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餅つきとオセロ大会
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翌日出社すると、アラブレヒトがいた。
今日は素敵なダークグリーンの礼服である。
「おはよう、ハヤト。一応先に言っておくね。ハヤトを召集するのは決定事項だ。ただ、予定が目白押しだから、その予定を優先するとのことだよ。ただ、いつ呼ぶのかは決まっていないんだ。今日は競いハヌーン大会を第三王子殿下と見てくるよ」
「そうか、わかったよ。こっちは今日ね、お餅っていうモチモチした食べ物を食べるんだ。軒先で餅つきをするから、何か聞かれたらそう答えて欲しい」
「新しい食材だね。俺も食べたいよ。わかった、覚えておくね。ハヤトは心の準備だけしておいて。大丈夫、お優しい方だよ」
俺は頷いて、アラブレヒトを見送ると、キッチンに入ってあんこを炊いた。
その後、水に浸けておいたもち米を蒸した。
鐘11が鳴った頃、丁度臼と杵が届いた。
「よおし、もち米が蒸し上がったぞ。これを臼に移してと」
臼に入れたもち米ははじめはつかずに、体重をかけて杵でぐいぐいと潰していく。
臼のまわりを回りながら均一に潰していく。
「じゃあもち米をついていくので、合いの手をお願いします。お餅は合いの手を入れてもらいながらつくんですけど、合いの手はついた餅を外から中へと折り込むように動かして下さい」
「わかったわ!」
杵を使って餅をつくのは力を入れすぎず、振り上げた杵の重さを利用して、落とすようにつくのがポイントだ。
俺は杵を振り上げ、お餅をついていった。
ぺったん、ぺったん、ぺったん。
メリッサさんも合いの手を上手に入れている。
「ハヤト、かわるぜっ。力仕事なら任しておきなっ」
ぺったん、ぺったん、ぺったん、ぺったん。
その後女性従業員も合いの手をかわり、支店の皆でついた餅はなめらかにつきあがった。
「出来上がりです。つきたてを食べましょう。まずは醤油をかけたものから」
俺は小さく千切った餅を小さなお皿に乗せて皆に配った。
醤油、大根おろし、きな粉、あんこ。
俺は次々に配っていった。
「やわらけえっ。この味、醤油だけでも十分うめえっ。大根おろしにも合うっ」
「柔らかくて美味しいわ。もちもちしてて、伸びるのね。あんこもきな粉も美味しい」
「こりゃあうめえや。もっとつこうぜ、ハヤト!」
俺は第二弾、蒸し上がったもち米を臼に入れてぐいぐいと潰した。
合いの手はメリッサさん。
さあ、餅つきするぞっ。
ぺったん、ぺったん、ぺったん、ぺったん。
俺達はしばらく餅つきをし、大量に餅をついた。
柔らかくて美味しいつきたてのお餅を、俺もお腹いっぱい楽しんだ。
残りの餅は型に入れて、のし餅にする。
俺は満足して、緑茶を飲んだ。
おやつにはお餅入りぜんざいを出して、あんこも使い切った。
のし餅は10枚程あるので、しばらく楽しめそうだ。
焼き餅の評判も上々で、俺は次は何を作ろうかと考えた。
夕ご飯のメニューは餃子とご飯とお味噌汁。
俺は美味しく食べて、家に帰った。
リカルドは今日も5勝したそうだ。
第三王子殿下のありがたいお言葉を開始前に貰ってレースに臨んだと聞いた。
今日も頑張ってね、みたいなフランクな挨拶だったみたいだけど、言われた方はプレッシャー半端ないな。
「ハヤトの旦那ってことで、ハヤトが召集される時は一緒に呼んで貰える事になった。なんかお前、興味持たれてたぞ。心当たりはいっぱいあるなぁ」
「リカルドが一緒にいてくれるなら、安心出来るよ。正直どれの件で呼ばれるのかわからないんだけど、正直にお話するしかないと思っているよ」
「明日は競いスケートだ。俺は明日も勝つぜ!」
リカルドは気合い十分、競いスケート初登場なのに、凄い自信だ。
俺はコタツの上のミカンを食べながら、リカルドの溢れるやる気を聞いていた。
翌日、朝ご飯にお餅を出したら、リカルドは感動していた。
伸びるものと言えばチーズくらいで、この柔らかくて伸びる食べ物は初めてだそうだ。
「肉と一緒に食ってもうめえ。新しい食いもんだな」
腸詰め肉をかじりながら、お餅を4つ食べたリカルド。
ああ、海苔が欲しい。
俺は海苔を詳しくリカルドに説明して、見つけたら買ってきて欲しいと頼んだ。
出社した俺は、メリッサさんの手伝いである。
一応今日も礼服を着ているけれど、今日は競いスケートを見ている筈だから、お呼びはかかるまい。
お昼ご飯は、お肉たっぷりの焼きそばだった。
とても美味しかった。
午後も俺はメリッサさんの手伝いだ。
俺はメリッサさんにも海苔が欲しいことを伝えた。
「海藻でしょう。じゃあ、社長が知ってそうね。海の近い町の釣りギルドは、海藻を取りに行くこともあるそうよ」
「期待が持てますね。じゃあ、アラブレヒトが帰ってきたら聞いてみます」
俺達は書類を綴じ続けて、時間を過ごした。
鐘4つが鳴ってもアラブレヒトは帰ってこない。
俺達は夕飯に、美味しく鳥つみれ鍋を満喫した。
食後は家に帰ると、リカルドがいた。
今日も4勝したというリカルドは祝杯で赤ワインをたくさん飲んできたそうだ。
ちなみに祝ってくれたのは、第三王子殿下。
町長さんのお宅で夕飯もご馳走になってきたそうだ。
今夜のメニューは、あんこう鍋だったらしい。
居酒屋の店主も馳せ参じていたようで、鍋は大好評だったとか。
「食にうるさいタイプの人かもしれねえな。居酒屋の店主にいくつか質問していた。まあ、明日はオセロ大会だ。きっとその後だろうぜ」
俺もそう思う。
リカルドはコタツの上にカードを置いて、ソリティアをしていた。
俺もソリティア好きだからわかる。
でも、オセロの練習はしなくて良いの?
「じたばたしてもしょうがねえよ。オセロ全勝は無理だから、運が良けりゃ、アラブレヒトと当たる。その前に負けなきゃ良いんだが」
「頑張ってね。応援しているよ」
俺も自分のカードを出して、ソリティアを始めた。
コタツでミカンを食べながらソリティアをする。
なんて楽しいんだろう。
俺はリカルドと一緒に、ソリティアを楽しんだ。
翌日は支店は休みだ。
皆オセロ大会を見に行くのだ。
俺もメリッサさんと一緒に、紳士の遊び場へやってきた。
オセロの盤は、10台に増やされ、今は誰もゲームをしていない。
それもそのはず、騎士がずらりと立ち並び、ものものしい雰囲気を作っているのである。
やがて鐘10が鳴り、支配人より開会の挨拶があった。
その次は、第三王子殿下からのお言葉である。
騎士の間から出て来たのは、すらりとした体躯の、金髪の美丈夫だった。
瞳は新緑のような緑色で、どこまでも澄んでいる。
「今日は良き日に招いて貰い、感謝している。王陛下もオセロは好んでいる。皆、それぞれ頑張って欲しい」
パチパチパチパチ。
溢れるような拍手の後、第一試合が始まった。
リカルドの相手は、細身の男性である。
リカルドは白の石を持っている。
「社長の相手、強そうだわ……。見た目は関係ないけど、ちょっと気になるわね」
アラブレヒトの相手は、ガッチリした冒険者だった。
アラブレヒトは黒い石を持っている。
第三王子殿下も参戦し、相手は町人だ。
黒い石を持っている。
ゲームは進み、後半戦。
リカルドもアラブレヒトも優勢だ。
第三王子殿下もほぼ黒に染めている。
そのままゲームは終了し、三人は勝利を飾った。
第二ゲーム、第三ゲームも勝ち進み、昼休憩が入った。
俺はメリッサさんと、とろろそば屋とろろで、天ぷらととろろそばを食べた。
お昼休憩後、第四ゲームの開始である。
第四ゲームで、リカルドは第三王子殿下と当たった。
リカルドが手加減なんてするはずがない。
リカルドは白い石を持っている。
どんどん白い石に染めていき、勝利。
「強いね、リカルド。流石だ」
「恐縮です」
二人は短く言葉を交わしていた。
怒られたりしないみたいで、ほっとする。
その後、第五ゲーム。
準決勝だ。
これも、リカルドとアラブレヒトは問題なく勝った。
第六ゲーム。
決勝である。
アラブレヒトは黒、リカルドは白い石を持ち、次々と打っていく。
盤上は黒が多い。
リカルドは巻き返せるのか、ごくりと喉が鳴る。
隅をリカルドが取った。
いくつかの石が白にひっくり返される。
一手ずつ、慎重に打つ二人。
そして最後の隅をリカルドが取った。
石が白く染められていく。
ゲームは終わり、石の数を数えた。
アラブレヒトが2個多く、アラブレヒトの勝利!
メリッサさんは飛び上がって喜んだ。
「流石だ、アラブレヒト。ボウリングでは負けねえぜ」
「受けて立つよ、リカルド。次も優勝するのはこの俺さ」
二人が握手した瞬間、拍手が鳴り響いた。
パチパチパチパチ!
第三王子殿下も拍手してた。
支店に帰り着いて、夕食だ。
今夜は、カレーライス。
皆ばくばく食べていたよ。
食後は家に帰り、リカルドにお疲れ様を伝えた。
「ハヤト。明日鐘10に町長の家で面会だそうだ。第三王子殿下はハヤトに聞きたいことがあるそうだ」
「俺に答えられることならいいんだけど。正直、こっちの常識にもうといからさ」
「フォローが必要なら俺が口を出す。気楽に行こうぜ」
「リカルドが一緒だもんね。それだけで勇気が出るよ」
俺はリカルドにすりついて、笑顔を浮かべた。
リカルドはアラブレヒトに負けたのが悔しかったらしく、競いハヌーンと競いスケートもほどほどで休みを取り、ボウリングの練習に当てるという。
ボウリング大会は5日後だ。
俺は明日の事をいったん忘れ、リカルドをお風呂に誘うのだった。
今日は素敵なダークグリーンの礼服である。
「おはよう、ハヤト。一応先に言っておくね。ハヤトを召集するのは決定事項だ。ただ、予定が目白押しだから、その予定を優先するとのことだよ。ただ、いつ呼ぶのかは決まっていないんだ。今日は競いハヌーン大会を第三王子殿下と見てくるよ」
「そうか、わかったよ。こっちは今日ね、お餅っていうモチモチした食べ物を食べるんだ。軒先で餅つきをするから、何か聞かれたらそう答えて欲しい」
「新しい食材だね。俺も食べたいよ。わかった、覚えておくね。ハヤトは心の準備だけしておいて。大丈夫、お優しい方だよ」
俺は頷いて、アラブレヒトを見送ると、キッチンに入ってあんこを炊いた。
その後、水に浸けておいたもち米を蒸した。
鐘11が鳴った頃、丁度臼と杵が届いた。
「よおし、もち米が蒸し上がったぞ。これを臼に移してと」
臼に入れたもち米ははじめはつかずに、体重をかけて杵でぐいぐいと潰していく。
臼のまわりを回りながら均一に潰していく。
「じゃあもち米をついていくので、合いの手をお願いします。お餅は合いの手を入れてもらいながらつくんですけど、合いの手はついた餅を外から中へと折り込むように動かして下さい」
「わかったわ!」
杵を使って餅をつくのは力を入れすぎず、振り上げた杵の重さを利用して、落とすようにつくのがポイントだ。
俺は杵を振り上げ、お餅をついていった。
ぺったん、ぺったん、ぺったん。
メリッサさんも合いの手を上手に入れている。
「ハヤト、かわるぜっ。力仕事なら任しておきなっ」
ぺったん、ぺったん、ぺったん、ぺったん。
その後女性従業員も合いの手をかわり、支店の皆でついた餅はなめらかにつきあがった。
「出来上がりです。つきたてを食べましょう。まずは醤油をかけたものから」
俺は小さく千切った餅を小さなお皿に乗せて皆に配った。
醤油、大根おろし、きな粉、あんこ。
俺は次々に配っていった。
「やわらけえっ。この味、醤油だけでも十分うめえっ。大根おろしにも合うっ」
「柔らかくて美味しいわ。もちもちしてて、伸びるのね。あんこもきな粉も美味しい」
「こりゃあうめえや。もっとつこうぜ、ハヤト!」
俺は第二弾、蒸し上がったもち米を臼に入れてぐいぐいと潰した。
合いの手はメリッサさん。
さあ、餅つきするぞっ。
ぺったん、ぺったん、ぺったん、ぺったん。
俺達はしばらく餅つきをし、大量に餅をついた。
柔らかくて美味しいつきたてのお餅を、俺もお腹いっぱい楽しんだ。
残りの餅は型に入れて、のし餅にする。
俺は満足して、緑茶を飲んだ。
おやつにはお餅入りぜんざいを出して、あんこも使い切った。
のし餅は10枚程あるので、しばらく楽しめそうだ。
焼き餅の評判も上々で、俺は次は何を作ろうかと考えた。
夕ご飯のメニューは餃子とご飯とお味噌汁。
俺は美味しく食べて、家に帰った。
リカルドは今日も5勝したそうだ。
第三王子殿下のありがたいお言葉を開始前に貰ってレースに臨んだと聞いた。
今日も頑張ってね、みたいなフランクな挨拶だったみたいだけど、言われた方はプレッシャー半端ないな。
「ハヤトの旦那ってことで、ハヤトが召集される時は一緒に呼んで貰える事になった。なんかお前、興味持たれてたぞ。心当たりはいっぱいあるなぁ」
「リカルドが一緒にいてくれるなら、安心出来るよ。正直どれの件で呼ばれるのかわからないんだけど、正直にお話するしかないと思っているよ」
「明日は競いスケートだ。俺は明日も勝つぜ!」
リカルドは気合い十分、競いスケート初登場なのに、凄い自信だ。
俺はコタツの上のミカンを食べながら、リカルドの溢れるやる気を聞いていた。
翌日、朝ご飯にお餅を出したら、リカルドは感動していた。
伸びるものと言えばチーズくらいで、この柔らかくて伸びる食べ物は初めてだそうだ。
「肉と一緒に食ってもうめえ。新しい食いもんだな」
腸詰め肉をかじりながら、お餅を4つ食べたリカルド。
ああ、海苔が欲しい。
俺は海苔を詳しくリカルドに説明して、見つけたら買ってきて欲しいと頼んだ。
出社した俺は、メリッサさんの手伝いである。
一応今日も礼服を着ているけれど、今日は競いスケートを見ている筈だから、お呼びはかかるまい。
お昼ご飯は、お肉たっぷりの焼きそばだった。
とても美味しかった。
午後も俺はメリッサさんの手伝いだ。
俺はメリッサさんにも海苔が欲しいことを伝えた。
「海藻でしょう。じゃあ、社長が知ってそうね。海の近い町の釣りギルドは、海藻を取りに行くこともあるそうよ」
「期待が持てますね。じゃあ、アラブレヒトが帰ってきたら聞いてみます」
俺達は書類を綴じ続けて、時間を過ごした。
鐘4つが鳴ってもアラブレヒトは帰ってこない。
俺達は夕飯に、美味しく鳥つみれ鍋を満喫した。
食後は家に帰ると、リカルドがいた。
今日も4勝したというリカルドは祝杯で赤ワインをたくさん飲んできたそうだ。
ちなみに祝ってくれたのは、第三王子殿下。
町長さんのお宅で夕飯もご馳走になってきたそうだ。
今夜のメニューは、あんこう鍋だったらしい。
居酒屋の店主も馳せ参じていたようで、鍋は大好評だったとか。
「食にうるさいタイプの人かもしれねえな。居酒屋の店主にいくつか質問していた。まあ、明日はオセロ大会だ。きっとその後だろうぜ」
俺もそう思う。
リカルドはコタツの上にカードを置いて、ソリティアをしていた。
俺もソリティア好きだからわかる。
でも、オセロの練習はしなくて良いの?
「じたばたしてもしょうがねえよ。オセロ全勝は無理だから、運が良けりゃ、アラブレヒトと当たる。その前に負けなきゃ良いんだが」
「頑張ってね。応援しているよ」
俺も自分のカードを出して、ソリティアを始めた。
コタツでミカンを食べながらソリティアをする。
なんて楽しいんだろう。
俺はリカルドと一緒に、ソリティアを楽しんだ。
翌日は支店は休みだ。
皆オセロ大会を見に行くのだ。
俺もメリッサさんと一緒に、紳士の遊び場へやってきた。
オセロの盤は、10台に増やされ、今は誰もゲームをしていない。
それもそのはず、騎士がずらりと立ち並び、ものものしい雰囲気を作っているのである。
やがて鐘10が鳴り、支配人より開会の挨拶があった。
その次は、第三王子殿下からのお言葉である。
騎士の間から出て来たのは、すらりとした体躯の、金髪の美丈夫だった。
瞳は新緑のような緑色で、どこまでも澄んでいる。
「今日は良き日に招いて貰い、感謝している。王陛下もオセロは好んでいる。皆、それぞれ頑張って欲しい」
パチパチパチパチ。
溢れるような拍手の後、第一試合が始まった。
リカルドの相手は、細身の男性である。
リカルドは白の石を持っている。
「社長の相手、強そうだわ……。見た目は関係ないけど、ちょっと気になるわね」
アラブレヒトの相手は、ガッチリした冒険者だった。
アラブレヒトは黒い石を持っている。
第三王子殿下も参戦し、相手は町人だ。
黒い石を持っている。
ゲームは進み、後半戦。
リカルドもアラブレヒトも優勢だ。
第三王子殿下もほぼ黒に染めている。
そのままゲームは終了し、三人は勝利を飾った。
第二ゲーム、第三ゲームも勝ち進み、昼休憩が入った。
俺はメリッサさんと、とろろそば屋とろろで、天ぷらととろろそばを食べた。
お昼休憩後、第四ゲームの開始である。
第四ゲームで、リカルドは第三王子殿下と当たった。
リカルドが手加減なんてするはずがない。
リカルドは白い石を持っている。
どんどん白い石に染めていき、勝利。
「強いね、リカルド。流石だ」
「恐縮です」
二人は短く言葉を交わしていた。
怒られたりしないみたいで、ほっとする。
その後、第五ゲーム。
準決勝だ。
これも、リカルドとアラブレヒトは問題なく勝った。
第六ゲーム。
決勝である。
アラブレヒトは黒、リカルドは白い石を持ち、次々と打っていく。
盤上は黒が多い。
リカルドは巻き返せるのか、ごくりと喉が鳴る。
隅をリカルドが取った。
いくつかの石が白にひっくり返される。
一手ずつ、慎重に打つ二人。
そして最後の隅をリカルドが取った。
石が白く染められていく。
ゲームは終わり、石の数を数えた。
アラブレヒトが2個多く、アラブレヒトの勝利!
メリッサさんは飛び上がって喜んだ。
「流石だ、アラブレヒト。ボウリングでは負けねえぜ」
「受けて立つよ、リカルド。次も優勝するのはこの俺さ」
二人が握手した瞬間、拍手が鳴り響いた。
パチパチパチパチ!
第三王子殿下も拍手してた。
支店に帰り着いて、夕食だ。
今夜は、カレーライス。
皆ばくばく食べていたよ。
食後は家に帰り、リカルドにお疲れ様を伝えた。
「ハヤト。明日鐘10に町長の家で面会だそうだ。第三王子殿下はハヤトに聞きたいことがあるそうだ」
「俺に答えられることならいいんだけど。正直、こっちの常識にもうといからさ」
「フォローが必要なら俺が口を出す。気楽に行こうぜ」
「リカルドが一緒だもんね。それだけで勇気が出るよ」
俺はリカルドにすりついて、笑顔を浮かべた。
リカルドはアラブレヒトに負けたのが悔しかったらしく、競いハヌーンと競いスケートもほどほどで休みを取り、ボウリングの練習に当てるという。
ボウリング大会は5日後だ。
俺は明日の事をいったん忘れ、リカルドをお風呂に誘うのだった。
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