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しおりを挟む「ヴィクトールさん、まって、おねがいっ! 私、もう……っ」
「この状態で待てとは。なかなか酷なことを言うな」
微笑し、乃亜の弱い箇所をさぐり出したらしい彼が、熱の塊でそこを重点的に苛む。
直後、もう何度目になるかわからない絶頂が、またも乃亜を容赦なく襲った。
「ンぁっ、あっ、ぁあアあああンッ!」
四肢が、腰が、壊れた人形のようにガクガクと跳ねる。
自分という存在が、どこかに行ってしまいそうだった。
が、乃亜の絶頂が去るよりも早く、再度ヴィクトールが突き上げてくる。
とうとう耐えきれなくなった乃亜は腰を折り、上半身を相手の胸に倒して、両腕を彼の首にまわした。
それは、抱きつくというよりも、縋る動きに近い。
「ごめんなさいヴィクトールさんっ、もうゆるしてぇっ!」
彼の小さく笑った声が、耳に届いた。
「まったく、虐め甲斐のある娘よな」
乃亜を抱きしめ、ヴィクトールは揺さぶる動きを続ける。
律動によって生じるベッドの軋む音が、妙に遠くから聞こえるような気がした。強すぎる法悦が、様々な感覚を狂わせているのだ。
視界がはっきりとしないのは、にじむ涙のせいか、それとも単に焦点が合わないせいか。
ヴィクトールが、低く息をつめる。
「……っ、出すぞ」
次の瞬間、最奥に熱いものが叩きつけられる感覚があった。
それは、何度も絶頂に至って敏感になった秘部には強すぎる刺激だ。
乃亜は目を見張る。
「ひぁッ、アァッ、ああァアああッ! きてるっ、あついのいっぱい、おくまできてるぅッ!」
その刺激にまたも果てた乃亜は、身を仰け反らせた。
腰がひとりでに、びくびくと痙攣する。
すると、まるで乃亜の奥の奥にまで白濁を塗り込もうとするかのように、ヴィクトールが腰を押しつけてきた。
次々と強烈な感覚に襲われ、乃亜は前後不覚になる。
「もうだめぇっ! そんなにされたら、こわれちゃうからぁっ!」
眉根を寄せたまま、彼が薄く笑った。
「お前、それは無意識か? そんなふうに言われると――」
ヴィクトールの唇が、乃亜の唇をふさぐ。
意地悪な舌が乃亜の口内に侵入し、舌を絡め、歯列や口蓋を愛撫して、乃亜からすべてを奪っていった。
秘部も、口中も彼に満たされて、もはや乃亜はヴィクトール以外のものがわからない。認識できるのは目の前の彼、ただひとりだ。
唇を離したヴィクトールが、至近距離で囁く。
「――壊したく、なるんだがな……」
これまでに見たことのない彼の眼差しが、乃亜を穿った。
熱く、それでいて真っ直ぐで――どうしようもなく「男の目」をしていると、乃亜は感じる。
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