余命50年のエルフさん

転定妙用

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余命50年のエルフは結婚する。

俺は美人ハイエルフの夫になったんだよな?(アサ)

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 前の晩、酒に酔った勢いもあり、異常なほどの、単に結婚すると言いあっただけなのに、感情の高まりから、激しく絡み合い、組んずほぐれつして愛し合って、そのまま二人とも眠ってしまったのだが、明るくなって目が覚めた俺は、あへ顔というほどのことはなかったが、実に幸福そうに、満足したような顔でスヤスヤと眠るカスミだった。清楚そのものだった、それだけなら。ただ、口が少し開いて涎が流れているのが、ご愛敬だったが。それを見て、俺は半ばはだけている、彼女の上の布団を剥いだ。そして、昨日俺の妻になった、妻になると宣言した、告白した美人ハイエルフの裸体をじっくりと鑑賞した。じっくり見たことは今までもなかったわけではない、これまでも何度も抱き合っていたから、そういう機会はあった、どうよと誇るように見せびらかされることもあった。しかし、今は、今までにない気持ちで見ているように感じ、これまでにない感慨を持った。とにかく、美しい、と思った。そして、愛おしいと思った。思わず見入っているとカスミは目を覚ました。
「自分の妻の美しい体を改めて鑑賞しているの?」
と抜かしやがった。俺は、誘われるように唇を重ねると、彼女は強く押し付けてきた。それで、俺も彼女も再び体に火がついてしまって・・・。俺も、彼女も対面座位で、相手の体をこれでもかと味わうような動きで抱き合った。顎くたびに、こいつの体を外側からも、内側からも、味わい、楽しむ、確かめていた、本当にいい・・・と思ってしまった、納得した?言い聞かせた?。ああ、もうこいつはと離れられないな、と思ってしまった。10歳年上と思ったら、こいつ15歳年上だった、それも大したことではない。こいつにとっては、大した差ではない・・・んだよな・・・でもどうしてサバ読むんだ?

 しっかり楽しみ過ぎて、超過料金を取られるはめになった。その後、湯屋では、まあ温かい揶揄い、祝福を受けるとともに、どういうわけか、俺を不安にさせることを言ったり、結婚はやめろ、お前には釣り合わない、お前など本当は相手にされていないと、真顔、憤懣を現わした顔で言う連中がいた。
 そんな奴には反論せず、無視した。
「昨日はたっぷりがんばったのか?」
「エルフ臭がしみ込んだんじゃないか?」
「ゴブリンあたりにエルフと間違われるかもしれないぞ。」
などと揶揄う奴らの方がずっとましだと思ったね。苦笑すれば、相手も笑って許してくれる。エルフ臭か?エルフと付き合ったのは、あいつが最初で、多分・・・最後になる・・・かな、だからエルフ臭というのがあるのかどうすはわからない。カスミには、確かに少し体臭があるが、全然不快ではないし、微かなものだ、それがエルフ臭なのかどうかはわからない。まあ、これからは俺の大好きなカスミ・ミストグリーン臭だと思おう、呼ぼう、人には言おう。
 まあ、今日からやることはいっぱいあるし、つまらない奴らに構っている暇はないのだ。

 チームのリーダーや集まっているメンバーに、報告する。みんな知っているが、あれだけ衆人の中で、でかい声でのやり取りで、知らない者がいなくなっても当然だろう。リーダーも皆も祝福してくれたし、リーダーはしばらく休んでいいとさえ言ってくれた、結婚の準備もあるだろうからと。リーダーは、実力は十分だれど、気が利くし、親切だ、本当に善良な人で、感謝している。
「仕事をしながらすすめますよ。」
と言ったが、やることはいっぱいあった。
 その足で、俺達二人は教会、俺が属する唯心教会に、結婚式、2人だけの、をお願いに行った。顔見知りの坊さんは、3日後ということになった。冒険者は、こういうことは多い。本格的な結婚式は後で、ゆっくり、盛大に、実家に戻った時に、ということだ。それから、俺達二人で、夫婦として暮らす部屋探し。それぞれの宿の部屋に空いてを引き込んで愛し合ったら、騒音問題で追い出される。その場合の部屋というと、家具がないから、家具も含めた結婚生活に必要なものを買いそろえなければならない、最小限は。

「取り合えず、あれを食べましょう。」
 彼女はイチジクを屋台から買って、持ってきて1つを俺に手渡した。彼女はあまり、そういうことはしなかった。
「屋台のって、こういう味なのね。」
 ああ、僅か?50年の余命で、目一杯やるということか?
 3日後、簡単に二人だけの結婚式を、俺が属する唯心教会で上げた。その前の日までに二人の部屋を借りることができていた。新婚初夜は、別に何も変わらないのに、とても刺激的というか新鮮だった。

「行くわよー!」
と仕事では、真っ先に飛び出すカスミを、
「おい、無鉄砲に飛び出すな!」
と慌てて後を追う俺。
 レッドゴブリン、グリーンゴブリン、ブラックゴブリンの群れやオーガやオークの盗賊団、サラマンダー、リバイアサン、レッドウルフ、ドラゴンとかの魔獣に、カスミは真っ先に飛び込むことが常になった。今までは、皆の動きを冷めた目で見ながら、しかたがなく出ていくような感じだった。それが、積極的に自分から真っ先にとびだすようになった。かといって、むやみに、無鉄砲に飛び出すというものではなく、全体を見て、全体に有利になるところに攻撃したし、行動していた。
「あなたを信頼しているのよ。」
と彼女は言う。俺が、フォローすることを知っていて、フォローできるように動いている。
 彼女の魔法は、確かにエルフ、ハイエルフだと感心するくらい優雅で、洗練していて、強力で、素早かった。
「風よ、切裂け!」
 数体のレッドウルフ、かなり強い魔獣で群れを作っているから手強いが、を風の真空の輪で切り裂かれ、さらに周囲のレッドウルフを吹き飛ばしてしまう。すかさず、俺が魔法を纏った大剣で止めを刺しつつ、彼女を守る。以前から、俺達二人はいいコンビだったが、ずっといいコンビネーションがとれるようになった。

「あそこの風景を見たいから、この仕事受けようよ。」
「この仕事を受けて、途中でこの料理食べようよ。」
「温泉というのに入って、この仕事やろうよ。」
と彼女は、こんな調子だったが、けっしてチームの仕事を疎かにしてはいなかった。俺が事前にリーダーに了解をもらってからという主張に従ってくれたし、チームの事情を尊重してくれた。それに、彼女の変化はチームの中で歓迎された、特に女性の間では。元々、ダークエルフもオーガ、オーク、ドアーフにも高慢なところはなかった彼女だったが、少し距離を取っているようなところがあった彼女だったが、それがなくなり、チームの女達の関係はよくなった。

 まあ、俺達二人はラブラブイチャイチャしながら問題なく、それは自分達にも、チームにも、周囲にも問題はなかった、いや、かえって貢献したと言える、三か月の間。
 それがどうして、俺達がチームから追放されることになったのだろうか?
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