イクメンパパの異世界冒険譚〜異世界で育児は無理がある

或真

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第一章

初依頼

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「えっと、依頼はっと……」

 掲示板に貼られているたくさんの紙の中から適当な依頼を探していく。
えーっと、薬草採集にゴブリン討伐、キマイラの討伐?キマイラの討伐なんて明らかにやばそうだな。

 まぁ初心者だし、とりあえず一番簡単そうな薬草採集の依頼を受付嬢に持っていく。

「あのーすみません、この依頼を受けたいのですが……」

「はい、薬草採集ですね。こちらは薬草の分布図です。もし良かったらご活用ください。」

「はい!ありがとうございます。」

 薬草の分布図まで渡してくれるなんて、なんてありがたいのだろうか。随分楽な仕事になりそうだな。

 依頼内容は薬草全般の採集で、別に種類や数は指定されてないみたいだ。つまり報酬は青天井であるということらしい。

 素晴らしい依頼じゃないか。子連れにも優しくて良心的、報酬は無限大。

「あぅあぅ!」

 俺は分布図をポケットに入れ、早速街の外に向かうことにした。

***

 狙うはザクシュ草という薬草。森の深部にしか生えてない高級薬草だそうで、相当な値段で売れる。こいつを大量に集めて大儲けしようという考えだ。

 「こりゃあ余裕だ」なんて思ってたんだけど……

「全然見つからん!」

 かれこれ1時間ほど探し回ったのだが、全く見つからない。こんなにも探しても見つからないということは、本当にここに生えているのかどうかさえ怪しくなってきた。

 やっぱりこんなうまい話なんてある訳なかったんだ。ギルド、恨むぞ。

「あぅあぅ!あうっ!あぅあっ!」

 どうしようか悩んでいると、れいちゃんが何かを訴えかけてきた。

「ん?どうしたんだい?れいちゃん。」

「あぅ!あぃうあー!うぅ!あぅ!あぅあぅ!!」

 れいちゃんが指差す方を見てみると、そこにはなんとザクシュ草があったーキマイラの鼻の中に……

「えぇー……」

 ええー。あんな鼻毛みたいに生えてるものなのか。

「あぅあぅ!」

 れいちゃんは俺の腕の中でバタバタと暴れて、早く採れと急かす。

「いやいや、流石にあいつの鼻からは無理だって!」

 そう言って渋っていると、れいちゃんはいきなり俺の腕を離れ、猛ダッシュしてザクシュ草を採りに行っちゃった。

「れ、れいちゃん!危ないよ!帰ってきなさい!」

 俺の声は届かず、れいちゃんは猛スピードでキマイラの元へ走っていく。そしてその勢いのまま、ジャンプした。

「ちょ、ちょっと待って!」

俺がそう言った時には既に遅く、れいちゃんは思いっきりキマイラの顔面に着地した。

「ギャオォンッ!!!」

 当然、キマイラは激怒し、れいちゃんを振り落とそうとする。だがれいちゃんはしっかりとしがみついていて離れようとしない。

「キャハハッ!!キャハハッ!」

 れいちゃんはそのまま鼻に生えているザクシュ草を勢いよく引っこ抜く。すると、痛みに耐えられなかったのか、とうとうキマイラがれいちゃんをふり離してしまった。

「キャァッ!?」

 地面に投げ出されたれいちゃんは、そのままゴロゴロと転がってしまう。

「れいちゃあああん!!!」
 
 俺は急いで駆け寄り、抱きかかえる。

「大丈夫か?怪我はないかい?」

「あぅ……」

よかった、どうやら無事のようだ。

「ギャオオオッ!!」

 で、この激昂したキマイラをどうすればいいのかな。とりあえず、戦ってみようかな?

 俺はバンさんからもらった魔剣ディアボロスを構える。最強の剣を装備しても全く勝てる気がしない。

「やってみるしかないかぁ……」

 俺は意を決して、キマイラを目掛けて魔剣ディアボロスを振ってみる。

「えいっ!」

「グガアッ!」

 魔剣ディアボロスは見事にキマイラを捉え、真っ二つにした。

「へ?」

 え?何が起きた?今俺、剣振っただけなんだけど……

《レベルが上がりました》

「は?」

《レベルアップボーナスにより、スキルを獲得しました》

「は?」

「あぅあぅ!」

 れいちゃんはなぜか嬉しそうに踊っている。

「は?」

 待て待て、一度落ち着いてステータスを確認してみよう。

個体名:ユウマ
職業:勇者
レベル:50

体力:1529
攻撃力:982
魔力:1098
防御力:1001
俊敏性:916

スキル:鑑定、インベントリー、言語理解
ユニークスキル:心情創造者、キマイラの死骸
称号:魔剣ディアボロスに認められし者

 え?レベルが50になってる……しかもなんか色々増えてるし。それにしても、どうしてこんなに急激に強くなったんだろう。もしかして、あのキマイラを倒したことによって経験値が入ったとか? 

 とりあえず、追加されたスキルから見てみるか。まず、キマイラの死骸?なんじゃそりゃ、いかにも恐ろしそうなスキルだぜ。鑑定してみるか……

《ユニークスキル:キマイラの死骸》

キマイラゾンビを一体召喚する能力。

 キマイラゾンビなんて怖っ。ゾンビって死骸だろ?キマイラの死骸を召喚するなんて、怖すぎるだろ……このスキルは一生使うことはなさそうだな。

 あと、称号『魔剣ディアボロスに認められし者』か……もはやチートじゃねぇか?

「あぅ!あぅ!」

 れいちゃんはというと、さっきからずっとはしゃいでる。楽しそうで何よりだな……俺は急なレベルアップで混乱してるっていうのに。

「と、とりあえず帰ろうか。」

「あぅ!」

 俺はキマイラの死骸とザクシュ草をインベントリーにしまい、れいちゃんを抱き抱えたままギルドに戻ることにした。


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