①三人の天秤~二人だけの友達~

落雷リョウ

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⑧目覚め

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情報屋が手をさし伸ばして。意識がない中で手を取る。これが、小桜と情報屋との出会いだった。

 目を覚ますとベットの上である。足と頭に包帯がしてある。

「私は」

「痛い」
 足に激痛がはしる。

「まだ、安静にしなさい」
 優しい口調で心が現れるような言葉である。

「あなたは誰」
 ベッドから体を動かし、情報屋の方へ目線を向ける。

「私は情報屋のコードネーム存在です」
「貴方が倒れていらっしゃったのでここにお連れしました」
 ベットの横の椅子に座り。言葉を続ける。

「私は確か」
 ベットの上で上半身を起こして手を頭にやって話している。

「憎悪になった」
 うる覚えの記憶で自分の立場を考えている。自分の置かれている状態を気づくのはそんなに遅くはない。

「そうです」
 存在は杖を突き椅子から立ち上がる。
 小桜は今までの自分に起きた出来事を朧げに言葉にする。

「私は、友達に助けられた」
「友達は、殺された」
 その時の小桜の悲しげな顔は忘れられないくらいの絶望した表情である。

「言いたいことをお互い言って始めてかも知れないくらいに、私達は正直になれた」
「やり直せるかもって思った」
「はずだった」

「でも、ハーメルンと言われる存在が現れて、変わった。解体屋に殺された。その解体屋を私が殺した」
 小桜は、少し振るえながら言葉を発する。

「やっと分かり合えたのに何で。私の親友だったのに。何で、何でなの」

「貴方もまた憎悪に狂わされた人だ」

 お茶を処刑人が持ってくる。その、お茶をテーブルに置く。

「悲しくてしかたない。憎くて仕方ない。そういった人を創り出す存在がハーメルンだ」

「ハーメルンが憎いでしょう」
 存在は率直な意見を述べる。

「憎くないと言えば嘘になるけど。自然に受け止めなくてはと思う一方で、やっぱり、憎いです」

「それを乗り越えた先に希望がある。親友が身をていしてまで、守った命を大切にしなさい。貴方はその彼女の命を落としてまで守った命なんだ」

「貴方には力がある」
 小桜の方を見ながら話す。

「解体屋との戦闘を見させてもらいました」

「貴方の憎悪は貴方の心を奪ったりはしない。共存共生を求めているんだ」
 コードネーム存在は話す言葉に優しさを入れて話している。

「私の中にある憎悪は私に記憶を探してくれと契約を持ちかけられました」
 ベッドで上半身だけ起こして。シーツをじっと見つめながら話す。

「それで、契約したと」

「はい」

「何が何だか分からずに契約しました」

「後悔しているのか」

「していません」
 その言葉を存在を見ながら話す。

「そのおかげで私は助かった。でも、遅かった。佳織の横で二人で戦えればよかった。そうすれば二人とも助かったんじゃないかと」

「それはない」
「追い詰められたからでた憎悪だったんですよ」

「じゃあ、情報屋の皆さんは」
 言葉の途中で遮り、情報屋は言葉を出す。

「私達は偽善者じゃないので言いますが、貴方の中に入った憎悪に興味があるのです」
「それが、私があなたを助けた理由です」
「あなたは、これからどうしますか」

「分からない」

(俺の記憶を探すんだろ)
(契約を守りやがれ)
 声が小桜の中で響きわたっている。

「そうだ」

(全く忘れやがって)

「そうです。記憶を探します」
 顔からの靄がいくばしか晴れたような顔もちで、小桜は話している。

「契約の内容は記憶を探すこと」

「はい」
 ベットの近くに置いてある椅子に座っている、情報屋は立ち上がりおもむろに話始める。

「私の古い友人を紹介しましょう。そこで、働きながら記憶を元に戻せばいいです」

「ありがとうございます」

「なんで、こんな私によくしてくれるんですか」
 小桜は上にかけられている布を掴みながら言葉を発している。

「私の仕事は情報を得ることです」
「情報屋、つまり情報を扱う仕事です。だから、貴方のようなまれなケースをほっとけないです」

「まれなケース」

「そう」
「憎悪と共生しているケースです」
「その記憶の情報と今回助けたことはチャラにします」

「生きて情報を返しに来てください」

 椅子から立ち上がり杖を突きながら小桜の前に来る。

「その前に、憎悪とは何なのかを教えましょう」
 コードネーム存在は小桜の知識がないことが危険と判断し、ある程度の初期の知識だけを渡そうと考えているが、怪我もあり安静にしなくてはいけないところを考え見て、大事な所だけを話す。

「憎悪とは怒りや憎しみといった感情だと調べれば出てきます」

「しかし、ハーメルンによって得られる憎悪とは調べて出てくるものではありません」

 話を簡単に話す為にコードネーム存在は、淡々と話さずに、小桜の理解し得る方法で少しづつ話している。

「簡単に言うと五行説に類似しております」

「五行説」
 ベットで小桜は、必死に聞いている。

「火、水、木(風)、金(雷)、土の五つです」
 コードネーム存在は小桜の目を見てしっかりと言葉を一つ一つ投げかけている。

「その五行説と色が関係しているのです」
 椅子に座りながら小桜のペースに合わせながら話している。
「赤は火で怒りの憎悪」
「青は水で嫉妬の憎悪」
「緑は木(風)で他人との比較の憎悪」
「黄色は金(雷)で金の憎悪」
「茶色は土で自殺(絶望)の憎悪」

「となります。それに属さない貴方の憎悪は黒となります」

 小桜は考えを改めた。これは、小桜の考えれることではない。憎悪とは愛憎や怒り等の簡単なものだと考えていた。しかし、色で憎悪がここまであるとは知らなかった、憎悪とは本当に深いものだと、考えが改る。昔から存在している憎悪のまだ、一握りしか見えてはいない。本当に憎悪とは深いもので、情報屋も全部を知っていて、それを理解してはいない。

「大抵は五色の色の憎悪のどれかに属しますが、貴方の憎悪はどれにも属さない特別な憎悪なんです」

 次に話すことは戦いで有利になる情報です。
「憎悪はガソリンで、車が文字とお考え下さい」
 これより分かりやすい例えが今の、情報屋には出せない。

「ガソリン(憎悪)は一緒でも、使う車が異なることによって使える車(文字)が違います。すなわち、おんぼろの車だったり、電気自動車や、エフワンレースに出る車だったりと多種多様にあるのが、車(文字)なのである」
「車(文字)は変えられるが、ガソリン(憎悪)は変えれないですよね。だから、自分に合う車(文字)を探すことを推奨したします」

「それと、文字によって六つの系統に分かれて、自分の得意な文字や不得意な文字が分かる。それを、文字式と言われているのもあります」

「文字を書くことによって能力の偏りが決まってきます。文字を調べる憎悪が存在しますので詳しく知りたいのなら、その専門家に尋ねることですね」
 コードネーム存在もまたそこで、自分の系統等を知った。

「自分の得意、不得意を知って戦うのと、知らずに戦うのとは大きく違います。猫と獅子ほど違います」

「六つの文字の系統って何ですか」
 小桜がベットの上で聞いている中で疑問に思う所があり質問をしてみる。

「文字は大きく六つに分けられます」

「魔法系、召変系、干渉系、物質系、精神系、特殊系の六つに分けられます」

「召変系は、召喚と変身系が合わさった系統です。私も最初は分かりませんでしたので・・・」
「この文字の相関図によって使える憎悪の限度値が決まってきます。より強い系統に自分の憎悪があれば鬼に金棒くらいになりますよ」

「もしも、自分の系統の中に自分の憎悪がなくても、変異することで自分の使いやすい憎悪を使うことをお勧めします」

「貴方の憎悪は銃という文字を使われていました」

「その銃は六つの系統のすべてに当てはまります。しかし、得意な系統と苦手な系統が存在します。銃をそのまま出すのなら物質系、炎の弾をだすなら魔法系統になりますね。他の系統にも自分の銃の文字に合う形を作れば使うことは可能です。六つの系統はそれぞれに干渉しあい、物質系、魔法系の複数の系統を使う銃の文字の形が作れる可能性もあります」

「ただし、ちゃんとした所で、自分の憎悪がどの系統に属するかは調べてください。あくまでも、ここのお話は参考程度に思って下さいね」

「あと、文字にも階級が存在します。下級文字、中級文字、上級文字。そして、神級文字。
これも、ちゃんとした所で見て貰いなさい」

小桜は頭のいい方でないという逃げ道でこの場を分からないという単語を隠そうとしている。その様子を見ている、コードネーム存在に見破られている。存在も今回のこのことだけで理解は到底無理だろうと考えていた。だからこそ、紹介をすることを決めたのだ。

「間違った解釈や考えがあります」
「のでは、このあたりで今日の所はやめときましょう」
「あまり全部を一気に話すと頭がパンクするでしょう」
 小桜は見破られていると図星な顔をしている。

「なで、このあたりで」

「そうですね、パンクしました」

「あっははっは」
 二人は笑顔になる。

「ようやく、笑顔が見られました」
「それでは、紹介先に手紙を送っときます」

「スマホとかじゃないんですね」
「私はアナログ人間ですから」

「まあ、ゆっくりと眠りなさい」
「今は、休息が大事です」

 小桜はゆっくりと眠りにおちた。


小桜の過去編終わり

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