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ツバメのリクエストに応え、
まずはこの辺りで一番品揃えが豊富な大型書店へ向かう。
2人には、それぞれ好きな本を選ぶように言って自由行動となった。
店内を適当に歩き何冊か本を手に取った後、
1時間程経っていたので、2人を探すことにした。
意外なことに、2人は同じ場所で見つかった。
児童書コーナーの生物に関する本棚で、同じ本を読んでいる。
「そんなにおもしろいんですか?」
カラスは私に気付くと微笑み、ツバメはこくりと頷くと、すぐに本に目を戻した。
「少年が熱心に見ていたので、どんなものかと覗いてみたのですが・・・これがなかなか」
私も本を覗き込む。
硬い皮膚に覆われた巨体、鋭い爪。獰猛なその姿。
かつての地球の支配者、恐竜だ。
「・・・やはり2人とも、惹かれるものがあるのかもしれませんね」
カラスは首を傾げてみせる。
私は秘密を打ち明けるように囁いた。
「あなた達の先祖ですよ」
ツバメは思わず声を上げる。
慌てて口を押さえ声を落とすが、興奮した様子で、
「本当ですか?」
微笑んで、近くにあった鳥の図鑑を広げ、
目的のページを見つけると、ツバメに見せた。
鳥は恐竜の子孫。
その説明と共に、屈強な恐竜が鳥へと姿を変えていく過程がイラストで描かれており、
ツバメの目は、開かれたページに釘付けになった。
「信じられない・・・こんなに違うのに・・・」
「生き残るために、長い時間をかけて、ゆっくり進化してきたんだよ」
カラスも心底驚いた顔で、興味深そうにそれを見つめる。
「もう知ってるかと思いました」
「自分自身について書かれたものを、あまり読んでいませんでしたから」
「こんなすごい生き物が僕達の先祖なんて、実感が沸きません」
「・・・そうだな。だが言われてみれば確かに、類似点がある」
「え!?どこですか!?」
「ほら、この足の部分が・・・」
本を見ながら2人は盛り上がる。
このままずっと閉店まで居そうな勢いだ。
私はしばらく彼らの会話を聞き、時々質問に答えながら、
頃合を見計らってそろそろ店を出ようと言った。
ツバメは名残惜しそうにしていたが、
2人が見ていた本を含め、恐竜に関する本を何冊か買ってプレゼントしたら、とても喜んでくれた。
次に向かったカラスが希望したその店は、言った通り、いやそれ以上の美味しさだった。
少し値は張るが、運ばれてくる料理はどれもそれを納得させるものばかりで、
私達は談笑しながら、おいしい料理に舌鼓を打った。
「こんなにおいしい所があったなんて、全然知りませんでした。いつの間に来ていたんですか?」
食後のケーキを切り分けながら私は聞いた。
「いえ、私も初めてですよ」
カラスはパフェを一口味わってから続ける。
「何年か前、この店のゴミを漁った事がありましてね。その時食べたんです。鳥ながら、なんておいしいんだろう、出来立てはもっと美味しいんだろうなと思いました」
そう言って幸せそうに笑った。
「人の作るものは本当においしい。こうして温かい食事を食べることを、よく夢見ていたものですよ」
「・・・もっと頼んでいいんですよ?」
メニューを見せようとすると、微笑んで止められた。
「もう満腹です。気持ちだけ受け取っておきますよ」
「・・・これ食べますか?」
ツバメが食べかけのケーキをカラスに差し出す。
「大丈夫だから。全部自分で食べなさい」
「遠慮しなくていいんですよ?」
「してません。本当に満足していますから」
それでも食い下がろうとする私達に、
カラスは苦笑して、少し考える素振りをした後、
「じゃあ・・・全てが終わった後、またここで食事がしたいです」
と提案した。
「今じゃなくていいんですか?」
ツバメが聞く。
「先に楽しみがあった方が、仕事もがんばれるだろう?それにこの戦いを、我々の勝利で終わらせた後に食べるんだ。きっと味も格別さ」
「もっと美味しくなるんですか!?」
「ああ、もっと美味しくなる」
じゃあそうしましょう!とツバメはニコニコしながら私に言う。
「わかりました。終わったら、一番高いコース料理を頼んで、打ち上げをしちゃいましょう」
その為にも、がんばらなければ。
喜ぶ2人に、連れてきて良かったと思いながら、
私は研究への意欲が漲るのを感じた。
まずはこの辺りで一番品揃えが豊富な大型書店へ向かう。
2人には、それぞれ好きな本を選ぶように言って自由行動となった。
店内を適当に歩き何冊か本を手に取った後、
1時間程経っていたので、2人を探すことにした。
意外なことに、2人は同じ場所で見つかった。
児童書コーナーの生物に関する本棚で、同じ本を読んでいる。
「そんなにおもしろいんですか?」
カラスは私に気付くと微笑み、ツバメはこくりと頷くと、すぐに本に目を戻した。
「少年が熱心に見ていたので、どんなものかと覗いてみたのですが・・・これがなかなか」
私も本を覗き込む。
硬い皮膚に覆われた巨体、鋭い爪。獰猛なその姿。
かつての地球の支配者、恐竜だ。
「・・・やはり2人とも、惹かれるものがあるのかもしれませんね」
カラスは首を傾げてみせる。
私は秘密を打ち明けるように囁いた。
「あなた達の先祖ですよ」
ツバメは思わず声を上げる。
慌てて口を押さえ声を落とすが、興奮した様子で、
「本当ですか?」
微笑んで、近くにあった鳥の図鑑を広げ、
目的のページを見つけると、ツバメに見せた。
鳥は恐竜の子孫。
その説明と共に、屈強な恐竜が鳥へと姿を変えていく過程がイラストで描かれており、
ツバメの目は、開かれたページに釘付けになった。
「信じられない・・・こんなに違うのに・・・」
「生き残るために、長い時間をかけて、ゆっくり進化してきたんだよ」
カラスも心底驚いた顔で、興味深そうにそれを見つめる。
「もう知ってるかと思いました」
「自分自身について書かれたものを、あまり読んでいませんでしたから」
「こんなすごい生き物が僕達の先祖なんて、実感が沸きません」
「・・・そうだな。だが言われてみれば確かに、類似点がある」
「え!?どこですか!?」
「ほら、この足の部分が・・・」
本を見ながら2人は盛り上がる。
このままずっと閉店まで居そうな勢いだ。
私はしばらく彼らの会話を聞き、時々質問に答えながら、
頃合を見計らってそろそろ店を出ようと言った。
ツバメは名残惜しそうにしていたが、
2人が見ていた本を含め、恐竜に関する本を何冊か買ってプレゼントしたら、とても喜んでくれた。
次に向かったカラスが希望したその店は、言った通り、いやそれ以上の美味しさだった。
少し値は張るが、運ばれてくる料理はどれもそれを納得させるものばかりで、
私達は談笑しながら、おいしい料理に舌鼓を打った。
「こんなにおいしい所があったなんて、全然知りませんでした。いつの間に来ていたんですか?」
食後のケーキを切り分けながら私は聞いた。
「いえ、私も初めてですよ」
カラスはパフェを一口味わってから続ける。
「何年か前、この店のゴミを漁った事がありましてね。その時食べたんです。鳥ながら、なんておいしいんだろう、出来立てはもっと美味しいんだろうなと思いました」
そう言って幸せそうに笑った。
「人の作るものは本当においしい。こうして温かい食事を食べることを、よく夢見ていたものですよ」
「・・・もっと頼んでいいんですよ?」
メニューを見せようとすると、微笑んで止められた。
「もう満腹です。気持ちだけ受け取っておきますよ」
「・・・これ食べますか?」
ツバメが食べかけのケーキをカラスに差し出す。
「大丈夫だから。全部自分で食べなさい」
「遠慮しなくていいんですよ?」
「してません。本当に満足していますから」
それでも食い下がろうとする私達に、
カラスは苦笑して、少し考える素振りをした後、
「じゃあ・・・全てが終わった後、またここで食事がしたいです」
と提案した。
「今じゃなくていいんですか?」
ツバメが聞く。
「先に楽しみがあった方が、仕事もがんばれるだろう?それにこの戦いを、我々の勝利で終わらせた後に食べるんだ。きっと味も格別さ」
「もっと美味しくなるんですか!?」
「ああ、もっと美味しくなる」
じゃあそうしましょう!とツバメはニコニコしながら私に言う。
「わかりました。終わったら、一番高いコース料理を頼んで、打ち上げをしちゃいましょう」
その為にも、がんばらなければ。
喜ぶ2人に、連れてきて良かったと思いながら、
私は研究への意欲が漲るのを感じた。
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