OLの花道

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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Office10・ナイトワン・プロジェクト

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「三輪さん、早速来てくれてありがとう。待たせちまったかな?」

「いいや、僕たちも今来たところだ。待ってないよ」

「和歌子がいいアイディア出したって? どれ? 資料あるんだろ? 見せてくれよ」

 そうなの。昨日、櫻井さんが今進行しているプロジェクトの件でオーケーの返事を入れる電話した時、彼に、和歌子って呼んでいいか、って言われたから了承したんだった。
 女性を名字で呼ぶのは堅苦しいから、嫌いなんだって。だから、和歌子。

 イケメンに呼び捨てされると、親密度が上がる感じがして嬉しいのよねー。
 ニヤけそうになるのを、必死で堪えた。


「そうなんだ。これ」

 三輪さんが用意した資料を、テーブルに広げた。

 
「おっ、スッゲー。メチャクチャいーじゃねーか! 昨日の今日でよくこんないいパッケージ案思いついたな」

「久遠寺君は凄いよ。僕も驚いた。更にサプリの色も着色した方が良いってアイディアを。このサンプルは食紅で色付けしただけだから、彼女が考えている色とはちょっと違うけれど、あくまでもイメージだから。こっちのプリントアウトした色の方がより近い色になる」

「あぁ、いーんじゃねーの? 俺が付けたコンセプトまでちゃんとパッケージに入れてくれてるし。黒がいいと思ってたけど、赤もいいな。男と女で色を分けるっつーのもいいアイディアだし」

 櫻井さんが褒めちぎってくれた。
 朝のエロ真吾君のおかげっちゃー、おかげね。


 今度お給料入ったら、ランチでも奢ってあげようかな――そう思いながらチラっと真吾君を見ると、悪魔の顔の方で私を見ていた。




――俺とキスしたから、そのパッケージ出来上がったのでしたら、また、お礼にキスしてくださいね?




 うわっ! エスパー真吾出たっ!!
 絶対私の思考読まれてるっ!!
 このパッケージ思いついたの、真吾君のお陰だなんて、私一言も言ってないし!


 恐ろしいので、イヤ、とぷるぷる首を横に振った。

 



――貴女に、断る権利はありませんから。




 爽やかな笑顔が返ってきた。




 いや――――っ!! 逆に怖すぎる――――っっっ!!




 さっき車内で、三輪さん超ステキー、とか思って舞い上がってた事、絶っっっっ対、根に持ってるんだわっ!


 もう、どーして私、こんな悪魔に好かれちゃったのぉ・・・・。
 時をやり直したい。この悪魔がどういうワケか私を好きになった所から。
 いや、もう、悪魔が入社したところから。もしやり直せるなら、部下にさせないから。絶っっっ対断るわ!

 でも最初、真吾君の本性知らない時は、可愛いイケメンが後輩についてラッキー、とかアヤネに言ったよなぁ。
 あれ、取り消したい。
 だってカワイくないんだもん。

 素の私が好きとか言っている時点で、この男は相当物好きだと思う。どーかしてるわ。
 焼き鳥屋でビールグビ飲みするオヤジみたいな女、どこがいいのか全然わかんないっ。
 三輪さんがそんな男だったら・・・・って考えてみたけど、カッコイイから赦す!
 やっぱり好きになるわ。そんで、一緒にグビ飲みしたい。

 男の人はいいのよ。豪快な一面があっても、損しないもん。
 女性は別よー。だから私が酒豪ってコトバレたら、絶対三輪さんに引かれるわ。


 それなのにそんな私が好きとか言ってくる真吾君は、きっと頭のネジがどっかにブッ飛んで行ってて、どこかで失くしちゃったんだと思う。


 早く正常に戻して、目を覚ましてもらわないと。
 悪霊退散させなきゃ。
 今度、私が失くしたネジくっつけてあげよう。三輪さんのついでに持って行ってあげてる朝の珈琲にでも、ネジを混入させてやろうかしら。
 悪魔だから、ネジの一本や二本摂取したところで、死にゃーしないわ。


 ハッ! 今こんな事考えちゃ、絶対思考読まれるわ。
 どうしたらこんなに細部まで心を読んだりできるのかしら。人間じゃないのよ、きっと。
 なんせ、エスパーで悪魔だもんね。


 でも、もうヤツの事はこれ以上考えないでおこう。恐ろしい視線で見つめられちゃ、堪んないわ!
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