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洞窟の中を調査する為に装備を整えた後、私達は何人かの隊員や警官と一緒に中に入った。
死骸を避けながらしばらく進むと、そこにはカラスの言った通りカンテラが置かれており、辺りを照らしている。
手持ちのライトが無くとも充分明るい。
「これがあったので、とても敵が倒しやすかったです」
「そうだな。だが、本来ここにあるはずの無い物だ」
カラスとツバメの話を聞きながら歩き続けると、場所が開けた。
一際明るいその場所の真ん中に、ポツンと死骸が横たわっている。
体は標準よりも大きめだが、それ以外は普通の鳥と変わらない。
「その姿を見たのは少しの間だけでしたので、はっきりとはわかりませんが・・・この前読んだ本に、そっくりの恐竜がいましたよ。確か名前は・・・」
「ティラノサウルスです!ティラノサウルスに似てました!」
カラスの言葉を引き継いでツバメが言う。
私は納得して頷いた。
「あなた達の中には、先祖である恐竜の遺伝子が消えずに残っています。充分ありえる話です。人間になるよりよっぽど可能性がありますね」
「じゃあ僕達も、恐竜になれるってことですか!?」
興奮したツバメに苦笑を返す。
「そうだね・・・なってみる分には構わないけど・・・自由に飛び回れる翼と、自在に動かせる両腕が無くなってしまうから、鳥と戦うのには向かないかな」
「それにあの巨体で戦えば、建物を壊しそうだ。敵が出現するのは街中だから、被害は避けられないだろう」
私とカラスの説明にツバメは残念そうな顔をしたが、そうですよね、と納得した。
そんな少年の背中を、バシンとタカが叩く。
「シケた顔してんじゃないわよ。その強そうな恐竜を、私が倒したじゃない。やり方次第で勝てるのよ。あんなデカいだけの奴より、私達の方が強いって事、証明してやりましょ!」
「は、はい!」
バシバシと何度も背中を叩かれて、ツバメは痛そうに顔を歪める。
それをやんわりと止めながら、ある可能性が頭に浮かんだ。
死骸から視線を外して、改めてぐるりと周りを見回す。
辺りには照明器具だけでなく、食料や毛布等の生活用品がそこら中に転がっている。
拾ってきた物には見えず、まだ新しい。
ふと地面に紙切れを見つけて拾い上げると、それは三日前の日付が印字されたレシートだった。
「これ、先生の大学から20分位南東に歩いた所にあるスーパーのだよ」
覗き込んできたハトが言う。
「そうだけど・・・よくわかったね」
「この町だけなら場所は大体覚えてる」
なんてことないように言ったハトに驚いていると、新庄さんがこちらに走ってきた。
手には私と同じく拾ったらしいレシートが握られている。
先生。
ギラついた瞳で新庄さんが言う。
「敵もカラス達みてえに人になれるって言ってたよな?」
「はい」
「だがそいつらが買ったにしては、随分と要領良く、まるで普段から買い慣れてるような物の買い方じゃねえか?」
「・・・そう思います」
賞味期限に気をつけた食料の買い方、生活をより快適にする為の商品の数々。
人並みの知能を持ったからという理由だけでは、買い方が手馴れ過ぎている。
じゃあ彼らの代わりに買ったのは誰か?
考えるまでも無い。
カラスも同じ事を思ったのか、眉を寄せている。
「・・・どうやら奴らも私達と同じ、後ろ盾があるようですね」
そうだ!と新庄さんは力強く頷く。
「これを買ったのは人間だ!あいつらを影で操ってる人間がいるに違いねえ!」
その言葉に、現場は俄かに活気づいた。
相手が人間であれば、これは事件、自分達の領分だ。
「レシートにある店を片っ端から当たって、これを買った奴を覚えてないか聞いてみるわ」
水を得た魚のように、新庄さんは生き生きとした表情で言う。
「よろしくお願いします」
「おう!任せとけ!」
そう応えるや否や、警官達は手際良く辺りの物を押収し始めた。
さすが本職というべきか。
この件については、彼らに任せた方が良さそうだ。
私達は、私達にしかできないことに集中するべきだろう。
件の鳥を回収した後、私達は今後の対策、そしてタカとハトから詳しい話を聞く為に、研究室に戻ることにした。
死骸を避けながらしばらく進むと、そこにはカラスの言った通りカンテラが置かれており、辺りを照らしている。
手持ちのライトが無くとも充分明るい。
「これがあったので、とても敵が倒しやすかったです」
「そうだな。だが、本来ここにあるはずの無い物だ」
カラスとツバメの話を聞きながら歩き続けると、場所が開けた。
一際明るいその場所の真ん中に、ポツンと死骸が横たわっている。
体は標準よりも大きめだが、それ以外は普通の鳥と変わらない。
「その姿を見たのは少しの間だけでしたので、はっきりとはわかりませんが・・・この前読んだ本に、そっくりの恐竜がいましたよ。確か名前は・・・」
「ティラノサウルスです!ティラノサウルスに似てました!」
カラスの言葉を引き継いでツバメが言う。
私は納得して頷いた。
「あなた達の中には、先祖である恐竜の遺伝子が消えずに残っています。充分ありえる話です。人間になるよりよっぽど可能性がありますね」
「じゃあ僕達も、恐竜になれるってことですか!?」
興奮したツバメに苦笑を返す。
「そうだね・・・なってみる分には構わないけど・・・自由に飛び回れる翼と、自在に動かせる両腕が無くなってしまうから、鳥と戦うのには向かないかな」
「それにあの巨体で戦えば、建物を壊しそうだ。敵が出現するのは街中だから、被害は避けられないだろう」
私とカラスの説明にツバメは残念そうな顔をしたが、そうですよね、と納得した。
そんな少年の背中を、バシンとタカが叩く。
「シケた顔してんじゃないわよ。その強そうな恐竜を、私が倒したじゃない。やり方次第で勝てるのよ。あんなデカいだけの奴より、私達の方が強いって事、証明してやりましょ!」
「は、はい!」
バシバシと何度も背中を叩かれて、ツバメは痛そうに顔を歪める。
それをやんわりと止めながら、ある可能性が頭に浮かんだ。
死骸から視線を外して、改めてぐるりと周りを見回す。
辺りには照明器具だけでなく、食料や毛布等の生活用品がそこら中に転がっている。
拾ってきた物には見えず、まだ新しい。
ふと地面に紙切れを見つけて拾い上げると、それは三日前の日付が印字されたレシートだった。
「これ、先生の大学から20分位南東に歩いた所にあるスーパーのだよ」
覗き込んできたハトが言う。
「そうだけど・・・よくわかったね」
「この町だけなら場所は大体覚えてる」
なんてことないように言ったハトに驚いていると、新庄さんがこちらに走ってきた。
手には私と同じく拾ったらしいレシートが握られている。
先生。
ギラついた瞳で新庄さんが言う。
「敵もカラス達みてえに人になれるって言ってたよな?」
「はい」
「だがそいつらが買ったにしては、随分と要領良く、まるで普段から買い慣れてるような物の買い方じゃねえか?」
「・・・そう思います」
賞味期限に気をつけた食料の買い方、生活をより快適にする為の商品の数々。
人並みの知能を持ったからという理由だけでは、買い方が手馴れ過ぎている。
じゃあ彼らの代わりに買ったのは誰か?
考えるまでも無い。
カラスも同じ事を思ったのか、眉を寄せている。
「・・・どうやら奴らも私達と同じ、後ろ盾があるようですね」
そうだ!と新庄さんは力強く頷く。
「これを買ったのは人間だ!あいつらを影で操ってる人間がいるに違いねえ!」
その言葉に、現場は俄かに活気づいた。
相手が人間であれば、これは事件、自分達の領分だ。
「レシートにある店を片っ端から当たって、これを買った奴を覚えてないか聞いてみるわ」
水を得た魚のように、新庄さんは生き生きとした表情で言う。
「よろしくお願いします」
「おう!任せとけ!」
そう応えるや否や、警官達は手際良く辺りの物を押収し始めた。
さすが本職というべきか。
この件については、彼らに任せた方が良さそうだ。
私達は、私達にしかできないことに集中するべきだろう。
件の鳥を回収した後、私達は今後の対策、そしてタカとハトから詳しい話を聞く為に、研究室に戻ることにした。
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