呪いの騎士と生贄の王女

佐崎咲

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プロローグ

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 ある嵐の日のこと。
 地下の保管庫から大慌てで駆けあがってきた見張りの兵士のただならぬ様子に、城内はざわめいた。
 それから間もなく、王太子のエドワードや宰相などが次々国王の元へと集まる。
 出てきたその顔はいかにも張り詰めた様子で、やがてその衝撃的な事実は一気に城中に広がった。
 リンデリア王国の地下に厳重に保管されている六角形の大鏡に亀裂が走ったのだ。

「魔王だ! 魔王が蘇るぞ!」
「二百年前に岩山深くに封じた魔王が、力を取り戻しつつあるということか?」
「なんということだ……。最近魔物の動きが活発化していたのはその予兆だったに違いない」

 この国は長年魔物の被害に悩まされてきた。
 ほとんどは知能が低く、本能によって行動している。
 獣による被害もあるが、異なるのは魔物の攻撃力の高さである。
 魔物は鋭い爪や鋭い牙を持ち、他者と戦うことを前提とした生き物だ。
 家畜も狙われるが、人が狙われれば一般の国民では命を落とす。
 だからこの国では対魔物の政策が厚く、騎士団も魔物討伐を主な任務としている。 

「いよいよ魔王討伐か……。王太子であるエドワード殿下が指揮するらしいぞ」
「魔王が蘇ればこの国は終わりだ。普段は城の守りを担っている第三騎士団も駆り出されて総力戦になるのか?」
「しかし第三騎士団にはあいつがいるんだ、それはないだろう。あの、黒髪に黒い瞳の、呪いの騎士ロード=クラークスが――」
「そんな奴がいたら安心して戦えるわけがない、むしろ邪魔だ。だって、触れる物をみなぼろぼろにしてしまうという言い伝えだろう?」

 ざわつく王宮の中で、王女は言った。

「触れる物をみなぼろぼろにする呪いの騎士? ではその騎士なら魔王を倒せるではないの」
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