【R18】お前が好きだから、仕方なく付き合ってやる ~笑顔でお断りしましたが、何か?~

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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9.遂に神原と対決!(ハラハラドキドキ)

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 神原はインターフォンの音を聞いて、明らかに不機嫌そうな顔を見せた。最初は出ないでおこうと思ったらしく、インターフォンが鳴っているにも関わらず、応対もしないで無視をしていた。

「あの・・・・相当連続で鳴っているので、お客様はよほどの急用なのではありませんか? 来客で忙しいようでしたら、私は出直しますが? どうぞ、お気になさらず」

「あ・・・・そうですね・・・・仕方ありません」

 ピンポーンという音は、まだ続いている。神原が対応するまで、相手はインターフォンを鳴らす行為を止めるつもりがないのだろう。

「はい、どちら様でしょうか」

 仕方なく神原がモニター越しに応答した。そこに映っていたのは、ひょろっとした体躯に黒ぶちダサ眼鏡をかけた、真面目そうなほしぞら銀行の行員、春日部さんだった。


 どうしてこんなところに春日部さんが?


『あ、ああああ、あの、神原社長。込み入ったお話が。ど、どどどどうしても、お、おおお、お会いしてお話を・・・・して、頂けないでしょうか。大変なお話です』

 相当切迫している様子だ。口から泡を吹く勢いで、超アップの春日部さんがモニター越しに喋っていた。それを聞いて神原は怒りを露にしている。

「入りたまえ。但し、来客中なので手短に頼むよ」

 恐らく追い返したかっただろうが、私がいる手前、しかも相手が相当切羽詰まった状態だと知られているのに手ひどく断って帰らせるのも良くないと思ったのだろう。やむなくマンションのエントランス入り口のオートロックを操作して、開錠した。

「杉浦さん、申し訳ありませんが少し立ち話をして参りますので、ここでお待ちください。すぐ、帰らせます」

 神原が席を立った隙にスマートフォンで録音が出来ているかチェックして、そのままの状態で触らずにジャケットに戻した。そっと足音を忍ばせて玄関に向かい、神原の背が見える位置で息を潜(ひそ)めた。
 何か、神原の弱みになるような会話を聞けたら・・・・!
 祈るように拳を強く握りしめた。

 ピンポーン、と再度室内にインターフォンが鳴った。神原は玄関横のパネルを操作し、電子キーを開錠する。
 ガチャリ、とスタイリッシュな玄関扉が開けられた。

「こんなところまで来られて、一体何の用――」

「ギャッ。社長、痛いっ! 押さないでっ。止めて下さいっ」


 神原の怒りを含んだ声を遮ったのは、春日部さんだ。そして――


「俺の秘書がここにアンタと一人で話しをつけに来たみたいだから、迎えに来た。神原社長、邪魔るすよ」


 春日部さんを押しのけ、玄関に入ってきたのは、福士社長だった。
 そんな・・・・どうして社長がここに!?
 しかも、神原と話をつけに来たって・・・・どうして知っているの?
 私、今日ここへ来ることは、誰にも言っていないのに。勿論、お父さんも知らない事だ。神原に呼び出されて、急に決まった事だから。


「何やっているんだ、お前も来いっ! 全部、説明してもらうからな!!」


 鋭い福士社長の声が、狭くなった玄関内で響いた。扉の向こうに見えた男の人の腕を強く引っ張り、社長が玄関に放り込んだのは、春日部さんともう一人・・・・。
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