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9.ニセ令嬢、モノホン令嬢の根性を叩き直す鬼になります!
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しおりを挟む「いーち にー さーん・・・・」
現在、都内某所にある緑の花公園。いよいよ缶蹴り大会、キックオフ――じゃなくて、スタートよ!
先ずはお嬢にルール説明をして、とりあえず実践。エラソーに命令する事絶対禁止で、この様子は全部中松さんに撮影を頼んでいる。
少しでもお嬢が他のお友達にエラソーにしたら、速攻彼女のお父様に通報。なので、白雪お嬢はビックリするほど口調は大人しい。
「じゅう! さあ、探しに行くわよ!!」
全部で二十人近くもの人数になってしまったので、鬼は二人にした。広いし探すのが大変だからね。先ずは私と中松さんが鬼をする事に。
鬼が鬼をするなんて、これ以上にピッタリな事はない。
「美緒。陣地(缶)はしっかり守れよ」
そっと囁かれ、耳元が真っ赤に。ふぉおおー・・・・缶蹴り最高!!
今日、お嬢の根性を叩き直す&缶蹴りでチーム組んで中松さんとの親密度をアップさせる、と。Wで最高の計画! 頑張れ、私!!
「任せておいて! 絶対、誰にも負けないし、陣地は荒らさせないから!」
「頼もしいな」
ふ、と優しく笑ってくれた。うん、今日も推し(中松さん)が尊い。
「中松さん。今日の計画が上手く行ったたら、私にご褒美ちょうだい?」
「計画? なんだ、まだ何か企んでいるのか」
「企むなんて人聞き悪いなぁ」
「ま、何か面白い事考えているんだろ」ぽん、と頭を撫でてくれた。「解った。上手く行ったら考えてやる」
「ホント!?」
「ああ」
「絶対の絶対の絶対?」
「ああ」
「男に二言は無い?」
「当然だ。俺が一度でも約束を破ったことがあるか?」
「無い!」
「だったら、安心しろ。有言実行だ。約束は必ず守るから」
「解った!! 撮影もしっかりよろしくね!」
さあ。戦闘開始よ! 私と中松さん(今は鬼松か?)のタッグは最強なんだから!!
缶蹴りのルール知らない人はいないと思うけれど、一応説明しておくわね。
地面に円を描いてその中に空き缶を置き、鬼(探す人)を決めて子(隠れる人)が空き缶を蹴飛ばす。
鬼が空き缶を拾って元の位置に戻すまでに、子は隠れる。
鬼は隠れている子を探し出し、見つけたら「○○見つけた」と言いながら空き缶を踏む。見つけられた子は捕獲され、円の中へ。
鬼が全員を見つけることができたら、初めに捕まった子と鬼が交代する。
鬼の目を盗み、子は出来る限り捕まった他の子を救出する。空き缶を蹴る事に成功したら、捕まっている子は逃げることができる。
大まかにはこんなところかな?
地域によってはルールが違ったり、やり方が違うかもしれないけれど、大体ね、大体。
早速陣地を守りつつ、私は右へ、中松さんは左へ別れて子を探しに行った。
さーて。どこにいるのかなぁー?
木の影を覗き込むと、何といきなりイチ君発見!
やっぱりポンコツね。
「イチ君みーつけた!」
私は全力疾走で缶を踏みに戻った。地面に円が書けないので、拾った石や木の枝・葉っぱで取り囲んだ広い円の中に置いてある缶を、イチ君より早く踏んづけた。
「くそっ。美緒! もう少し手加減しないかっ」
「真剣勝負に手抜きもクソも無いわ。全力で行くわよ! 伊達に缶蹴りの女王と呼ばれていた訳じゃ無いもの」
ふふっ。私の得意分野で攻めるのは当然の事。
さ。次を探しに行こうっと。
応援ありがとうございます!
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