①三人の天秤~二人だけの友達~

落雷リョウ

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㉗成長と落第

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時は変わり
二年が過ぎた。

「うわーーーーー」
「また、太郎と宗は張り合っているのか」
 安倍晴明は自室にまで聞こえるこの声に興味を持った。
「そうみたいですね。本当にうるさい、暑苦しい」
 安倍晴明様の心を勝手に解釈して小虎は言葉を出した。
「言いすぎですよ」
 安倍晴明はちゃんと怒る所は怒ります。
「これはすみません、清明様」
「ここに、陰陽道の中の仙籍にいる地位の物をすべて招集しなさい。そして、道摩法師と言われている奴で使えそうなやつには声をかけなさい」と清明は遠くを見ながら言葉を出した。
「ようやくお決めになられたんですね」
 小虎は平伏しながら言葉を出した。
「ちょっと、稽古でもつけて上げましょうか」
 言葉をはぐらかすように、清明は着替えを済ませて太郎たちの元へと行く

場所は変わり
「うわーーーーーー」
「また、張り合っているよ、あいつら」
「俺はお前に何ても負けないからな」
「俺だって」
「まあ、鍛錬は大事だ」
 互寅先生は二人の頑張りを褒めようとしたが、ダメな部分が目に入ってきてしまった。
「って、お前ら二人、水を瓶いっぱいでいいのにこぼれとるやないか」
「そうですね、水がもったいない」
 そういうことじゃないんだけどと少し呆れている。
「元気なのはいいが、少し繊細にならないか」
何をするにも限度があるってこいつらに言ってやりたいが、頑張りは評価しないと」
互寅は難しい顔をする。
「って先生って言われて喜んでいるだけじゃ仙籍には入れませんよ」
 声が裏から聞こえる。
「はあっ」
 三人は声の主から距離を取った
 互寅は、目の焦点が男に会うまでは時間はそんなに要しない。
「安倍晴明様」
 声の正体が安倍晴明様だと分かりあわてて口を塞いだ。
「私はそんなことは考えておりません。」
 互寅は安倍晴明様のいつものお遊びであると気づき、自分がそんなことを思っていないことを弁解する。
「君達は元気がありすぎますね」
 扇子で口元を隠しながら答えた。
「すみません」
「こいつが張り合ってきて」
「なんだと」
「まあ、俺の勝ち何ですけど」
「なんだと、俺の方が勝ちだ」
「喧嘩するなよ」
 正は太郎と宗の間に立って喧嘩を止めようとするがヒートアップする。
「貴方達三人に稽古をしてあげましょう」と清明は悪い顔をする。
 三人は喧嘩を止め、頭を下げる。
 水を運ぶトレーニングが終わり周りの奴らが何か始まるなという空気を感じ取り集まってきた。
 一人の男が。
「さあ、安倍晴明様対正、太郎、宗の連合軍だ」
 一足先に状況を読めた奴が賭けを始めた。
「さあ、どっちが勝つか、はったはった」
「そんなの安倍晴明様が勝つに決まっている」
「張る意味あるかよ」
 次々に賭けを仕切る野郎に野次が飛ぶ。
「私は、文字を使用しません」
「文字を使用せずにこの三人から勝ちます」
 皆は驚いた。でも、安倍晴明様が勝つには決まっているんだ。とまあ、上の奴らは分かったこととほくそ笑んでいるが、下の物は勝てるかもしれないとドキドキワクワクだ。
 とある男が推理する。推理って程じゃない。この三人は陰陽道の中でも上の方にいる。しかし、仙籍には慣れていない。
 どうみる、この戦いを
「じゃ、時間制限も与えちゃおうかな」
「そうだな、三十分でどうですか」
「あっははは」
 三人は笑いあう。
「それは俺達を舐めすぎだ」
「でも、それが、私が見る貴方達の評価です」
「おい、正、太郎、勝つぞ」
「お前に言われなくても俺もカチンときたぜ」
 太郎は安倍晴明様を睨みつけている。
「じゃ、始め」
 手始めに、センスを右手に持ち距離を詰める
 何だよ、この威圧は、
「忘れていたが、これも清明様の力なんだ」
「まだあんのかよ」
「大丈夫だ、俺達は二年修行したんだ」
 正は未来を見据えて言葉を出している。
 そうだ、この威圧もぶち抜ける。と太郎は自信ありげだ。
「まずは、小手調べ」
 清明は言葉の後に太郎と宗が突っ込んできた。
 ひらりとかわすのはまるで蝶のような動きだ。
 清明は三人を観察している。
 三人は攻撃を続ける。
 攻撃は次々かわされる。
「まだ、私は、センスを使ってはいませんよ」
 清明は言葉を出す。
「じゃ、文字を使いますね」
 太郎は言い放つ。
「いきなりフルスロットルできますか」
 太郎は、火を拳に集めて攻撃する。
 が当たらない。
 正は自分の周りの空気を掌握し素早い移動で安倍晴明様を撹乱しようとするが。
 眼中にない。
「くそーーー」
 それでも少しは撹乱が出来るはずだ。
 宗は化物の力を使い化け物になる。それも三mの巨人に。
 パンチを繰り出すが、安倍晴明はセンスで止める。
 それも、いとも簡単に。
「それが今の三人の力ですね」
「ほら見て見ろ、安倍晴明様に挑むなんて何千年もかかるんだ」
 外野はあきらめモードだ。
 各々の攻撃は効かなかった。
 だが、ここまでは予想通り。
 行くぞ、宗、正と太郎は言葉を出した。
「帯同、」
 太郎は体を火に包んだ。そして、火となった。
「何という使い方、あれなら物理攻撃は効かなそうだ」
 外野は驚いている。
「まだまだ、こんなもんじゃない」
 と、宗は言葉を続ける。
「化物、モード瞬足」
 宗の体を見ると、さっきの攻撃重視の感じではなく、スピードに特化した形だ。
 正は、操作の文字でこの場、半径十m間を支配する。
「空間支配」
 攻撃を三人は繰り出す。
 いいですね。力をつけてきたんじゃないですか。
 でも、まだまだだ。これではハーメルンには届かない。
 もっと強くするしかないですね。
 その自信を一回へし折って次に繋げれるか。
 この三人だったら行けるでしょ。と安倍晴明は理解をした。
 攻撃を巧みにかわしながら。安倍晴明の考えは決まった。
 避けるのではなく受け止める。
 三人の攻撃を扇子一本で止めた。
 これは三人の心境が変わった。まるで、化け物だ。この人の前では何もかも無力に感じる。
 三人が固まっているのを見た。
「あと五分です」
「さあ、こないんですか」
「じゃ、私から」
 もう誰の目で見てもこの後どうなるかはわかりきっていた。
 そう、三人はのされた。
 周りの奴は次々に言葉を投げた。
「安倍晴明様がお前らなんかに負けるかよ」
 悔しい、はっきりと三人の考えがシンクロした。そう、悔しいんだ。ただ、それだけだ。
「何だと、じゃ、お前等なら勝てるのかよ」
「こいつらは俺らの中でも強いんだぞ」
 同じ仲間は口々に三人を言葉で守っている。
「だから、安倍晴明様が特別なんだよ」
 互寅は言い合いに入ってきた。普段なら言い合いに入ってきたりはしない。今回は特別なんだ。こいつらよりは安倍晴明様のお考えが分かることを言うんだと心の中で決めている。
「あの人の心や考え方はすでに俺達の見据える世界を凌駕しているんだ。それでも、後継を育てようと必死なんだ」
 互寅は本気で怒っている。この姿を見たのは皆、初めてだった。全員が耳を互寅に傾けた。
「何故か、分かるか」

「あの人も人間なんだ。歳を取るんだ。歳を取ればそれだけで弱くなる」
「絶頂を過ぎたころから皆知っているんだよ」

 この言葉を聞き、三人は心が決まる。
「だから、俺達が強くなるのだ」
 三人の中でも宗は心から安倍晴明様に感謝しているんだ。だから、宗は言葉を続けた。
「あの人を守れるように」
「なぜお前はあの人につく」
 互寅は確信めいた言葉を投げつけられた。
「俺達だけではない」
 宗は自分の気持ちをぶつけることによって自分のこの怒りの正体を感じようとしている。
「皆、そうさ、あの方の偉大さを知っている。俺達みたいな行く当てもない戦孤児を陰陽師見習いにしてくれる」と宗は互寅や周りに自分の考えを投げつける。
 周りの奴はそうだ、ここにいる下っ端は皆同じような過去を持っている、だからこそ、この三人を言葉で擁護するんだ。上流貴族の子供には分からないことだ。覚悟も考えもそいつらよりは上なんだ、下っ端ってだけで、清明様は馬鹿にはしないんだ。皆平等に考えてくれるお人だから、皆は清明様の為に働くんだ、そうだ、強くなるんだ。
「俺らは、あの人の為だけに強くなるんだ。自分がいてもいい場所。それが、安倍晴明様の周りだけなんだ」
「だから、俺は、あの人に死んで来いと言われれば喜んで死ぬさ。それが俺達の役目なんだ」
「世界は誰にでも優しくない、でも、運命は変えれる、安倍晴明様と出会い俺達は変わった。
だから、俺達はあの人について行くんだ」
 宗は感情を一切込めずにただ、言葉を並べた。熱くなる自分自身を冷静にするために自分の手を抓るほどだ。
 どんだけ不器用なんだ。
「そりゃ、勝てねえな」
 太郎と正はあらためて思う安倍晴明様の偉大さを。ここにいる下っ端は皆同じ考えだ。
「だって、安倍晴明様はこいつらの希望であり光であり願いなんだから。だから、強いんだな。博愛そのものじゃないか。博愛の力を見くびっていた」
「でも、今回のことで俺達もあの人がいるだけで希望が持てるよな」
 太郎は正と宗に言葉を投げかけた。
「ああ」
「強くなろう」
 二人は見事に言葉のキャッチボールの言葉を受け止めた。
「十兵衛」
 安倍晴明が言葉を出した。それも優しくだ。
「はい」
 十兵衛は安倍晴明様の後ろに片膝をつき頭を下げている。
「さっきの三人に修行をつけてやってくれ」
「あいつらはもっと伸びる」
 十兵衛は珍しいと少し驚いた。
「それに、創造の力を持っている」
 十兵衛は、清明様には思う所があるんだと気づく。でも、凡人の俺達では、一生お考えがつかないぐらいのことを考えている。それは、何の為なんだろうか。それが分かるときが来ると十兵衛は思い。修行の件を容認しようと考えている。
「それより、三日後の儀式は順調か」
 安倍晴明の心配事が別に動いた。
「はい」
「そこで、ハーメルンの奴らとの戦の日を決める」
「大事な儀式だ」

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