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第一章 世界のひみつ
8.乙女ゲームって何それおいしいの
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ゲームの世界って何。
架空の世界ってどういうこと。
「その話を詳しく聞かないことには、こちらからは何も話はできないわ。わかるわよね?」
私は脅しではなく、事実としてそう言った。
攻守は交代したが、全く勝っている気はしなかった。
イリーナも己の失態が招いたことだけに、「順に明かす」というルールは諦めたようだ。腹をくくったように、イリーナが口を開いた。
「説明が難しいんだけど。私が今言ったゲームっていうのは、動く絵本みたいなものよ」
「絵本が歩くの?! 足生えてるの気持ちわる」
「違う! ええと。機械の中で動く絵が見られて、物語が見られるんだけど、イベントがある時は主人公が何を言うか、とか、何をするかとかを、選択できるのよ。それによって、その先の物語が変わってくの。誰と仲良くなって、誰とハッピーエンドを迎えるか」
「運任せじゃないすごろくみたいな感じ? 自分でコマを進めるのね」
「まあ、そうかな」
じゃあ、ゴールに辿り着いたら? 終わり?
その疑問は、今は呑み込んだ。何より足元から世界が崩れるようで聞くのが怖い。
「苗佳の兄の暖人がそのゲームを創っていてね。この世界はそのゲームの世界と同じなの」
イリーナは、そのゲームとそれにまつわることを噛み砕いて説明してくれた。
曰く、
一、そのゲームは主に乙女ゲームと呼ばれるものであり、様々な男子と交流する中でポイントを稼ぎ、誰かと結ばれることが目的である。
二、ピンクの髪に翡翠色の瞳の『ユニカ』はその乙女ゲームの世界のヒロインである。(確かに私と特徴が一緒だ! 何で私だけピンクなんだろうと思ってた!)
三、『イリーナ』は『ユニカ』に様々な意地悪を仕掛ける令嬢であるが、最後は社交界から追放され去る。
四、イリーナは自分が本当に好きな人と結ばれるため、その結末通りになるようにこれまで動いてきた。
五、『公式』が用意したメインストーリーは『ユニカ』と『フリードリヒ』が結ばれるエンディングである。
そこまで聞いて私は、この世界についてとか自分の存在が揺らぐ危機感とか生きるって何? とか様々な疑問を全て隅に追いやり、ただ一つ重大なことをイリーナに確認した。
「そのゲームの中で選ぶ『様々な男子』って、誰? いや、答えるのは一つでいい。そこに『アレク』は入ってる?」
「アレク? アレクって、『ユニカ』の幼馴染よね。彼のルートはないわよ。だって彼は他の人との婚約が決まってるし、何より『アレク』を好きな『ユニカ』に、他の男子たちが『俺を見ろ!』『俺を好きになれ!』って熱く盛り上がるのに必要な人だもの。『アレク』とくっついたら嫉妬も争いも生まれず、それでおしまいじゃないのよ。ゲームとして成り立たないわ」
そこまで聞いて、私は先程隅に追いやった他のいくつもの疑問や憂いが完全にどうでもよくなった。
「アレクと結ばれないですって? だから、私がこんなにもアレクが好きでひたすらにそこに向かって走っても、受け入れてはもらえなかったのね」
「は?? あなた、アレクが好きだったの!? だからか……。だから、私がテコ入れ要員になったんだわ」
イリーナはぶつぶつと呟いていたけれど、そんなことはどうでもいい。
私は、たった一つを心に誓った。
「どうやっても好きな人とは結ばれないこんな世界なら、ぶっ壊してやるわ!」
「いやいやいやいや、待って、早まらないで! 第一、ぶっ壊すって、どうやって?」
「旅に出る」
「いや……、ヒロインを殺すとか言うかと思ったら」
完全に拍子抜けした顔をしていたので、私は髪をさらりと肩から流し、キリッとイリーナを見た。
「この若さで自決する勇気はないわ!」
「……その判断は賢明だと思うわ。あなたが短絡的な人でなくてよかった。だけどね、例えヒロインが失われても、たぶんこの世界は回るのよ」
「どういうこと?」
問いに、イリーナはわずかに困ったような顔を見せた。
「さっきも言ったでしょ。あなたがアレクにばかりかまけて他の誰とも恋が発展しないから、たぶん今は私がヒロインになったのよ」
「『私がヒロイン』って、よく恥ずかしげもなく言えるわよね……」
嫌味ではない。
ただ引いていた。
「わかってる……!! 自分がどれほど恐ろしく恥ずかしい台詞を言わされたかは!!」
くっ……! と悔いるように歯を噛みしめ、それからイリーナはしぶしぶと説明を始めた。
「苗佳の世界では、『悪役令嬢が転生』する物語は、悪役令嬢がヒロインなのよ。そこではヒロインぶってあれこれやらかす『元ヒロイン』に、つい『ざまあ!』って言いたくなるような展開が用意してあって、悪役令嬢は自らの道を開拓して生きるのよ。これが一部ではかなり熱い支持を得てるの。だからこのゲームもゲームとしての存在意義が脅かされて、私に苗佳の記憶を植え付けて、物語を動かそうとしたんじゃないかなって」
「それなら、あとはイリーナが頑張ってくれたらいいわけね! 私は『ざまあ』されたら、あとはアレクと自由に恋愛できるってことじゃない」
ぱあっと光が差してきた気分だった。
だがイリーナは、これまでになく熱を帯びて「ちょっと待って!」と再度制止した。
「それじゃ私が好きな人と結ばれないじゃないのよ!」
「何でよ。イリーナの恋愛がゲームとして盛り上がればそれでいいんでしょ?」
「盛り上がらないのよ……」
架空の世界ってどういうこと。
「その話を詳しく聞かないことには、こちらからは何も話はできないわ。わかるわよね?」
私は脅しではなく、事実としてそう言った。
攻守は交代したが、全く勝っている気はしなかった。
イリーナも己の失態が招いたことだけに、「順に明かす」というルールは諦めたようだ。腹をくくったように、イリーナが口を開いた。
「説明が難しいんだけど。私が今言ったゲームっていうのは、動く絵本みたいなものよ」
「絵本が歩くの?! 足生えてるの気持ちわる」
「違う! ええと。機械の中で動く絵が見られて、物語が見られるんだけど、イベントがある時は主人公が何を言うか、とか、何をするかとかを、選択できるのよ。それによって、その先の物語が変わってくの。誰と仲良くなって、誰とハッピーエンドを迎えるか」
「運任せじゃないすごろくみたいな感じ? 自分でコマを進めるのね」
「まあ、そうかな」
じゃあ、ゴールに辿り着いたら? 終わり?
その疑問は、今は呑み込んだ。何より足元から世界が崩れるようで聞くのが怖い。
「苗佳の兄の暖人がそのゲームを創っていてね。この世界はそのゲームの世界と同じなの」
イリーナは、そのゲームとそれにまつわることを噛み砕いて説明してくれた。
曰く、
一、そのゲームは主に乙女ゲームと呼ばれるものであり、様々な男子と交流する中でポイントを稼ぎ、誰かと結ばれることが目的である。
二、ピンクの髪に翡翠色の瞳の『ユニカ』はその乙女ゲームの世界のヒロインである。(確かに私と特徴が一緒だ! 何で私だけピンクなんだろうと思ってた!)
三、『イリーナ』は『ユニカ』に様々な意地悪を仕掛ける令嬢であるが、最後は社交界から追放され去る。
四、イリーナは自分が本当に好きな人と結ばれるため、その結末通りになるようにこれまで動いてきた。
五、『公式』が用意したメインストーリーは『ユニカ』と『フリードリヒ』が結ばれるエンディングである。
そこまで聞いて私は、この世界についてとか自分の存在が揺らぐ危機感とか生きるって何? とか様々な疑問を全て隅に追いやり、ただ一つ重大なことをイリーナに確認した。
「そのゲームの中で選ぶ『様々な男子』って、誰? いや、答えるのは一つでいい。そこに『アレク』は入ってる?」
「アレク? アレクって、『ユニカ』の幼馴染よね。彼のルートはないわよ。だって彼は他の人との婚約が決まってるし、何より『アレク』を好きな『ユニカ』に、他の男子たちが『俺を見ろ!』『俺を好きになれ!』って熱く盛り上がるのに必要な人だもの。『アレク』とくっついたら嫉妬も争いも生まれず、それでおしまいじゃないのよ。ゲームとして成り立たないわ」
そこまで聞いて、私は先程隅に追いやった他のいくつもの疑問や憂いが完全にどうでもよくなった。
「アレクと結ばれないですって? だから、私がこんなにもアレクが好きでひたすらにそこに向かって走っても、受け入れてはもらえなかったのね」
「は?? あなた、アレクが好きだったの!? だからか……。だから、私がテコ入れ要員になったんだわ」
イリーナはぶつぶつと呟いていたけれど、そんなことはどうでもいい。
私は、たった一つを心に誓った。
「どうやっても好きな人とは結ばれないこんな世界なら、ぶっ壊してやるわ!」
「いやいやいやいや、待って、早まらないで! 第一、ぶっ壊すって、どうやって?」
「旅に出る」
「いや……、ヒロインを殺すとか言うかと思ったら」
完全に拍子抜けした顔をしていたので、私は髪をさらりと肩から流し、キリッとイリーナを見た。
「この若さで自決する勇気はないわ!」
「……その判断は賢明だと思うわ。あなたが短絡的な人でなくてよかった。だけどね、例えヒロインが失われても、たぶんこの世界は回るのよ」
「どういうこと?」
問いに、イリーナはわずかに困ったような顔を見せた。
「さっきも言ったでしょ。あなたがアレクにばかりかまけて他の誰とも恋が発展しないから、たぶん今は私がヒロインになったのよ」
「『私がヒロイン』って、よく恥ずかしげもなく言えるわよね……」
嫌味ではない。
ただ引いていた。
「わかってる……!! 自分がどれほど恐ろしく恥ずかしい台詞を言わされたかは!!」
くっ……! と悔いるように歯を噛みしめ、それからイリーナはしぶしぶと説明を始めた。
「苗佳の世界では、『悪役令嬢が転生』する物語は、悪役令嬢がヒロインなのよ。そこではヒロインぶってあれこれやらかす『元ヒロイン』に、つい『ざまあ!』って言いたくなるような展開が用意してあって、悪役令嬢は自らの道を開拓して生きるのよ。これが一部ではかなり熱い支持を得てるの。だからこのゲームもゲームとしての存在意義が脅かされて、私に苗佳の記憶を植え付けて、物語を動かそうとしたんじゃないかなって」
「それなら、あとはイリーナが頑張ってくれたらいいわけね! 私は『ざまあ』されたら、あとはアレクと自由に恋愛できるってことじゃない」
ぱあっと光が差してきた気分だった。
だがイリーナは、これまでになく熱を帯びて「ちょっと待って!」と再度制止した。
「それじゃ私が好きな人と結ばれないじゃないのよ!」
「何でよ。イリーナの恋愛がゲームとして盛り上がればそれでいいんでしょ?」
「盛り上がらないのよ……」
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