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小鬼の兄弟とまんじゅう
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しおりを挟む「よーし、今日の勝負はオイラの勝ち!」
おりました、おりました。悪戯小鬼で双子の兄弟、ライとソラです。
ライは黄色のパンツを履いた体の赤い小鬼で、ソラは同じく黄色のパンツを履いた体の青い小鬼です。
鬼の子で、年齢は人間の数百倍は生きているのでしょうが、見た目は五歳くらいの男の子の身長程しかありません。三尺四寸(約百センチ)を超えた所でしょうか。
今、声を張り上げたのは兄のライです。ライは雷を司る鬼で、太鼓を叩いて近くの村に雷を落としておりました。弟のソラは空を司る鬼で、天気を自在に操る事ができました。
しかし子供なので、二人とも術の使い方がとっても下手。
ライが太鼓を叩けば自分が感電したり、鬼神様に雷を直撃させて頭皮を禿げさせて大目玉を喰らったり、失敗して怒られることがしょっちゅうでした。
ソラも同様で、術を使って雨にしようと思えば晴れるし、晴れにしようと思えば雪が降ったりするため、術の稽古が二匹の日課でした。
そんな小鬼の兄弟は何時も競っていました。
早食い競争はもちろんの事、ひとつのものを取り合うことはしょっちゅう。
村の神社に行っては、ひとつしかないお供え物のまんじゅうを奪い合ったり、団子を取り合ったり、餅を取り合ったり――挙げるとキリがないほど、それはそれは取り合い合戦を行っておりました。
今日、兄のライが勝ったのは『村人脅し』の人数でした。ライとどちらが村人を脅す事ができるか、競争をしていたのです。
最近村を騒がせている『妖怪』の大男に化けて脅かす事に成功したのは、ライでした。勿論、妖怪なんかこの世におりませんから、ライが化けて村人を脅かしていたことが、妖怪が出ると噂されるようになったのです。
ソラは大男ではなく雪女を出しましたが、暑さで溶けてしまうので村人を脅すまではできませんでした。
今回は、ソラの負け。
「あーあっ、つーまんねーっ!」
むしゃくしゃしていたソラは、誰でもいいから驚かせてやろうと山を下りました。山のふもとには、人間の住む村があるのです。
村と山の境界辺りに来ると、人間の匂いがします。近くに誰かがいるみたいなので、ソラはこの人間を驚かせてやろうと茂みに身を隠したのです。
そっと様子を窺うと、怖そうな人間の大男の姿が複数見えたので、慌てて顔を引っ込めました。
人間たちに捕まっては、悪戯を咎められ折檻(お仕置き)されてしまいます。
「よーし、ここなら見つからないぞ。鬼が出るという噂のふもとなら、誰も来ないだろう」
「掘れ。掘れ。たんと掘れ。金銀財宝、眠らせろ」
「ほとぼりが冷めたら、堀りに来よう。この事は俺たちだけの秘密だぞ」
何と! 内緒話をしていたのは悪い人間たちでした。見た目も怖そうです。頬に傷があったり、人相も悪そうです。彼らはきっと、盗賊の一味でしょう。
この所、村では盗賊の被害に遭うと専ら噂でもちきりでした。悪戯が成功しなくなったのは、村の外を歩く人間が減ったからという理由があったのだ、とソラは考えました。
悪戯の邪魔をするなんて、何て悪い人間だ!
懲らしめる為にも、盗賊の宝を自分が盗ってやろう、と。
大急ぎでソラはライを呼びに山へ戻りました。そして今見た事を兄に話しました。
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