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慌てて後を追いかけようとしたツバメを、私は止める。
「良いんですか!?」
「うん、1人で終わらせないと意味が無いだろうから」
タカの羽ばたきが起こした風が部屋を流れ、肩まで伸びたハトの髪がフワフワと舞う。
風が収まると、少女はカラスを見て目を細めた。
「わざとでしょ」
「おや、バレていたか」
カラスは口の端を上げてみせる。
「タカ子さんは確かに血の気が多いけど・・・あなたならもっと上手く立ち回れそうだもの」
そう。ハトの言うとおり、タカに対する彼の態度はらしくなかった。
そうなるほど相性が悪かったと言えばそれまでだが、それでも必要以上にタカを挑発し、場を乱しているように見えた。
いつもと違うカラスの姿に違和感を感じ、もしかしたら何か意図があって、わざとそう振舞っているのではないかと思ったので、あえて止めることはしなかったのだ。
少し言い過ぎだとは思ったが。
そう私が指摘すると、カラスは頷いた。
「最初はそんな気は無かったんですけどね。途中から、彼女はこちらへの対抗心を煽った方が力を発揮できるんじゃないかと思いまして。ああも上手く引っかかってくれるとは思いませんでしたけどね。だがこれで彼女は、私への負けん気を糧に、より一層任務に力を入れてくれるでしょう」
「本気で怒ってたみたいですけど・・・良いんですか?」
ツバメが気遣う。
「構わないよ。私達の目的はこの騒動の早期解決。その為に、この中で最も強い彼女の力は最大限に引き出したい。憎まれ役位引き受けるさ。・・・ただね、煽る為にあんな言い方はしたが、言った事は全部本心だ。迂闊な行動は慎むようにしてくれ。タカには君から上手く言っておいてくれ。私が言ったって聞かないだろうからね」
「わかった。気をつける」
そうハトが頷いた所で、部屋にやっと落ち着きが戻った。
私はお茶のおかわりをついでやりながら、ハトに気になっていた事を聞いた。
「私達の事をどうやって知ったの?」
正体がバレないよう、こちらは細心の注意を払っていた。
タカはそういった事には不得手に見える。
だとしたら、私達の場所を突き止めたのはハトしかいない。
「観察していたの」
そう言った後、ハトはカラスとツバメを見る。
「最初、戦う2人を見てた。後を追えば援助している人間の居場所がわかると思って、戦いが終わってから後をつけたの。でもすぐに2人とも鳥の姿になって、他の鳥達に紛れてしまうからわからなかった。だから何回も観察した。そうしたらそのうち、2羽のカラスとツバメが、しばらくすると群れから離れて同じ方向へ帰っていくことがわかった。だから、頭の中にこの町の地理を思い浮かべて、戦っていた場所から、帰っていく方向を線で結んだ。何回かそれを繰り返した後、引いた線が1ヵ所で重なっていた。それが、ここ」
ハトは足で床を鳴らしてみせた。
「その後は簡単だった。鳥の姿になって、ここで2人と同じ背格好の人が、誰と一緒にいるか見つけるだけ。そうしたら、あなたを見つけた」
ハトは私を指し示す。
まるで探偵の推理を披露されたようだった。
この街の地理が全て頭に入っているとは聞いていた。
だがそれだけでなく、彼女はそれを応用して、私達の行動を分析し、場所を突き止めたのだ。
呆気に取られている私達の中で一番最初に我に返ったのは、ツバメだった。
「すごいです!僕達、バレないようにすごく気をつけていたのに、そんな事でわかってしまうなんて!」
「・・・ああ、大したものだ」
カラスも同意する。
「ええ本当に・・・貴方はとても頭が良いのね」
そう口々に褒めると、ハトの頬がほんのり赤く染まった。
「・・・敵の動きも結構観察していたから、棲み処とかも色々、教えられると思う」
心なしか張り切っているように見える少女に微笑みながら、私は地図を持ってきた。
「じゃあ、これに描いてくれる?」
机に置いてペンを渡すと、ハトは頷いて、サラサラと迷い無く印をつけていく。
ハトがペンを置き、皆で覗き込む。
そこにはカラスの報告の倍以上の敵の拠点が示されていた。
「・・・予想よりも多いな」
「ええ。ですがこちらの戦力も増えました。力を合わせれば、きっと対処できると思います」
「・・・そうですね」
地図を見ながらカラスと話していると、1つ他と違って花丸がつけてある場所があることに気付いた。
「ここに何かあるの?」
「うん。爆弾」
空気が凍った。
「私戦う事はできないから、他に何かできないかなと思って、作ってみたの。洞窟でタカ子さんが使って、ちゃんと爆発してたでしょう?沢山作って隠しておいたから、どんどん使ってね」
「今すぐ回収してきて下さい!」
「良いんですか!?」
「うん、1人で終わらせないと意味が無いだろうから」
タカの羽ばたきが起こした風が部屋を流れ、肩まで伸びたハトの髪がフワフワと舞う。
風が収まると、少女はカラスを見て目を細めた。
「わざとでしょ」
「おや、バレていたか」
カラスは口の端を上げてみせる。
「タカ子さんは確かに血の気が多いけど・・・あなたならもっと上手く立ち回れそうだもの」
そう。ハトの言うとおり、タカに対する彼の態度はらしくなかった。
そうなるほど相性が悪かったと言えばそれまでだが、それでも必要以上にタカを挑発し、場を乱しているように見えた。
いつもと違うカラスの姿に違和感を感じ、もしかしたら何か意図があって、わざとそう振舞っているのではないかと思ったので、あえて止めることはしなかったのだ。
少し言い過ぎだとは思ったが。
そう私が指摘すると、カラスは頷いた。
「最初はそんな気は無かったんですけどね。途中から、彼女はこちらへの対抗心を煽った方が力を発揮できるんじゃないかと思いまして。ああも上手く引っかかってくれるとは思いませんでしたけどね。だがこれで彼女は、私への負けん気を糧に、より一層任務に力を入れてくれるでしょう」
「本気で怒ってたみたいですけど・・・良いんですか?」
ツバメが気遣う。
「構わないよ。私達の目的はこの騒動の早期解決。その為に、この中で最も強い彼女の力は最大限に引き出したい。憎まれ役位引き受けるさ。・・・ただね、煽る為にあんな言い方はしたが、言った事は全部本心だ。迂闊な行動は慎むようにしてくれ。タカには君から上手く言っておいてくれ。私が言ったって聞かないだろうからね」
「わかった。気をつける」
そうハトが頷いた所で、部屋にやっと落ち着きが戻った。
私はお茶のおかわりをついでやりながら、ハトに気になっていた事を聞いた。
「私達の事をどうやって知ったの?」
正体がバレないよう、こちらは細心の注意を払っていた。
タカはそういった事には不得手に見える。
だとしたら、私達の場所を突き止めたのはハトしかいない。
「観察していたの」
そう言った後、ハトはカラスとツバメを見る。
「最初、戦う2人を見てた。後を追えば援助している人間の居場所がわかると思って、戦いが終わってから後をつけたの。でもすぐに2人とも鳥の姿になって、他の鳥達に紛れてしまうからわからなかった。だから何回も観察した。そうしたらそのうち、2羽のカラスとツバメが、しばらくすると群れから離れて同じ方向へ帰っていくことがわかった。だから、頭の中にこの町の地理を思い浮かべて、戦っていた場所から、帰っていく方向を線で結んだ。何回かそれを繰り返した後、引いた線が1ヵ所で重なっていた。それが、ここ」
ハトは足で床を鳴らしてみせた。
「その後は簡単だった。鳥の姿になって、ここで2人と同じ背格好の人が、誰と一緒にいるか見つけるだけ。そうしたら、あなたを見つけた」
ハトは私を指し示す。
まるで探偵の推理を披露されたようだった。
この街の地理が全て頭に入っているとは聞いていた。
だがそれだけでなく、彼女はそれを応用して、私達の行動を分析し、場所を突き止めたのだ。
呆気に取られている私達の中で一番最初に我に返ったのは、ツバメだった。
「すごいです!僕達、バレないようにすごく気をつけていたのに、そんな事でわかってしまうなんて!」
「・・・ああ、大したものだ」
カラスも同意する。
「ええ本当に・・・貴方はとても頭が良いのね」
そう口々に褒めると、ハトの頬がほんのり赤く染まった。
「・・・敵の動きも結構観察していたから、棲み処とかも色々、教えられると思う」
心なしか張り切っているように見える少女に微笑みながら、私は地図を持ってきた。
「じゃあ、これに描いてくれる?」
机に置いてペンを渡すと、ハトは頷いて、サラサラと迷い無く印をつけていく。
ハトがペンを置き、皆で覗き込む。
そこにはカラスの報告の倍以上の敵の拠点が示されていた。
「・・・予想よりも多いな」
「ええ。ですがこちらの戦力も増えました。力を合わせれば、きっと対処できると思います」
「・・・そうですね」
地図を見ながらカラスと話していると、1つ他と違って花丸がつけてある場所があることに気付いた。
「ここに何かあるの?」
「うん。爆弾」
空気が凍った。
「私戦う事はできないから、他に何かできないかなと思って、作ってみたの。洞窟でタカ子さんが使って、ちゃんと爆発してたでしょう?沢山作って隠しておいたから、どんどん使ってね」
「今すぐ回収してきて下さい!」
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