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その後?
2人が出会ったことが全てが悪いのだ(最終回)
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元シユン王国第一王子カサギの領地から戻った聖女ケイの報告に、
「ご苦労だった。つらい思いをさせたようだな。後は、ゆっくり休むがいい。」
教皇は穏やかな表情で、彼女に告げた。彼女の背を見ながら、彼女が、その言葉を受けても、リツシウン王国・タイカーン国二重王国内から、続々やってくる三位一体教会信徒達に、癒しを与えようと、己が疲れを癒すことなく、その足でむかうだろうことは分かっていた。それだけに、側近とサラギ王子に彼女があまり無理しすぎないように注意するよう、命じていた。
「本当によい娘だ。」
と教皇は大きなため息をついた。
「その彼女を捨てるとは・・・。ウスイめ、本当にお前はどうしたというのだ?」
とも呟いたのは、一人になってからだった。しばらく一人にするように命じたのである。
「あのような・・・。」
と口にはだしたが、初めてあった魔女王、女魔王ツチイは美しく、礼儀正しく、夫であるウスイの良き妻として、共同統治者としても、問題ないとは思った、ふさわしいとも感じたことを思い出した。そして、2人の力を借りなければならない政治的な事情があったとはいえ、二人の結婚を、夫婦であることを、二重王国を承認したのだ。ケイには、悪いとは思ったが。それでも、今のような事態になったのは、結局はウスイが彼女に出会い、彼女の虜になつたせいである。彼女に夢中になったウスイは、盲目となり、とんでもないことをしでかしたのだ。
「情けが仇となったか。」
あの時、辺境の地に封ずるのではなく、やはり彼を王宮内での軟禁にすべきだったのかもしれない、それであれば二人が出会うことはなかったはずである。軟禁する場所は、地下牢だったが・・・・。さすがに可愛そうだということで、辺境に領地を与えて、そこに送ったのである。
「それが過ちだった。」
その地下牢だが、そこでの生活は過酷なものとなり、当然死を期待されるものだったが、教皇の頭の中からはそのことはすっかり消えていた。
「奴に期待し、情けをかけたことなど全てが過ちだったのだろうな・・・。」
それが教皇の結論だった。
とはいえ、教皇にはもう、彼と再洗礼派教会信徒達を排除、弾圧することは思いつかなかった。三位一体教会としては、教皇庁としては、彼と再洗礼派教会信徒が牛ずるリツシウン王国なしには、三位一体教会諸国内の平穏も新教教会各派との関係、彼ら相互間の対立も含め、何とか平和を維持できているのは、今回の老師の葬儀を利用?した各国間の会合、交渉の結果実現したのも、表面的には、形式的には教皇のよびかけであるが、リツシウン王国・タイカーン国二重王国の後押し、存在なしには不可能だということは、彼にはよく分かっていた。かつての教皇のように、とにかく異端殲滅を命じるより、信徒達の平穏を、幸せを彼は優先するだけの理性があったのである。
「ケイが幸せであることが、不幸中の幸いだな。」
とも呟いていた。
「ウスイも不幸であったのかもしれない。あのようなことがなければ、魔族の女などに迷うこともなく・・・全てが順風満帆だったかもしれない・・・。私がもう少し・・・。神よ、私が愚かだったのかもしれません。」
と思わず口にでてしまった。その後、
「こんな状態でも、なんとか領民を安寧の中で治めることができている・・・ケイと結婚していれば、異端の教えを一掃し、正しい信仰だけの国を作れておったやもしれない・・・。」
としみじみと呟いて、大きなため息をついた。
教皇をはじめとする海外からの弔問者達が帰国の途についたのは、それから3日後だった。
「不幸になったのは誰かしらね?」
帰りの馬車の中でシユン王国王妃は、国王に問いかけた。
「自業自得だが、魔族女に惑わされたウスイとお前に捨てられた兄上には、きっといつかは神の裁きがあるだろうな。そして、その兄上に引き裂かれた、かの2人と家族たちにだな、彼らには、神の救いがあるといいな。」
と表情を変えることなく、国王は答えた。
「兄上が拉致したとお思いなのですか?本当に?まあ、よいでしょう。私は、どうなのかしら?」
いたずらっぽい目で質問した。
「これで不幸と言えるかね?」
「不幸なはずではないですわね。私は、最初から国王陛下になる方の婚約者だったんですから。」
彼は、その言葉を聞いて小さく笑った。
「まあ、死ぬまで、あなたを苦しめる人生も満更ではなかったかもしれませんけど。」
彼女は彼の手の上に両手を重ねた。
「私は幸せですわ。」
と言って、夫である国王に唇を重ねた。
各国の使節が、教皇をはじめとした面々が去り、魔界の産品すらも至るところで宣伝しまくったことも終わり、少し放心状態でさえある王都の中で、その王宮の中で、
「これからも一緒にいてくれ。」
「もちろんよ。あの時、そうありたいと思ったもの、初めて会った時から。」
「ああ、俺もだよ。」
本当はあの時、そこまでは思ってはいなかった。だが、そう思いたいウスイとツチイとだった。
王宮のテラスで、夜空を見上げながら、唇を重ね、舌を絡ませあい、抱きしめ合っていた、2人は。
「俺達が愛し合ったせいで色々なことになってしまった・・・だけど愛するお前といられるなら、これからも、他人を不幸にしても、騒乱を呼んでも後悔はしない。」
「それは私も同じよ。二人でどこまでもいきましょう。」
さらに互いの体をまさぐりあっているうちに、たまらなくなって、服をはだけて・・・。
「カサギ様。私達を、もう離さないで下さい。」
「私達は、生まれた時から、カサギ様の妻なのです。」
「わ、私も、カサギ様だけなんです。」
全裸の三人の妻に抱き着かれていたカサギは、彼も全裸だった、
「ああ、一緒にいてくれ。・・・愛しているから。」
と言って、3人を抱きしめていた。
疲れ切っていたはずのケイだったが、優しくサラギに抱かれると激しく動き、喘ぎ声を出していた。帰国の途中の宿で。
"私は道の先で金塊を得た・・・他の人達は土くれを得たけど。それがわからないようだけど。"と満足気に快感を、サラギとともに感じていた。
これで最終回とします。
この後、誤字脱字の修正と補正をします。
今まで読んでいただきありがとうございます。
補正をして、少し内容が多くなるかもしれません。
「ご苦労だった。つらい思いをさせたようだな。後は、ゆっくり休むがいい。」
教皇は穏やかな表情で、彼女に告げた。彼女の背を見ながら、彼女が、その言葉を受けても、リツシウン王国・タイカーン国二重王国内から、続々やってくる三位一体教会信徒達に、癒しを与えようと、己が疲れを癒すことなく、その足でむかうだろうことは分かっていた。それだけに、側近とサラギ王子に彼女があまり無理しすぎないように注意するよう、命じていた。
「本当によい娘だ。」
と教皇は大きなため息をついた。
「その彼女を捨てるとは・・・。ウスイめ、本当にお前はどうしたというのだ?」
とも呟いたのは、一人になってからだった。しばらく一人にするように命じたのである。
「あのような・・・。」
と口にはだしたが、初めてあった魔女王、女魔王ツチイは美しく、礼儀正しく、夫であるウスイの良き妻として、共同統治者としても、問題ないとは思った、ふさわしいとも感じたことを思い出した。そして、2人の力を借りなければならない政治的な事情があったとはいえ、二人の結婚を、夫婦であることを、二重王国を承認したのだ。ケイには、悪いとは思ったが。それでも、今のような事態になったのは、結局はウスイが彼女に出会い、彼女の虜になつたせいである。彼女に夢中になったウスイは、盲目となり、とんでもないことをしでかしたのだ。
「情けが仇となったか。」
あの時、辺境の地に封ずるのではなく、やはり彼を王宮内での軟禁にすべきだったのかもしれない、それであれば二人が出会うことはなかったはずである。軟禁する場所は、地下牢だったが・・・・。さすがに可愛そうだということで、辺境に領地を与えて、そこに送ったのである。
「それが過ちだった。」
その地下牢だが、そこでの生活は過酷なものとなり、当然死を期待されるものだったが、教皇の頭の中からはそのことはすっかり消えていた。
「奴に期待し、情けをかけたことなど全てが過ちだったのだろうな・・・。」
それが教皇の結論だった。
とはいえ、教皇にはもう、彼と再洗礼派教会信徒達を排除、弾圧することは思いつかなかった。三位一体教会としては、教皇庁としては、彼と再洗礼派教会信徒が牛ずるリツシウン王国なしには、三位一体教会諸国内の平穏も新教教会各派との関係、彼ら相互間の対立も含め、何とか平和を維持できているのは、今回の老師の葬儀を利用?した各国間の会合、交渉の結果実現したのも、表面的には、形式的には教皇のよびかけであるが、リツシウン王国・タイカーン国二重王国の後押し、存在なしには不可能だということは、彼にはよく分かっていた。かつての教皇のように、とにかく異端殲滅を命じるより、信徒達の平穏を、幸せを彼は優先するだけの理性があったのである。
「ケイが幸せであることが、不幸中の幸いだな。」
とも呟いていた。
「ウスイも不幸であったのかもしれない。あのようなことがなければ、魔族の女などに迷うこともなく・・・全てが順風満帆だったかもしれない・・・。私がもう少し・・・。神よ、私が愚かだったのかもしれません。」
と思わず口にでてしまった。その後、
「こんな状態でも、なんとか領民を安寧の中で治めることができている・・・ケイと結婚していれば、異端の教えを一掃し、正しい信仰だけの国を作れておったやもしれない・・・。」
としみじみと呟いて、大きなため息をついた。
教皇をはじめとする海外からの弔問者達が帰国の途についたのは、それから3日後だった。
「不幸になったのは誰かしらね?」
帰りの馬車の中でシユン王国王妃は、国王に問いかけた。
「自業自得だが、魔族女に惑わされたウスイとお前に捨てられた兄上には、きっといつかは神の裁きがあるだろうな。そして、その兄上に引き裂かれた、かの2人と家族たちにだな、彼らには、神の救いがあるといいな。」
と表情を変えることなく、国王は答えた。
「兄上が拉致したとお思いなのですか?本当に?まあ、よいでしょう。私は、どうなのかしら?」
いたずらっぽい目で質問した。
「これで不幸と言えるかね?」
「不幸なはずではないですわね。私は、最初から国王陛下になる方の婚約者だったんですから。」
彼は、その言葉を聞いて小さく笑った。
「まあ、死ぬまで、あなたを苦しめる人生も満更ではなかったかもしれませんけど。」
彼女は彼の手の上に両手を重ねた。
「私は幸せですわ。」
と言って、夫である国王に唇を重ねた。
各国の使節が、教皇をはじめとした面々が去り、魔界の産品すらも至るところで宣伝しまくったことも終わり、少し放心状態でさえある王都の中で、その王宮の中で、
「これからも一緒にいてくれ。」
「もちろんよ。あの時、そうありたいと思ったもの、初めて会った時から。」
「ああ、俺もだよ。」
本当はあの時、そこまでは思ってはいなかった。だが、そう思いたいウスイとツチイとだった。
王宮のテラスで、夜空を見上げながら、唇を重ね、舌を絡ませあい、抱きしめ合っていた、2人は。
「俺達が愛し合ったせいで色々なことになってしまった・・・だけど愛するお前といられるなら、これからも、他人を不幸にしても、騒乱を呼んでも後悔はしない。」
「それは私も同じよ。二人でどこまでもいきましょう。」
さらに互いの体をまさぐりあっているうちに、たまらなくなって、服をはだけて・・・。
「カサギ様。私達を、もう離さないで下さい。」
「私達は、生まれた時から、カサギ様の妻なのです。」
「わ、私も、カサギ様だけなんです。」
全裸の三人の妻に抱き着かれていたカサギは、彼も全裸だった、
「ああ、一緒にいてくれ。・・・愛しているから。」
と言って、3人を抱きしめていた。
疲れ切っていたはずのケイだったが、優しくサラギに抱かれると激しく動き、喘ぎ声を出していた。帰国の途中の宿で。
"私は道の先で金塊を得た・・・他の人達は土くれを得たけど。それがわからないようだけど。"と満足気に快感を、サラギとともに感じていた。
これで最終回とします。
この後、誤字脱字の修正と補正をします。
今まで読んでいただきありがとうございます。
補正をして、少し内容が多くなるかもしれません。
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