上 下
57 / 93
9.ニセ令嬢、モノホン令嬢の根性を叩き直す鬼になります!

しおりを挟む
 

「いーち にー さーん・・・・」


 現在、都内某所にある緑の花公園。いよいよ缶蹴り大会、キックオフ――じゃなくて、スタートよ!
 先ずはお嬢にルール説明をして、とりあえず実践。エラソーに命令する事絶対禁止で、この様子は全部中松さんに撮影を頼んでいる。
 少しでもお嬢が他のお友達にエラソーにしたら、速攻彼女のお父様に通報。なので、白雪お嬢はビックリするほど口調は大人しい。

「じゅう! さあ、探しに行くわよ!!」

 全部で二十人近くもの人数になってしまったので、鬼は二人にした。広いし探すのが大変だからね。先ずは私と中松さんが鬼をする事に。
 鬼が鬼をするなんて、これ以上にピッタリな事はない。

「美緒。陣地(缶)はしっかり守れよ」

 そっと囁かれ、耳元が真っ赤に。ふぉおおー・・・・缶蹴り最高!!
 今日、お嬢の根性を叩き直す&缶蹴りでチーム組んで中松さんとの親密度をアップさせる、と。Wで最高の計画! 頑張れ、私!!
 
「任せておいて! 絶対、誰にも負けないし、陣地は荒らさせないから!」

「頼もしいな」

 ふ、と優しく笑ってくれた。うん、今日も推し(中松さん)が尊い。

「中松さん。今日の計画が上手く行ったたら、私にご褒美ちょうだい?」

「計画? なんだ、まだ何か企んでいるのか」

「企むなんて人聞き悪いなぁ」

「ま、何か面白い事考えているんだろ」ぽん、と頭を撫でてくれた。「解った。上手く行ったら考えてやる」

「ホント!?」

「ああ」

「絶対の絶対の絶対?」

「ああ」

「男に二言は無い?」

「当然だ。俺が一度でも約束を破ったことがあるか?」

「無い!」

「だったら、安心しろ。有言実行だ。約束は必ず守るから」

「解った!! 撮影もしっかりよろしくね!」

 さあ。戦闘開始よ! 私と中松さん(今は鬼松か?)のタッグは最強なんだから!!

 缶蹴りのルール知らない人はいないと思うけれど、一応説明しておくわね。

 地面に円を描いてその中に空き缶を置き、鬼(探す人)を決めて子(隠れる人)が空き缶を蹴飛ばす。
 鬼が空き缶を拾って元の位置に戻すまでに、子は隠れる。
 鬼は隠れている子を探し出し、見つけたら「○○見つけた」と言いながら空き缶を踏む。見つけられた子は捕獲され、円の中へ。
 鬼が全員を見つけることができたら、初めに捕まった子と鬼が交代する。
 鬼の目を盗み、子は出来る限り捕まった他の子を救出する。空き缶を蹴る事に成功したら、捕まっている子は逃げることができる。

 大まかにはこんなところかな?
 地域によってはルールが違ったり、やり方が違うかもしれないけれど、大体ね、大体。

 早速陣地を守りつつ、私は右へ、中松さんは左へ別れて子を探しに行った。
 さーて。どこにいるのかなぁー?

 木の影を覗き込むと、何といきなりイチ君発見!
 やっぱりポンコツね。

「イチ君みーつけた!」

 私は全力疾走で缶を踏みに戻った。地面に円が書けないので、拾った石や木の枝・葉っぱで取り囲んだ広い円の中に置いてある缶を、イチ君より早く踏んづけた。

「くそっ。美緒! もう少し手加減しないかっ」

「真剣勝負に手抜きもクソも無いわ。全力で行くわよ! 伊達に缶蹴りの女王と呼ばれていた訳じゃ無いもの」

 ふふっ。私の得意分野で攻めるのは当然の事。
 さ。次を探しに行こうっと。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

夫の愛人が訪ねてきました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85,817pt お気に入り:738

副騎士隊長の溺愛が止まりません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:1,459

待ち遠しかった卒業パーティー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,240pt お気に入り:1,291

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

BL / 連載中 24h.ポイント:3,862pt お気に入り:2,709

ロマンドール

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:2,301pt お気に入り:27

運命の番(同性)と婚約者がバチバチにやりあっています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:667pt お気に入り:29

処理中です...