イクメンパパの異世界冒険譚〜異世界で育児は無理がある

或真

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第一章

ダンジョン攻略 その1

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「うぉお!これはすごいな!」

「あぅあぅ!」

 ダンジョンは思ったより広かった。外見の二、三倍くらいの広さはあると思う。しかも壁が発光しており、視界は良好。道幅は広く、天井も高い。

 第一階層だからか、魔物も数匹のゴブリンくらいしかいない。これなら戦闘経験皆無の俺でも倒せそうだな。

「よし!やってやるぞ!」

 俺はインベントリーから魔剣を取り出し、ゴブリンに目掛けて空振ると、ゴブリンの首が吹き飛んだ。

 いつも通りえげつないな。

 一方でれいちゃんはもう一匹のゴブリンをタコ殴りにしていた。

「あぅあぅあぅあぅあぅあぅ!!!」

「ちょ、れいちゃんやりすぎだって!」

 俺の制止も聞かずにゴブリンをボコスカ殴っている。大丈夫かなぁ。れいちゃんじゃなくてゴブリンの方が心配だよ。

 まあ大丈夫そうだし、俺は残り一匹のゴブリンをやっつけるか。

「えいっ!」

「グギャアアアア!」

 ゴブリンの断末魔が階層中に響き渡る。やっぱりグロいのには慣れないな。もう吐きそうだよ。

 そんなこんなで、最初の敵を倒し終えたわけだが、レベルが上がったりとかスキルを習得したりとかはなかったな。やっぱりキマイラとかを倒さないと強くならないかぁ。

***

 その後も順調に進んでいき、ついに第二層へと辿り着いた。さっきの敵は少し弱すぎたからな、強い魔物が出てくるといいな。

 なんてことを考えていると、早速何かが現れたようだ。

「グルルルルッ……」

 目の前に現れたのは体長二メートルを超える巨大な狼だった。

「うわあああ!!デカすぎるだろ!」
「ガウッ!!」

 巨大狼が飛びかかってきた。万事休すかと思いきや、あれ?痛くない?巨大狼は俺の頭にかぶりついてるのに、全然痛くない。血も出てないし。

「ガウッ……」

 そう言って、巨大狼は倒れてしまった。

「えっ、死んでる!?」

「あぅあぅ!」

 れいちゃんは興奮しているようだ。

《ユニークスキルを入手しました》

 え?ユニークスキル?一度自分のことを鑑定してみよう。

個体名:ユウマ
職業:勇者
レベル:58

体力:1862
攻撃力:1274
魔力:1435
防御力:1198
俊敏性:1023

スキル:鑑定、インベントリー、言語理解
ユニークスキル:心情創造者、キマイラの死骸、反撃
称号:魔剣ディアボロスに認められし者

 『反撃』って初耳だな。どれどれ、どういう効果なのかな?

《ユニークスキル 反撃》

相手の攻撃力が自分の防御力以下なら受けた攻撃をそのまま返す。

 な、なるほどね。つまり、今のはこいつの攻撃力が低かったからそのまま返したってことか。かなり強いな。でもキマイラとか相手だと効かなさそうだな。

「あぅあぅ!」

 おっと。俺がステータスを確認してた内にれいちゃんが階層中の魔物を一掃してくれたみたいだな。この狼の死骸は売れるかもしれないし、一応インベントリーに保管しておこう。

「ありがとなーれいちゃん。」

「あぅ!」

「それじゃあ、先に進むか!」

「あぅ!」

***

 その後もトントン拍子で階層を駆け上がり、気づいたら十階層まで辿り着いていた。この階層は明らかに他の階層と違って、大きな門が鎮座していた。

「これはボス部屋だよな?」

「あぅ!」

 ボスか。どんな魔物が出てくるんだろうか。ここまでは大きな狼とゴブリンくらいしか出現してないからな。

「よし、行くぞれいちゃん!」

「あぅ!」

 俺は勢いよく扉を開いた。

「おっ、おお!」
「あぅー!!」

 そこには王冠を被ったゴブリンがいた。鑑定してみると、どうやらゴブリンキングらしい。ゴブリンキングは俺達の姿を確認すると、即座に襲いかかってきた。

「ゴブリンキング、お前の相手はこの俺だ!」

 そうカッコつけた俺は魔剣を構えてゴブリンキングに突進する。

「ゴブッ!」

 ゴブリンキングは剣を振り下ろしてくるが、俺は魔剣でそれを受け流す。他の階層の魔物より幾分か早い。キングという名に恥じない力だ。しかし!

「炎魔法、ファイアボール!」

「ゴブゥウ!!」

 ゴブリンキングは火だるまになって悶え苦しむ。

「れいちゃん、とどめだ!」

「あぅ!」

 れいちゃんは魔法陣を展開してそこから水球を射出した。

「グギャァアアアアア!!!」

 ゴブリンキングは断末魔をあげながら絶命してしまった。

「ふぅ、勝ったな。」

「あぅ!」

 ゴブリンキングの亡骸をインベントリーに収納してると、ドロップ品らしきものが落ちている。どれどれ、鑑定してみようか。

《ゴブリンキングの金腕輪》

ゴブリンキングの金腕輪。身に付けた者の防御力を300上げる。

 おー!反撃スキルと随分相性が良さそうじゃないか。早速身に付けてみようかな。

「あぅ!」

「やっぱりイカすだろ?」

「あぅ!」

 れいちゃんからも高評価みたいだな。ドロップ品をインベントリーに収納し終わると、俺たちは次の層に進もうかと思ったのだがー

「あぅ?」

 辿り着いたのは十一階層ではなく、多くの冒険者で賑わう宿のような階層だった。

「えっ!?ここどこ!?」

「あぅ!?」

 も、もしかして、転移トラップみたいなものに引っかかったのか!? いや、それにしてもおかしい。ここはダンジョンの中なんだし、地上に戻った記憶もない。

 じゃあなんでここにいるんだ?こうなったら、通りかかった冒険者に聞いてみよう。

「すみません、ここって十一階層ですか?」

「ん?そんな訳ないだろ?ここは10.5階層だ。」

「10.5階層ですか?」

「おう。セーフエリアってやつだよ。宿とか色々あんだよ。」

セーフエリア……聞いたことがあるな。確か、モンスターが一切出現しない安全地帯のようなもので、そこに留まることができるというものだ。宿やら食事処やらがあるから十分な休息がとれるということか。

 ちょうど俺も腹が減ったし、れいちゃんのご飯の時間もそろそろだな。せっかくだしここのセーフエリアで休憩してから次の階層に向かうとするか。

「れいちゃん、ここでご飯にしよっか。」

「あぅ!」

 俺たちは宿で飯を食ってから次の層に向かうことにした。
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