厄介払いされたハーフエルフの王女は嫁ぎ先の人間至上主義国で男装して国王になる

転定妙用

文字の大きさ
13 / 42
人間至上主義を改革します

夜の女王

しおりを挟む
 王都リュサンドリアは、ルーガム王国の王都と比べても、その繁栄ぶり、人の多さは引けを取らないものだと、国王ガマリエルは王妃サラスに語ったが、彼女もその通りだと思った。
 活気もあったし、色々な物が豊だった。質もいいものだった。彼と共に、王都をお忍びで巡察した時の印象だった、彼女の。
 意外だったのは、完璧な人間至上主義国であるはずが、結構王都では人間と亜人達がともに行きかっていたし、それぞれの店で気軽に売り買いをし、気軽に声をかけていた。険悪な空気というものは、そこにはなかった。
 ただ、貴族の屋敷が並ぶ地区には、亜人の姿はなかった。逆に、夜の女王の管轄の地域には、人間も亜人の中に混じって歩いていた。
「ああ、彼らは奴隷だよ。彼らのことについては、夜の女王として説明するよ。」
とガマリエルは言った。
"楽しみにしていますわ。"

 議会での開会のあいさつ、男装、男の正装に、冠を頭に、顔はベールで閉ざして、作成されていた文面をよどみなく読んだ、それだけだった。それでも議場からは真摯さを感じ取れる割れんばかりの拍手があった。
「僕の時より盛大だな。」
とガマリエルが後で、その時は後ろに隠れていたが、少し不満そうに耳元で囁いた。
「焼きもちはいけませんわ。それに・・・彼らは知らないのですから。」
と言ってやった、サラスは。
 
 そして、夜の女王との会議。王宮の、彼女の管轄の地区の入り口にある建物の1室で、それぞれの役人等10人を引き連れて、それは行われた。ガマリエルは同行しなかった。夜の女王と男装したサラスは、豪華な、装飾のある、花などをモチーフとした、テーブルを挟み、自分達の政府幹部を後ろに控えさせていた。お互い、顔は見えないようにベールをかけていた。
 事前に担当者間で討議、調整し、合意し、招致していた内容であるが、双方の担当者からの報告が交互になされた
。ナルシス王国側からは、王国の財政、外交、周辺各国の状態、軍備、治安、災害と諸産業の状態、国民の生活状態などが報告され、夜の女王側からは、聖樹の生育、そこから受ける恩恵のある製品の状況、その管轄下の奴隷、亜人、錬金術師の状態、その成果、魔法研究の成果などの報告があった。その後、双方からの物資や金の流れ、例えば人間と亜人からの税収についておかしな点かないかとの監査、その配分についてどうするか、決定した政策等の討議がされた。ナルシス王国側からの要請や決定した政策には夜の女王側は了承し、夜の女王側の要請や政策についてナルシス王国側は了承した。サラスは、事前に決められていたことでもあり、国王として了承する旨伝えた。"私を、ガマリエルだと思っているのかしら?"と思ったサラスに、夜の女王は語り掛けた。その声は、女性としてはかなり低音だった。
「夜の女王の管轄では、」
と夜の女王の管轄下の説明をし始めた。彼女の政府の行政官は、上は宰相から下は一般の役人まで、かなりの割合を占めているのは奴隷である。大半は、外国から購入した奴隷とその子孫からなるが、ナルシス王国で罪を犯して奴隷となった者も含まれる。しかし、エルフ達亜人の数も少なくはない。それは軍も同じだった。ただ、軍は魔導士部隊、弓兵はエルフが多いし、騎士、重装歩兵、石鎚などを使う兵にはオーガや獣人が多く、軽歩兵騎士などは獣人が多い。銃砲や長槍部隊の大半は奴隷であり、強弓を使うのは奴隷が多い。ちなみに、国内各地にある夜の女王直轄領の農民等産業に従事するのは基本的に奴隷であし、錬金術師の研究の助手、その成果物の生産工場の労働者の多くが奴隷であり、ドアーフは少数である。ドアーフの工房は、錬金術師の工房よりかなり少ない。
 一般の亜人達は、それぞれ部族の自治領があり、その自治領から選ばれる代表による議会が、王都の夜の女王の領域にあるし、高等法院から村々の裁判所もある。ちなみに奴隷達も議会をもっている。夜の女王は、こうした者達を管理し、統治し、保護する役割を持っている。同時に、ナルシス王国を支えているとも言えた。
 だが一つ、欠けているものがあった。それは、夜の女王はどのようにして決まるのか、と言う事だった。それが全く語られていなかった。
「夜の女王は、ナルシス王国国王と一身同体ですから。」
と夜の女王はぽつりと言った。
"夜の女王は、一方的にガマリエルから任命されているということかしら?夜の女王は、不満を持っているかもしれない?そもそも、この人?私がガマリエルではないことを知っている?"
 そう思っているうちに、会議は終わった。"彼女と親しく、2人だけで話せないかしら?"
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」 魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。 ――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。 「ここ……どこ?」 現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。 救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。 「ほら、食え」 「……いいの?」 焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。 行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。 旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。 「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」 「ウチの子は天才か!?」 ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。 これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。 ※若干の百合風味を含みます。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

異世界転生した元開発担当、チート農業スキルで最高級米を作って「恵方巻」を流行らせます!没落令嬢と組んでライバル商会をざまぁする

黒崎隼人
ファンタジー
コンビニ弁当の開発担当だった俺は、過労の果てに異世界へ転生した。 手に入れたのは、触れるだけで作物を育て、品種改良までできる農業チートスキル『豊穣の指先』。 でも、俺が作りたいのは普通の野菜じゃない。 前世で最後に食べ損ねた、あの「恵方巻」だ! 流れ着いた先は、パンとスープが主食の田舎町。 そこで出会ったのは、経営難で倒産寸前の商会を切り盛りする、腹ペコお嬢様のリリアナだった。 「黒くて太い棒を、無言で丸かじりするんですか……? そんな野蛮な料理、売れるわけがありません!」 最初はドン引きしていた彼女も、一口食べればその美味さに陥落寸前? 異世界の住人に「今年の吉方位を向いて無言で願い事をする」という謎の風習を定着させろ! 米作りから海苔の養殖、さらにはライバル商会とのバトルまで。 チート農家と没落令嬢がタッグを組んで挑む、おいしくておかしなグルメ・サクセスストーリー、開店!

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...