【完結】医療現場の恋物語 ~脈アリ?脈ナシ?マイペース先生と強気看護師のドキドキ恋路~

川原源明

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出会い編

第5話 3人で飲み会 鈍感男ときっかけ

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「もう一つ、茜ちゃんが、付きまとわれてる話ってしましたよね~?」
「あぁ仕事終わり出待ちされてるとかってやつ?」
「そうです。どうも御堂先生に付きまとわれてるみたいで、実習中も酷くて、院長に苦情を入れたら、おとなしくなったんですが、茜ちゃんがここに来たのを知ったら、またね……」

御堂先生か……あまり良い噂を聞かないな……

「んで、自分にどうしろと……」
「当面は、私のシフトとほとんど一緒ですが、私が居ないときに、一緒に帰ってあげてほしいんですよ~」
「ぇ?なんで?」

萩原さんの、横に居る茜君が、驚いてるような反応が

「秋津先生は、こう見えて格闘技やってるんですよ~多分強いと思います~」

まぁ、独身だし?空いてる時間に合気道やら、居合やら習って入るけども……

「うちも、空手やってますよ!」

あぁ、引き締まってる感じはあったけど、やっぱり普段から体を動かしてたのか

「知っていますよ~何年付き合いがあると思ってるんですか~、横に誰かが居るだけでも違うでしょ~」
「そりゃそうですが……」

そう答えると、自分の方を見た。
内心、この人あてになるのかな?とか思ってそう……
というか、やっぱり実習来る前からの付き合いなのか
萩原さんもそんな事を思ったのか

「大丈夫です、頼りになりますよ~」
「何適当な事言ってるんですか……」
「適当じゃないですよ~昔ここの帰りに守ってくれたじゃないですか~」

あ~酔っ払いに絡まれてたやつか……
酔っ払い相手だったから大したことないと思うんだけど

「まぁ、あれは大したことなかったし……」
「とりあえず、明日明後日と私はお休みです!なので、2日間は秋津先生と帰りましょう!」
「はい……」

自分と茜君の気持ち無視して決定した。
ちょっと疑問に思った事を聞いてみるか

「そういや、2人とも付き合い長いんですか?」
「長いですよ~かれこれ10年以上じゃないですかね~」
「そうですね」
「私と茜ちゃんのお姉ちゃんが、高校の同級生で~ちょこちょこ遊びに行ったりしてたので、茜ちゃんが小学生位の時位から知っていますよ~」

思っていた以上に長かった。

「そうですね」
「中学時代とか酷かったですよね~」
「ひどくないし!」

言葉遣いとか考えると
ギャル・ヤンキー・暴走族辺りだろうなとか思った。
興味あったので

「どんなんだったんです?」
「茜ちゃんはね~不良だったんですよ~」

まぁ、そんな印象はある

「ちょ!萩原さん!」

茜君のストップ!って行為を無視して
萩原さんは話し続ける

「学校にも行かないで、遊び惚けてましたね~」
「遊び惚けてないし!」
「ちょこちょこ、繁華街とかで喧嘩して警察に親が呼び出されてたって聞いた覚えがありますね~」
「3回だけだし!」

ちょこちょこも、3回も大して変わらないがな……
あ~ヤンキーか……

「茜ちゃんが大学に入った後は、一緒に勉強もしましたね~」
「ですね~」

ん?年齢差考えるとおかしくない?

「二人って歳の差って6くらいですよね?」
「ですね~」
「進藤さんが、大学時代って、もうここで働いてますよね?」
「そうですよ~茜ちゃんのテスト勉強とかに付き合っていたんですよ~」
「あぁなるほど~」

というか、喧嘩したりして喧嘩に明け暮れた人がどうして看護師になろうとしたんだろう?

「進藤さんは、何で看護師になろうとしたの?」

そんな質問をすると、2人は顔を見合わせた。
ん?聞いちゃいけない質問をしたかな?
そんなこと思ってると、茜君が話し始めた。

「うちの1つ上の姉が、高校2年の時に白血病で亡くなったんですよ。それで姉さんの入院生活中に、なにも出来なくて、凄く無力だって思ったんですよ。その時、看護師をみて、うちも看護師になって姉さんみたいに病気で苦しむ人の助けになりたいって思ったから、そこから猛勉強したんです。」

あ~看護師を目指す人の中にそういった人が居るってわかってたから
あまりきかないようにしてたのに……

「あ~ごめん」
「いえ、気にしてませんから、大丈夫です」
「なっちゃんは、私に看護師になった理由きいてないですよね~」
「聞いてないけど、自分でしゃべってたじゃん~父親が医者で、母親が看護師でその影響だって」
「あれ?そうでしたっけ~?」
「あれ?そうなんですか?」
「あれ?茜ちゃんには話してませんでしたっけ?」
「聞いてないですね」
「あれれ~?なっちゃんが言う通りです。お父さんは外科に居ますよ~」
「そうなんですか?」
「外科の医局長が、萩原さんのお父さんだね」
「そうです~」
「へぇ~萩原さんって、お嬢様なんですね」

茜君の返しに対して
あ~そういえばそうだな、確かにそんな印象は与える

「そんなことはないですよ~」

と締めくくった。
ビールジョッキに口つけ飲み始めた
今度は茜君が、自分を見て

「ところで、うちからも質問していいですか?」
「ん?」
「お2人って、お付き合いとかしなかったんですか?お2人は結構仲がいいように見えるんですが」

その質問に対して、萩原さんが呑んでたビールをこっちに向けて噴き出した

「っちょ!きったねぇ……」

自分のシャツがべしょべしょに……
萩原さんは、慌てて自分のおしぼり、もってきて自分のシャツやらを拭き始めた。
動揺しながら

「なっちゃんごめん~」
「何でそんなことを?」
「いや~なんか2人って、親友以上の関係に見えるんですよね」

シャツとか一通り拭き終わったら自分の所に戻り

「正直言うとですね~私は秋津先生の事好きでしたよ~」

衝撃!初耳なんだが!

「注射の練習に付き合ってくれてた頃には既に惹かれてたと思いますね~」
「へぇ~」

茜君も適当な相槌だな!

「あの後も、こうして2人でご飯を~って誘ったりしてたのに、全然気づいてくれなくて、挙句の果てには、彼氏いないんですよね~いい人紹介してください~って言ったら、立候補してくれなくて、親友だって言う、今の旦那さんを紹介したんですよ~」
「へぇ~ひどい奴ですね」

適当な相槌を返しながらこっちをにらむように見てくる……
え?自分が悪いのか?
そもそも自分がもてるような人間じゃないし、
好意を持たれてるのとか、言ってくれないとわからないっての……

「酷いでしょ~好きですよ~アピールしまくってるのに全然気づいてくれなかったんですよ~、でも今の旦那さんを紹介してくれて良かったんですけどね~」
「そうなんですか?」
「えぇ、今の旦那さんが大好きですから~秋津先生の事も親友として好きですよ~」

知らなかった……
好きですよアピールだったんだ……
確かに、終業時間が一緒だと、一緒に帰りましょう~とか、飲みに行きましょうとか
毎回誘われてたけども、仕事中もどうでもいい雑談とかしてきたのも
そういう事だったのか……

「へぇ……なんかごめん……ってか、告白してくれればよかったのに……」

萩原さんが少しむっとした感じで

「女心が解っていませんね~告白して雑に扱われたら嫌じゃないですか~だから、その気にさせて告白してもらおうとしてたんですよ~」
「秋津先生が悪い!」

なんで!?

「いやいや、それに他の男の話もしてきたじゃん」
「本当にわかっていませんね~早く告白してくれないと、そっちに行っちゃうぞ!ってアピールに決まってるじゃないですか~」
「いやいや待て待て、そんな話されたら、萎えるし、自分に興味ないのかって思うよ?」

横で聞いてる茜君が何か考えるような仕草をしたのち

「判定!秋津先生が悪い!」

ぇ~?なんで!?
ここままじゃ、攻められそうなので、
ちょっと話題を

「そういう進藤さんは、彼氏とかいないの?」
「あ~話題を変えた~でも、私も気になります~」
「居ないですよ~」

と茜君が答えると、
すごいニコニコ顔でこっちを見る萩原さん
顔に「チャンスですよ!」って書いてある
そして、茜ちゃんの方に向き

「どんな人がタイプなの?」
「ん~タイプですか~、趣味が合う人がいいですかね~でも、イケメンは嫌いです!」

なんか珍しいことを言ってきた……
イケメンが嫌いって珍しい気がするんだが

「え~何でイケメンが嫌いなの?」
「なんていうか、見た目気にして中身がボロボロだったり、見た目がいいと浮気とかもしやすそうだし……」

何となくそれは同意できる。

「あ~それはわかる気がする、婚活で会う女性もそんな感じの事あるわ……」
「衝撃!なっちゃん婚活してたの!?」

萩原さんの返しが、
めっちゃ失礼だと思うのは自分だけか?

「それ位するわ!進藤さんの趣味ってなんなんです?」
「まって!私としては、なっちゃんの婚活の方が……」
「今は、進藤さんの話じゃんか……」
「むぅ~茜ちゃんの趣味って昔と変わった?」

むぅ~ってなんだよ…

「昔がいつなのかわからないですけど、今はツーリングとか空手とかですか?」

ツーリングか~一緒だな、空手は趣味になるのか?
すると、萩原さんがめっちゃいい笑顔でこっちを見てる
「バイク趣味ですよ!共通の趣味があるじゃないですか!チャンス!」
って、顔に書いてある。

「茜ちゃん!秋津先生ってイケメン?」
「いや、ブサメンでもないし、フツメン?」

そういう話を、本人の前でするのやめない?
ちょっと傷つくんだが……

「んじゃ、秋津先生は対象になる?」

だから、そういう話は、自分のいないところでやっておくれよ…

「ん~歳の差苦手なんですけど……」

心にナイフが刺さったわぁ……
もう帰りたい……
まぁ、実習の時に、ナンパしてきた4~5歳位上の男性に対して
くそ親父!って言ってたしな……

「歳の差か~12くらいあるもんね~」
「そうですね……」
「そんなにあるんですか?」
「自分今34だよ」
「あ~12ですね、一回りも違うと思っていませんでした」

もうちょっと、若く見られていたって事か、ちょっとだけ心の傷が癒えた……
チョットだけね……

「んっふっふっふ、茜ちゃん!再来週末2連休のお休みですよね~予定空いてたらキャンプ行きませんか?」
「キャンプですか?」
「はい、私と旦那、秋津先生の3人で行くんですけど、良かったら一緒に行きませんか?」
「一緒に行っていいなら是非」

その回答を貰うとまたもやいい笑顔でこっちを向く萩原さん
「私に感謝してください!仲良くなるチャンスですよ!」と顔に……

「いいですよ~、茜ちゃんもバイク出来ますか?」
「も?どこまで行くんですか?」
「秋津先生は毎回バイクですよ~行先は、朝霧高原の近くです。」
「秋津先生もバイクに乗るんですか?朝霧って富士山の向こう側ですよね」
「そうですね~静岡県と山梨県の境目ですね~」

そんなことを言いつつスマホを取り出していじってる
すると、スマホの画面を茜君の目の前に持っていき

「これが、秋津先生のバイクですよ~」

更にスマホをいじりながら
どんな写真を見せてるんだろう……

「この写真も、秋津先生が色々な所にいって撮ってきたんですよ~」
「あ~これビーナスラインですよね~ここは~ターンパイクですか~?」

あ~その辺の写真なのかと思いながら
萩原さんが、スマホの画面を見せてきた。
見せてきたのは、どこだっけ、ターンパイクじゃないな……

「たしか、磐梯吾妻スカイラインの浄土平だな」
「長野に浄土平って福島だっけ?」
「だね、猪苗代湖とかも含めて、自然が多いから好きなんだよ」
「どっちもかなり離れてますけど、どこかで泊まるんですか?」
「泊ることは多いかな~時々日帰りって事もあるけどね」

また、スマホをいじり始める萩原さんが
スマホを、茜君に見せてる

「秋津先生が泊まりで行くとこんな写真も撮ってくるんですよ~」
「へぇ~、これってスマホで撮ってるんですか?」

また萩原さんが、こっちにスマホの画面を見せてくる
星景写真か

「いや、普通のカメラで撮ってるかな」
「あのカメラは普通じゃないですよ~デジカメじゃなく、一眼レフじゃないですか~」
「カメラマンになれそうですよね……」
「そう思うよね~」
「ちゃんとしたカメラがあればだれでも撮れる写真だし、趣味だよ」
「そうですか」

その後も、来たご飯を食べながら暫く雑談を続けてると
時計の針が、23時近くをさしていた。

「そろそろ時間だし、帰ろうか」
「そうですね~帰りましょう~」
「はい」

ベルを鳴らして、来た定員さんに、カードを渡して会計を依頼

「さすが、なっちゃんです~ごちそうさまです~」
「ありがとうございます。」
「ところで、2人は連絡先交換したんですか~?」
「いや……」
「まだですね、LINEでいいですか?」
「あぁ」

そうして、茜君のLINEをゲットしたわけだけど、
こっちからLINEはあまりしないほうがいいかな……
また、きもいですだのうざいですだの言われたら凹むし……
来た時に返すだけにしておこう

LINE交換を終えると、店員さんがカードと領収書をもって戻ってきた。

「んじゃ出ますか~」
「なっちゃんは、電車ですか~?」
「だな」
「それなら駅まで一緒に行きましょう~」

その後、他愛もない話をしながら駅まで一緒に移動し
改札の中で、

「それじゃ~私たちは千葉なのでここでお別れですね~おつかれさまでした~」
「ありがとうございました」

大きく手を振る萩原さんに対して、茜君は横で頭を下げた
自分も軽く手を振り、別れた。
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