異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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第三王子殿下の試食会

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 第三王子殿下とのお茶会は、穏やかに始まった。
 第三王子殿下、町長一家、アラブレヒトの順に入ってきて、着席する。
 アラブレヒトが俺の隣に座ったので、少し緊張が和らいだ。

「今日の茶会にわたあめとミルクレープを出せると聞いた。作るのは料理長だそうだね。楽しみにしようじゃないか」

 第三王子殿下の言葉に、ハインケルが補足を加える。

「王子殿下、わたあめはカラトリーを使わずに食べる菓子です。お持ちして宜しいですか?」

「いいとも。ああ、待ち遠しいね。美味くできたかい、ハヤト」

「はい。雲を食べる気持ちを味わって頂けると思います」

 わたあめは、第三王子殿下から順に配膳された。
 まず、千切って食べた王子殿下は、驚きの表情を浮かべた。

「まさに雲のようだ。ふわふわと柔らかく口の中で溶けていく。とても美味しい」

「この菓子は時間が経つと、かたくしぼんでしまいます。ふわふわの時が一番美味しいですね」

「なるほど。時間制限もある菓子なのだな。希少性が高く、この食感は唯一無二だ。素晴らしいよ、ハヤト」

「ありがとうございます」

 俺もわたあめを美味しく食べた。
 皆が食べ終わった後、一度紅茶が入れ直された。
 香り高い紅茶を飲んで、一息つく。

「では次に、ミルクレープを配膳致します」

 第三王子殿下から順に配膳されたミルクレープは、美しかった。

「まあ、何枚も層になっているのね」

 町長夫人のはしゃいだ声が耳に届く。
 第三王子殿下がナイフを入れて、フォークで口に運ぶ。

「ううむ、美味い! フルーツの甘さと酸味がクリームと溶け合って、とても美味しい」

「何枚も層になった生地が程よいボリューム感で、クリームの甘さが丁度良いですね」

「とても美味しいわ。生のフルーツがたっぷり入っているのが良いわね」

 皆の評判も良い。
 第三王子殿下は頬を緩め、ミルクレープを食べきった。

「これは何枚重ねているんだい?」

「はい、20枚になります」

「クリームは二種類使っているね」

「はい。ホイップクリームとカスタードクリームです」

「ゴールデンメロンとルビーイチゴも美味しかったよ。王宮でも是非作ってみるね」

「光栄です、殿下」

 第三王子殿下は紅茶を優雅に飲んで、ミルクレープを完食した。

 メイドが皿を下げ、紅茶を入れ直す。

「ハヤトの知識は素晴らしいね。あと一つ、わがままを言って良いかい? 王家で屋台を出すなら、菓子以外にもひとつ、安価で売れるものを出したいという話になってね」

「はい」

「出来れば一つでおなか一杯になるようなメニューが望ましい。何かあるかい?」

「では、お好み焼きはいかがでしょう。キャベツをたっぷり入れて、銅貨3枚。立ち食いが出来るメニューですが、ナイフとフォークでも召し上がれます」

「おお、いいね。では夕食に作ってくれるかい?」

「かしこまりました」

 それでお茶会はおしまい。
 皆自室に戻ったよ。
 俺は料理長の所に行って、お好み焼きを作ってみせた。

「キャベツたっぷりで、キャベツの甘さがソースと合わさってたまらねえな。このソースが美味い」

「肉は少なめなんですけど、どうでしょう?」

「屋台で売るならこんなもんだろ。キャベツでボリュームたっぷりだ。鑑定済み卵で作ったマヨネーズも、ソースに合っててうめえ」

 料理長はすぐさまお好み焼きを覚えて、お弟子さん達に振る舞った。
 評判はとても良く、俺もお好み焼きを味見した。

 夕食の時間がやってきて、俺達は食堂に集まった。
 前菜にサラダが出され、食べ終わった頃に、メイドがお好み焼きを持ってきた。

「お好み焼きでございます」

 第三王子殿下がナイフを入れ、フォークを口に運ぶ。
 俺もお好み焼きにナイフを入れ、頬張った。

「まずキャベツの甘さとソースのしょっぱさが後を引くね。この白いソースの酸味も合っている。ボリュームがあって、目新しい美味しさだ」

 第三王子殿下は優雅にお好み焼きを口に運ぶ。
 俺も静かにお好み焼きを味わった。
 デザートはプリンだった。
 優しい甘さのプリンを食べて、夕食もおしまいだ。

「要望通りのメニューをありがとう、ハヤト。君が独り身だったなら勧誘してたんだけど、リカルドがおっかないからやめておくよ。じゃあ、リカルドと仲良くね」

「はい、ありがとうございます」

 俺は頭を下げて、自宅へ帰った。
 リカルドは帰ってきていて、今日の競いハヌーンは4勝したと話した。

「リクドーっていう元冒険者が競いハヌーン専用走者になったそうでな。ルナウドでもたまに負ける凄腕だ。そいつに一勝奪われた」

「へええ。強い人っているんだねえ。ハヌーンは今までと変わらないのに、不思議だね」

「ハヌーンと呼吸を合わせるのが特別得意な奴でな。走りたいときに走り、休みたい時に休む。それが出来てるから強い」

 リカルドはコタツでソリティアしてる。
 俺も自分のカードでソリティアをしながら、リカルドに今日の成果を話した。

「わたあめは魔道具が要るんだろ。お好み焼きは俺にも作ってくれるか?」

「勿論だよ。お肉たっぷりで作ってあげる。きっとリカルドも気に入ると思うよ」

「じゃあ、次の休みに作ってくれよ。俺は勝ち続けるぜ!」

「競いハヌーンも競いスケートも頑張ってね。応援しているよ」

 俺達はゆっくりした時間を過ごし、一緒にお風呂に入った。
 こうして第三王子殿下の依頼は終了したのだった。




 翌日、出社した俺は、メリッサさんに挨拶してから、肉屋へ来てみた。
 俺はこの町にない店を作ろうと思い立った。
 ずばり焼き肉食べ放題の店である。
 色んな部位を、自分で焼いてタレをつけて食べる。
 お値段なんと銅貨6枚。
 かなりの安値だが、一時間の時間制限つきだから、そこまで赤字にならないんじゃないかと思っている。

 肉屋の親父に焼き肉食べ放題の店の構想を話すと、親父も乗ってきた。

「安く提供出来る肉が大量に欲しいってんだろう。特にグレイトボアは身体がでかいから肉も余りがちだ。一頭まるまる売ってやるよ。ホルモンもレバーも食うんだろう?」

「はい。タン、ハラミ、ロース、カルビ、レバー、ホルモン。これは最低でも揃えたいです」

「いいぜ。銅貨6枚で食べ放題なんて、夢みてえな店だな。炭火で焼く焼き肉ってえのも興味深い。やってみな、ハヤト」

「はい、ありがとうございます」

 俺は肉屋の親父と話を煮詰め、俺は不動産屋へやってきた。
 大通りから二本奥に入った所に、良さげな店舗があった。
 その物件を買い、建築ギルドにリフォームを頼んだ。

 次に、商業ギルドで8人求人を出した。
 4人ずつ、キッチン担当、カウンター担当だ。
 後は待つだけなので、俺はメリッサさんの手伝いをして過ごした。

 メリッサさんに焼き肉食べ放題の店の構想を話すと、焼き肉というシステムにまず驚かれた。
 
「炭火でお肉を焼くのは串肉の屋台ぐらいじゃないかしら。確かに炭火って美味しいものね。自分で焼くっていうのも、達成感があるし、好みの焼き加減で食べれるわね」

「はい。この間ボウリング大会の後に、お肉食べたいなあって思って、焼き肉屋がないことに気付いたんですよ。でも、高い肉をちょっとずつ焼く高級店にはしたくなくて。どうせなら、食べ放題にしてしまえ! と思ったんですね」

「食べ放題って時間制限があるとはいえ、いっぱい食べる人には夢みたいな店ね。採算取れるのかが心配だけど……その顔は、何とかなるのね」

「今日、肉屋の店主と話をしてきました。安く売ってくれるとのことなので、利益は出ます。お客さんが来てくれれば、ですけどね」

「お店が出来たら私も行きたいわ。そうだわ、いつも社長がプレオープンの招待状を作ってるでしょう。今回は私が作ってあげるわ」

「それは助かります。じゃあ、肉屋の店主と……」

 肉屋の店主と、料理ギルドの6名と、サンラクさんと、冒険者ギルドのギルド長。
 それとアラブレヒトと、メリッサさんの分をお願いした。
 メリッサさんも友人を誘って来るそうだ。
 俺はますますやる気が沸いてきた。

 メリッサさんの手伝いをしながら、時間を過ごす。
 昼食はトマトパスタで、とても美味しかった。

 午後、面接希望の8人がやってきた。
 問題なかったので全員雇い、服飾ギルド行って、制服の採寸をした。
 橙色をキーカラーにした制服をデザインしてくれたジルさん。
 俺は4日後に持ってきてくれるように頼み、解散した。
 キッチン担当は4日後、カウンター担当は5日後にお店へ集合だ。

 俺は支店に戻ると、おもむろにシュー生地を仕込んだ。
 予熱したオーブンでシュー生地を焼き、切り込みを入れる。
 ツノが立つまで泡立てたホイップクリームを絞り入れ、粉砂糖をかけて、完成だ。

「おまたせしました。シュークリームです」

「まあ、美味しそうね。頂きます……外の皮がパリッとしていて、クリームが甘くて美味しいわ」

  メリッサさんは大喜びで食べ進めている。
 
 「こりゃうめえ。外の皮がパリッとしていて、柔らかいクリームの食感が良いな」
 
 「美味しいわね。クリームはカスタードクリームを入れても、チョコレートをかけても美味しそうね」
 
  今回カスタードクリームは入れなかった。
  次の機会にはダブルシュークリームにするとしよう。
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