【R18】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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6.旦那様(ニセ)に忠実な執事が、実はとんでもない羊被りだった件。

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 中松を見るとほっとした顔で、指で丸を作って私にオーケーサインをこっそり出してくれた。一日中一矢に張り付いている彼の気苦労が、少し解った気がした。私もこっそり指で丸を作って中松を見つめて頷いた。
 とにかく旦那様(ニセ)の機嫌を損ねないように、上手にこちらの意図する方向に持っていかなくてはいけないのだ・・・・。これが結構、骨が折れる。

「一矢。料理に関しては私の方が先生だからね。幼い頃から店や家で修業をしていたようなものだから、私が言う通りにして貰うわ。いい? 約束してね?」

「解った。約束しよう」

 玉ねぎが思いの外一矢にダメージを与えてくれたようなので、素直に頷いてくれてほっとした。

「私が切るから、見ていて。他の作業を一緒にやりましょう」

 店でオムライスの具の仕込みや付け合わせのオニオンスライスも作るから、玉ねぎは毎日大量に朝から皮を剥いてすぐ使えるようにしておくのが、私の日課だ。包丁で玉ねぎのおしりの部分をカットして、そこから一気に皮を剥ぐ。素早い包丁さばきでそれを繰り返し、あっというまに玉ねぎを裸に剥いた。

「おおー、すごいな」

 一矢が拍手をしてくれた。中松をちらっと見ると、ほほおー、と感心した様子で私を見つめている。この屋敷に来てから、彼のあんな顔を始めてみた。



 ふっ、どやぁ、中松!



 私だって優良にできる事はあるんだからね! こと料理となれば、このくらい朝飯前なのよぉ!
 令嬢の修行とは違って、料理の腕はスゴいんだから!! お手伝いを入れたら、歴二十年くらいはあるから! 唯一自慢できるところなのよっ!!
 こんなこと、そんじょそこらの令嬢にはできないでしょー。おーほほ。


 剥いた裸の玉ねぎの芯を取り除いて高速みじん切りにしてしまって、用意し混ぜ合わせたミンチの中に入れた。
 玉ねぎは炒めると甘みが出て。更に辛味も取れるから本当は炒める工程をやりたいのだけれど、今から炒めても冷ますのに結構時間がかかるから、仕方なく玉ねぎの大きさをかなり小さくすることで火を通りやすくし、辛味を抑える事にしたのだ。工夫も大切だからね。

「これ、混ぜてくれる? あと、フードプロセッサーでさっき用意してもらったものを砕いて欲しいの。一緒にやりましょう」

 用意して貰ったのは、『麩(ふ)』だ。豆腐やすき焼きに大活躍の具よ。これをつなぎとしてハンバーグに入れると、驚く程柔らかくて美味しくなる。家庭用でも十分美味しい歯触りのものができるから、みんなも是非やってみて欲しいわ。
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