【R18】婚約破棄されたらおっとり系アラフォーを攻めることになりまして

チーズたると

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 つまり、王は自分のあとを継ぐヤンダークに早い段階でこういったことに慣れさせようとしているのである。それは、いざというときに慌てないための配慮とも言えた。

 だが、根本的な問題として、ヤンダークには真面目に国を治める気などない。

 理由は単純明快。ナミアと駆け落ちする予定だからだ。

 昨夜は彼の店を襲撃したものの、残念なことにナミアを我がものにすることは叶わなかった。家臣達を使って探したのだが、今に至るまで発見することは出来ていない。

 せっかく媚薬効果のある薬まで取り寄せたというのに、いったいどこに行ってしまったのか。

 ふたりが会話をしたのは昨晩が初めてではあるが、そんなことは些細なことだとヤンダークは思っている。

 一目で――たった一目でナミアという存在が気になってしまったのだ。惹かれてしまったのだ。ならば、これは運命と言っても過言ではないのではなかろうか。

 昨夜は逃げられてしまったが、一緒になれば、きっと彼もわかってくれるだろう。わからないというのであれば、愛を囁き続けてナミアの目を覚ましてやるまでだ。

 そこまで考えた直後、にわかに周囲がざわめいた。
 ヤンダークと国王、そして供の家臣達の行く先を、人影が遮る。

 最初、それがなんなのかヤンダークにはわからなかった。わかったことといえば、自分達の進路を何者かが阻んだという事実のみ。

 故に、その人影の正体を知って、密かに驚いたものだった。

 ヤンダーク達の進路を阻み、目の前に立ったのは――城から追い出したはずの、ニアンナであった。





 ニアンナが前に出ると、ヤンダークは驚いた顔をしていた。昨日は城から追い出されて以降、顔を合わせていないため、本当にニアンナは国に帰ったのだと思っていたのだろう。

 彼の父である国王も、突然のニアンナの登場に驚いた面持ちをしている。王は目を丸くして言った。

「ニアンナじゃないか。自国に親の顔を見にいったのではなかったか?」

 ニアンナは内心でため息を漏らす。やはり、ヤンダークによってそういう話を広められていたらしかった。
 自らの感情を抑え、ニアンナは返答する。

「少し事情がありまして。それより王様、聞いていただきたい話があるのですが、よろしいでしょうか」

「話……? ここでかね? 城に戻ってからでは――」
「いいえ、ここで聞いていただきたいのです」

 ヤンダークが怪訝な眼差しをしたのを一瞥してから、ニアンナは一枚の書類を取り出した。

 国王が、不思議そうに目をしばたたく。

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