Birds

遠野

文字の大きさ
13 / 31

12

しおりを挟む
食事が終わり、おやつを食べてお茶を飲む。
一息ついた後、私はカラスからの情報を元に作成した書類を手に、
今後の対策について説明を始めた。
「これまでの調査で、鳥類は大きく3つに分けることができます」
私は指を3本出して見せた。
「1つは、傍観派。現在最も多くの種が、これに該当します。人、鳥どちらにも協力しないが、危害も加えない。文字通り傍観する立場を取っています。とりあえずここは、気にしなくても大丈夫だと思います。2つ目は、穏健派。人に身近で、共存している鳥が多いですね。比較的協力的らしいので、戦力を増やすならここから当たっていきましょう。最後に過激派ですが、ここに、今対策中の鳥達のほとんどが入っています。猛禽類が中心で・・・味方にできれば心強いですが・・・」
「難しいでしょうね」
カラスの言葉に、私も頷く。
「ゼロではない、と言える位でしょうか。理由が理由ですから」
「人のせいで数が減っている種、ですか?」
さっき言った事を、ツバメが繰り返す。
「そう。恨みを買って当然の事を、私達はしてしまっているの」
そうなんですね。ツバメは腕を組んだ。
「考えた事なかったけど・・・僕達みたいに、人に頼って生きている鳥は珍しいんですね」
「そうだね・・・民家に巣を作るのは、君達くらいかな。理由は、外敵から雛を守るのに最も安全だからと言われているけど、合ってる?」
ツバメは頷く。
「人が行き来する場所には、野生動物は余り寄って来ませんから、1番安全なんです。人が作る家がなければ、僕達の数は一気に減ってしまうと思います」
「そうだろうね」
カラスはそう言って、カップに口をつける。
一口飲むと、ツバメと視線を合わせた。
「新たな場所が見つからない限り、君達にとって、現状維持が一番望ましい。しかし誘っておいて言うのも難だが・・・力を貸す以上、他の鳥から敵視され、狙われる可能性もある。傍観するという方法もあったのに、そうしなかったのは何故だい?」
ツバメはカラスの目をみて、しっかり答えた。
「もし攻撃を受けた場合、逃げることができるからです。僕達は小柄で、素早い。捕まる事はまずありませんし、それでも危険だったら、渡りでこの土地から離れることができます」
「なるほど」
カラスは納得したようだった。
「それに・・・」
ツバメは少し口を噤んだ後、
「僕、まだ飛べない時に、巣から落ちてしまって・・・それで、人に助けてもらったことがあるんです。その人はすぐ僕を拾い上げてくれて、巣に戻してくれました。僕達ツバメの中には、そうやって人に助けてもらった仲間が、沢山いるんです。その時の、恩返しがしたくて」
だから・・・。
ツバメは言いにくそうにした後、
「僕は、その時助けてくれた人に、お礼を言いたいんです。この姿なら、感謝を直接伝えられるから・・・ただ僕1人では、なにか失礼なことをしてしまうかもしれません・・・なので、一緒に来てくれませんか?・・・そんな暇がないのはわかっています。でも、僕は・・・」
俯くツバメ。
私はカラスを見ると、彼は頷いて見せた。
「大丈夫よ。一緒に行きましょう」
ツバメは顔を上げ嬉しそうにしたが、すぐに窺うようにカラスを見る。
「問題はないよ。邪魔が入らぬよう、見張っておこう」
その言葉に、ツバメは心底意外そうな顔をしたので、カラスは片眉を上げた。
「君は私を何だと思っているんだ?」
「あ、すみません!えっと、びっくりして・・・、あなたも、助けてもらったことがあるんですか?」
ツバメの問いに、カラスは胸に手を当てて頷く。
「ああ・・・。だから、君の気持ちはわかるよ」
「ありがとうございます!」
お礼を言って、今度こそツバメは笑顔を浮かべた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...