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研究室は気まずい空気に包まれていた。
タカはカラスを睨みつけ、カラスはそれを無視してお茶を飲み、ツバメはそんな2人を見てオロオロとし、ハトはその様子をマイペースに観察している。
話は少し遡る。
研究室に戻り、私達はタカとハトの事情を詳しく聞いた。
2人は郊外で鷹匠を営む老人に飼われており、タカはそこで育てられ、今は飼い主と共に鷹狩りとして働き、
ハトは怪我をしていた所を助けられ、そのまま居ついているという。
話を聞いて、2人の協力をツバメは素直に喜んだが、カラスは納得はしたものの、あまり乗り気ではなかった。
その態度にタカが噛み付き、それにカラスが皮肉交じりに返すものだから、彼女の怒りは収まらない。
それをなんとかなだめて、今に至る。
2人ともそういう態度を取るのはお互いだけで、どうやら根本的に合わないらしかった。
「お2人に力を貸して頂けて、心強いです!」
ツバメが大きな声で言う。
場の空気を和らげようと、なんとか捻り出した言葉なのだろう。
チラ、とツバメがこちらを伺ったので微笑むと、ホッと顔を緩ませた。
タカはそれに気分を良くしたのかニヤ、と笑う。
「任せなさい。どんな敵もぶっ潰してやるわ」
そこの優男よりもね。
振り出しに、いやそれ以上に空気が悪くなった気がする。
「・・・タカ子さん、言い過ぎ」
流石にハトが口を挟んだ。
「何よ!こいつが悪いんでしょ!」
指をさされ、煽られたカラスはニッコリと笑った。
これは良くない笑顔だ。
「それは心強い。猛禽類がこちらについてくれるとは思っていなかったからね。君達の事は歓迎するよ」
拍子抜けしたタカへの笑みを崩さずにカラスは続ける。
「ただ、君達の行動に関して、いくつか指摘しておきたいことがあるんだが、良いかな?」
「・・・どうぞ」
ハトが頷く。
そうかい、では。
カラスが2人を見据える。
「まずタカ、君だ。君は自分の身分を明かさず私達を尾行し、更にその後、力ずくで事を進めようとしたね。こちらが警戒するのは当然だ。鳥の姿になったのも良くない。あのような公共の、人目に晒される場所で変身すれば正体がばれ、今後の活動に支障が出る。いずれも思慮に欠ける行動だ。そしてハト。君は教授の手を掴んでこう言ったそうじゃないか。捕まえた、と。この言動で、君が味方で我々に力を貸す存在だと、どれだけの人間が思う?君も身分を明かし、キチンと説明をするべきだった。・・・わかるかい?君達には、その場での状況把握と、想像力、危機感が全く足りていない。そんな2人が加わろうとしているんだ。私が気乗りしない理由もわかっただろう?」
つらつらつらと、流れるような指摘が、表情を変えないカラスの口から出てくる。
「・・・怒ってる?」
「空気を読む、というのも追加しておこうか」
ハトが言うと、カラスは眉間に皺を寄せ、はっきりと不快さを表した。
「それで?納得してもらえたかな?仲間になる以上、さっき言った事は最低限改善して欲しいんだが」
わかった、とハトはあっさり頷いたが、もう一方はそう簡単にはいかないらしい。
「そんなものより、どれだけ敵を倒したかが大事でしょう!?」
タカの言葉を、カラスは鼻で笑った。
「確かにそれも一理ある。・・・だが君にそれができるかな?さっきはああ言ったが、所詮飼い慣らされた温室育ち。出来る事など知れている」
「その温室育ちを倒せなかったのはどこのどいつよ!?」
「その私を取り逃がしたのは誰だろうな?」
2人睨み合う中、襲撃の連絡が入った。
丁度良いとばかりにタカは目をギラつかせ、
「見てなさい!瞬殺してきてやるわ!」
そう宣言して勢い良く翼を出して窓から飛び立とうとしたので、私は慌てて顔を隠す為のマスクを渡す。
お礼を言って素早く取り付けると、タカは敵が出現した方角へ飛び出していった。
タカはカラスを睨みつけ、カラスはそれを無視してお茶を飲み、ツバメはそんな2人を見てオロオロとし、ハトはその様子をマイペースに観察している。
話は少し遡る。
研究室に戻り、私達はタカとハトの事情を詳しく聞いた。
2人は郊外で鷹匠を営む老人に飼われており、タカはそこで育てられ、今は飼い主と共に鷹狩りとして働き、
ハトは怪我をしていた所を助けられ、そのまま居ついているという。
話を聞いて、2人の協力をツバメは素直に喜んだが、カラスは納得はしたものの、あまり乗り気ではなかった。
その態度にタカが噛み付き、それにカラスが皮肉交じりに返すものだから、彼女の怒りは収まらない。
それをなんとかなだめて、今に至る。
2人ともそういう態度を取るのはお互いだけで、どうやら根本的に合わないらしかった。
「お2人に力を貸して頂けて、心強いです!」
ツバメが大きな声で言う。
場の空気を和らげようと、なんとか捻り出した言葉なのだろう。
チラ、とツバメがこちらを伺ったので微笑むと、ホッと顔を緩ませた。
タカはそれに気分を良くしたのかニヤ、と笑う。
「任せなさい。どんな敵もぶっ潰してやるわ」
そこの優男よりもね。
振り出しに、いやそれ以上に空気が悪くなった気がする。
「・・・タカ子さん、言い過ぎ」
流石にハトが口を挟んだ。
「何よ!こいつが悪いんでしょ!」
指をさされ、煽られたカラスはニッコリと笑った。
これは良くない笑顔だ。
「それは心強い。猛禽類がこちらについてくれるとは思っていなかったからね。君達の事は歓迎するよ」
拍子抜けしたタカへの笑みを崩さずにカラスは続ける。
「ただ、君達の行動に関して、いくつか指摘しておきたいことがあるんだが、良いかな?」
「・・・どうぞ」
ハトが頷く。
そうかい、では。
カラスが2人を見据える。
「まずタカ、君だ。君は自分の身分を明かさず私達を尾行し、更にその後、力ずくで事を進めようとしたね。こちらが警戒するのは当然だ。鳥の姿になったのも良くない。あのような公共の、人目に晒される場所で変身すれば正体がばれ、今後の活動に支障が出る。いずれも思慮に欠ける行動だ。そしてハト。君は教授の手を掴んでこう言ったそうじゃないか。捕まえた、と。この言動で、君が味方で我々に力を貸す存在だと、どれだけの人間が思う?君も身分を明かし、キチンと説明をするべきだった。・・・わかるかい?君達には、その場での状況把握と、想像力、危機感が全く足りていない。そんな2人が加わろうとしているんだ。私が気乗りしない理由もわかっただろう?」
つらつらつらと、流れるような指摘が、表情を変えないカラスの口から出てくる。
「・・・怒ってる?」
「空気を読む、というのも追加しておこうか」
ハトが言うと、カラスは眉間に皺を寄せ、はっきりと不快さを表した。
「それで?納得してもらえたかな?仲間になる以上、さっき言った事は最低限改善して欲しいんだが」
わかった、とハトはあっさり頷いたが、もう一方はそう簡単にはいかないらしい。
「そんなものより、どれだけ敵を倒したかが大事でしょう!?」
タカの言葉を、カラスは鼻で笑った。
「確かにそれも一理ある。・・・だが君にそれができるかな?さっきはああ言ったが、所詮飼い慣らされた温室育ち。出来る事など知れている」
「その温室育ちを倒せなかったのはどこのどいつよ!?」
「その私を取り逃がしたのは誰だろうな?」
2人睨み合う中、襲撃の連絡が入った。
丁度良いとばかりにタカは目をギラつかせ、
「見てなさい!瞬殺してきてやるわ!」
そう宣言して勢い良く翼を出して窓から飛び立とうとしたので、私は慌てて顔を隠す為のマスクを渡す。
お礼を言って素早く取り付けると、タカは敵が出現した方角へ飛び出していった。
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