OLの花道

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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Office10・ナイトワン・プロジェクト

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「あの、ちょっとよろしいでしょうか」


 三輪さんと櫻井さんが私の提案した資料を見て打ち合わせをしている中、真吾君が口を挟んだ。

「このサプリ、形をハートにすることは可能でしょうか?」

「ハート?」

 真吾君の思いがけないセリフに、三輪さんと櫻井さんがハモって聞き返した。

「ええ。ハートはハートでも、仕上がりは、それを半分にするんです。赤は右、黒は左。両方合わせて初めてきちんとしたハートになる。できれば表面側に何かしらのイラストか刻印みたいなのをつけて、両方が揃って初めて効果が出るような作りにして、売り出しましょう。効果は絶大――両方売れますよ。どうせなら、売り上げ二倍にしませんか」

「あー・・・・上山、それじゃあ、独りのヤツは逆に買わなくなんねーか? 要するに、恋人のいる人間にしか需要なくなるっつーか・・・・。ソコんとこは、どう解決するんだよ」

 真吾君に櫻井さんが尋ねた。

「それは櫻井さん、貴方が先陣切ってください。小耳に挟みましたが、好きな女性がいらっしゃるとか?」

「ああ。うん、まあ。今の所、一方的な俺の片想いだけどな。水口が言ったのか? アイツ、お喋りだな。まいったぜ」

 櫻井さんが苦笑した。

 
「いいえ。水口さんではありません。あの方は誠実な方です。人の噂をベラベラと他社の人間に喋るような方ではありませんよ。実は昨日、倉庫にビューティードリームを納品している時、こちらの女子社員の方々が噂をしているのが聞こえたのです。櫻井さんほどの方が片想いしているとなると、それだけ女性の恰好のお喋りのネタになるというワケです」

「そうか。俺について色々噂が立っているんだな。まあ、本人を前には言わねーもんな」


 あぁ、櫻井さん程のイケメンでも片想いして、恋の悩みがあるなんてっ!
 親近感が沸きます。
 私もずーっと長い間、櫻井さんの横に座っている、素敵イケメン上司の三輪庄司に片想い中ですから!

 片想いの辛さは、よーく解ります!! 今度飲みに行って、色々語りたいくらいですっ!


「だから櫻井さんがこのサプリを使って、両想いになった事を証明してそれを謳い文句にするんですよ。それにナイトワンが沢山売れたら、これを飲んで両想いになった、とか、告白が上手く行った、とか、更に愛が深まった、とか、こちらに都合の良い話は、色々付随してきます。このご時世、SNSで勝手に話題作りをしてくれますから、俺はイケると思いますけど? 確率の問題ですよ。宝くじだって、よく売れる売り場から高額当選がでるのと同じです。買う人数が増えたら、当たる確率(両想いになる確率)も増える――ね?」


  
「成程。一理あるな。俺の好きな考えだ」

「両方揃えたらハートになる可愛いサプリなら、インスタ映えもしますから、女性に人気でますよ。両方買わなきゃこの絵にはならない。同じ成分の商品をパッケージと着色を変え、更にコンセプトを付け加えるだけで、二箱も同時に売れるワケですよ」

「上山の案、スゲーいいな。よし、それでやろうぜ。一粒で二度美味しい――売り上げ二倍、最高じゃねーか」

「この商品を作っている製薬会社の社員にも効果絶大――俺もこのサプリ飲んで、好きな女性と両想いになったって、証明しますから。是非、社員(俺)の声も使って下さい」


 真吾君は、カワイイ方の笑顔を見せた。
 両想いって・・・・誰に使うつもりよっ。


 真吾君もナイスアイディアを出してくれたおかげで、パッケージは男女別、サプリも含めて色は赤と黒、更に中身が二つ合わせてひとつのハートになるようにデザインすることが決まり、これで売り出すことになった。

 サプリの成分については問題無いからこのまま作って、後は売り出す為の企画を打ち立てなきゃ。
 アイディアがいいんだもん! 絶対売れるわっ。


 というワケで、三輪さんと櫻井さんはこのままミリオンドラッグで諸々打ち合わせすることになり、私と真吾君は帰社してこのプロジェクトの報告をすることになった。



 車内、悪魔と二人きりで、大丈夫なのぉ!?



 
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