異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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勝負の行方

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「じゃあ、勝負だ、リカルド! 決して負けない!」

「意気込みやよし! かかってきやがれ!」

 午後のボウリング対決が始まった。
 先鋒はアラブレヒト。
 華麗なフォームで投げる……ストライク!
 
「ほう、良いフォームだ。俺も負けていられねえぜ」

 リカルドも綺麗なフォームで鉄球を投げた。
 ガコンガコーン!
 10本のピンが弾け飛び、リカルドは悠然と立つ。
 ストライクだ。

 二人はその後もストライクを出し続けた。
 
「やるなあ、リカルド! その筋肉は伊達ではないと言うことか!」

「お前こそ、そんなヒョロい身体で流石だ、アラブレヒト!」

 午後の1ゲーム目は、二人ともパーフェクトで素晴らしかった。
 その後3ゲームまでパーフェクトが続き、第4ゲームでアラブレヒトがスペアを出した。

 俺は鐘3つの休憩時間に、皆にオペラを振る舞った。
 オペラを食べながら、楽しそうな顔のリカルドに問いかける。

「リカルド、オペラの味はどう?」

「このケーキ、うめえなハヤト。王都にもこんなケーキはねえよ。お前は天才だ」

「こ、故郷に似たようなケーキがあったんだよ。午後は今リカルドがリードしてるけど、逃げ切れそう?」

「俺は必ず勝つ。俺を信じて見守っていてくれ」

「わかった。頑張ってね、リカルド」

 そして第5ゲームと第6ゲームをパーフェクトで終わった二人は、休憩を挟んでまた火花を散らしていた。

 ガコンガコーン!
 ストライクだ。
 隣のレーンでストライクが出た。
 俺はひょっこり見に行った。

「やったわ! ストライクよ!」

 そこで飛び跳ねていたのは、若い女性だった。
 髪は濃紺で腰まで長く、三つ編みにしている。
 俺は目が合ったので、会釈をした。

「お上手ですね。初めてですか?」

「ええ。私はアマンダ。雑貨屋の娘よ。今日は父がハマっているボウリングに連れてきて貰ったの」

「そうですか。俺はハヤト。こっちのレーンで今投げたのが俺の夫。対戦を眺めてるんだ」

「隣のレーンはずっとストライクが出続けているものね! 憧れちゃうわ!」

 アマンダは花が咲くように笑った。
 そして、アマンダの父が投げた。
 二回投げて、二本残った。
 
「アマンダ、次はお前だよ」

「はぁい。えいっ!」

 球は真っ直ぐ進んでいき、パタパタとピンを倒した。
 一本残ったピンを丁寧に倒して、スペア。

 次に投げたお父さんもスペアを出した。
 次に投げたアマンダは、ストライクを出した。

「やったわ! ストライクよ!」

「アマンダ、凄いね。もう俺より上手いじゃないか。流石俺の娘だ」

 アマンダの父がアマンダを誉める。
 アマンダは得意げに胸を張った。

「さあ父さん、続きをやりましょう。私が勝ったらボウリングの大会に出させて頂戴ね!」

 そうか、ボウリング大会を開くって話していたな。
 俺は支配人に近づいて、大会について聞いてみた。

「支配人、ボウリング大会は決まったの?」

「はい。来月20日に予選を行います。翌週第二予選も行いまして、再来月の月末に本大会を実施いたします。ちなみにリカルド様とアラブレヒト様は本大会出場が決定しています」

「そうなんだー! きっと盛り上がるだろうねえ」

「ええ。ボウリングは広く愛される競技になりつつあります。大会も広告を貼って、たくさん人を集めますよ」

 支配人はホクホク笑顔でリカルド達を見た。

「お二人とも眉目秀麗でいらっしゃるから、人目を引きます。これを機に、ボウリングを始める女性も増えそうですね」

 見れば、ギャラリーに女性がいて、熾烈な戦いを繰り広げる二人を強く見つめていた。
 あー、見るからにリカルドを見つめている女性もいるぞ。
 モヤモヤする。
 そりゃあリカルドは格好良いけどさあ。

「休憩のようですね。リカルド様とアラブレヒト様がいらっしゃいましたよ」

「アラブレヒト、リカルド。お疲れ様。パーフェクトを出し続けるなんて、本当に凄いよ」

「ハヤト。俺は一歩負けているけど、決して諦めないよ。リカルドに勝つ!」

「言うじゃねえか。俺にはハヤトがついてるからな。絶対負けねえよ」

 リカルドは俺をギュッと抱き締めた。

「応援してるよ。ボウリング大会の話は聞いた?」

「聞いたよ。俺達は予選なしで本大会出場決定だ。組み合わせ次第でどうなるかわからないのが面白いね」

「アラブレヒト、お前勝ち上がって来いよ。これだけの腕があるんだ。お前も優勝候補だろう」

「まあね。俺はそろそろ行商に出るから、次にリカルドと戦えるのはボウリング大会になりそうだ。リカルドも勝ち上がって来いよ。待ってるからな」

「言われずとも優勝してやる! まあ、どんな奴と戦えるのか、すげえ楽しみだわ」

 そして第10ゲームが始まった。
 アラブレヒトもリカルドもストライクを出し続けて、女性の黄色い歓声を浴びていた。
 男性のギャラリーも多数いる。
 白熱した空気の中、リカルドがスペアを出した。
 これで同点だ。

 続く第11ゲーム、二人はストライクを出し続け、パーフェクトで終えた。

「アラブレヒト、負けるな!」

「リカルドさん、勝って下さい!」

「二人とも頑張れ!」

 その後も休憩を挟みながらゲームを続けて、第15ゲームでリカルドがスペアを出し、第18ゲームでアラブレヒトがスペアを出した。

 今の所同点だ。
 次の第20ゲームで今日はおしまいだ。
 鐘9つが鳴り響く中、二人はパーフェクトでゲームを終えた。

「引き分けだ、リカルド。ボウリング大会で決着を着けよう」

「おう、いいぜ。ボウリング大会で優勝してやるぜ!」

「二人とも、本当にお疲れ様!」

 俺は心を込めて拍手を贈った。
 ギャラリーも拍手して、支配人が閉店を宣言。
 俺達は解散した。

「じゃあな、リカルド。ハヤト。今日は凄く楽しかったよ。また休み明けに会おう」

「うん。気を付けて帰ってね」

「アラブレヒト。お前は俺のライバルだ。俺と当たるまで負けるんじゃねえぞ」

 アラブレヒトは笑顔で帰って行った。

「リカルド、お腹空いてない? どっかで食べて帰る?」

「遅くにすまねえが、うどんを作ってくれねえか?」

「勿論良いよ。俺達の家に帰ろう」

 俺達は手を繋いで連れ立って歩いた。

「リカルドを熱い視線で見つめてた女の子がいたよ」

「そうか。そんなこともあるさ。だが、俺はハヤトのものだからな。ちっとも心は動かねえよ」

「そうだよ。リカルドは俺のものなんだから。誰にもあげないんだからね!」

「ふふふ、可愛い奴だな。今夜も嫌って言うほど愛してやる。今夜はしゃぶられてえ気分だ。いいか?」

「うん。ご飯食べたら、お風呂入ってエッチしよう」

 俺達は家に帰り着くなり、お互いを抱き締めて噛みつくようなキスをした。
 歯列をなぞり、上顎をねっとり舐められる。
 舌を絡め合い、唾液を飲み込んだ。
 気が済むまでキスをして、お姫様だっこでキッチンまで運ばれる。

「どうぞ、俺のお姫様」

「ふふふ、ちょっと待っててね。すぐ出来るよ」

 俺は湯を沸かして出汁を取り、スープを作ってうどんを茹でた。
 今日はお揚げのうどんだよ。
 俺は二人分作って、机に置いた。

「頂きます……むむ、この上に乗ってるのがじゅわっとして美味いな。うどん、俺好きだわ。ハヤトの作る飯はなんでも美味い」

「えへへ。リカルドの口に合うなら嬉しいよ。俺もお揚げのうどん好きなんだ。明日は何して遊ぶ?」

「冬になる前に遠乗りに行かねえか?」

「うん、いいよ! お弁当作って良い?」

「ああ。朝食後、弁当が出来たら出発しよう」

「わぁい。楽しみだな。マリーに乗るのも久し振りだね」

 うどんを食べ終わった俺達は、後片付けをして、お風呂に入った。
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