秘密の花園エッセンス 〜異能青年は花嫁と踊る〜

文月・F・アキオ

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第1章 二人の婚約

王宮の舞踏会 v(Selina)※※

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 ウィリアムが私の手を取って、そっと彼の大事な部分にあてがった。そこは熱く固くなっていて……とても窮屈そうな感じになっている。自分ばかりで申し訳ないなと思いつつ、ウィリアムがそうなってしまったことが嬉しい私は、彼にベルトを外してもらい、着衣の前を寛がせて……元気に上を向くそれを取り出した。

 ウィリアムの大切な身体の一部である――それは私にとっても同様で、いつか夫婦になれた時、自分の身体に受け入れて愛せることを、密かに楽しみにしているのだった。恥ずかしすぎてそんなこと、とても本人には言えないけれど……もしかしたらウィリアムは気づいているのかもしれない。ついさっき、見られたり触れられたりすると嬉しいと話していたように……私がいつも物欲しそうに眺めているのを感じていたのかもしれなかった。

 なんとなく彼も期待しているように見えるのは、私のただの願望だろうか。足を閉じ、半分寝そべっていた身体を起き上がらせる私を見つめるだけで、止めようとしないウィリアム。やはり彼も望んでいるのだ……そのことが嬉しくて、じわりと幸せな気持ちが湧き出てくる。

 いつかこういう事を誰に憚ることなく出来るようになった時、信頼の置ける年長者たちに尋ねてみたい――どうすれば男性を気持ち良くすることができるのかを。
 もちろん自分で探す努力を怠るつもりはないが、何をしてもウィリアムは気持ちが良いと言うばかりなので……本当のところを知りたいのだ。
 できれば私がいつも彼にしてもらうのと同じくらいの快感を与えたい。私だって彼を満たしてあげたいし、身悶えるような声を聞いてみたいのだ。



 そうして始めた彼への愛撫は、多少は効果があるようで……ウィリアムがうっとりとした視線で見つめてくる。まるで視線で脱がされていくような感覚に、自分の身体までもが疼く。先程まで彼の指や舌を受け入れていた場所が、じんわりと潤うのを感じていた。
 ウィリアムの陰茎それは充血した肌のような色合いで、時折ぴくっと反応を示しながら、ぬるぬるとした透明な液体を先端から滲ませる。それを両手に広げて撫でると滑りが良くなって、彼が好む速さの摩擦が叶うのだ……と、思われる。
 本当のところがどうなのかは分からない。判らないけれど、ウィリアムの息づかいが少し荒くなっているのを見る限り、そこそこ気持ちが良いのではと思っている。緩急をつけて摩擦を繰り返し、ぷっくりしたキノコのような形の先端にある穴を押して塞いだり、溝や段差を擦ったり……合間に彼に覆いかぶさって、ちゅくちゅくと唾液が交わるようなキスをした。


「……は。あぁ、リーナ……」

「ウィル……気持ちいい?」

「いいよ。もっと……して欲しい……」

 もっと速く、もっと強く……あるいはもっと別の気持ち良いことを――して欲しいとねだられることは、夢中であると言われているようで興奮する。そうするともっと大胆なことをしてみようとか、いつもと違うことをしてみようかとか色々と考える。
 ドレスの事情から胸を出すことは諦めて、立ち上がらせたウィリアムの前に座して顔を近付けて、舌でねっとりと拭き取るように下から上に舐め上げる。舐めながら視線でウィリアムを窺うと、食い入るように私のすることを見つめている……その瞳はいつもよりも暗めの色で煌いており、まるで獰猛な獣に舌舐めずりをされているような、ぞくぞくする狙われた感覚に包まれる。

 怖くて狂おしい感情……その不思議な欲求の名称呼び名を私はまだ知らなかった。

 舌を滑らせ唇で挟み、歯が触れないよう気をつけながら口内にそれを含む。熱くて太いウィリアムの陰茎が、口の中を占領して少し苦しい。
 けれども私は張り切って奉仕する。彼に気持ち良くなって欲しいから――





「リーナ…………リーナ、もう……っ」

 もういいよ、と彼は言いたいのかもしれない。でも私に止める気は全くなかった。ウィリアムだって同じことをしたのだから、私だってしても良いはずで。ちらりと上目づかいで覗いたウィリアムは、苦しげな表情で何かを堪えている……でも堪えきれずに腰が揺れている。
 さっきまでの私と同じ――ウィリアムも快感に抗えない状態になりつつあるのだということが分かって、俄然とやる気の増した私だった。

 ウィリアムだって〝もっとして欲しい〟と言っていた。限界が近いのだったら、その先までいって欲しい。いつも眺められて行為を受けてばかりの私だけど……私だってウィリアムの乱れる姿を眺めたいし、気持ちよくしてあげたい。夢中になっている時に漏れるこころよい声が聞きたい――愛して欲しいし、愛したい。

 成功確率は低くとも、私だってウィリアムをかせることが出来るのだと証明したかった。それが出来る唯一の女性おんなであると確信したいのだ。

 彼に触れていいのは私だけ――私だけが彼の心も体も満足させられる特別恋人でありたかった。


「ぅ……ぁ、あぁ……もぅ……出る…っ……ぅ――っ!」

 顎が痛くなるくらい頑張って舌と唇で扱くのを繰り返していると、ウィリアムのそれがビクビクと波打って、熱くて粘り気のある液体を私の口内奥に向かって勢いよく放った。
 少し苦くて青草のような匂いがするそれを、私は何度かに分けて飲み下す。

 なぜそんなことをするのかと彼はいつも問うけれど、私はウィリアムと同じことをしているに過ぎない。
 それにウィリアムは気付いていないのかもしれないけれど、呆れつつも照れた表情の彼は嬉しそうに見える。滅多にないそんな可愛い照れ顔を見られるのなら、少しくらい飲み込みにくくても頑張れるというものだ。





 いつからこの行為をするようになったのか、今となってははっきりと思い出すことも難しい。けれど、初めはただの好奇心だった。書物かなにかで男女の造りが違うことを知り、実際に確かめ合ったのが始まりだったと思う。
 話しているうちにウィルが私の隠された場所に何があるのかを知りたがって、私が〝旦那様にしか見せてはいけないものなのよ〟と答えたら、将来そうなるのだから問題ないと指摘され〝それもそうね〟と納得してしまった……
 今思えばなんて馬鹿なことをしてしまったのかと思わなくもないけれど、相手がウィリアムなら遅かれ早かれこうなっていた気がする。

 女の子の性器を初めて見た彼は自分との違いに驚いて、その反応に好奇心を刺激された私も男の子の体を見せてもらって驚いた。男と女では全然違う場所がある……そのことに気付いてからその場所の持つ役割に気付くまで、それほど時間はかからなかった。
 まだ胸が未発達だった頃、感じるのは陰部だけだった。お互いに触れると何となく気持ちよくなれるので、二人きりになるとよくそこを弄って遊んでいた。あの頃はまだ性的な欲望も、愛すらも自覚しておらず、純粋な興味本位で始まった愛撫に、いつからか私たちは虜になっていった。

 嫉妬を知り、独占欲を知り、口付けを知って、愛を自覚した。
 そのうち、愛と欲望が密接な関係にあることを知り、それが結びつくことを結婚と呼ぶのだと知った。愛することと愛されることで満たされる〝幸せ〟を知り、相手の喜ぶことを知ってそれを行動に移すことが〝自分の幸せ〟になっていた。自分がされて嬉しいことを相手にもすることで、ますます愛が深まった。

 早くに知りすぎたせいで、もう後戻り出来ないところまで来ている私たちだけれど……それを後悔したことは一度もない。今はウィリアムが他の女の人に興味を持ってその相手の体に触れるなんて嫌だと思うし、最初に〝見たい〟と頼んできたのが私で本当に良かったと思う。私も、今はウィリアム以外の男の人となんて考えられないし、初めて知った男性が彼で、この先も彼だけがいいと思う。

 情事と呼ばれる二人だけの秘め事は、今はまだ時期尚早で褒められた行為ではないけれど、それもあともう少し……
 私にとってこの行為は愛情確認と愛情表現の手段で――ウィリアムとの確かな繋がりを感じて、喜びと安らぎに浸れる特別な癒やし行為だった。



 恍惚とした表情で私を見下ろすウィリアム――なんて満たされる光景だろうか――を眺めながら、珍しくそんな考えにふけっていた。
 こんなふうに溢れるほどの〝好き〟や〝欲しい〟という感情を向けられて、嬉しく思わない人はいない。

 彼は昔からずっと側にいてくれて、私はこんなに一途に思われている。とても幸運で、この国一番の幸せ者かもしれない。


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