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そなたよ、この世にあるもの全てが新しく輝かしいものであるとは限らぬ。
時の流れと共に色褪せたり傷ついたりするものもある。
しかし、それゆえにそれらは独特の美しさを放つのだ。
古き良き時代の品々には、人々の想いや歴史が刻み込まれている。
それらを手に取り、心に留めることができる者は、幸福な人生を歩むことができるだろう。
戦争に巻き込まれ、私は右手左足を失った。無慈悲な戦争は、私の身体に深い傷跡を残し、私の人生を永遠に変えた。私はかつての自分のようには動けず、日々の生活においても多くの苦しみを抱えていた。
失われた手は、私の人生に対する深い悲しみとともに、不確実性と孤独をもたらした。私は自分がどのように生きていくかを知らず、未来に対する不安と恐怖に取り囲まれていた。
戦争は何を生んだのだろうか。
戦争終結後、誰もが考えることである。何人もの人が問うてきた問いである。
何度同じことを自問しようとも、誰が答えようとも答えは一択しかない。
そもそも戦争は何も生まないのである。
綺麗事であっても、それが事実なのだ。
敗戦国であるメーデー国は、多額の借金を背負わされ、多くの土地を植民地化され、多くの負傷した兵士たちを抱えることとなった。
まるで宝石のように輝き、町中には人々が行き交う。太陽の光が街を照らし、建物のガラス窓から差し込んでいた…
そんなかつての心が踊るような街はもう無くなってしまった。
貴方はまだ、居るのだろうか。
黒い雨に汚されたこの街に。
私を待っていてくれているのだろうか。
変わらずに、あの店で。
待っていてほしくはないな。私は変わってしまった。失ってしまった。
このまま貴方と生きていくことはできない。きっと迷惑をかけてしまう。
優しい貴方はきっと笑顔で迎えてくれるだろう。それが、一番辛い。この先、自分のせいで無理をさせてしまうのが目に見えている。
でも最後に一回だけ会いたいなぁ。この傷なら、きっとすぐ死んでしまうだろうし、残りの時間を貴方と過ごしたい。我儘だけど、最後のお願い。
これから私は色褪せたまま、壊れたまま、
貴方にはいつまでも陽の元を歩いていって欲しいと願ってる。
愛してるよレイ、明日になれば、バイバイしなくちゃいけない私だ
灰になりそうなまどろむ街を貴方と共に、置いていくことを許して欲しい。
時の流れと共に色褪せたり傷ついたりするものもある。
しかし、それゆえにそれらは独特の美しさを放つのだ。
古き良き時代の品々には、人々の想いや歴史が刻み込まれている。
それらを手に取り、心に留めることができる者は、幸福な人生を歩むことができるだろう。
戦争に巻き込まれ、私は右手左足を失った。無慈悲な戦争は、私の身体に深い傷跡を残し、私の人生を永遠に変えた。私はかつての自分のようには動けず、日々の生活においても多くの苦しみを抱えていた。
失われた手は、私の人生に対する深い悲しみとともに、不確実性と孤独をもたらした。私は自分がどのように生きていくかを知らず、未来に対する不安と恐怖に取り囲まれていた。
戦争は何を生んだのだろうか。
戦争終結後、誰もが考えることである。何人もの人が問うてきた問いである。
何度同じことを自問しようとも、誰が答えようとも答えは一択しかない。
そもそも戦争は何も生まないのである。
綺麗事であっても、それが事実なのだ。
敗戦国であるメーデー国は、多額の借金を背負わされ、多くの土地を植民地化され、多くの負傷した兵士たちを抱えることとなった。
まるで宝石のように輝き、町中には人々が行き交う。太陽の光が街を照らし、建物のガラス窓から差し込んでいた…
そんなかつての心が踊るような街はもう無くなってしまった。
貴方はまだ、居るのだろうか。
黒い雨に汚されたこの街に。
私を待っていてくれているのだろうか。
変わらずに、あの店で。
待っていてほしくはないな。私は変わってしまった。失ってしまった。
このまま貴方と生きていくことはできない。きっと迷惑をかけてしまう。
優しい貴方はきっと笑顔で迎えてくれるだろう。それが、一番辛い。この先、自分のせいで無理をさせてしまうのが目に見えている。
でも最後に一回だけ会いたいなぁ。この傷なら、きっとすぐ死んでしまうだろうし、残りの時間を貴方と過ごしたい。我儘だけど、最後のお願い。
これから私は色褪せたまま、壊れたまま、
貴方にはいつまでも陽の元を歩いていって欲しいと願ってる。
愛してるよレイ、明日になれば、バイバイしなくちゃいけない私だ
灰になりそうなまどろむ街を貴方と共に、置いていくことを許して欲しい。
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