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その後、政府にツバメが新しく仲間に加わった事と、
研究の進捗状況を報告した。
ツバメの望みは、巣を壊さないで欲しいということだけだった。
食料等の供給は良いのかと聞くと、
「渡りをするので、大丈夫です」
と答えた。
鳥達の渡りに関してはまだ謎な部分も多いが、エサを探す為だというのが通説で、
事実ツバメはそうだと頷いた。
寒くなり、エサとなる虫がいなくなると、それを求め、暖かい場所へと旅立つ。
そしてまた春になったら舞い戻り、巣を作って子供を育てる。
「でもそれは、命がけよね?移動途中で力尽きてしまうこともあるというし。食料があれば、わざわざ危険を冒す必要は無いんじゃないかな?」
「そうなんですけど・・・」
ツバメは苦笑する。
「僕達は、その旅を終わらせることができて、初めて一人前になれるんです。・・・それに、海の向こうがどんな所か、行ってみたいし」
どうやら彼らにとって、海を越えることは成人の儀の様なものも兼ねており、憧れでもあるらしい。
リスクは高いが、そうして渡りをし、それを乗り越え戻ってきたツバメ達は、優秀な個体だといえる。
少しでも次世代に優秀な遺伝子を残していく為にも、必要な習性かもしれない。
話を聞いていたカラスは、素直に感心していた。
「私達にはとてもできないな」
環境への適応に優れているカラスは、食料を人間に依存するようになって久しい。
それが無くなれば、また別の方法を考えるだろうが、わざわざ海を越えはしないだろう。
どこか誇らしげにその言葉を受け取ったツバメに、
カラスは思いついた様に言う。
「船に乗って行ったらどうだい?海外に出航する船に乗り込めば、大分楽になるだろう」
とんでもない!とでも言うようにツバメは反論した。
「そんなことできません!自分一人の力で超えてこそ、意味があることなんです!」
「まあ、その考えはわからないでもないが、より確実に生き残る為の手段の一つとしてね・・・」
「大丈夫です!」
少年は即答する。
既に船で羽を休めるツバメの姿が目撃されていることは、黙っていたほうが良いだろう。
研究については、鳥の凶暴化の原因がわかったこと、
そしてそれに対処する研究を進めている事を報告した。
思っていたよりも事が順調に進んでいることに、彼らは喜んだ。
ツバメが礼儀正しく、従順な態度だったのも良かったのかもしれない。
不足しているものがあれば遠慮なく言うようにと、約束をとりつけることができた。
次に武器だ。いくつかツバメに試させ、相談した結果、
その素早さを生かすのに、小型のナイフが最適だろうということになった。
早速二振りのナイフを調達し、ツバメに持たせる。
ナイフを持った両手を振り回すと、ヒュンヒュンと風を切る音がした。
「どう?」
「重くないし、すごく使いやすいです」
ありがとうございます。
ツバメは笑うと、様々な構えで武器を振るってみせる。
そうやってしばらく動き回り、武器が両手に馴染んだ頃を見計らって、
カラスは口の端を上げてツバメに言った。
「では、相手をしてもらおうかな」
研究の進捗状況を報告した。
ツバメの望みは、巣を壊さないで欲しいということだけだった。
食料等の供給は良いのかと聞くと、
「渡りをするので、大丈夫です」
と答えた。
鳥達の渡りに関してはまだ謎な部分も多いが、エサを探す為だというのが通説で、
事実ツバメはそうだと頷いた。
寒くなり、エサとなる虫がいなくなると、それを求め、暖かい場所へと旅立つ。
そしてまた春になったら舞い戻り、巣を作って子供を育てる。
「でもそれは、命がけよね?移動途中で力尽きてしまうこともあるというし。食料があれば、わざわざ危険を冒す必要は無いんじゃないかな?」
「そうなんですけど・・・」
ツバメは苦笑する。
「僕達は、その旅を終わらせることができて、初めて一人前になれるんです。・・・それに、海の向こうがどんな所か、行ってみたいし」
どうやら彼らにとって、海を越えることは成人の儀の様なものも兼ねており、憧れでもあるらしい。
リスクは高いが、そうして渡りをし、それを乗り越え戻ってきたツバメ達は、優秀な個体だといえる。
少しでも次世代に優秀な遺伝子を残していく為にも、必要な習性かもしれない。
話を聞いていたカラスは、素直に感心していた。
「私達にはとてもできないな」
環境への適応に優れているカラスは、食料を人間に依存するようになって久しい。
それが無くなれば、また別の方法を考えるだろうが、わざわざ海を越えはしないだろう。
どこか誇らしげにその言葉を受け取ったツバメに、
カラスは思いついた様に言う。
「船に乗って行ったらどうだい?海外に出航する船に乗り込めば、大分楽になるだろう」
とんでもない!とでも言うようにツバメは反論した。
「そんなことできません!自分一人の力で超えてこそ、意味があることなんです!」
「まあ、その考えはわからないでもないが、より確実に生き残る為の手段の一つとしてね・・・」
「大丈夫です!」
少年は即答する。
既に船で羽を休めるツバメの姿が目撃されていることは、黙っていたほうが良いだろう。
研究については、鳥の凶暴化の原因がわかったこと、
そしてそれに対処する研究を進めている事を報告した。
思っていたよりも事が順調に進んでいることに、彼らは喜んだ。
ツバメが礼儀正しく、従順な態度だったのも良かったのかもしれない。
不足しているものがあれば遠慮なく言うようにと、約束をとりつけることができた。
次に武器だ。いくつかツバメに試させ、相談した結果、
その素早さを生かすのに、小型のナイフが最適だろうということになった。
早速二振りのナイフを調達し、ツバメに持たせる。
ナイフを持った両手を振り回すと、ヒュンヒュンと風を切る音がした。
「どう?」
「重くないし、すごく使いやすいです」
ありがとうございます。
ツバメは笑うと、様々な構えで武器を振るってみせる。
そうやってしばらく動き回り、武器が両手に馴染んだ頃を見計らって、
カラスは口の端を上げてツバメに言った。
「では、相手をしてもらおうかな」
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