3 / 16
第二話 のっけから呪いなんてないってどういうことよ
しおりを挟む
ため息をこらえ、ロードがはっきりと口にすれば、背後から堪え切れないように「ぷっ」と笑いが漏れた。
漂うのはそんなことができるわけがないのに何を言っているのかという空気だ。
この国には黒髪に黒い瞳で生まれた子は呪われているという言い伝えがある。
過去にそういった容姿の人間が多い遠い異国と戦でもして負けたとか、何か恨みでもあって忌避するようになったのかもしれない。
この国にもその異国の血が流れている人がいてもおかしくはないし、ロードも先祖返りのようものなのだろう。
だが多くの人は『そう言われているからなんとなく』ロードを忌避しているだけで、本心から言い伝えを信じている人などそういない。
あとは鍛えすぎてバッキバキに仕上がったがたいのいいロードが単純に怖いのだろうが、それは卵が先か鶏が先かという話だ。
しかしプリメラはロードの返答にかわいらしい顔を思い切り歪めた。
「なんですって?」
眉を吊り上げ、鋭い瞳で周囲を見回す。
「あなた方。呪いによる実害の一つや二つ受けているのよね?」
「い、いえ……」
「では、ロードが呪われてなどいないと知りながら、あたかも呪われているかのように振る舞っていたというの?」
「いえ! そんなことは……」
「ロードは呪われているから魔物討伐軍に入れないと言ったわね? だからそれだけの筋肉を纏っていてあれだけ剣の実力がありながら、ほとんど魔物なんか来ない王宮の守りにつかされているのでしょう? それなのにそんな力はない? だれも実害を受けたこともない??」
辺りは張り詰めたように静まり返るばかりで、ほとんど息継ぎもなく一気にまくしたてたプリメラに言葉を返せる者は誰もいなかった。
静かな怒りが漏れ出ているのがわかる。
「そんなのただの宝の持ち腐れじゃない! 騎士団は一体今まで何をしていたの? ただただ優秀な人材をこんなところでくすぶらせておくだなんて、国家の損失よ。ロード一人の力で救えた国民の命がどれだけあったか。騎士団員にしたってそうではないの? 殉死する者が減らせていたかもしれないわ」
ただの宝の持ち腐れ。
その言葉をロードが向けられたのは久しぶりのことだった。
騎士団の見習いで、突然姿を消してしまった少年の事を思い出す。
しかしぼんやりとした思考はプリメラの怒涛の言葉で掻き消されていく。
「それなのにあなた方は第三騎士団では指折りの実力を持つロードと手合わせをするのを忌避し、自らの腕を高める機会を逃し続けた。そうした行動に加えて、好き勝手な噂で恐れを加速させ、風紀を乱した。国にとっての利益を積極的に損なうよう働きかけていたのよ。その罪は重いわ」
「し、しかし確かにロードの容姿は黒髪で……。だからこそ実力があっても第一騎士団に入れなかったわけで、そういう判断を上が下したのですから」
詰め寄られた中堅騎士が慌てて口を開くが、プリメラは即座に言葉を折る。
「でも呪いはないとあなたは知っている」
睨み渡され、騎士たちは揃って俯いた。
プリメラはロードのために怒っているのか。いや、国のためを思ってのことか。
どちらだとしても、まさか王女がそんなことを言うとは思ってもいなかった。
いや。また誰かがそんな風に言ってくれることがあるとは思えなくなっていたのだ。
ロードは現状に何も不満を持っていなかったが、それは過去に諦めたからだ。
呪いの言い伝えがあっては結婚など望めない。次男だから跡を継ぐわけでもない。
商売など相手にしてくれる者がいなければできるはずもなく、ロードは消去法として鍛えることしかできなかった。
だからプリメラが見上げるほどの背となり、その全身に筋肉をまとわりつかせ、剣を一振りすれば人々が逃げ出すまでになった。
だがその鍛えた力を活かす機会などないまま。
時折王宮に迷い込む魔物を退治したり、不審者を捕らえたりがせいぜいだ。
人手不足の折に第二騎士団や第一騎士団に駆り出されて一人前面に立たされることはよくあるが、あくまで助っ人として報告されており、手柄とはみなされない。
そんなロードにプリメラは目を留めたのだ。
プリメラは「これは許されることではないわ」と声を低めた。
「事実を知っているあなた方こそが声高に呪いなどないと叫ぶべきだったのに。そうしたら優秀な彼がもっと早く魔王を倒してくれていたかもしれないのに! エドワードお兄様と共に魔王討伐軍に加わって、お兄様を守ってくれるかもしれないのに!」
――いやそっちか。
「お兄様が怪我もせず無事で帰ってこられる確率を上げられるかもしれないのに! 城門で小物を蹴散らすのは下っ端騎士でもできるけど、魔王を一刀両断して結果としてお兄様を守ってくれる人材なんてそういないのに!!」
ロードのための憤りかと一瞬でも思ったのは大いなる間違いだった。
お兄様。お兄様。お兄様。
ただのブラコンだ。
勢いに圧倒され誰もが口を開けない――正しくは「え? 王女なのに? 個人的理由?」と戸惑う中、下っ端の騎士がもごもごと口を動かした。
「し、しかし、普段は呪いの力を隠しているだけかもしれませんし」
「そうね。ではロードの皮の手袋を外したら呪いの力が発動されるのかしら?」
「いえ、それはわかりませんが……」
「わからない?」
小さく「はい……」と答えた騎士に、プリメラは真っ直ぐに目を向けた。
逃さないとでも言うように。
「結局あなたは呪いの力なんて見たことがないし、あるかどうかも知らないのね?」
「……」
「ないのね?」
「……はい」
萎んだ答えを聞くと、プリメラは順に騎士団員の顔を確かめていく。
「あなたも。あなたも。みーんな、呪いが本当にあるかどうかも知らないのね? 思わせぶりに手袋なんかしてるあなた本人も!」
そうして最後にロードにびしっと指を突きつけられ、たじろいだ。
――俺もかい。
人を指さすんじゃありませんと王族は習わないのか。
とはさすがに飲み込むだけの冷静さはあった。
「いや、これは周りを不安がらせないためにしているものであって――」
「お黙りなさい! 揃いも揃って、呪いなんてないならないって言いなさい! たったそれだけの単純なことじゃない!」
「しかし、俺自身にも絶対ないだなんてことは言えません。俺の意思の及ぶところではありませんし、自覚がないだけでいつかそんな力が覚醒するのかもしれない。何か発動には条件があるのかもしれませんし、いつ不意にそんなことが起こるかもわからないのですから」
「そんなことを言ったら誰にだって絶対にそんなことは起きないなんて言えないじゃない。私のように白金の髪だって、肌が日焼けして真っ黒な人だって、頬が真っ赤な人だって、歯が黄色い人だって」
――いや最後だけたとえが気持ち悪い。
「それは、俺の場合はそういう言い伝えがありますから。火のない所に煙は立たぬと言いますし、過去には何かあったのかもしれません」
「ああそう。じゃあ最初の言葉通り、あなたを魔王討伐に連れて行くわ。私の護衛騎士としてね」
「……はあ?」
「可能性がゼロじゃないなら他の人より使える能力がマシマシだってことよ。危機的状況になったら能力が開花するかもしれないし」
「いやいやいやいや、それはまあわかりましたが、いやまったくわからんが……、王女殿下も魔王討伐に同行されるつもりですか」
「当たり前でしょう。魔王討伐軍とは別行動よ。お兄様に見つかったら連れ戻されるもの」
どんな当たり前か。
「手が止まってるわよ」
本当だ。
気づけばロードの鉄アレイを持った手はだらりと垂れ下がっていた。
もはや何回までこなしたのかも覚えていないが、まさか話し中に貴人から筋トレの続きを促されるとは。
しかしよくよく考えてみると、最初からプリメラは『行くわよ』と言っていた。
一緒に行くつもりまんまんだった。
あまりのことに些細な違和感など耳に留まらなかったが、他にもさらりと流してしまったものがあるかもしれない。
「今みんなが聞いていますが? エドワード殿下だけではなく、陛下にだって黙っているわけにはいかんでしょう」
ロードの言葉に、慌てた騎士団長も冷や汗を浮かべながら頷く。
しかしプリメラは一切表情を変えなかった。
「知っているでしょう? 私は今代『最後の王女』。元々魔王の元へ行くはずだった人間よ。それが今になっただけのこと。何か問題がある?」
漂うのはそんなことができるわけがないのに何を言っているのかという空気だ。
この国には黒髪に黒い瞳で生まれた子は呪われているという言い伝えがある。
過去にそういった容姿の人間が多い遠い異国と戦でもして負けたとか、何か恨みでもあって忌避するようになったのかもしれない。
この国にもその異国の血が流れている人がいてもおかしくはないし、ロードも先祖返りのようものなのだろう。
だが多くの人は『そう言われているからなんとなく』ロードを忌避しているだけで、本心から言い伝えを信じている人などそういない。
あとは鍛えすぎてバッキバキに仕上がったがたいのいいロードが単純に怖いのだろうが、それは卵が先か鶏が先かという話だ。
しかしプリメラはロードの返答にかわいらしい顔を思い切り歪めた。
「なんですって?」
眉を吊り上げ、鋭い瞳で周囲を見回す。
「あなた方。呪いによる実害の一つや二つ受けているのよね?」
「い、いえ……」
「では、ロードが呪われてなどいないと知りながら、あたかも呪われているかのように振る舞っていたというの?」
「いえ! そんなことは……」
「ロードは呪われているから魔物討伐軍に入れないと言ったわね? だからそれだけの筋肉を纏っていてあれだけ剣の実力がありながら、ほとんど魔物なんか来ない王宮の守りにつかされているのでしょう? それなのにそんな力はない? だれも実害を受けたこともない??」
辺りは張り詰めたように静まり返るばかりで、ほとんど息継ぎもなく一気にまくしたてたプリメラに言葉を返せる者は誰もいなかった。
静かな怒りが漏れ出ているのがわかる。
「そんなのただの宝の持ち腐れじゃない! 騎士団は一体今まで何をしていたの? ただただ優秀な人材をこんなところでくすぶらせておくだなんて、国家の損失よ。ロード一人の力で救えた国民の命がどれだけあったか。騎士団員にしたってそうではないの? 殉死する者が減らせていたかもしれないわ」
ただの宝の持ち腐れ。
その言葉をロードが向けられたのは久しぶりのことだった。
騎士団の見習いで、突然姿を消してしまった少年の事を思い出す。
しかしぼんやりとした思考はプリメラの怒涛の言葉で掻き消されていく。
「それなのにあなた方は第三騎士団では指折りの実力を持つロードと手合わせをするのを忌避し、自らの腕を高める機会を逃し続けた。そうした行動に加えて、好き勝手な噂で恐れを加速させ、風紀を乱した。国にとっての利益を積極的に損なうよう働きかけていたのよ。その罪は重いわ」
「し、しかし確かにロードの容姿は黒髪で……。だからこそ実力があっても第一騎士団に入れなかったわけで、そういう判断を上が下したのですから」
詰め寄られた中堅騎士が慌てて口を開くが、プリメラは即座に言葉を折る。
「でも呪いはないとあなたは知っている」
睨み渡され、騎士たちは揃って俯いた。
プリメラはロードのために怒っているのか。いや、国のためを思ってのことか。
どちらだとしても、まさか王女がそんなことを言うとは思ってもいなかった。
いや。また誰かがそんな風に言ってくれることがあるとは思えなくなっていたのだ。
ロードは現状に何も不満を持っていなかったが、それは過去に諦めたからだ。
呪いの言い伝えがあっては結婚など望めない。次男だから跡を継ぐわけでもない。
商売など相手にしてくれる者がいなければできるはずもなく、ロードは消去法として鍛えることしかできなかった。
だからプリメラが見上げるほどの背となり、その全身に筋肉をまとわりつかせ、剣を一振りすれば人々が逃げ出すまでになった。
だがその鍛えた力を活かす機会などないまま。
時折王宮に迷い込む魔物を退治したり、不審者を捕らえたりがせいぜいだ。
人手不足の折に第二騎士団や第一騎士団に駆り出されて一人前面に立たされることはよくあるが、あくまで助っ人として報告されており、手柄とはみなされない。
そんなロードにプリメラは目を留めたのだ。
プリメラは「これは許されることではないわ」と声を低めた。
「事実を知っているあなた方こそが声高に呪いなどないと叫ぶべきだったのに。そうしたら優秀な彼がもっと早く魔王を倒してくれていたかもしれないのに! エドワードお兄様と共に魔王討伐軍に加わって、お兄様を守ってくれるかもしれないのに!」
――いやそっちか。
「お兄様が怪我もせず無事で帰ってこられる確率を上げられるかもしれないのに! 城門で小物を蹴散らすのは下っ端騎士でもできるけど、魔王を一刀両断して結果としてお兄様を守ってくれる人材なんてそういないのに!!」
ロードのための憤りかと一瞬でも思ったのは大いなる間違いだった。
お兄様。お兄様。お兄様。
ただのブラコンだ。
勢いに圧倒され誰もが口を開けない――正しくは「え? 王女なのに? 個人的理由?」と戸惑う中、下っ端の騎士がもごもごと口を動かした。
「し、しかし、普段は呪いの力を隠しているだけかもしれませんし」
「そうね。ではロードの皮の手袋を外したら呪いの力が発動されるのかしら?」
「いえ、それはわかりませんが……」
「わからない?」
小さく「はい……」と答えた騎士に、プリメラは真っ直ぐに目を向けた。
逃さないとでも言うように。
「結局あなたは呪いの力なんて見たことがないし、あるかどうかも知らないのね?」
「……」
「ないのね?」
「……はい」
萎んだ答えを聞くと、プリメラは順に騎士団員の顔を確かめていく。
「あなたも。あなたも。みーんな、呪いが本当にあるかどうかも知らないのね? 思わせぶりに手袋なんかしてるあなた本人も!」
そうして最後にロードにびしっと指を突きつけられ、たじろいだ。
――俺もかい。
人を指さすんじゃありませんと王族は習わないのか。
とはさすがに飲み込むだけの冷静さはあった。
「いや、これは周りを不安がらせないためにしているものであって――」
「お黙りなさい! 揃いも揃って、呪いなんてないならないって言いなさい! たったそれだけの単純なことじゃない!」
「しかし、俺自身にも絶対ないだなんてことは言えません。俺の意思の及ぶところではありませんし、自覚がないだけでいつかそんな力が覚醒するのかもしれない。何か発動には条件があるのかもしれませんし、いつ不意にそんなことが起こるかもわからないのですから」
「そんなことを言ったら誰にだって絶対にそんなことは起きないなんて言えないじゃない。私のように白金の髪だって、肌が日焼けして真っ黒な人だって、頬が真っ赤な人だって、歯が黄色い人だって」
――いや最後だけたとえが気持ち悪い。
「それは、俺の場合はそういう言い伝えがありますから。火のない所に煙は立たぬと言いますし、過去には何かあったのかもしれません」
「ああそう。じゃあ最初の言葉通り、あなたを魔王討伐に連れて行くわ。私の護衛騎士としてね」
「……はあ?」
「可能性がゼロじゃないなら他の人より使える能力がマシマシだってことよ。危機的状況になったら能力が開花するかもしれないし」
「いやいやいやいや、それはまあわかりましたが、いやまったくわからんが……、王女殿下も魔王討伐に同行されるつもりですか」
「当たり前でしょう。魔王討伐軍とは別行動よ。お兄様に見つかったら連れ戻されるもの」
どんな当たり前か。
「手が止まってるわよ」
本当だ。
気づけばロードの鉄アレイを持った手はだらりと垂れ下がっていた。
もはや何回までこなしたのかも覚えていないが、まさか話し中に貴人から筋トレの続きを促されるとは。
しかしよくよく考えてみると、最初からプリメラは『行くわよ』と言っていた。
一緒に行くつもりまんまんだった。
あまりのことに些細な違和感など耳に留まらなかったが、他にもさらりと流してしまったものがあるかもしれない。
「今みんなが聞いていますが? エドワード殿下だけではなく、陛下にだって黙っているわけにはいかんでしょう」
ロードの言葉に、慌てた騎士団長も冷や汗を浮かべながら頷く。
しかしプリメラは一切表情を変えなかった。
「知っているでしょう? 私は今代『最後の王女』。元々魔王の元へ行くはずだった人間よ。それが今になっただけのこと。何か問題がある?」
15
あなたにおすすめの小説
白狼王の贄姫のはずが黒狼王子の番となって愛されることになりました
鳥花風星
恋愛
白狼王の生贄としてささげられた人間族の第二王女ライラは、白狼王から「生贄はいらない、第三王子のものになれ」と言われる。
第三王子レリウスは、手はボロボロでやせ細ったライラを見て王女ではなく偽物だと疑うが、ライラは正真正銘第二王女で、側妃の娘ということで正妃とその子供たちから酷い扱いを受けていたのだった。真相を知ったレリウスはライラを自分の屋敷に住まわせる。
いつも笑顔を絶やさず周囲の人間と馴染もうと努力するライラをレリウスもいつの間にか大切に思うようになるが、ライラが番かもしれないと分かるとなぜか黙り込んでしまう。
自分が人間だからレリウスは嫌なのだろうと思ったライラは、身を引く決心をして……。
両片思いからのハッピーエンドです。
【完結】裏切られ婚約破棄した聖女ですが、騎士団長様に求婚されすぎそれどころではありません!
綺咲 潔
恋愛
クリスタ・ウィルキンスは魔導士として、魔塔で働いている。そんなある日、彼女は8000年前に聖女・オフィーリア様のみが成功した、生贄の試練を受けないかと打診される。
本来なら受けようと思わない。しかし、クリスタは身分差を理由に反対されていた魔導士であり婚約者のレアードとの結婚を認めてもらうため、試練を受けることを決意する。
しかし、この試練の裏で、レアードはクリスタの血の繋がっていない妹のアイラととんでもないことを画策していて……。
試練に出発する直前、クリスタは見送りに来てくれた騎士団長の1人から、とあるお守りをもらう。そして、このお守りと試練が後のクリスタの運命を大きく変えることになる。
◇ ◇ ◇
「ずっとお慕いしておりました。どうか私と結婚してください」
「お断りいたします」
恋愛なんてもう懲り懲り……!
そう思っている私が、なぜプロポーズされているの!?
果たして、クリスタの恋の行方は……!?
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。
汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。
元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。
与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。
本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。
人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。
そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。
「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」
戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。
誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。
やわらかな人肌と、眠れない心。
静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。
[こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]
あなたのそばにいられるなら、卒業試験に落ちても構いません! そう思っていたのに、いきなり永久就職決定からの溺愛って、そんなのありですか?
石河 翠
恋愛
騎士を養成する騎士訓練校の卒業試験で、不合格になり続けている少女カレン。彼女が卒業試験でわざと失敗するのには、理由があった。 彼女は、教官である美貌の騎士フィリップに恋をしているのだ。
本当は料理が得意な彼女だが、「料理音痴」と笑われてもフィリップのそばにいたいと願っている。
ところがカレンはフィリップから、次の卒業試験で不合格になったら、騎士になる資格を永久に失うと告げられる。このままでは見知らぬ男に嫁がされてしまうと慌てる彼女。
本来の実力を発揮したカレンはだが、卒業試験当日、思いもよらない事実を知らされることになる。毛嫌いしていた見知らぬ婚約者の正体は実は……。
大好きなひとのために突き進むちょっと思い込みの激しい主人公と、なぜか主人公に思いが伝わらないまま外堀を必死で埋め続けるヒーロー。両片想いですれ違うふたりの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
冷徹と噂の辺境伯令嬢ですが、幼なじみ騎士の溺愛が重すぎます
藤原遊
恋愛
冷徹と噂される辺境伯令嬢リシェル。
彼女の隣には、幼い頃から護衛として仕えてきた幼なじみの騎士カイがいた。
直系の“身代わり”として鍛えられたはずの彼は、誰よりも彼女を想い、ただ一途に追い続けてきた。
だが政略婚約、旧婚約者の再来、そして魔物の大規模侵攻――。
責務と愛情、嫉妬と罪悪感が交錯する中で、二人の絆は試される。
「縛られるんじゃない。俺が望んでここにいることを選んでいるんだ」
これは、冷徹と呼ばれた令嬢と、影と呼ばれた騎士が、互いを選び抜く物語。
生贄は囚われの愛を乞う~棄てられ令嬢と狼将軍~
マチバリ
恋愛
美しい見た目ゆえ、領主の養女となったレナ。
有用な道具に仕立てとする厳しい教育や義兄の異常な執着にうんざりしながらも何もかもを諦めて生きていた。
だが、その運命は悪政を働く領主一家を捕えに来た<狼将軍>と呼ばれる男の登場により激変する。
離婚を望む悪女は、冷酷夫の執愛から逃げられない
柴田はつみ
恋愛
目が覚めた瞬間、そこは自分が読み終えたばかりの恋愛小説の世界だった——しかも転生したのは、後に夫カルロスに殺される悪女・アイリス。
バッドエンドを避けるため、アイリスは結婚早々に離婚を申し出る。だが、冷たく突き放すカルロスの真意は読めず、街では彼と寄り添う美貌の令嬢カミラの姿が頻繁に目撃され、噂は瞬く間に広まる。
カミラは男心を弄ぶ意地悪な女。わざと二人の関係を深い仲であるかのように吹聴し、アイリスの心をかき乱す。
そんな中、幼馴染クリスが現れ、アイリスを庇い続ける。だがその優しさは、カルロスの嫉妬と誤解を一層深めていき……。
愛しているのに素直になれない夫と、彼を信じられない妻。三角関係が燃え上がる中、アイリスは自分の運命を書き換えるため、最後の選択を迫られる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる