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小鬼の兄弟とまんじゅう
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しおりを挟む「そいつは一大事だ! すぐに盗賊の宝をオイラたちが盗ってやろう」
二匹はさっきの場所まで戻りました。盗賊たちはもう居なくなっていましたが、代わりに五歳くらいの女の子が木の陰に隠れて泣いていました。髪はおかっぱで、赤い着物を着た可愛らしい子でした。
「どうしたの?」
二匹が声をかけました。
ひっく、ぐすん、女の子は泣き止みません。
「泣かないで」
ひょっとこじじいの変な顔でライが腹踊りを始め、ソラも負けじとおかめの顔で腹踊りを始めました。
「きゃはは」
泣いていた女の子が笑ったので、二匹は嬉しくなりました。
「オイラ、ライってんだ。こっちはソラ。人間、名前は?」
女の子を怖がらせないように、ライが優しく声をかけました。
「すずだよ」
「すずか。いい名前だな! よし、一緒に遊ぼう」
ソラが笑いました。するとすずも、つられて笑いました。
すずは村にやって来たばかりで仲の良い友達が出来ず、歩いているうちに迷子になって村はずれまで来てしまったようです。
すっかり打ち解けて友達になったので、二匹と一人で遊びました。かくれんぼをしたり、鬼ごっこをしたり。
気が付くと、赤く染まった夕焼け時。もう帰る時間となりました。
「また明日も遊ぼう」
友達と初めての約束に、二匹は嬉しくなりました。
すずが途中で迷ったりしないよう、家まで送ってあげました。名残惜しく手をふり別れ、山に帰る為に再びふもとまで戻って来て、二匹は思いました。
すずと約束したこの場所にやっかいな盗賊たちが来ては遊べなくなって困るので、二匹は宝を掘り起こして別の場所へ隠してしまいました。
盗賊が盗んだ宝を横取りするなんて、ライもソラも面白い事をするものですね。
翌日。すずと今日は何をして遊ぼうかな――二匹は朝から嬉しくて、術の稽古にも身が入ります。ライの太鼓は冴えており、鬼神様にお叱りの雷を落とされることも無く、ソラも同様でした。
約束の時間になったので、村はずれまで向かいました。しかし、すずの姿はありません。おかしいなと思っておりますと、知らないよぉっ、と悲鳴のような声が聞こえました。すずの声です!
二匹は声のした方に急ぎました。森の木にすずを押し付け、大きな男が四人がかりで彼女を取り囲んでいます。昨日の盗賊たちでした。
「コラぁ、ガキ! 宝を何処へやったぁ!?」
「知らないよおっ」
すずは怖がって泣いています。
「うそつけ! 昨日、お前しかここに入った奴はいないって他の村人から聞いたぞ!」
「私、本当に知らないよぉっ」
「じゃあこんな村はずれに、何をしに来た!」
「ちょ、ちょうちょうを、お、追いかけていたのっ、き、きれいなちょうちょ・・・・捕まえようとおも、って・・・・ひっく、ぐすっ」
何と! すずは、ライやソラの事を喋ろうとしませんでした。
鬼の子と遊んでいると知れたら、ライやソラが酷い目に遭わされると考えてくれたのでしょう。
すずは優しい子でした。そんなすずを苛める悪い大人を、二匹はますます赦せなくなりました。
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