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しおりを挟むそんなことを考えていると、乃亜を引きずる触手の動きが止まった。
逃げるチャンスが生まれたのだろうかと思ったが、蔓は乃亜の拘束を解きはしない。
すると、すぐ側にある背の高い草むらが、ガサガサと音をたてた。向こうで、なにかが蠢いているのだ。
草を掻きわける物音は、徐々に近付いてくる。
獣だろうか。もしや、ヴィクトールが戦ったような、巨大ななにかが襲ってくるのだろうか。
そんな予想をしていたために、次の瞬間、乃亜は驚愕に息を呑むこととなる。
草むらからずるりと這い出てきたのは――大量の触手が絡み合って出来たような、巨大な塊だった。
それが意思を持っているふうにズルズルと地を這って、乃亜に接近してくるのである。
蔓にくちを塞がれていなければ、あまりの不気味さに悲鳴をあげていたに違いなかった。
よく見ると、乃亜を拘束している触手は皆、この妙な塊に繋がっている。どうやら、これが本体らしい。
塊から新たに細い触手が二本伸び、それが乃亜に近付いた。
触手は乃亜の正体を確かめるふうに乃亜の頬を這い、次いで首を這う。やはりこの触手も、なにかの粘液に濡れていた。
得体の知れないものに触れられる嫌悪感に、乃亜の背筋がぞわぞわと粟立つ。
すると、一本の触手が服の襟から侵入してきた。
ぬるぬるとしたそれが胸におりてきて、乃亜は気持ち悪さに声にならない悲鳴をあげる。
触手は乳房と下着のあいだに入り込み、なにかを探すようにまさぐる動きを見せた。
不意に、それが胸の突起に触れる。
こんなものに触れられて反応したくはないものの、それでも肉体は快楽に従順な反応を返してしまう。
尖りを擦られた乃亜は、思わず体を震わせてしまったのだった。
触手がその反応になにかを察知したように、いったん動きを止める。と、今度は重点的に乳首を刺激してきた。
気持ちが悪いのに、嫌なのに、それでも感じる箇所を愛撫された乃亜の体は、愉楽を覚えてしまう。
触手は粘液にまみれた先端で、何度も何度も乃亜の胸を凌辱した。
ぬるぬるとしたそれのせいで滑りがよく、それが快感を増幅させる。触手に自由な動きを許してしまう。
抵抗を試みたものの、やはり手足を拘束する触手達が許してはくれなかった。
乃亜は現在、ヴィクトールが町で購入してきてくれた衣服に身を包んでいる。外出を前提としたものではないため、ワンピースに似た衣装なのだ。それが、災いした。
触手が、スカートの裾からも侵入してきてしまうのだ。
何本もの触手が、乃亜のふとももを這い上がってくる。内腿をくすぐられるように撫でられると、妙な気分になった。
いや、妙な気分などという曖昧なものではない。
信じたくないことではあるし、そんな己に嫌悪もするが――乃亜の肉体は触手の愛撫により、たしかに火照り始めているのだった。
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