸もせずに吸い上げる。類が藍豪の髪を掴み、腰を震わせる。
藍豪は上目で類の顔を窺う。長いまつ毛が影を落とし、すこし痩せた頬に朱が差している。薄く開いた唇からは、絶えずせわしない息遣いと甘く塗り込められた声が漏れていた。
「ううっ……!」
喉の奥に突き入れられたそれから、こらえきれなかったように精が溢れ出した。苦しさに息を詰めながら、苦味を伴う白濁を飲み干す。藍豪が口を離してもなお、先端からはぽたぽたと栓を締め忘れた水道のように精がこぼれ落ちていた。
一度吐き出しても、類のものは萎えなかった。石のように硬いそれは、血管を浮き上がらせていきり立っている。
「僕が、阿片を止めたのは」
呼吸を整えながら、類が唐突に語り出す。類は乱雑に服を脱ぎ捨てると、藍豪の服を脱がしにかかった。一糸まとわぬ姿になっても寒さは感じない。むしろ二人ともうっすらと汗を滲ませ、身を投げ出したシーツの冷たさが心地よかった。
類が藍豪の脚の間に割って入る。
「最期くらい、まともな状態で藍豪と向き合いたいと思ったからなんです」
尻の間を撫でていた類の指が、飲み込まれるように後孔へと埋められていく。何度やっても拭えない異物感に顔をしかめる。
「お前は阿片なんかやらないほうが、っあ……!」
類の指が、的確に一点を押した瞬間、強烈な快感が脳まで突き抜けた。鈴口から押し出されたように精が滲み出す。
「やらないほうが、なんです?」
「馬鹿! そこ、触んな、っ!」
類の指が粘膜を擦り、一点を押し上げる。勝手に腰が跳ね、腹の上に白濁した体液が飛び散る。後孔は類の指を食いちぎろうとするかのようにきつく収縮を繰り返す。全身の毛穴という毛穴からどっと汗が吹き出し、折り曲げた脚がガクガクと痙攣した。
脳が快感に支配される。藍豪が舌を出すと、類はすぐに意図を察して身をかがめた。後孔に突き入れられた指がさらに奥深くに刺さり、粘膜の壁をなぶるように蠢く。
「気持ちいいですか、藍豪」
口づけの合間に類が囁く。藍豪は固く目を閉じたまま、何度もうなずいた。
類が躰を起こし、藍豪のなかから指を引き抜く。異物感が消えると同時に、喪失感が襲う。ぽっかりと空いたなかが寂しい。
類が藍豪の両脚を持ち上げ、呼吸をするように開閉する後孔に自身のものをあてがう。熱い塊を押しつけられ、藍豪の喉が鳴った。入り口はすでに類のものを飲み込もうと収縮し、まるで別の生き物のように蠢いている。
「藍豪」
類が困ったような笑みを浮かべて、藍豪を呼んだ。持ち上げられた脚の間から、類の顔を見る。
「僕と一緒に、死んでくれますよね?」
藍豪はあたりを見回した。窓の隙間から、うっすらと煙が入り込んできて宙を漂っている。窓の外を見ると、炎はすぐそこまで迫ってきていた。どうやら外壁に燃え移ったようで、閉め切られた窓を炎がなぶっている。いつ窓が割れてもおかしくない。心なしか室内の温度が上がった気がする。
今さら逃げ出したいとは思わなかった。最期くらい、類の望むようにしてやろうと思った。それが今の自分にできる、最大限の罪滅ぼしだ。それに類をひとりここへ置いて自分だけ逃げたいとも思わなかった。逃げるならふたりで、死ぬ時もふたりがいい。
藍豪は類に視線を戻すと、明るく輝く瞳を見つめながらうなずいた。
「ああ、一緒に死ぬよ。そう決めたからな」
「よかった」
あてがわれていた熱が、後孔を引き裂いて押し入ってくる。なるべく息を吐いて緩めようとするが、勝手に力が入ってしまう。
「力、抜いてください」
「わかって、るって……」
ふうふうと息を吐く藍豪の上に、類がのしかかってくる。躰の重みで、杭のように類のものが穿たれた。なかを押し広げる圧倒的な質量と熱に、藍豪は息を切らす。躰を串刺しにされるような気分だ。腹の中いっぱいに詰め込まれ、へその裏側まで来ているのではないかと思うほど類のものが深く突き刺さっている。
類は藍豪のなかにずっぽりとものを埋めたまま、藍豪の唇を貪った。上から押しつけるようにして突き入れられ、より深いところに熱い塊を感じる。
「痛くないですか?」
類がこんなことを聞くのははじめてだった。いつも藍豪のことなどお構いなしに無理やり躰を開かせるのに、今日はやけに優しい。まるで、本当の恋人のやり取りのようだと藍豪は薄く笑った。
「いや、大丈夫だ」
「なにがおかしいんです?」
むっとした表情の類もまた、昔のあどけなさが戻ったようで懐かしい記憶が呼び起こされる。藍豪の部屋に来たばかりの頃の類は遠慮ばかりで、肩身の狭そうなぎこちない顔をしていた。それがいつしか藍豪に意見するようになり、遠慮が薄れ、今では藍豪を組み敷くような大人に成長した。
それは紛れもなく、走馬灯だった。寝室の扉が焼け落ち、黒煙が流れ込んできている。廊下が火の海に変わってゆくのを感じ取りながら、藍豪は類の宇宙のように綺麗な目を見つめた。
お前と会えてよかった。そう言ったら、類は怒るだろうか。家族を殺した男に、そんなことは言われたくないかもしれない。
藍豪は代わりの言葉を探し、腹の中に類の熱い塊を感じながら囁いた。
「一緒に地獄に堕ちるんだろ?」
類の目に、瑞々しいきらめきが宿る。腹の中のものが質量を増し、藍豪は荒れ狂う波に身を任せた。
藍豪は上目で類の顔を窺う。長いまつ毛が影を落とし、すこし痩せた頬に朱が差している。薄く開いた唇からは、絶えずせわしない息遣いと甘く塗り込められた声が漏れていた。
「ううっ……!」
喉の奥に突き入れられたそれから、こらえきれなかったように精が溢れ出した。苦しさに息を詰めながら、苦味を伴う白濁を飲み干す。藍豪が口を離してもなお、先端からはぽたぽたと栓を締め忘れた水道のように精がこぼれ落ちていた。
一度吐き出しても、類のものは萎えなかった。石のように硬いそれは、血管を浮き上がらせていきり立っている。
「僕が、阿片を止めたのは」
呼吸を整えながら、類が唐突に語り出す。類は乱雑に服を脱ぎ捨てると、藍豪の服を脱がしにかかった。一糸まとわぬ姿になっても寒さは感じない。むしろ二人ともうっすらと汗を滲ませ、身を投げ出したシーツの冷たさが心地よかった。
類が藍豪の脚の間に割って入る。
「最期くらい、まともな状態で藍豪と向き合いたいと思ったからなんです」
尻の間を撫でていた類の指が、飲み込まれるように後孔へと埋められていく。何度やっても拭えない異物感に顔をしかめる。
「お前は阿片なんかやらないほうが、っあ……!」
類の指が、的確に一点を押した瞬間、強烈な快感が脳まで突き抜けた。鈴口から押し出されたように精が滲み出す。
「やらないほうが、なんです?」
「馬鹿! そこ、触んな、っ!」
類の指が粘膜を擦り、一点を押し上げる。勝手に腰が跳ね、腹の上に白濁した体液が飛び散る。後孔は類の指を食いちぎろうとするかのようにきつく収縮を繰り返す。全身の毛穴という毛穴からどっと汗が吹き出し、折り曲げた脚がガクガクと痙攣した。
脳が快感に支配される。藍豪が舌を出すと、類はすぐに意図を察して身をかがめた。後孔に突き入れられた指がさらに奥深くに刺さり、粘膜の壁をなぶるように蠢く。
「気持ちいいですか、藍豪」
口づけの合間に類が囁く。藍豪は固く目を閉じたまま、何度もうなずいた。
類が躰を起こし、藍豪のなかから指を引き抜く。異物感が消えると同時に、喪失感が襲う。ぽっかりと空いたなかが寂しい。
類が藍豪の両脚を持ち上げ、呼吸をするように開閉する後孔に自身のものをあてがう。熱い塊を押しつけられ、藍豪の喉が鳴った。入り口はすでに類のものを飲み込もうと収縮し、まるで別の生き物のように蠢いている。
「藍豪」
類が困ったような笑みを浮かべて、藍豪を呼んだ。持ち上げられた脚の間から、類の顔を見る。
「僕と一緒に、死んでくれますよね?」
藍豪はあたりを見回した。窓の隙間から、うっすらと煙が入り込んできて宙を漂っている。窓の外を見ると、炎はすぐそこまで迫ってきていた。どうやら外壁に燃え移ったようで、閉め切られた窓を炎がなぶっている。いつ窓が割れてもおかしくない。心なしか室内の温度が上がった気がする。
今さら逃げ出したいとは思わなかった。最期くらい、類の望むようにしてやろうと思った。それが今の自分にできる、最大限の罪滅ぼしだ。それに類をひとりここへ置いて自分だけ逃げたいとも思わなかった。逃げるならふたりで、死ぬ時もふたりがいい。
藍豪は類に視線を戻すと、明るく輝く瞳を見つめながらうなずいた。
「ああ、一緒に死ぬよ。そう決めたからな」
「よかった」
あてがわれていた熱が、後孔を引き裂いて押し入ってくる。なるべく息を吐いて緩めようとするが、勝手に力が入ってしまう。
「力、抜いてください」
「わかって、るって……」
ふうふうと息を吐く藍豪の上に、類がのしかかってくる。躰の重みで、杭のように類のものが穿たれた。なかを押し広げる圧倒的な質量と熱に、藍豪は息を切らす。躰を串刺しにされるような気分だ。腹の中いっぱいに詰め込まれ、へその裏側まで来ているのではないかと思うほど類のものが深く突き刺さっている。
類は藍豪のなかにずっぽりとものを埋めたまま、藍豪の唇を貪った。上から押しつけるようにして突き入れられ、より深いところに熱い塊を感じる。
「痛くないですか?」
類がこんなことを聞くのははじめてだった。いつも藍豪のことなどお構いなしに無理やり躰を開かせるのに、今日はやけに優しい。まるで、本当の恋人のやり取りのようだと藍豪は薄く笑った。
「いや、大丈夫だ」
「なにがおかしいんです?」
むっとした表情の類もまた、昔のあどけなさが戻ったようで懐かしい記憶が呼び起こされる。藍豪の部屋に来たばかりの頃の類は遠慮ばかりで、肩身の狭そうなぎこちない顔をしていた。それがいつしか藍豪に意見するようになり、遠慮が薄れ、今では藍豪を組み敷くような大人に成長した。
それは紛れもなく、走馬灯だった。寝室の扉が焼け落ち、黒煙が流れ込んできている。廊下が火の海に変わってゆくのを感じ取りながら、藍豪は類の宇宙のように綺麗な目を見つめた。
お前と会えてよかった。そう言ったら、類は怒るだろうか。家族を殺した男に、そんなことは言われたくないかもしれない。
藍豪は代わりの言葉を探し、腹の中に類の熱い塊を感じながら囁いた。
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