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しおりを挟む泣きたいわけではないのに、どうしてか自然と目頭が熱くなって、涙がにじんだ。
飲み込みきれない唾液が、乃亜の唇の端から伝い落ちていく。
ヴィクトールが少しばかり意地悪な声で言った。
「こんなもんで音をあげられては困るぞ」
その言葉を合図に、抜き差しを止めた彼の指が、重点的に乃亜の奥を攻め立てる。
深いところで指先が揺さぶられて、ナカが掻き乱された。
乃亜の声帯が、悲鳴に近い声をあげる。
「きゃうぅッ! まってヴィクトールさん! そんなにされたら、私……っ」
「また果てるか?」
依然として、彼の声は意地悪だ。
実際、ヴィクトールの指摘の通り、再びあの衝撃の前触れを乃亜は感じている。
身をよじり、悶えながら、乃亜は浅く何度も頷いた。
「アッ、ぁ、ァんっ! もう、らめ、いくっ! いっちゃいますぅ!」
「かまわん。何度でも果てろ」
まるで彼からの許しを待っていたかのように、乃亜の体が甘く切ない衝撃に震える。
「ぁっ、ンああァアああっ!」
肌のしたで愉楽が暴れ狂ってでもいるふうに、腰はがくがくと痙攣した。
真っ白になった頭が、乃亜からすべての思考を奪っていく。
視野は涙でにじみ、強い衝撃が喉をふさいで、呼吸がうまく出来なかった。
苦しいのに、なにも考えられなくなるのに、どうしてそれがこんなにも気持ちいいのだろうか。
ヴィクトールにあんなところを刺激されて、どうしてこんなふうになってしまうのだろう。
彼の昂りを奥まで受け入れれば、もっと――もっと、気持ちよくなれるのだろうか。
はしたないと知りながら、イケナイと理解しながらも、乃亜はそんな背徳的な期待をせずにはいられなくなった。
秘部から、ヴィクトールの指がゆっくりと引き抜かれる。
「ぁ、んっ……」
達したばかりの過敏な粘膜は、そんな些細な刺激にすらも反応してしまった。
自身の陰部がひくひくと淫猥に動き、そこから熱い粘液が溢れていくのがわかる。
貪婪に相手を求める体が、まるで自分のものではないようだった。
じんじんと痺れる胸の突起が、彼に触ってもらいたがっている。そこを刺激される悦びを、肉体は知ってしまった。
そのとき、唐突に熱い塊が下腹部に触れる。
驚いて目線を移すと、ヴィクトールの昂りが――生まれて初めて目にする、男性の硬くなったそれが、乃亜の秘部に先端を密着させていた。
触れ合う箇所から、彼の生々しい熱さと脈動を感じる。
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