秘密の花園エッセンス 〜異能青年は花嫁と踊る〜

文月・F・アキオ

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序章 ii(Selina)※

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 長い長い口付けの後、いつものように大樹の根元に腰掛けて、二人は互いの報告を聞き合った。ほとんどが手紙ですでに知らされた出来事ではあったが、実際に会うと話は広がるものだった。
 幼い頃から許嫁として交流があり、幼馴染みでもある二人には、沈黙すら心地よい。長年寄り添った夫婦のようでありながら、初々しい恋人同士の雰囲気も持ち合わせ、まるで新婚の夫婦のように倦怠期とは無縁の空気ムードに満ちていた。

 言葉を惜しまないウィリアムと、深い愛情を態度で示すセリーナ。

 セリーナの社交入りが目前に控えており、二人の待ち望む『結婚』について、いよいよ本格的に説得を試みる段取りについて考える時期に入っていた。



「ドレスはもう決まったのか?」
「それがまだなの。お母様と、付き添いシャペロンのマリーナ叔母様の二人が準備を取り仕切ってくださってるのだけど、ちっとも私に教えてくれないのよ。おかしいでしょ? 着るのは私なのに……」
「きっとリーナを驚かせたいと思ってるんだよ。僕も楽しみだな」
「でも、少しくらい私の希望も取り入れて欲しいわ」
「なんだかんだ言って母親は子供のことをよく見ているものだからな……それにリーナは好き嫌いが態度に出やすいから、リーナの考えなんて全部お見通しなんじゃないか? リーナの母上は、僕の次にリーナを熟知していると思うし……せっかく張り切ってくださっているのだから、今回は二人に任せておいたら良いと思うよ」
「あら。ウィルは私のことをお母様よりもよく知っていると言うの?」
「違うのか?」
「んー、甲乙付け難いわね。出会う前の私のことはウィルは知らないわけだし……」
「今は僅差で負けてても、結婚したら……そこから先は僕が一番になるさ」
「やあね、一番は私よ。自分のことを一番よく知るのは自分に決まってるわ」
「そんなことない。僕はリーナが自覚していてない リーナの癖や好みを数え切れないくらい知ってるし、これからもそれを増やしていくつもりだ」
「気になる癖なんてあったかしら。例えばどんな?」
「それは秘密」
「どうして? 教えてよウィル。一つだけでも良いわ」
「駄目。それは僕の宝物だから、リーナにもあげない」
「そんなこと言って……私のことなのに。ねぇ、お願い。このままじゃ気になって眠れなくなっちゃうわ」
「うーん、じゃあヒントだけ。例えば僕は、今日もリーナがここに何も着けてないことを知っている」

 そう言ってウィリアムは、自分の股の間に座って胸にもたれ掛けさせていた背中を抱き起こし、セリーナの腰まわりを臀部に向かって撫でつけた。

「そ、それはただの事実でしょ」
「うん。でもリーナの悪い癖だよ……何かあったらどうするのさ」

 ウィリアムはセリーナを抱え上げ、向き合うように座らせる。スカートを広げて自身に跨るセリーナから、密やかに甘い香り漂った。

「僕に会う時だけだとしても、途中で誰かに会うかもしれない。ましてや外で、風に煽られでもしたらどうするのさ。万が一僕みたいに能力を持つ人間に勘付かれたりしたら……それこそ大変なことになるかもしれない。そうなった時に困るのはリーナだろ?」
「だって……ウィルと会う時は必ず汚れるから……下手に隠して、屋敷いえの者に勘付かれるわけにはいかないもの」
「まぁな、そこは僕も悪いと思ってるけどさ……でもそうされると余計に煽られるというか。逆効果というか……とにかく、屋敷の外へ行く時は絶対に着けないと駄目だからな? そこは守って欲しい」
「わかったわ」
「……で、話は戻るけど。リーナはここをどうされるのが好きなのか、自分でも知っているのか?」

 ツンと、指先でセリーナの胸の先端をつつくウィリアム。セリーナは内心でドキドキと逸る気持ちを抑え込み、努めて冷静に考える。

「分からないわ……考えたこともなかった」
「と言うより、考える余裕が無かったんじゃないか? いつも一杯一杯になってしまうせいで」
「そんなこと……」

 セリーナは少しだけ頰を赤らめた。

「リーナは知らないだろうけど、僕はよく知ってるよ。リーナはこうやって外側から包むように胸を揉まれたあとに、捩るように擦り合わせて摘まれるのが好きなんだ。ほんの少し引っ張りながらね」
「あっ……」

 服の上から優しい手付きで、すくい上げるように揉まれる。脇腹から撫でられる動作にセリーナはぞくぞくしていた。ゆっくりと動作を繰り返してセリーナの乳首を浮き上がらせ、宣言通りに摘まむウィリアム。
 唐突に始まった愛撫にセリーナは下肢を震わせて、声にならない歓びの吐息を零していく。

「それから、服の上から触れられるより、素肌に直接触れられる方が好きだし……舐めるよりも甘噛みして吸う方が好きなんだ。自分で気付いてたか?」
「そんなの……そんなの、知らないわ。ウィルが私にしてくれることは何でも嬉しいし、全部、好きだもの……」

 話しながらセリーナの胸元のボタンを外して着衣を乱していたウィリアムの手元が一瞬だけ停止する。

「……リーナって、時々そうやって爆弾を落とすよね……わざとやってるのか? それとも無意識?」
「ちゃんと考えてから言ってるわ。それに私、ウィルに嘘なんて吐かないもの」
「……それは知ってるけど」


 ウィリアムはセリーナの胸をさらけ出し、両手で二つの乳房を包み込みながら谷間にそっと口付ける。いつもより少し早い鼓動、ほんのりと芳る香草ハーブと汗の匂い。それがある意味ではいつも通りであるのを確かめて、手の平に感じる重みや柔らかさを感じていた。

「リーナ……また少し大きくなったんじゃないか?」
「んっ……そうかも。でも前みたいな突っ張るような感覚はないわ。身長と同じで、そろそろ胸の成長も止まるんじゃないかしら」
「そうなのか? 僕にはどんどん育ってるように見えるんだが……すごいな。痛くない?」

 ゆるゆるとセリーナの乳房を揉み続ける。

「うん、平気……気持ち良い。はぁ……ウィルは、小さい胸の方が好きなの?」
「どうだろう、こうするのが好きだから、どちらかと言えば大きいほうが好みなのか? でもリーナの胸にしか興味ないから、基準がよく分からないな。リーナは身体が細いから……だから余計に胸が目立つのか? 大きいようで実際は、僕の手に収まるサイズなわけだし」
「私の手には収まらないわ。あんまりバランスが悪いと服も合わせにくいし……私はこれ以上は大きく、なって……欲しくないの、だけど……」

 キュッと乳首を摘まれて、セリーナは熱い吐息をこぼして震えた。

「たぶん僕はどちらでも気にしないよ。それがリーナの胸だったら、萎んで垂れてても欲情する自信があるし」
「そんな……老いた時のことなんて、今は考えたくないわ」
「そうだな……今は僕のすることに集中して、僕のことだけを考えていて欲しいな」
「私はずっと……ウィルのことしか、考えてないわ……」
「僕もだ……リーナ、もっとしても良いか?」
「うん……キスして、ウィル」


 セリーナはウィリアムの肩から首に腕を回し、膝をついて腰を上げ、目線の高さを合わせて近付いた。ウィリアムの片手が胸から頭へ移動して、動かないように支えられる。
 逃げられない状態で深く追い求められる口付けに、普段のウィリアムとは正反対の強引さに、セリーナは酔いしれていた。



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