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Scene.2 - 木漏れ日とエチュード
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まだ五月下旬だと言うのに、すっかり春の気配はなくなっている。ここ数日は夏日を超える日もあり、もう夏になったと言ってもいいほどだ。
窓を開けきった稽古部屋、その広い空間には二人しかいない。定期公演に向けての稽古を始めてから二週間以上経過し、その内容は本読みから立ち稽古に移っていた。本来なら部員全員が揃うはずの稽古部屋には、私と高瀬先輩の二人だけだった。
今回の定期公演は元々キャストをしていた三人に加え、一年の二人の計五名がキャストをする。もう一人の一年はスタッフ志望だが、一度は舞台に立ってもらうのが恒例のことらしい。
今日は土曜日で午前だけ部活なのだが、今日は部長は休みだ。他の六人は揃っているが、スタッフ二人は部室で作業、キャストは二グループに別れて稽古をしている。顧問の先生はあまり顔を見せることはなく、かなり自由に部活ができている。
「セリフは完璧に覚えてるね。でも、読むことに意識しすぎかな」
高瀬先輩に指摘され、もう一度同じ場面を繰り返す。手にはまだ台本を持っているが、それは丸められ読まれているわけではない。しかし、頭の中に記憶したセリフを読むことで未だに精一杯だ。
高瀬先輩は、自分の前後のセリフだけでなく台本全てを既に覚えているようで、台本を見なくても私のセリフがわかっている。私は彼の三分の二ほどのセリフ量だというのに自分のセリフを忘れないか不安でしょうがない。
「書かれたセリフを一言一句覚えなくても、少し語尾が変わってもいいから、自分の言葉だと思って」
「はい」
今回の演目は『校舎裏の水溜まり』だ。舞台は放課後の校舎裏で、クラスも部活も性別も違う、性格すらもちぐはぐな五人が集まる日常の先の物語。その役は三年の優斗と千夏、二年の彼方と由梨、一年の太智。セリフ量に多少の差はあるものの、そこに特別主役な人はいない。
約束をしたわけではない、元々他人同士だった五人が毎日決まった時間に集まる校舎裏。きっとみんな何かを抱えているけど、それを言葉にすることなく馬鹿みたいな掛け合いで毎日が過ぎていく。やがて一人、また一人と本音を零していく。前に進めた人は校舎裏に来なくなり、徐々に来なくなる校舎裏、最後に残るのは優斗だけ。そして三年生、最後の放課後。いつもの時間にそこにいるのは一人だけだったが、遅れて全員が揃う。いつも通りの会話だが、どこが違う空気。それぞれ前に進んで、みんなこれが最後だと気づいている。この校舎裏の先にあるものは何なのだろうと思いながら、何もなくても水溜まりを飛び越えて進んでいこうという話だ。
「芽依は感情的になるのが苦手なのかな」
「……そうかもしれません」
私が演じるのは二年の由梨で、冷静に見えて感情的になる一面のある子だ。落ち着いて会話をする場面はまだ上手くなってきたと思うが、感情を爆発させる場面はどうしても上手くいかない。高瀬先輩演じる優斗は、明るくて面倒見の良いタイプで、彼と似ているところもありスっと受け入れられる。
「由梨の気持ちになって……って言っても難しいもんな」
「はい……」
由梨は落ち着いていても言葉が強い。一番感情を昂らせる場面となると、口調も動きもかなり大袈裟なことになるだろう。こんなに感情的になっても疲れるだけなのにと思ってしまうのが正直なところだ。
「小さくてもいいから芽依の中にある感情を、これでもかってくらい大きくしてみよう」
私に寄り添ってアドバイスを続けるが「言葉で伝えるのは難しいね」と笑い、お手本のようにやってみせる。それを真似するように繰り返せば、少しだけ感情的になれた気がする。
「次の部活は月曜です。じゃあ、お疲れ様」
高瀬先輩の声をきっかけにみんな帰る準備をする。休日は部室と稽古部屋は鍵が掛けられるため、管理室で朝に借りて帰りに返さなくてはならない。一年生で交代で担当する鍵当番は、今日は私の日だった。
先に稽古部屋の鍵を閉めて部室に戻れば、みんな既に部屋を出ていた。唯一部室内に残っていた高瀬先輩も、私が戻ったのに気がつくとすぐに荷物を持つ。
「電車通学だっけ?」
戸締りを確認し部室の鍵を閉めていると、まだそばにいた高瀬先輩に声をかけられる。
「はい。電車です」
「俺、駅の反対側が家だから、駅まで一緒に帰らない?」
「鍵返しに行かないとなんですけど……」
「それくらい待つよ」
職員棟一階にある管理室に鍵を返し、ノートに返却時間を記入して部屋を出る。そして職員棟の玄関へ向かえば、先生と話している高瀬先輩がいる。彼の担任とはまた違う、確か一年の他クラスの担任だったはずだ。
「じゃあ、何かあったら言えよ」
「はい、ありがとうございます」
私が来たころにはちょうど会話が終わったらしく、先生は二階へと上がって行った。
「お待たせしました」
「うん。お疲れ」
靴を履き隣に並ぶと、自然に校門へと歩き出す。他の部活も今日は午前練のところが多いみたいで、学校にはほとんど人はいなくなっていた。
「部活、大変なことない?」
足を進めたままこちらに視線を向ける。
「慣れない事ばかりだけど、楽しいです」
正直に告げると、高瀬先輩は「よかった」と呟く。演劇部に入って合わなかったらどうしようと思っていたが、そんなこと忘れるくらい、自分でも驚くほど楽しいと思っている。部活で楽しいと思ったのは初めてで、入部したことに後悔はない。
「見学来てもらった日、結構強引だったでしょ。無理して入ったんじゃないかって心配だったんだよね」
「確かに、あの日はびっくりしましたけど……入るって決めたのは自分なので」
思い返せばあの日、私は部活に入る気ないと言っていたのに言われるがまま見学に行ってしまった。乗り気だったとは言えない姿を見ていたから、私が入部するのは意外だったのだろう。
「そっか、よかった。何かあったら相談してね」
「はい」
ただきっかけを作っただけなのに心配してくれる高瀬先輩は優しいだけじゃないお人好しなのだろう。第一印象こそ自分とは真逆のタイプで苦手かもしれないと思っていたが、関わっていくうちに印象は変わっていった。ただ明るくて社交的で眩しすぎると思っていた彼の優しくて暖かいところを知ってしまった。
駅に着いたのはちょうど乗る電車が出発したころだった。次の電車まで十分弱あると呟くと、高瀬先輩は一緒に待ってくれた。改札前の柱巻き広告の横で二人、改札からを通る人の流れを見ながら話す。
「しゅん、今から帰るところなの?」
突然、声のした方を見れば、私より少し背の低い女性がいた。彼女の視線は高瀬先輩に向いている。
「……お母さん、今から帰るよ」
「そうなのね。あら、そちらは?」
お母さんと呼ばれた彼女は、ようやく私の存在に気づいたのか、やっと目が合う。反射的にお辞儀し自己紹介をすると、彼女はにっこりと笑った。
「しゅんと仲良くしてくれてありがとね。じゃあ、お母さん先に帰ってるから」
「うん、すぐ帰るよ」
高瀬先輩は私といるところを親に見られたのか気まずいのか、複雑な表情でその背中を見送っている。私も突然のことに動揺してしまい、名乗ることしかできなかった。
「高瀬先輩、しゅんって……?」
彼の母親が二度も口にした“しゅん”という言葉が引っかかり、思わず尋ねる。
「あぁ、俺のことだよ」
「え?確か先輩の下の名前って……」
「千隼だよ。千隼の隼は“しゅん”とも読むからさ」
「なるほど、あだ名だったんですね」
初めて聞く呼ばれ方で耳に残ったが、家族特有のあだ名だってある。漢字まで意識したことはなかったが、先輩の名前だったのだ。
「もうそろそろ、電車来るんじゃない」
「あっ、そうだ。高瀬先輩ありがとうございました。お疲れ様でした」
電光掲示板に書かれた次の電車の時刻まで、残り二分となっていた。先輩に挨拶をし改札を抜ける。ホームに降りる直前、振り返って見ると先輩はゆらゆらと手を振っていた。そこに差し込む木漏れ日が、彼の輪郭を優しく縁取っていた。
窓を開けきった稽古部屋、その広い空間には二人しかいない。定期公演に向けての稽古を始めてから二週間以上経過し、その内容は本読みから立ち稽古に移っていた。本来なら部員全員が揃うはずの稽古部屋には、私と高瀬先輩の二人だけだった。
今回の定期公演は元々キャストをしていた三人に加え、一年の二人の計五名がキャストをする。もう一人の一年はスタッフ志望だが、一度は舞台に立ってもらうのが恒例のことらしい。
今日は土曜日で午前だけ部活なのだが、今日は部長は休みだ。他の六人は揃っているが、スタッフ二人は部室で作業、キャストは二グループに別れて稽古をしている。顧問の先生はあまり顔を見せることはなく、かなり自由に部活ができている。
「セリフは完璧に覚えてるね。でも、読むことに意識しすぎかな」
高瀬先輩に指摘され、もう一度同じ場面を繰り返す。手にはまだ台本を持っているが、それは丸められ読まれているわけではない。しかし、頭の中に記憶したセリフを読むことで未だに精一杯だ。
高瀬先輩は、自分の前後のセリフだけでなく台本全てを既に覚えているようで、台本を見なくても私のセリフがわかっている。私は彼の三分の二ほどのセリフ量だというのに自分のセリフを忘れないか不安でしょうがない。
「書かれたセリフを一言一句覚えなくても、少し語尾が変わってもいいから、自分の言葉だと思って」
「はい」
今回の演目は『校舎裏の水溜まり』だ。舞台は放課後の校舎裏で、クラスも部活も性別も違う、性格すらもちぐはぐな五人が集まる日常の先の物語。その役は三年の優斗と千夏、二年の彼方と由梨、一年の太智。セリフ量に多少の差はあるものの、そこに特別主役な人はいない。
約束をしたわけではない、元々他人同士だった五人が毎日決まった時間に集まる校舎裏。きっとみんな何かを抱えているけど、それを言葉にすることなく馬鹿みたいな掛け合いで毎日が過ぎていく。やがて一人、また一人と本音を零していく。前に進めた人は校舎裏に来なくなり、徐々に来なくなる校舎裏、最後に残るのは優斗だけ。そして三年生、最後の放課後。いつもの時間にそこにいるのは一人だけだったが、遅れて全員が揃う。いつも通りの会話だが、どこが違う空気。それぞれ前に進んで、みんなこれが最後だと気づいている。この校舎裏の先にあるものは何なのだろうと思いながら、何もなくても水溜まりを飛び越えて進んでいこうという話だ。
「芽依は感情的になるのが苦手なのかな」
「……そうかもしれません」
私が演じるのは二年の由梨で、冷静に見えて感情的になる一面のある子だ。落ち着いて会話をする場面はまだ上手くなってきたと思うが、感情を爆発させる場面はどうしても上手くいかない。高瀬先輩演じる優斗は、明るくて面倒見の良いタイプで、彼と似ているところもありスっと受け入れられる。
「由梨の気持ちになって……って言っても難しいもんな」
「はい……」
由梨は落ち着いていても言葉が強い。一番感情を昂らせる場面となると、口調も動きもかなり大袈裟なことになるだろう。こんなに感情的になっても疲れるだけなのにと思ってしまうのが正直なところだ。
「小さくてもいいから芽依の中にある感情を、これでもかってくらい大きくしてみよう」
私に寄り添ってアドバイスを続けるが「言葉で伝えるのは難しいね」と笑い、お手本のようにやってみせる。それを真似するように繰り返せば、少しだけ感情的になれた気がする。
「次の部活は月曜です。じゃあ、お疲れ様」
高瀬先輩の声をきっかけにみんな帰る準備をする。休日は部室と稽古部屋は鍵が掛けられるため、管理室で朝に借りて帰りに返さなくてはならない。一年生で交代で担当する鍵当番は、今日は私の日だった。
先に稽古部屋の鍵を閉めて部室に戻れば、みんな既に部屋を出ていた。唯一部室内に残っていた高瀬先輩も、私が戻ったのに気がつくとすぐに荷物を持つ。
「電車通学だっけ?」
戸締りを確認し部室の鍵を閉めていると、まだそばにいた高瀬先輩に声をかけられる。
「はい。電車です」
「俺、駅の反対側が家だから、駅まで一緒に帰らない?」
「鍵返しに行かないとなんですけど……」
「それくらい待つよ」
職員棟一階にある管理室に鍵を返し、ノートに返却時間を記入して部屋を出る。そして職員棟の玄関へ向かえば、先生と話している高瀬先輩がいる。彼の担任とはまた違う、確か一年の他クラスの担任だったはずだ。
「じゃあ、何かあったら言えよ」
「はい、ありがとうございます」
私が来たころにはちょうど会話が終わったらしく、先生は二階へと上がって行った。
「お待たせしました」
「うん。お疲れ」
靴を履き隣に並ぶと、自然に校門へと歩き出す。他の部活も今日は午前練のところが多いみたいで、学校にはほとんど人はいなくなっていた。
「部活、大変なことない?」
足を進めたままこちらに視線を向ける。
「慣れない事ばかりだけど、楽しいです」
正直に告げると、高瀬先輩は「よかった」と呟く。演劇部に入って合わなかったらどうしようと思っていたが、そんなこと忘れるくらい、自分でも驚くほど楽しいと思っている。部活で楽しいと思ったのは初めてで、入部したことに後悔はない。
「見学来てもらった日、結構強引だったでしょ。無理して入ったんじゃないかって心配だったんだよね」
「確かに、あの日はびっくりしましたけど……入るって決めたのは自分なので」
思い返せばあの日、私は部活に入る気ないと言っていたのに言われるがまま見学に行ってしまった。乗り気だったとは言えない姿を見ていたから、私が入部するのは意外だったのだろう。
「そっか、よかった。何かあったら相談してね」
「はい」
ただきっかけを作っただけなのに心配してくれる高瀬先輩は優しいだけじゃないお人好しなのだろう。第一印象こそ自分とは真逆のタイプで苦手かもしれないと思っていたが、関わっていくうちに印象は変わっていった。ただ明るくて社交的で眩しすぎると思っていた彼の優しくて暖かいところを知ってしまった。
駅に着いたのはちょうど乗る電車が出発したころだった。次の電車まで十分弱あると呟くと、高瀬先輩は一緒に待ってくれた。改札前の柱巻き広告の横で二人、改札からを通る人の流れを見ながら話す。
「しゅん、今から帰るところなの?」
突然、声のした方を見れば、私より少し背の低い女性がいた。彼女の視線は高瀬先輩に向いている。
「……お母さん、今から帰るよ」
「そうなのね。あら、そちらは?」
お母さんと呼ばれた彼女は、ようやく私の存在に気づいたのか、やっと目が合う。反射的にお辞儀し自己紹介をすると、彼女はにっこりと笑った。
「しゅんと仲良くしてくれてありがとね。じゃあ、お母さん先に帰ってるから」
「うん、すぐ帰るよ」
高瀬先輩は私といるところを親に見られたのか気まずいのか、複雑な表情でその背中を見送っている。私も突然のことに動揺してしまい、名乗ることしかできなかった。
「高瀬先輩、しゅんって……?」
彼の母親が二度も口にした“しゅん”という言葉が引っかかり、思わず尋ねる。
「あぁ、俺のことだよ」
「え?確か先輩の下の名前って……」
「千隼だよ。千隼の隼は“しゅん”とも読むからさ」
「なるほど、あだ名だったんですね」
初めて聞く呼ばれ方で耳に残ったが、家族特有のあだ名だってある。漢字まで意識したことはなかったが、先輩の名前だったのだ。
「もうそろそろ、電車来るんじゃない」
「あっ、そうだ。高瀬先輩ありがとうございました。お疲れ様でした」
電光掲示板に書かれた次の電車の時刻まで、残り二分となっていた。先輩に挨拶をし改札を抜ける。ホームに降りる直前、振り返って見ると先輩はゆらゆらと手を振っていた。そこに差し込む木漏れ日が、彼の輪郭を優しく縁取っていた。
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