秘密の花園エッセンス 〜異能青年は花嫁と踊る〜

文月・F・アキオ

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第1章 二人の婚約

王宮の舞踏会 iv(William)※※

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 念のため鍵を掛けておいて正解だったかもしれない。あらかじめ能力で無人を確認した場所であるだけに、全く何も期待しなかったわけではないが……明らかな疲れが出始めていたセリーナを、純粋に休ませてあげたいと考えていたのは本当だ。
 ただほんの少し、二人きりになれる事への期待が潜んでいただけで……実際に何かをするつもりは無かったんだ。ほんの数秒前までは――

 セリーナの瞳が濡れて光っている。

 泣いているわけでは無いのだが、時々セリーナはこうなる時がある。夜の光がそうさせるのか、気分が高揚するとこうなるのか……理由は判らないが、一つだけ確かな事がある。
 それは、この瞳に見つめられると物凄く……そういう気分になるのだ。セリーナにそのつもりは無いのだろうが、誘われているような、何かをねだられているような心地になって、それに応えてみたくなる。
 気がつくと触れていた……というような無意識の行動に出てしまったことは、一度や二度ではない。

 それが僕に限ったことではなくて、他の男でも陥る現象なのかもしれないと思うと堪らない。とても心配だし、もしもセリーナが誰かに捕まるようなことになったら……そう思うだけで冷静でいられない。万が一本当にそんなことが起こったとしたら、自分が何をしでかすか判らなかった。

 部屋の中央に備え付けられた無駄にでかい長椅子ソファーに並んで腰掛けながら、セリーナをじっと見つめる。すると、同じように僕を見返していたセリーナが不意に視線を逸らして、わずかに頬を染まらせた。


(可愛い……)

 今さら何を照れる必要があるのだろうか。僕たちはもう何年も前からお互いの大事な部分心の奥深くをさらけ出し、比喩ではなく触れ合ってきたのに。もっと恥ずかしいことを――許されるギリギリまでの事をしてきたのに。
 なのに見つめ合っただけで照れてしまう彼女が可愛くて、僕に見られて恥じらう様子が愛しくて……僕はもう締め付けられるような堪らない気持ちになった。



「リーナ……」

 意識してひっそりと耳元に囁くと、セリーナがこちらに視線を戻し……ゆっくりと瞼を閉じていく。彼女も同じ気持ちでいてくれているのを実感して、迷わずその唇に口付けた。鼓動が無意識に速まった。

 可愛い僕のセリーナは、今日は口紅を付けているせいか、いつもと少し味が違う。だけど差し込んだ舌先に感じる彼女の内側の感触や温もり、唾液の味は変わらない。いつもと同じ、ぞくぞくとした興奮を呼ぶ味だ。
 しばらく舌を遊ばせて、慣れた頃に目的を持って刺激する。セリーナは上顎や舌の表面をくすぐられるのが好きらしく、小刻みに撫でてやると体を少し震わせて、縋るように身を寄せてくる。
 セリーナに腕を回されて、上半身を引き寄せられたことで先程よりも彼女の香りが強くなる。いつもの匂いに汗と香水が混ざっていて、どこか甘ったるいような、魅惑的な香りになっていた。こんな状態ではオスを惑わすばかりではないだろうか……現にこうして僕は惑わされている。

 ここが何処で、今は何をすべき時で、この先に何が待っているのかも十分に理解しているというのに……その全てがどうでもよくなるくらい、今この瞬間を味わい尽くしたい――それだけじゃなく、もっと興奮することがしたい。端的に言えば、交わりたい。早く最後まで結ばれたい……彼女が欲しくてたまらない。その顔をもっと歪ませたい。快感に喘ぐ声が聞きたい。感じている姿が見たい。


 ちょっとだけ。ほんの一寸だけでも良いから……そんな考えはすぐに塵と化すことくらい、もちろん僕は知っている。これはそう、ただの言い訳だ。彼女がイエスと言ってくれれば、限界ぎりぎりまで求めてしまう事くらい分かっている――解っていて、でも敢えて僕はセリーナに聞く。君に求めて欲しいから……それを実感したいがために、時には意地悪なことも尋ねてしまうのだ。
 それはもう、男の性みたいなものだから許して欲しい。

「リーナ……気持ち良いか?」
「……うん。すごく」
「もっとする……?」
「……ん、ウィルは……?」
「したいよ、すごく」
「私……」
「でもリーナが嫌ならしない。今日はこんな格好だし、止めとくか?」
「え、でも……あっ……」

 どうする?と問いかけながら、セリーナの胸にそっと触れる。二重三重に守られているのか、いつもよりも少し硬い。けど揉んでいるうちに何となく盛り上がってきた部分を押したり擦ったりしてやると、セリーナが小さく声を上げて身をよじった。

「……あっ、ウィル。や……」
「やめるか……?」

 と言いつつ止めるつもりのない僕は、遠慮なく彼女の体に触れ続ける。少し屈んでドレスの裾をめくり上げ、足首から脹ら脛をたどって太腿へ……外側から内側を掠めるように触れたあと、臀部に触れて割れ目をなぞり、近づきすぎる前にそこからそっと離れた。

「ぁっ、いや……」
「嫌なのか?」
「違うの……やめちゃうのがイヤなの……お願いウィル……もっと、して……」


 可愛い可愛い僕のセリーナは、顔を真っ赤にさせて嘆願する。濡れた瞳は本当に泣いたのかもしれない……そう思うくらいにうるうると揺れている。食べてしまいたいくらいに可愛い……というのはこういう事かと頭の一部が冷静に呟く。それ以外の大部分が言わせた台詞に快哉を叫び、同時に激しい欲望を抱く。
 セリーナがこんなことを言う子だと知るのは僕だけで、僕だけがセリーナにこんなことを言わせる事ができるのだと――そう思うことは何よりも僕を満足させ、さらなる興奮が頭の先から下半身までを駆け巡った。

 彼女の胸の先端をいじっていたもう片方の腕を下ろし、セリーナのドレスを大胆にめくり上げる。セリーナの華奢な下半身が露出して、倒錯的な光景に息を飲んだ。
 他人に見せてはいけない場所を見せること、常識的にもしてはいけない特別な行為ことをする事は、どうして心踊るのだろう。より深い愛情と信頼で繋がれているのを実感できる、素晴らしい行為それは様々な快感を伴う……中毒性のある薬のようだ――

 セリーナの片足をソファーの背もたれに乗せるように持ち上げて、足を開かせると今度はセリーナが息を飲んだ。

「ウィル……」
「……ん?」

 ドロワーズの隙間から手を入れて優しく触れると、そこはもう待ちきれないとばかりに濡れていた。セリーナが僕とのキスや愛撫に感じていた証拠だ。
 セリーナは比較的すぐに濡れてしまうことを恥じているようだけど、僕にしてみれば嬉しいばかりでちっとも恥ずべき事だとは思わない。むしろもっと乱れてみせて欲しいくらいだ。

 遠くない将来、セリーナと完全に結ばれたら……どんな気持ちになるのだろうか。

 きっと今以上に苦しくて、それ以上に幸せで、信じられないくらいに気持ちが良いのだろう。今でさえ、こんなにも激しく胸を打ち、興奮し、出した時の快感は強烈で、冷静になったあとには底知れない愛しさが込み上げるのだから。



 早くそれを味わいたい。セリーナを完全に自分のものしたい。

 別に体を繋げることが全てだとは思わない。
 でも繋がって初めて分かり合える感情ものとか、よりいっそう強まるものが無いとも思わない。

 セリーナとは全てを分かち合いたいと思うから、心も体も、何もかもを繋げて愛し合いたい。





    * 





「あっ、ぁ……ん…んんっ……」

 セリーナが口に手を当てて、声を上げぬよう堪えている。
 くぐもった声色もそれはそれでそそるけど、できればハッキリと感じている声が聞きたい……が、ここでそれを求めるのは酷だろう。

 撫で上げて割れ目の襞をくすぐって、人差し指を差し込んで、外側から押さえた親指とで挟むようにして内側をこする。少し凹凸のある部分、上部のザラザラした部分など、探っている間にもセリーナの蜜口からは次々と愛液が溢れてくる。そのうちドロワーズを湿らせるようになってしまい、後々のことを考えて僕は脱がせることにした。
 隠されていた部分が現れて、明るい照明下にあっては濡れて輝く様がよく見える。真っ赤に色付いた花弁のようなそこは、入り口を少し緩めてひくひくと震えている。
 そこに再びゆっくりと、今度は二本の指を挿入していく――なんの抵抗もなく飲み込んでいく様子を食い入るように眺めていた。官能的で猥りがわしい……妖しくも美しい光景だった。

「そんなに見ないで、ウィル……」

 かすれるような小声でセリーナが呟いた。

「どうして……?」
「あっ…ん、だって……恥ずかしい…」
「何で? こんなに綺麗なのに……」
「そっ……ん、じゃなくて……ウィル、だって……じろじろ見らっ…れたら…恥ずかしい……でしょ?」
「僕は嬉しいけど。リーナが僕の体に興味を示してくれたら……触れられたらもっと嬉しい」

 今も本当は、触って欲しいと思ってる……そんな言葉を飲み込んで、セリーナのそこに口付けた。溢れて止まない愛液を舐めて掬い取り、軽く吸い付いて飲み込んだ。指で陰核をぬるぬると刺激してやりながら、窄めた舌を伸ばして蜜口を出入りする。じゅぷじゅぷと卑猥な音がして……セリーナが腰から足を浮かせたり、ぷるぷると震わせたりを繰り返す。

「ああぁ…! あ、あっ、あぁん……ん――」

 ビクビクビクッと震わせて、体の力を抜いたセリーナ。達したのだろう……眉を顰めた色っぽい顔に、うっすらと汗を滲ませて、はぁはぁと息を吐きながら胸を上下させている。この瞬間の満足感は計り知れないものだった――


「リーナ……けた?」

 解っていても訊きたくなる。

「うん……すごい…よくて……ごめんなさい、私だけ……」
「そんなこと気にしなくていいよ。リーナが気持ちいいと僕も気持ち良いから」
「そぉお……? ほんとう、に……?」
「本当だ。嘘じゃない。その証拠にほら……ね?」

 セリーナの手を取って興奮して硬くなったそれに触れさせる。

 絶頂感を伴う気持ち良さとは違っているが、セリーナを快楽に落としながら乱れる彼女の姿態を眺めることは、この上なく高揚する陶酔行為だ。欲情せずにいられない。セリーナが快感を得ると征服欲が満たされるし自分の価値に自信がつく。性行為における真意的な得の一つだった。
 それらの刺激によって体は更に興奮し、痛いくらいに膨らんだ欲望を放出させた時に味わう明滅するような快感は、我慢すればするほど大きな満足感を得ることになるのだ――と、僕は思う。
 経験不足なせいか、それほど我慢強いわけでは無いのが隘路ネックだが……この先いくらでも実体験を通して研鑽を積めると思っている。結婚さえしてしまえば。



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