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しゃぶしゃぶと誕生日ケーキ
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そこに、アラブレヒトが帰ってきた。
疲れていそうなので、シュークリームを2つ盆に乗せ、紅茶と共に配膳する。
「第三王子殿下はお帰りになったよ。わたあめ製造機も持ち帰られた。んう、このおやつ美味しいね。クリームが柔らかくて、外の皮がパリッとしていて、とても美味しいよ」
アラブレヒトは2つめのシュークリームにかぶりついた。
「それでね、ハヤト。わたあめとお好み焼きは王都で屋台を出すから、こっちでは出せなくなる。レシピを買い上げて行かれたよ」
「うん、そうだと思ったから大丈夫だよ。今は俺、焼き肉食べ放題の店を手掛けているんだ」
俺は焼き肉食べ放題の店の構想を、アラブレヒトに話して聞かせた。
「炭火で自分で肉を焼くのかい。そりゃあ愉快だね。一時間でどれだけ食べられるのか、俺も興味があるよ」
「食べ放題って良い響きだろう。ゆくゆくは、しゃぶしゃぶ食べ放題店や、ケーキ食べ放題店も作りたいんだ」
「夢は広がるね。焼き肉は需要があるよ。特に冒険者は、肉を欲しているしね。たくさん食べる人もいそうだよ。そういう時は、どうするの?」
「普通に祝福するかな。たくさん食べる人も笑顔に出来るような店にしたい」
「ふふっ、ハヤトらしいよ。あっ、第三王子殿下はポーカーが気に入ったそうで、宮廷画家にカードを描かせるって息巻いていたよ。今度会ったら勝負しよう、だってさ」
俺、ポーカー強くないけど良いのかな。
また会うことがあったらだし、大丈夫か。
夕食は皆でピリ辛ホルモン鍋をつついた。
アラブレヒトは麺類を向こう5年分位売ってきたそうで、ニコニコしていた。
家に帰ると、リカルドがいる。
この幸せを俺は満喫していた。
「リカルド、ただいま!」
「お帰り、ハヤト」
コタツでリラックスしているリカルドにチュッとキスをして、俺もコタツに座る。
ミカンを剥きながら、リカルドの今日の戦績を聞く。
今日は4勝2敗。
リクドーはやはり強いそうだ。
ルナウド騎士団長も負けていない。
レースとしては凄く面白いんだって。
「そろそろ雪が深くなってくる。吹雪の日は休めるようにしておけよ。競いハヌーンも吹雪の日は休みだ」
「わかった。今日もちらほら雪降ってたけど、体調は大丈夫?」
「バッチリだぜ。雪なんぞに負けやしねえ」
リカルドは元気いっぱいだ。
俺は安心して頬を緩めた。
それから3週間が経った。
吹雪の日もあり、俺は淫紋を使ってリカルドとイチャイチャして過ごした。
焼き肉屋カルビも開店し、連日行列が出来るくらい好評だ。
どうやら常連の冒険者が多数いるらしい。
リカルドも競いハヌーンの後、何度か利用しているそうだ。
それだけ、肉には魅力があるとリカルドは語っていた。
リカルドは明後日出立である。
俺はキャラメルとチョコレートを山ほど用意して、リカルドの荷物に入れた。
三日はあっという間だった。
昨日は腰が痛くなるほどセックスした。
俺は暖かい冬が過ごせて幸せだ。
リカルドはチュッとキスをして、旅立っていった。
支店に出社すると、アラブレヒトが帳簿をつけていた。
「おはよう、アラブレヒト。リカルドは今日旅立ったよ」
「そうか。次に帰ってくるのは二ヶ月後か。ハヤトは寂しいね」
「うん。寂しいけれど、今回は一カ月も一緒にいられたし、幸せだった。二ヶ月位、耐えて見せるよ」
アラブレヒトは優しい眼差しで俺を見つめた。
「焼き肉屋カルビも大人気だし、次の店を手掛けてもいいんじゃないか?」
「わかった。まず今日の昼ご飯にしゃぶしゃぶを体験してみてほしい。しゃぶしゃぶって、お湯に肉をくぐらせて火を通すんだ」
「へええ。珍しい食べ方だね」
「ポン酢かごまだれを選んで、タレにつけて食べるんだ。故郷じゃ結構人気があったけど、どうかな」
俺は肉の準備をする為、キッチンに入った。
たくさん肉を用意して、きのこや水菜や豆腐なども準備する。
鍋にお湯を沸かして、卓上コンロに火を灯す。
ぐらぐら煮える鍋を前に、アラブレヒトから肉をお湯にくぐらせ始めた。
そしてポン酢で、食べる!
「お肉がさっぱり食べれていいね。焼き肉とは違った感覚だ。ふむ、ごまだれも美味しいね」
アラブレヒトは次々しゃぶしゃぶしていく。
お箸の使い方も慣れたもんだ。
「ただ、お箸じゃないと、しゃぶしゃぶし辛いんだよね。フォークで突き刺しても出来なくはないんだけど……」
「時間外の時に説明しておくといいよ。結構簡単に、お箸の使い方は覚えられると思うよ」
「わかった。そうしてみるね」
俺も皆と一緒にしゃぶしゃぶする。
水菜と豆腐もうまい!
お肉はごまだれが好みだ。
「これ、しゃぶしゃぶするのも楽しいぜ。肉をたっぷり食えるし、野菜も食べれる」
「私はごまだれが好きよ。お肉がより美味しくなるわ。お肉がたっぷり食べれていいわね」
「うまいっ! 俺はポン酢でさっぱり食いてえ。肉がどんどん食える」
皆、どんどんしゃぶしゃぶしていき、美味しくお肉を食べる。
評判も良いみたいだし、やっちゃうか、しゃぶしゃぶ屋ハズキ。
食後、後片付けを終えた俺は、不動産屋へやってきた。
すぐに良さげな物件を紹介してもらい、大通りの裏の物件を買った。
建築ギルドにリフォームの注文をして、商業ギルドへ行く。
8人求人を出した。
4人ずつ、キッチン担当、カウンター担当である。
俺は支店に戻って、面接希望者を待った。
待っている間は暇なので、メリッサさんの手伝いをする。
良き時間になったらキッチンに入り、スポンジケーキを焼いた。
ツノが立つくらい泡立てたホイップクリームでデコレーションし、中にルビーイチゴを詰め込む。
外側側面には砕いたナッツを散らし、上部は飾り金口でデコレーションする。
仕上げにルビーイチゴをトッピングすれば、ショートケーキの完成だ。
「うわあ、ルビーイチゴのケーキじゃない。高かったんじゃないの?」
「そこそこの値段しましたね。でも、抜群に美味しいですよ。ルビーイチゴのショートケーキです、どうぞ召し上がれ」
俺はまず、アラブレヒトから配膳した。
皆にも順に配膳していく。
「頂きます……うん、ルビーイチゴの美味しさが素晴らしいね。ケーキの部分も美味しいけど、もしかして食べ放題のケーキのお店に使うの?」
「実はそうなんだ。ケーキは女性で2個、男性で4個食べられる位が目安かな。目玉商品としてルビーイチゴのショートケーキを用意してみようかと思ってさ」
「ルビーイチゴのショートケーキ、人気が出ると思うよ? だって、銅貨6枚じゃルビーイチゴは食べられないんだからね」
「ルビーイチゴは2級品を仕入れるつもりなんだ。今日のは特別豪華だけど、本番は粒が小さめになっちゃうと思う」
アラブレヒトは、十分豪華だと笑った。
今日は一人2個用意してある。
「ハヤト、このケーキ最高に美味しいわ。クリームの甘さとイチゴの酸味が、とっても合うの」
「2個なんてペロリと食っちまうなあ。ケーキ食べ放題の店が出来たら、是非行きてえよ」
「イチゴの酸味と甘みがたまらないね。このケーキは間違いなく1番美味しいよ」
皆の評判も良くて、俺はほっとした。
持ち帰りの販売もするつもりなので、ルビーイチゴのショートケーキは銅貨6枚。
かなりの高値だ。
それでも売れると思っている。
俺は持ち帰り用のケーキ箱の見本を作り、小間物屋に注文した。
ホールケーキで誕生日を祝うのはどうか、とアラブレヒトに言うと、ホールケーキは高いから、貴族に売り込んだらどうかと言われた。
翌日、ハインケルに会う約束を取り付ける事が出来たので、明日はアラブレヒトと一緒に町長宅へ向かう。
俺は誕生日ケーキに似合いそうな細身の小さな蝋燭を買い揃え、準備した。
夕食は餃子だった。
パリッとした皮と肉汁たっぷりの中身がエールにとてもよく合う。
俺は飲んで食べて、満腹になった後、自宅に帰った。
翌日出社した俺は、アラブレヒトと一緒に町長宅へ来ていた。
応接室で紅茶を飲んでいた所に、ハインケルがやってきた。
「この間はありがとう、ハヤト。第三王子殿下からお礼状も届いている。今日はどうしたんだい?」
「実は売っていただくルビーイチゴで、ケーキ屋の食べ放題の店をやろうかと思っているんです。それと持ち帰りでケーキを売るんですが、ホールケーキは高額で庶民には手が出ません」
「ハヤトの故郷には誕生日にホールケーキでお祝いする習慣があったそうです。そこで、貴族の方に試しに誕生日にケーキを使っていただけないかと思い、今日は訪れました」
「いいよ。ダイアナ嬢の誕生日が近いからケーキを使ってあげる。来月の10日だよ。ルビーイチゴのケーキだね?」
「はい。ルビーイチゴのショートケーキになります。年の数だけ蝋燭を立てて、当事者に吹き消して頂くと、より雰囲気が出るかと思います」
「へえ。心憎い演出だね。楽団の演奏も合わせるともっと良さそうだ。8歳のレディだから、演出に喜びそうだよ。雰囲気を掴みたいから、今日これから作ってくれるかい?」
「うん、わかったよ」
「アラブレヒトは俺とポーカーだ。今日こそお前に勝ってやるぞ」
仲よさげな二人を見つつ、俺はキッチンに入った。
メイドさんと侍従に、誕生日の歌を伝授。
炎を吹き消すハインケルのタイミングについても話し合った。
スポンジケーキを焼き、ホイップクリームを泡立てる。
イチゴをスライスして、飾り金口を準備する。
スポンジにホイップクリームを塗り、イチゴを乗せていく。
全体をホイップクリームで白く塗り、側面に砕いたナッツをぱらぱらと乗せる。
上部をホイップクリームでデコレーションして、ルビーイチゴを飾る。
「よぉし、完成です」
「その飾り金口、面白いな」
「小間物屋に作って貰いました。こうしてデコレーションすると、より美味しそうに見えませんか?」
「ああ、いいな。クリームを絞り出す料理の時に、使ってみる。それで、ケーキは蝋燭を立てるんだろう?」
「はい。ハインケルは18歳なので、太いのを1本と小さくて細いものを8本刺します」
「よし、刺してみよう」
俺達はそっとケーキに蝋燭を刺した。
「これに火がつくわけだな」
「はい。蝋燭は火を吹き消した後、速やかに抜きます。そして切り分けて、配膳します」
「よしわかった。歌を俺も歌うからもういっぺん歌ってくれ」
「ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデーディアハインケル~、ハッピバースデートゥユー……ここで拍手して、吹き消す感じですね」
「よし。料理人総出で歌おう。いっせーのーせ!」
「「ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデーディアハインケル~、ハッピバースデートゥユー」」
「完璧です、料理長!」
「よし、まかないを食って、本番に臨むぞ!」
まかないはグレイトボアのステーキとバケットだった。
美味しくいただいた後は、俺もポーカーに混ぜて貰った。
「ツーペア!」
「フルハウス!」
「フラッシュ!」
「また負けたぞ。アラブレヒトはカードの申し子だな」
ハインケルはとっても悔しそう。
その後ポーカーは白熱し、ハインケルはストレートフラッシュを出したが、ロイヤルストレートフラッシュを出したアラブレヒトに敗れた。
俺はフルハウスがせいぜいで、勝てる気がしない。
そして、待ち望んだ茶会の時間がきた。
疲れていそうなので、シュークリームを2つ盆に乗せ、紅茶と共に配膳する。
「第三王子殿下はお帰りになったよ。わたあめ製造機も持ち帰られた。んう、このおやつ美味しいね。クリームが柔らかくて、外の皮がパリッとしていて、とても美味しいよ」
アラブレヒトは2つめのシュークリームにかぶりついた。
「それでね、ハヤト。わたあめとお好み焼きは王都で屋台を出すから、こっちでは出せなくなる。レシピを買い上げて行かれたよ」
「うん、そうだと思ったから大丈夫だよ。今は俺、焼き肉食べ放題の店を手掛けているんだ」
俺は焼き肉食べ放題の店の構想を、アラブレヒトに話して聞かせた。
「炭火で自分で肉を焼くのかい。そりゃあ愉快だね。一時間でどれだけ食べられるのか、俺も興味があるよ」
「食べ放題って良い響きだろう。ゆくゆくは、しゃぶしゃぶ食べ放題店や、ケーキ食べ放題店も作りたいんだ」
「夢は広がるね。焼き肉は需要があるよ。特に冒険者は、肉を欲しているしね。たくさん食べる人もいそうだよ。そういう時は、どうするの?」
「普通に祝福するかな。たくさん食べる人も笑顔に出来るような店にしたい」
「ふふっ、ハヤトらしいよ。あっ、第三王子殿下はポーカーが気に入ったそうで、宮廷画家にカードを描かせるって息巻いていたよ。今度会ったら勝負しよう、だってさ」
俺、ポーカー強くないけど良いのかな。
また会うことがあったらだし、大丈夫か。
夕食は皆でピリ辛ホルモン鍋をつついた。
アラブレヒトは麺類を向こう5年分位売ってきたそうで、ニコニコしていた。
家に帰ると、リカルドがいる。
この幸せを俺は満喫していた。
「リカルド、ただいま!」
「お帰り、ハヤト」
コタツでリラックスしているリカルドにチュッとキスをして、俺もコタツに座る。
ミカンを剥きながら、リカルドの今日の戦績を聞く。
今日は4勝2敗。
リクドーはやはり強いそうだ。
ルナウド騎士団長も負けていない。
レースとしては凄く面白いんだって。
「そろそろ雪が深くなってくる。吹雪の日は休めるようにしておけよ。競いハヌーンも吹雪の日は休みだ」
「わかった。今日もちらほら雪降ってたけど、体調は大丈夫?」
「バッチリだぜ。雪なんぞに負けやしねえ」
リカルドは元気いっぱいだ。
俺は安心して頬を緩めた。
それから3週間が経った。
吹雪の日もあり、俺は淫紋を使ってリカルドとイチャイチャして過ごした。
焼き肉屋カルビも開店し、連日行列が出来るくらい好評だ。
どうやら常連の冒険者が多数いるらしい。
リカルドも競いハヌーンの後、何度か利用しているそうだ。
それだけ、肉には魅力があるとリカルドは語っていた。
リカルドは明後日出立である。
俺はキャラメルとチョコレートを山ほど用意して、リカルドの荷物に入れた。
三日はあっという間だった。
昨日は腰が痛くなるほどセックスした。
俺は暖かい冬が過ごせて幸せだ。
リカルドはチュッとキスをして、旅立っていった。
支店に出社すると、アラブレヒトが帳簿をつけていた。
「おはよう、アラブレヒト。リカルドは今日旅立ったよ」
「そうか。次に帰ってくるのは二ヶ月後か。ハヤトは寂しいね」
「うん。寂しいけれど、今回は一カ月も一緒にいられたし、幸せだった。二ヶ月位、耐えて見せるよ」
アラブレヒトは優しい眼差しで俺を見つめた。
「焼き肉屋カルビも大人気だし、次の店を手掛けてもいいんじゃないか?」
「わかった。まず今日の昼ご飯にしゃぶしゃぶを体験してみてほしい。しゃぶしゃぶって、お湯に肉をくぐらせて火を通すんだ」
「へええ。珍しい食べ方だね」
「ポン酢かごまだれを選んで、タレにつけて食べるんだ。故郷じゃ結構人気があったけど、どうかな」
俺は肉の準備をする為、キッチンに入った。
たくさん肉を用意して、きのこや水菜や豆腐なども準備する。
鍋にお湯を沸かして、卓上コンロに火を灯す。
ぐらぐら煮える鍋を前に、アラブレヒトから肉をお湯にくぐらせ始めた。
そしてポン酢で、食べる!
「お肉がさっぱり食べれていいね。焼き肉とは違った感覚だ。ふむ、ごまだれも美味しいね」
アラブレヒトは次々しゃぶしゃぶしていく。
お箸の使い方も慣れたもんだ。
「ただ、お箸じゃないと、しゃぶしゃぶし辛いんだよね。フォークで突き刺しても出来なくはないんだけど……」
「時間外の時に説明しておくといいよ。結構簡単に、お箸の使い方は覚えられると思うよ」
「わかった。そうしてみるね」
俺も皆と一緒にしゃぶしゃぶする。
水菜と豆腐もうまい!
お肉はごまだれが好みだ。
「これ、しゃぶしゃぶするのも楽しいぜ。肉をたっぷり食えるし、野菜も食べれる」
「私はごまだれが好きよ。お肉がより美味しくなるわ。お肉がたっぷり食べれていいわね」
「うまいっ! 俺はポン酢でさっぱり食いてえ。肉がどんどん食える」
皆、どんどんしゃぶしゃぶしていき、美味しくお肉を食べる。
評判も良いみたいだし、やっちゃうか、しゃぶしゃぶ屋ハズキ。
食後、後片付けを終えた俺は、不動産屋へやってきた。
すぐに良さげな物件を紹介してもらい、大通りの裏の物件を買った。
建築ギルドにリフォームの注文をして、商業ギルドへ行く。
8人求人を出した。
4人ずつ、キッチン担当、カウンター担当である。
俺は支店に戻って、面接希望者を待った。
待っている間は暇なので、メリッサさんの手伝いをする。
良き時間になったらキッチンに入り、スポンジケーキを焼いた。
ツノが立つくらい泡立てたホイップクリームでデコレーションし、中にルビーイチゴを詰め込む。
外側側面には砕いたナッツを散らし、上部は飾り金口でデコレーションする。
仕上げにルビーイチゴをトッピングすれば、ショートケーキの完成だ。
「うわあ、ルビーイチゴのケーキじゃない。高かったんじゃないの?」
「そこそこの値段しましたね。でも、抜群に美味しいですよ。ルビーイチゴのショートケーキです、どうぞ召し上がれ」
俺はまず、アラブレヒトから配膳した。
皆にも順に配膳していく。
「頂きます……うん、ルビーイチゴの美味しさが素晴らしいね。ケーキの部分も美味しいけど、もしかして食べ放題のケーキのお店に使うの?」
「実はそうなんだ。ケーキは女性で2個、男性で4個食べられる位が目安かな。目玉商品としてルビーイチゴのショートケーキを用意してみようかと思ってさ」
「ルビーイチゴのショートケーキ、人気が出ると思うよ? だって、銅貨6枚じゃルビーイチゴは食べられないんだからね」
「ルビーイチゴは2級品を仕入れるつもりなんだ。今日のは特別豪華だけど、本番は粒が小さめになっちゃうと思う」
アラブレヒトは、十分豪華だと笑った。
今日は一人2個用意してある。
「ハヤト、このケーキ最高に美味しいわ。クリームの甘さとイチゴの酸味が、とっても合うの」
「2個なんてペロリと食っちまうなあ。ケーキ食べ放題の店が出来たら、是非行きてえよ」
「イチゴの酸味と甘みがたまらないね。このケーキは間違いなく1番美味しいよ」
皆の評判も良くて、俺はほっとした。
持ち帰りの販売もするつもりなので、ルビーイチゴのショートケーキは銅貨6枚。
かなりの高値だ。
それでも売れると思っている。
俺は持ち帰り用のケーキ箱の見本を作り、小間物屋に注文した。
ホールケーキで誕生日を祝うのはどうか、とアラブレヒトに言うと、ホールケーキは高いから、貴族に売り込んだらどうかと言われた。
翌日、ハインケルに会う約束を取り付ける事が出来たので、明日はアラブレヒトと一緒に町長宅へ向かう。
俺は誕生日ケーキに似合いそうな細身の小さな蝋燭を買い揃え、準備した。
夕食は餃子だった。
パリッとした皮と肉汁たっぷりの中身がエールにとてもよく合う。
俺は飲んで食べて、満腹になった後、自宅に帰った。
翌日出社した俺は、アラブレヒトと一緒に町長宅へ来ていた。
応接室で紅茶を飲んでいた所に、ハインケルがやってきた。
「この間はありがとう、ハヤト。第三王子殿下からお礼状も届いている。今日はどうしたんだい?」
「実は売っていただくルビーイチゴで、ケーキ屋の食べ放題の店をやろうかと思っているんです。それと持ち帰りでケーキを売るんですが、ホールケーキは高額で庶民には手が出ません」
「ハヤトの故郷には誕生日にホールケーキでお祝いする習慣があったそうです。そこで、貴族の方に試しに誕生日にケーキを使っていただけないかと思い、今日は訪れました」
「いいよ。ダイアナ嬢の誕生日が近いからケーキを使ってあげる。来月の10日だよ。ルビーイチゴのケーキだね?」
「はい。ルビーイチゴのショートケーキになります。年の数だけ蝋燭を立てて、当事者に吹き消して頂くと、より雰囲気が出るかと思います」
「へえ。心憎い演出だね。楽団の演奏も合わせるともっと良さそうだ。8歳のレディだから、演出に喜びそうだよ。雰囲気を掴みたいから、今日これから作ってくれるかい?」
「うん、わかったよ」
「アラブレヒトは俺とポーカーだ。今日こそお前に勝ってやるぞ」
仲よさげな二人を見つつ、俺はキッチンに入った。
メイドさんと侍従に、誕生日の歌を伝授。
炎を吹き消すハインケルのタイミングについても話し合った。
スポンジケーキを焼き、ホイップクリームを泡立てる。
イチゴをスライスして、飾り金口を準備する。
スポンジにホイップクリームを塗り、イチゴを乗せていく。
全体をホイップクリームで白く塗り、側面に砕いたナッツをぱらぱらと乗せる。
上部をホイップクリームでデコレーションして、ルビーイチゴを飾る。
「よぉし、完成です」
「その飾り金口、面白いな」
「小間物屋に作って貰いました。こうしてデコレーションすると、より美味しそうに見えませんか?」
「ああ、いいな。クリームを絞り出す料理の時に、使ってみる。それで、ケーキは蝋燭を立てるんだろう?」
「はい。ハインケルは18歳なので、太いのを1本と小さくて細いものを8本刺します」
「よし、刺してみよう」
俺達はそっとケーキに蝋燭を刺した。
「これに火がつくわけだな」
「はい。蝋燭は火を吹き消した後、速やかに抜きます。そして切り分けて、配膳します」
「よしわかった。歌を俺も歌うからもういっぺん歌ってくれ」
「ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデーディアハインケル~、ハッピバースデートゥユー……ここで拍手して、吹き消す感じですね」
「よし。料理人総出で歌おう。いっせーのーせ!」
「「ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデーディアハインケル~、ハッピバースデートゥユー」」
「完璧です、料理長!」
「よし、まかないを食って、本番に臨むぞ!」
まかないはグレイトボアのステーキとバケットだった。
美味しくいただいた後は、俺もポーカーに混ぜて貰った。
「ツーペア!」
「フルハウス!」
「フラッシュ!」
「また負けたぞ。アラブレヒトはカードの申し子だな」
ハインケルはとっても悔しそう。
その後ポーカーは白熱し、ハインケルはストレートフラッシュを出したが、ロイヤルストレートフラッシュを出したアラブレヒトに敗れた。
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