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12.旦那様(ニセ)が、嫁(ニセ)の為に愛の大告白(ニセ)をしちゃいます!
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しおりを挟む沈黙を破るべく、パンパン、と一矢が手を叩くと、会場が明るくなった。
「醜い家庭内事情をこのような場で発表せざるを得ず、大変申し訳ございませんでした。この件に関しましては、私の独断で全て行いました。叱責・責任は私が全て引き受けますので、どうか関係の無い者への取材等は行わないように、よろしくお願い致します。また、伊織は一般の女性でありますので、過度な取材はどうかご遠慮いただきたいのです。彼女が傷つくようなことがあれば、三成家の全勢力を揚げて立ち向かいます。ご理解頂きますよう願っております」
有無を言わせず、一矢が美しく微笑んだ。
「さあ、本日はめでたい日。私事で恐縮ではございますが、以降はご自由に歓談や料理をお楽しみ下さい」
その一言で、張りつめていた雰囲気が、ふぁっと明るくなった。
途端に真後ろで待機してくれていた、美緒が私にこっそり話しかけてくれた。
「イチ君めちゃくちゃカッコいいね! ニセとか散々言ってながら、お姉ちゃんの事、ホンキみたいじゃないー?」
「そ、そんな訳ないよ・・・・。この場を取り繕うためのシナリオよ。今だけだと思う」
「そうかなぁー? そうは思えないけど。あ、それよりお姉ちゃん、後で中松さん紹介してっ」
「はい?」
「中松さんよぉ! もう、中松さんって、私の理想そのもの! お姉ちゃんが居なくなった時の中松さんったら、チョーカッコ良くて、チョー怖かったんだぁ! これ、行くしかないでしょ!!」
そうだった。美緒は任侠映画が大好きなのよ。理想の男が萬田銀次郎とかいう位だし、そっち系大好き人間。
でも、中松は鬼だよぉー。本気で怖いよー?
「あの冷徹な瞳、ゾクゾクするぅ。たまんない!」
あ、そっか。私を探している『本気の鬼姿』を見て、カッコイイとか言っちゃうくらいだから、素の中松がオーケーって事よね。
「お姉ちゃんにこれだけ協力したんだから、絶対、ぜーったい紹介して、協力してね!」
絶対紹介する事と、絶対協力するようにと、押し切られ、強引に約束させられた。
ありゃりゃ・・・・。恋が芽生える・・・・予感?
がんばれ、美緒!
打倒、鬼松!!(違うか)
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