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9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。
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あれから順調に月日は流れた。婚約披露――私の中では婚約疲労――パーティーが後一週間に迫った。鬼の指導のお陰で、マナー全般はとりあえず身に着ける事が出来た。歩く姿も美しくなった・・・・と思う!(自画自賛)鬼はあんまり褒めてくれない。多分まだ合格点を手放しで付けるには遠いのだろう。しくしく。これでも頑張っているのよ! ニセ嫁として!!
グリーンバンブーの焼き場の修業だって頑張っているわよぉっ!
そんな私が、今日は婚約披露パーティーの練習をする為に、三成家――特に一矢が懇意にしている取引先への挨拶に同行する事になった。
ううう・・・・上手にできるかしら。阻喪なんかしたら、鬼の嫌味が飛んでくるわ。嫌味だけならまだいいけど、もっと辛辣な酷い叱りの言葉を浴びせられるかもしれないし。とにかく、失敗は出来ない。
気分はまるでシンデレラだ。慣れない衣装で着飾り、かぼちゃの馬車に揺れられて、舞踏会へ行く姫のように。
いや、ちょっと思ったんだけど、シンデレラってさ、容姿はもともと綺麗だけど、ダンスなんかやった事ないじゃない? しかも普段から召使のような扱いだったのだから、ずっとお皿洗いとかしているだろうし、美しい令嬢みたいなつるつるの白魚のような手じゃなくて、いくら着飾ったとしても、カサカサしていると思うのよ。私みたいに。
結論。シンデレラも、舞踏会への憧れはあるけれど、馬車に揺られている間、不安しか無かったと思うの!
だってもともとお金持ち根性は備わっている訳じゃないから、怖気づいたり、上流階級の令嬢に意地悪されると思うのよ!
何時か私も、一矢を好いていた女子から恨まれるだろう。その時、あー、大丈夫、ニセなんでっ。(キラーン)って言えるような雰囲気じゃないだろうし、そもそもそういう人たちが一矢に持ち掛ける縁談をブッた切る為のニセ婚なんだしね。
さあ、どんなご挨拶になるのやら。
「いいですか、伊織様。くれぐれも阻喪がないように、お願いいたしますよ。三条様は昔から一矢様をご贔屓にして下さる、数少ない取引先様でございますからね」
リムジンを運転しながら、鬼が言った。
「解っているわ、中松(鬼)。出しゃばらないように、気を付けます」
ふうー。それ、耳にタコが出来るくらい何百回も聞いたし。
今までの私は、鬼松を睨みつけながら口いっぱいものを言っていたけれど、それは控える様にしている。そんな事をすると、般若みたいな顔になってしまって余計鬼に文句を言われるから。ちょっとでもそういう顔をすると、鬼から嫌味が飛んでくるのよ、すぐに。
ニセ嫁辞めたら、鬼に豆まきするかのように、文句の塊を投げつけてやるっ。
私はそう決めているのだ。そうする事によって、鬼に一々たてつかずに済んでいるから。
グリーンバンブーの焼き場の修業だって頑張っているわよぉっ!
そんな私が、今日は婚約披露パーティーの練習をする為に、三成家――特に一矢が懇意にしている取引先への挨拶に同行する事になった。
ううう・・・・上手にできるかしら。阻喪なんかしたら、鬼の嫌味が飛んでくるわ。嫌味だけならまだいいけど、もっと辛辣な酷い叱りの言葉を浴びせられるかもしれないし。とにかく、失敗は出来ない。
気分はまるでシンデレラだ。慣れない衣装で着飾り、かぼちゃの馬車に揺れられて、舞踏会へ行く姫のように。
いや、ちょっと思ったんだけど、シンデレラってさ、容姿はもともと綺麗だけど、ダンスなんかやった事ないじゃない? しかも普段から召使のような扱いだったのだから、ずっとお皿洗いとかしているだろうし、美しい令嬢みたいなつるつるの白魚のような手じゃなくて、いくら着飾ったとしても、カサカサしていると思うのよ。私みたいに。
結論。シンデレラも、舞踏会への憧れはあるけれど、馬車に揺られている間、不安しか無かったと思うの!
だってもともとお金持ち根性は備わっている訳じゃないから、怖気づいたり、上流階級の令嬢に意地悪されると思うのよ!
何時か私も、一矢を好いていた女子から恨まれるだろう。その時、あー、大丈夫、ニセなんでっ。(キラーン)って言えるような雰囲気じゃないだろうし、そもそもそういう人たちが一矢に持ち掛ける縁談をブッた切る為のニセ婚なんだしね。
さあ、どんなご挨拶になるのやら。
「いいですか、伊織様。くれぐれも阻喪がないように、お願いいたしますよ。三条様は昔から一矢様をご贔屓にして下さる、数少ない取引先様でございますからね」
リムジンを運転しながら、鬼が言った。
「解っているわ、中松(鬼)。出しゃばらないように、気を付けます」
ふうー。それ、耳にタコが出来るくらい何百回も聞いたし。
今までの私は、鬼松を睨みつけながら口いっぱいものを言っていたけれど、それは控える様にしている。そんな事をすると、般若みたいな顔になってしまって余計鬼に文句を言われるから。ちょっとでもそういう顔をすると、鬼から嫌味が飛んでくるのよ、すぐに。
ニセ嫁辞めたら、鬼に豆まきするかのように、文句の塊を投げつけてやるっ。
私はそう決めているのだ。そうする事によって、鬼に一々たてつかずに済んでいるから。
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