余命50年のエルフさん

転定妙用

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いわくつきのチームに加入しちゃった

出発進行ー!(カスミ)

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 私達が出発する時、何人かの新人冒険者達が見送りに来て、
「ありがとうございました。」
と頭を下げたわ。
「?仕方がないな。何もしなくても、尊敬を受けちまうな、俺は。」
と勘違いリーダーが若干1名。
 新人冒険者は市内の地下道とか水路に潜り込む弱小魔獣狩りから始めることが多い。弱小でも魔獣は魔獣、新人だと犠牲が結構でるし、死なないまでも、初めての仕事が最後の仕事になることはざらなのよね。
 で、私達が彼らの仕事に加わってやったわけ。チームの中身の揃わない連中が、仕事を受けようか躊躇しているのを見て、アサが声をかけて加わらせてもらうのである。
 もちろん報酬は私達も同様な配分でというわけで、高くふっかりなんかしなかったわ。成長を見るのって、楽しいものじゃない?いろいろ教えてあげたわ、冒険者としてのイロハをね。え、無料じゃないのって?分け前を取るのはケチじゃないかって?そんなことしたら、彼らのプライドを傷つけるじゃない。それに、お金のシビアさも教えてやらないとね。

 そして、私達のチーム。勘違い野郎でもあるリーダーをはじめ一応上位の冒険者である、私達夫婦以外は。あ、私達二人は、正真正銘の上位の冒険者よ、念のため。

「私の家は、父が死んで・・・結局没落して・・・そうなると、元領主の娘って惨めよね。だから、村を飛び出して・・・、幼馴染と一緒に・・・、みんなでチームを作ったの。」
 目的地までの旅の間に、女同士は少し親密になって、私は女達から身の上話を聞かされることになった。私も、余命50年の事情を話したけど、
「そ、それは大変・・・ね。」
「たった50年・・・か。」
「エルフだから・・・。」
って、やっぱり全然わかってくれなかったわ。まあ、しかたがないか。
 聖槍使いのスカラブルー、の話は、ちょっと・・・貴族という感じがしない、全くの農民とか庶民じゃないけど、まあ田舎の郷士か地主の家柄なんじゃないかしら。アサも、そんなことを言っていたわ。一緒についてきた幼馴染と恋人になって、そしてリーダーのビュースに乗り換えて、彼を追放したのよね。ビュースというと、同じ村の出身の腕自慢の、村内でも一目を置かれて、自他ともに冒険者として有望視されていたらしい。それで、2人としばらく後に出会って、チームを組んだということなのよね。彼の素性は、彼女知っているはずだけど、その点になると言葉を濁すのよね。

 魔導士のトーブ。こちらは、村で魔導士だから冷たい目で見られたと言うけど、そうかしら?話では、なんとなく冒険者としての装備やらをちゃんと整えて村を出ているようだし、教育も受けているようだから、底辺にいたようではないわね。どうも、母親が有力者の愛人で、本妻の子供たちとは格差があったものの、そこそこ豊かな生活だったような感触さえある。まあ、当人からしてみれば悔しい思いがあったのだとは感じるけど。
 猫耳獣人のシユウジョ。彼女になると、ビュース以上にとりとめがなくてわからない。彼女も、ちゃんと教育も受けているようだから、庶民以上のレベルで、底辺の出身ではないようね。ただ、父親がかなり暴力的だったから、なんかリーダーに似てるけど、それが原因で冒険者として飛び出したのではないかしら。
 その傷心をいやしたのが、追放された男、つまりスカラの元カレというわけ。彼、彼女一筋で、チームのためにも、彼女達も認めるように、雑事も含めて一生懸命やっていたし、彼女達を癒すために努力をしていたらしい、彼女らが認めているのよね。それをどうして、追放に賛成したのかな?彼女達は、ざまあしたいのよね、自分を見下した連中に、世間に、そろいもそろって。追放した彼は、そういうことに同調しなかった。彼には、恨む相手はいないのよね。彼女らとて、特定に復讐したい相手がいるわけではない。だから、
「俺達はビックになるんだ。」
「俺達のチームは一流になるんだ、超一流になるんだ。」
というチームリーダーのビュースに惹かれちゃったのよね。ビックになって、不特定多数の冷たくした連中を見下したいと言うわけね。
 人間て、分からないわね。
 でも、こういうのも面白いわね。この4人がこれからどうするか、なんか見ていたいなと思っちゃったのよね。このチームで苦労させられるのも面白いと思ったわ、私。こうしたドロドロ模様も大歓迎。
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