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9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。
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「やあ、一矢君。よく来てくれたね。そちらのお嬢さんが噂のシンデレラガールかね?」
シンデレラガール・・・・。まあ、そういう扱いよね。まさかとは思うけど、ニセ嫁とは思われていないわよ・・・・ね?
「辰雄(たつお)さん、彼女はシンデレラガールではありませんよ。私が本家と犬猿の仲だという事はご存じでいらっしゃるでしょう。彼女は私が大変な思いをしている幼少期から今日(こんにち)まで、ずっと傍で支えてくれたのです。彼女以外、私は他の女性と結婚は考えておりませんでした」
「そうか」
幾分納得のいかない顔を遠慮なく見せた彼の思惑が、私にも伝わってきた。
一矢を懇意にしていた本当の理由――それは、一人娘をあてがうために、今日まで一矢に取り入ろうと努力してきたのだ。それを、私が横からかっさらった。彼の中で私は悪の存在とも言えよう。
「それより私の妻を紹介しよう。まだ正式ではないが、辰雄さんにはいつも良くして頂いていたので、いち早く知らせておこうと思った次第だ。伊織、こちらが三条辰雄さんだ。ずっと三成と懇意にして下さっている取引先の方だ。一応、義理姉の親戚筋になるのだ。義理母の遠縁の方だ」
一歩下がって一矢の後ろに隠れるようにしていた私が、一矢の隣に並んだ。お腹に力を入れ、優雅に微笑むことを忘れず、自己紹介をしてニセ令嬢としての責務を果たした。
悪だと思われても、構うものか。私にはそんなに関りの無い人だし。言ってもニセ嫁は当面の間の話だからね。ニセ嫁勤めの間なんて、たかが知れているだろうし。やっかまれても、別にいい。
だからこそ、ニセ嫁契約婚が解消された後でも、何の関係性も無い庶民の私を選ぶ一矢の気持ちは解った。私なら、今後の会社取引なんかに関わる事は無いし、無害だから。
「伊織さんとやらに、娘の花蓮(かれん)を紹介しなくてはいけないな。娘は一矢君を大変慕っていたから、伊織さんの存在を聞いて、肩を落としているよ。慰めてやってくれ」
えええー、それ、私に言っちゃうぅ?
どんだけー。
上流階級、怖いわぁー。
早くグリーンバンブーに帰りたいよぉー。
切り返し方は、また中松に教えてもらう事にする。下手に喋れないのでニコニコしていると、娘をここに呼んでくれ、と、三条さんが先程玄関で出迎えてくれた初老の執事に伝え、花蓮さんというお嬢様を呼びだした。現れたお嬢様は、高級で上品な召し物――薄い水色のパブスリーブ、首元にリボンが付いたシルク素材のワンピースに身を包み、大変美しい容姿をしていた。腰まである赤みを帯びたウェーブがかった艶やかな髪をきちんとセットし、つぶらで目が大きく、鼻もつんと小ぶりなのに上を向いていて、全体的に美しく整っていて愛らしい。一矢を見た途端、ピンクのバラの如く頬を染め、目を潤ませた。
しかしその横にいる私の姿を見た途端、目力が増して嫉妬の炎が見える。一瞬だったが、中松に鍛えられたお陰で私はそれを見逃さなかった。
うわー。私、完全邪魔者認定―。
きっついわぁー。
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