①三人の天秤~二人だけの友達~

落雷リョウ

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㉓博愛と文字

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そんな毎日が二か月過ぎて滝修行で
 二人は黙って石に座り、滝修行を受けている。
 そのころには手持無沙汰だった手は、胸の前で手を合わせている。
 滝に打たれながら、呼吸を整え筋肉から力を抜く。
 ここまでで、ようやくここまでが分かった。
 二人は瞑想を始める。
 そう心の中は暗いのだ。
 ここが心の中、俺の文字はどこにいやがる。
「やあ、始めましてかな」
 暗がりな場所から声が聞こえる。
「やっと出てきたな。文字」
 太郎は、直感で文字であるということが分かった。
「私の名前は火だ」
「俺の名前は太郎だ」
 自己紹介されたからにはこちらも自己紹介で返さなけらばならない。だから、自己紹介をしたのだ。
「で、私の文字が使いたいって、そうだな」
「まず、文字のことを教えてあげよう」
こいつは、いいやつなのか。勝手に文字に対してのことを教えてくれる。信じてもいいのか。不思議な気持ちである。
「その前になんで、このタイミングで現れた」
「それも、順序をおって話そう」
 文字は淡々と話していく。自分の文字だから俺のことはもう、リサーチ済みなのか。だからの、言葉なのか。
「文字はね、この地球と言われる世界の外にある宇宙って所に、惑星やら星が存在する」
 真っ暗な闇の中だったのが光がさした、薄暗い世界に変わる。そう、俺はここがどこかが分からなかったが、後でここが、宇宙であると分かるのだ。そう、星々や惑星があり、太陽が存在し地球まである。しかし、今の俺には到底分からないことだった。
「その中に文字は生きている」
 言葉が進むにつれ周りの光景が変わっていく。
「文字は訓練で使用可能になる。私が許可しているからだ」
「貴方の許可がないと使えないの」
「そうです」
 また、光景が変わる。
「他にもそうだな、惑星で、水星ってあるけど、あれはね、水という文字がいるんだ」
 水星が大きく映し出された。
「水の文字を持つ人間は水を使えるようになるけど、他の文字は使用できない、何故かって、自分の魂の文字が水と決められえているからだ。でも、唯一別の文字を使う方法がある、それは、自分の魂の形を変えることだ」
「魂の形を変える」
 太郎は、魂の形に形があるのかと思うが、魂って何だと、そこすら分かっていなかった。
「どういうこと」
 実際、ちんぷんかんぷんだが、頑張ってついて行こうとする気持ちは嘘じゃない。
「人間には最初に魂と文字が与えられる。生きていく中で魂がごくまれに変わることがある。火だったのが昇華して蒼炎になったり、別の風になったりとかする」
「それと、もう一つ、文字を使用するときに必要なもの、それは、願いや思いといった力だ。それが、君の文字の原動力だ」
「それを博愛という」
 なんだ、博愛ってと考える。
「それとは違う異質な文字がある。それが、憎悪だ」
「憎悪はハーメルンといったやつから与えられた物だ」
「その原動力が、怒りや憎しみといった憎悪の原動力になる」
「憎悪の文字は、変異を使うことで別の文字が使える」
 なんか、憎悪の方が使いやすそうだが何かきっとリスクって奴があるんだろうなと聞きながら太郎は考えている。この考えが太郎のものかは分からない。ただ、文字の話を理解しようと必死だった。
「で、ここからが私の意見」
「君は私の物にならないか」
 でた、交換条件、師匠が言っていた。文字からの試練ってやつだ。
「嫌だね、俺は魂を渡すほど馬鹿じゃない」
「それに、俺はハーメルンを殺すんだ」
 俺の願いはとおちゃんの敵打ちだ。
「いいね、それ、怒りや憎しみの力」
「それが、ある以上は君には文字は使わせない」
「なんで」
 理解が出来ない。たぶん今の太郎には分からない。でも分かった時太郎は、もう一段階大きくなるんだ。それが、成長するってことだからだ。
「言っただろ。博愛は願いや思いの力だって、君は憎悪に向いてるかもね」
 少し意地悪っぽく話した。
 目の前がら強い光がよみがえった。
 その光景に俺は絶句した。
 師匠がボロボロになっている。刀で刺された傷がいくつかある。持っている木刀の呪符が彫ってあるやつは木であるはずなのに、打撲ではなく切り傷。太郎は頭の中がパンクした。
「ああ、いい忘れていたけど」
「文字との対話中はお前の体は俺がのっとっている」
 その言葉を聞き逆に冷静になれた。
 太郎は、この文字は一筋縄ではいかないということが分かる。
「暴れだすから止めた」
 師匠は体を張って太郎の体を守った。その後遺症で攻撃を受けた師匠はボロボロだった。
「暴れだすって知っていたんですか」
「そうだ」
「そうか、だから、命がけって言っていたのか」
 あの時の烏との言葉が脳裏をよぎった。
「お前の体には傷つけてないからな」
 正は満面の笑みでこちらを見ている。そうか、その言葉で俺は、正は、上手くいったみたいだと感じた。
「後はお前だけだ、太郎」
 意識を失った師匠を家に戻した。
 その道中は二人は一切喋らなかった。
 師匠を寝床に置き、二人は手当てをした。
 手当を終えると二人は外に出た。
「俺さ、自分の憎悪を捨てないと文字を貸さないって言われてさ。どうすればいいか分からなかった。俺は、とおちゃんをもてあそんだ、あの、ハーメルンを殺したいだけなのに」
「強くなるためには、捨てなきゃダメみたい」
「お前さ」
 正は真剣な表情でこちらに語りだした。
「俺が文字との交渉が上手くいったのは。博愛を上手く使えるからだ」
「文字もな、生きていくために博愛の力がいるんだ。まあ、俺達で言う食事な。それを分かれとは言わないからさ。自分の納得するまで頑張れよな」
 正は太郎の背中をいつも押してくれる。言って欲しいことを。
「ああ」
「何かあったら俺が止めてやるよ」
「だから、気にせずにチャレンジしなよ」
「俺達は兄弟だ」
 正の方が兄貴っぽいぞと思いつつ自分の文字に言われたことを考える。


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