異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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食べ放題のお店

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「そろそろ茶の時間だな。勝負はここまでだ、アラブレヒト。また戦う日を楽しみにしているぞ」
 
 俺達は食堂に移動した。
 そこには町長夫妻の姿もあった。
 まずメイドさんが紅茶を入れて下がる。

「ハインケル、新しい趣向の誕生日ケーキですって? わたくしも見届けるわ」

「私も興味があるよ、ハインケル。それにハヤトの作ったケーキが気になってね」

「父上、母上。ではケーキを運ばせます」

 すると侍従がランプを消して、部屋を暗くした。
 そこへ9つの炎が揺らめくケーキが運ばれてくる。

「さんはいっ」

「ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデートゥユー、ハッピバースデーディアハインケル~」

 ケーキがハインケルの前に置かれた。

「ハッピバースデートゥユー! おめでとうございます、ハインケル様! さあ、炎を吹き消して下さい!」

 ふーっ!
 綺麗に炎は消えた。
 パチパチパチパチ!
 拍手の音と共に、部屋の明かりが灯る。

「これは……新鮮な気持ちだよ。蝋燭の火を吹き消すのはいいね。誕生日の当事者って感じがする」

「ハインケル、これは素敵な催しね。歌はもっと長くても良いわ。楽団に音楽をつけて貰いましょう」

「ケーキに揺らめく炎が幻想的で良かったよ。部屋を暗くしたのも良かった。ダイアナ嬢も喜ぶだろう」

 ハインケルと、町長夫妻の演出に対する反応は良かった。
 さて、料理長が切り分けたケーキを配膳されて、いざケーキを実食!

「まあ、美味しい。ルビーイチゴが美味しいのは当然として、このケーキも美味しいわ。クリームが蕩けるようね」

「ふむ。酸味があるから甘過ぎず食べやすい。蝋燭の穴が開いていたのも気にならないな」

「本当に美味しいね。1カットだけだと物足りないかもしれない。ケーキは3台程買っていくことにしよう」

 町長夫妻とハインケルから高評価が貰えた。

「ハヤト。ケーキの食べ放題の店が出来たら、俺もプレオープンに呼んで貰えないか?」

「勿論良いよ。じゃあ、招待状を送るね」

「待っているよ。ふふ、俺は結構甘いもの好きなのさ」

 ハインケルは輝く笑顔でケーキをペロリと食べた。
 料理長がすかさず2個目のケーキを配膳する。
 それを美味しそうに食べるハインケルを見ながら、俺は紅茶のおかわりを飲んだ。

 ケーキの御披露目がうまくいき、俺とアラブレヒトは支店に戻ってきた。

「あっ、ハヤト。面接希望者が8名来たから面接しておいたわ。全員採用よ」

「ありがとうございます、メリッサさん」

「お店が出来たら呼ぶって言ってあるから、宜しくね」

 しゃぶしゃぶ屋ハズキはお店が出来上がるのを待つばかりだ。
 俺はケーキ屋の内装などを絵に書いていく。
 小さな子供用の椅子も発注しなくちゃな。
 ケーキ屋はこだわりたいので、細部まで絵に描いた。

 夜ご飯は、すき焼き。
 たっぷりのお肉を卵につけて食べた。
 野菜ときのこ、豆腐も食べた。
 寒い冬にあったまるメニューで、美味しかった。

 食後は一人の家に帰る。
 寂しいけど、しょうがない。
 俺はゆっくり湯船に浸かった。




 それから、一カ月が過ぎた。
 しゃぶしゃぶ屋ハズキは食べ放題の2店舗目とのことで、結構冒険者が来ている。
 人気は焼き肉屋カルビの方が高いが、しゃぶしゃぶも常連が増えている。
 野菜がたっぷり用意されている為か、女性客も多い。

 どっちの店でも、肉を20皿以上食べるような凄い胃袋の持ち主は、2人程しか現れていない。
 これなら十分運営していけるので、安心している。

 ケーキ屋ツバキも開店した。
 ルビーイチゴのショートケーキは瞬く間に人気になり、持ち帰りで買っていくお客さんも珍しくない。

 ハインケルが言っていたダイアナ嬢の誕生日バーティの誕生日ケーキは、演出効果で大成功!
 ふうーっと炎を吹き消したダイアナ嬢は、終始ニコニコしていたそうだ。

 そこから貴族の注文も入り始め、ホールケーキの注文は一日6台出る日もある。
 食べ放題はお客さんに大変好評で、次の店への期待も大きい。

 俺は、プレオープンでケーキ6個とプリン1個を食べたハインケルを思い出した。
 良い笑顔だったな、気さくな貴族だ。

 今は、次の食べ放題の店をどうするか、アラブレヒトと悩んでいる。
 候補は、串カツと焼き鳥。
 どっちもエールが合うお酒のおつまみになる。
 勿論、ご飯にも合う。

「ハヤト、どっちも作ろうか。食べ放題の店については、新聞にも載ったそうだよ。食べ放題っていう新しい店のあり方が注目されているんだ」

「うん、わかった。両方作るよ。串カツ屋ヤナギと、焼き鳥屋ピッピ。きっとお客さんも来てくれる。そう信じてるよ」

 俺は不動産屋で2店舗買い取り、建築ギルドにリフォームを頼んだ。
 両方庶民的な雰囲気で作って貰えるように頼んだ。

 一週間後、両方のお店がオープンして数日が経った。
 串カツ屋も焼き鳥屋もお客さんが結構入っている。
 依然と人気が高いのは焼き肉屋カルビだが、他の食べ放題のお店も負けてはいない。
 串カツ屋ヤナギも焼き鳥屋ピッピも、昼時は行列が出来る。

 アラブレヒトは俺に難題をつきつけた。

「ハインケルが食べ放題に興味津々でね。焼き肉屋カルビもしゃぶしゃぶ屋ハズキも、串カツ屋ヤナギも焼き鳥屋ピッピも行ったそうなんだ。ケーキ屋ツバキでも楽しそうにしてたろ? もっと作ったらいいと言い出した。しかも単価の高いブラウンカウの肉を使えってさ」

「ブラウンカウって生でも食べれる高級肉だよね。銅貨6枚じゃ厳しそうだよ」

「それが、食べ放題店に限り、仕入れ値を下げるそうなんだ。この町ならではの店ということで、予算がおりるらしい」

「じゃあ、豪勢にステーキといこうじゃないか。ステーキ屋ジーンにしよう。レア、ミディアム、ウエルダン。焼き具合を選べるステーキ屋だ。きっとたくさんお客さんが来るよ」

 俺はまず店舗を確保するため、不動産屋を訪れた。
 最近物件買いすぎだけど、空いている物件あるかな? と思ったらあった。
 大通りから一本左にいった所だ。
 俺は物件を買い上げ、建築ギルドにリフォームを依頼した。

 それから5日後、今日はステーキ屋ジーンのプレオープンである。
 今日はハインケルと町長夫妻もやってくる。
 店員は気合いバッチリだし、俺は礼服だ。

 やがてやってきたのは、冒険者ギルドのギルド長と友人の方々だった。

「今日はお越しいただきありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」

「ブラウンカウのステーキが銅貨6枚で食べ放題とあっちゃ、冒険者は特に食いに来るぞ!」

「お客さんが来てくれたら、嬉しいです。どうぞいっぱいおかわりして下さいね」

 ギルド長はにやりと笑った。
 今日は特に食う奴を連れてきたそうで、皆目がギラギラしていた。

 それから、サンラクさんとご友人、アラブレヒトとご友人がやってきた。
 俺は順番に挨拶をした。

 そして料理ギルドの6人がやってきた。

「良い店じゃないか、ハヤト。食べ放題を楽しめるほどは食えないが、楽しませて貰うぞ」

「はい。ごゆっくりお過ごし下さい」

 そして、とうとう町長一家がやってきた。

「やあ。雰囲気の良い店じゃないか。ゆっくり楽しませて貰うよ」

「うん。どうぞごゆっくり」

 今日も気さくな貴族、ハインケルはレアを注文していた。

 これで全員揃ったな。
 俺はキッチンに入り、キビキビと働くカウンター担当を見守った。

 俺は6枚もおかわりしたという冒険者を連れたギルド長を見送り、3枚食べたというアラブレヒトを見送り、1枚食べたというサンラクさんと料理ギルドの面々を見送った。

「ステーキソースは玉ねぎベースだね。とても美味しかったよ。俺も父上も、2枚もおかわりしたよ。焼き加減が選べるだけで、印象が異なるね。ブラウンカウの美味しさがこれで広まると、もっといいね」

「そうだね。ブラウンカウは高級肉だから、なかなか手が出づらい。でも美味しいお肉だって、周知は出来そうだよ」

「うん。また新しい店を作ったら、俺も呼んで欲しい。予定はあるのかい?」

「次はね、食べ放題ではない、ハンバーグ屋を作ろうと思ってるんだ」

「いいね。ハヤトの手掛ける店はどこも美味しいよ。招待、楽しみにしているね」

 町長一家はにこやかに去っていった。
 見送った俺はほっと息を吐き出した。

 まかないのステーキをご飯で食べて、お肉はおかわりする。
 従業員もおかわり自由だ。
 ご飯とバケットは選べるし、スープもつく。
 これで銅貨6枚は破格だろう。

 カウンター担当もステーキを美味しそうに食べている。
 俺は頬を緩め、デザートのプリンを頬張った。



 それから、一ヶ月が過ぎた。
 リカルドはいつ帰って来ても、おかしくない。
 俺は毎日リカルドの無事を祈って眠りにつく。

 ハンバーグ屋トロピカルは、色んなトッピングが楽しめる店だ。
 一番人気はチーズハンバーグ。
 大根おろしハンバーグも人気がある。
 各種揚げ物も選べるし、バケットとご飯は選べる。
 卵スープがついて、銅貨5枚+トッピングのお値段だ。

 お肉料理屋が続いたから、次は爽やかなお店を作りたい。
 そんな俺が着手したのは、流しそうめん屋ホタルだった。
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